黒糖 鹿児島県
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鹿児島県
黒糖(こくとう)
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画像提供元 : 鹿児島県
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画像提供元 : (独)農畜産業振興機構「砂糖類・でん粉情報」(撮影:荒尾美代氏)
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主な伝承地域
奄美地域
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主な使用食材
とうきび
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歴史・由来・関連行事
「黒糖」は、とうきびを細かくカットし、圧搾機にかけて絞り出した汁を煮詰めてつくる砂糖のこと。奄美地域および沖縄県の特産品として知られる。
奄美群島は、16世紀までは琉球王国統治下に置かれていたとされ、江戸時代には薩摩藩下に入り、さらに戦後はアメリカ統治下に置かれるなど、時代に翻弄されてきた地域である。「黒糖」は非常に高級な食材であったことから、その歴史の流れの中で大きな影響を受けてきた。薩摩藩に属していた時期は、年貢を米から当時非常に高価だった「黒糖」で代納させ、薩摩藩が「黒糖」を独占した。そのため、島民は「黒糖」の生産を優先せざるを得なくなり、日々の食糧の生産に手が回らなくなる“黒糖地獄”という過酷な状況をつくり出した。また戦後は、国内産糖に力を入れるため大型の製糖工場が建設され、奄美地域の伝統的な「黒糖」づくりの文化が途絶える危機に瀕した。このように奄美地域の「黒糖」づくりも時代とともに翻弄され続けてきたが、奄美群島および鹿児島本土の食文化を底から支える甘味料として強く根づいた。
「黒糖」は蜜を多く含むため、かたまりやすく、一般的に売られているものは砕いたブロック状のものが多い。カラメルのような深いコクと風味があるため、上白糖に比べると汎用性は高くないが、その「黒糖」の風味を生かした料理が広く親しまれている。 -
食習の機会や時季
「黒糖」は、さまざまな料理の味付けに使われるほか、小腹が空いた時やお茶うけに、そのまま食べることも多い。ビタミンやミネラルを豊富に含んでいるため、栄養補給に食されることもある。
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飲食方法
とうきびの茎から汁を絞り、煮詰めて水分を蒸発させたら冷やし、かためる。「豚骨」などのおかずから「げたんは 」「ふくれ菓子」といった菓子類、そして「黒糖焼酎」などの酒類まで、鹿児島県を代表する郷土料理の多くに「黒糖」は使用されている。特に、九州地方、沖縄県では、「黒糖」風味のお菓子が非常に多く、大人から子どもまで幅広い年代から愛されている。
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保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
一般的な甘味料としてスーパーマーケットなど、どこでも手軽に購入ができる。近年は健康志向の高まりから、県外でも「黒糖」を食す頻度が増えている。奄美地域の土産品としても人気がある。
お問合せ先
大臣官房新事業・食品産業部外食・食文化課食文化室
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