五色生菓子 石川県

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石川県
五色生菓子(ごしきなまがし)
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画像提供元 : 青木クッキングスクール
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画像提供元 : 青木クッキングスクール
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主な伝承地域
金沢市周辺
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主な使用食材
5種の生菓子
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歴史・由来・関連行事
石川県は古来より餅を食べる文化が根づいている土地である。たとえば、能登に伝わる「ねんねだんご」。「ねんね」とは赤ちゃんのことで、産後の母親に良いお乳が出るように与えた郷土料理である。紅白2色のだんごをすまし汁や味噌汁の具に使われるほか、ぜんざいなどのデザートとしても食べられている。また、北海道から能登の小木地区に伝来したといわれる「べこ餅」は、端午の節句や春の祭りに欠かさず食べられている。
そのほか、「あぶり餅」や「ひっぱり餅」、「とびつき餅」、「とち餅」……など県内各地で、1年を通してさまざまな餅料理が食べられている。
加賀藩の城下町としての歴史をもつ金沢市で食べられているのが、「五色生菓子」である。慶長6年(1601年)、二代目将軍・徳川秀忠の息女にあたる珠姫(たまひめ)が前田利常に輿入れした際に、加賀藩の御用菓子士の樫田吉蔵が献上したとされている。樫田はとくに容器にこだわり、五重の菓器におさめて奉納したという。
菓器におさめられた五種の生菓子は諸説あるが、それぞれが森羅万象を意味している。赤色の米粉を餅の半分にまぶした白い丸餅は「太陽」を、白くて丸いまんじゅうは「月」、黄色の餅米をまぶした丸餅は「山」、こしあんのはいったひし形の餅は「海」、蒸しようかんは「里」を表したもの。これにより、天地自然のすがた「日月山海里(じつげつさんかいり)」が完成する。 -
食習の機会や時季
発祥の経緯もあり、「五色生菓子」は婚礼時の祝い菓子として広まった。明治時代には庶民にも定着したという。菓器には、一種類5個、計20個の生菓子を詰めるのが習わしになっている。 菓器を五段重ねに入れた蒸籠は、家の門前に置かれ式典後に配られたという。現在では、20個を祝い菓子としていただくことはほとんどないが、5~10個ほどの祝い菓子をいただいて、食べることはあるという。
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飲食方法
器から生菓子を取り出して、そのまま食べる。菓器に詰められた餅やまんじゅうは色あざやかな配色で、祝いごとの返礼におしるしとして配られる。
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保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
昭和中期から、食べる機会が減ってきているという。門前に蒸籠を並べるような文化もなくなりつつある。それでも、地元の和菓子店などでは通年取り扱われており、婚礼の際に目にすることも少なくはない。
この地域ならではの特色ある和菓子で、懐かしんで求める地元民もいるが、観光客のお土産としても販売されている。 -
情報提供元 : 「青木悦子の新じわもん王國 金澤料理」(著:青木悦子氏)
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