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農林水産省

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aff 2020年2月号
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病気から守るために
【獣医師】

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ペットを病気から守るために日々働く獣医師。今回は動物病院を訪れ、仕事の様子を見せていただきました。

「上野の森どうぶつ病院」(東京都台東区)の院長の内村祐介さん。

「上野の森どうぶつ病院」(東京都台東区)の院長の内村祐介さん。「子どものころ、交通事故で亡くなった猫を見かけて、救える命もあるはずだ、と思ったのが獣医を目指したきっかけです」

狂犬病のリスクを抑えるための努力

──獣医師の仕事について教えてください

内村 犬や猫、牛、馬、豚などの飼育動物の診察を行うのが獣医師です。私のように動物病院で犬や猫などのペットを診察する人の他、農協などに勤務して牛や豚などを診る人や動物園や水族館で働く人もいます。感染症が国内に入り込むのを防ぐため空港や港の動物検疫所で働く獣医師もいますね。

内村さんが院長を務める「上野の森動物病院」

内村さんが院⻑を務める「上野の森どうぶつ病院」は犬、猫、うさぎ、ハムスターを対象として幅広い科目を設けている。「お散歩ついでに気軽に来ていただける動物病院にしたい」という想いで、開院から6年近く1日も休診日を設けていない。

──日本におけるペットの病気の予防対策をどのようにご覧になっていますか?

内村 島国の日本は動物の感染症が入り込みにくく、しかも動物の輸入時の管理もしっかりしているため、狂犬病などの伝染病はよく防がれています。私たち動物病院の獣医師も指定されている病気にかかった動物を診断したら、ただちに保健所を通じて都道府県知事に届け出ることになっています。

反面、飼い主さんの中には危機感に乏しい方もいらっしゃいます。日本が狂犬病の根絶に成功したのは、島国であるということと、当時のワクチン接種率の高さのおかげです。ただ、狂犬病を過去の病気と考えられている方もいらっしゃいますが、世界ではいまだに年間5万人以上が亡くなっているとされています。また、同じ島国の台湾でも数年前に野生動物への感染が確認されているため、日本と関係がない病気とはいえません。

病気などでどうしても接種できないワンちゃんたちもいると思いますが、特別な理由がない限りは接種することに意味があることをご理解いただきたいです。その他にも動物から人、人から他の動物にうつる人獣共通感染症には犬ブルセラ病や猫ひっかき病などさまざまな種類があります。仕事を通じて動物の病気に対する意識をより高める必要性を感じています。

現場に密着

ずらりと並んだカルテを見る内村さん。

ずらりと並んだカルテを見る内村さん。来院者数は多い日は100人近くになることも。

循環器のスペシャリストである諌山さんを交えて治療方針についてデスカッション。

「飼っていた犬の心臓病を治してあげたかった」という体験から専門医を目指したという副院長の諌山紀子さん(右)。循環器のスペシャリストである諌山さんを交えて治療方針についてディスカッション。

超音波検査で体内のできものを調べる内村さん。

超音波検査で体内のできものを調べる内村さん。レントゲン検査と併用することで診断の精度が増すそうです。「さまざまな治療方法をなるべく分かりやすい言葉でご説明することを心がけ、納得していただいた上で治療を行うようにしています」

写真付きの診察券。

写真付きの診察券。「定期的に来院して健康を保ってもらえるよう、親しみやすい動物病院であることを心がけています。また1匹1匹の症状や性格、飼い主さんの意向も最大限に取り入れたオーダーメイド治療をモットーとしています」(内村さん)。

飼い主の大槻公子さんとトイプードルのみはなちゃん。

飼い主さんとトリミングに通うトイプードルのみはなちゃん。「内村先生には皮膚病、血尿のときも迅速に対応していただきました。かかりつけの先生ができたおかげで健康になってくれましたし、そのぶん手もかからなくなり、とても助かっています」と微笑みます。

スタッフは獣医師が常勤4名・非常勤2名、動物看護師7名、トリマー4名。

スタッフは獣医師が常勤4名・非常勤2名、動物看護師7名、トリマー4名。「トリミングサロンを併設しています。トリマーさんが毛並みや皮膚のごくささいな変化を発見することで皮膚病などの早期発見につながることもあります」(内村さん)。

飼い主さんへのメッセージ

動物とともに暮らしていく上では、病気の予防に気を配っていただく必要があります。例えば、もらったり拾ったりしたワンちゃんやネコちゃんを飼うときは必ず動物病院で感染症の有無を調べてください。また体重の増減や嘔吐などは病気のサインであることが多いので体調の異変に注意しましょう。その上で頼りになるかかりつけ医を持ち、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。

お問合せ先

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