「生産力」「知恵力」「市場力」とあらゆる場面で女性ならではの視点を活かし、輝く農業女子。今回は、農業女子PJ(農業女子プロジェクト)に2019年11月から参画した(一社)全国農協観光協会とのキックオフミーティングに参加したメンバーに話を伺いました。
未来が見えた!
農業女子の農業ライフ
農業女子PJには、全国各地の802名の農業女子と、33の企業、7つの教育機関が参画しています(2020年1月現在)。メンバーの就農ルートもさまざまで、約3割のメンバーが新たに起業する新規参入者。生産者であり、かつ生活者、消費者でもある農業女子の能力を各企業などと結び付け、新たな商品やサービスなどを生み出しています。
プロジェクトを通して、女性農業者の存在感を高め、女性の職業選択に農業を加え、未来の農業女子を育てることにもつながっています。
また、農業女子PJは、2018年から国連の持続可能な開発目標(SDGs)に係る取り組みの推進を活動の柱に掲げており、農業女子が取り組むSDGs活動を積極的にPRしています。PJの活動そのものもSDGsのゴール5番「ジェンダー平等を実現しよう」につながっているといえます。
──農業女子になったきっかけは?
實川さん きっかけは結婚です。夫は結婚前にパティシエをしていたのですが、実家の農業を継ぐことになったので、そのタイミングで結婚。子どもができてからは、私も一緒に農業をするようになりました。
石橋さん 私も結婚がきっかけです。結婚した当初、夫は会社員でしたが、その後、実家の農業を継ぐことになったので、私も農業の道に進みました。
小島さん 私はもともと大学で農業を学んでいて、大学時代に知り合った夫と結婚。夫の実家が農家だったので、結婚後、そのまま一緒に農業をしています。
永野さん 私の場合は、実家が農家です。父が腰を悪くしてしまい、助ける形で農業を手伝いはじめました。
須賀さん 私の実家も農家です。社会人生活のはじめは実家から離れ、調理師としてレストランで働いていましたが、体調を崩してしまい、実家に戻りました。その後、実家の農業に従事しました。
──農業が楽しいと感じるのはどんなとき?
永野さん 大根やにんじんを抜くとき。土から「獲ったどー!」という感じが楽しいです。
石橋さん 私も収穫のとき。形がきれいだと達成感があります。今年は上手くできたとか、だめだったとか。できた状態を見るのが好きです。
實川さん 収穫も楽しいですが、直売所で販売するのも楽しいです。特にそこでのお客さんとの会話が。
小島さん 無心で黙々と行っている時間そのものが楽しい。あとは、定植したばかりの畑を見ているときも好きです。芸術的にきれいだなと感じます。
須賀さん 私も草むしりとか、無心で行っている時間。ふと頭を上げると山が見えたり、自然の中でやっているのが楽しいですね。
──作業のときのファッションやグッズへのこだわりは?
石橋さん 実はおしゃれな農業女子を目指していて、農業女子PJが企業と開発したウエアが気に入っています。
永野さん 私は、伝統的なもんぺとか地下足袋を愛用しています。でも、モンベルから出たつなぎはかわいいですね。これからちょっとおしゃれをしたいかな。
須賀さん 私は動きやすさや機能性にこだわっています。あと、しゃがんだときに腰が出ないウエアが助かります。
石橋さん 機能性だと私は手袋ですかね。爪に土が入らないよう手袋は必須。外さなくてもスマートフォンを使えるものが便利ですね。
──農業をする際の女性ならではの強みはありますか
石橋さん 地域の先輩から教わったのですが、女性が働いている農家のほうが、売り上げが約20パーセント上がるのだそうです。女性は他の農家とも友達感覚で気軽に意見交換をして、こういうふうに育てたら成功したとか、横のつながりが広がりやすいからだそうです。
小島さん 確かにそうですね。女性のほうが柔軟に受け入れて自分のものにできる。それと作業中に、細かいことに目が行く。ちょっとしたことだけど、パックするときも女性のほうがきれい。そうするとクレームや返品も減る。こういうことが積み重なって、売り上げが上がることにつながるのかもしれません。
──ご家族のことについて少し教えてください
石橋さん 私は3世代同居で、夫の両親が居てくれることで、いろいろと助けられていると思います。子育ても家事も分担できますし。
實川さん 私のところは4世代同居で、子どもにとってもおじいちゃん、おばあちゃんの存在は大きいですね。私が教えられないことも教えてくれますから。子どもがいても安心して働けます。
小島さん 私も結婚当初は4世代同居でした。隣に自分たちの家を建てたのですが、子どもたちが母屋に行きたがって、食事は母屋でみんなで食べています。
須賀さん 農家はみんな一緒に食事をしながらいろいろな話をしますね。家族で過ごすにぎやかな食卓は大切だと思っています。
永野さん 私もそう思います。食事は、家族の絆が深まる大切な時間ですね。
──就農を考えている女性にアドバイスを
永野さん SNSで「永野さんの野菜を買って、料理を作ったよ」といったコメントを見るとうれしいものです。こういう気持ちを味わえるのが農業の魅力です。私のように初心者でも楽しくできますよ。
實川さん 農業にも作物を育てるだけでなく、販売や営業などいろいろな仕事があって、農作業以外にも楽しさがあります。先入観に捉われないで、楽しんでほしいです。
石橋さん こうすれば売り上げが伸びるとか、こういう野菜を食べてもらいたいとか、自分が思い描く経営ができたり、挑戦できたりもしますよ。
小島さん 知らない土地で、ひとりで突然始めるのは難しいかもしれません。地縁や血縁などのつながりがない場合は、農業法人に入社するなど、初めは雇用の形で入ると早く慣れると思います。
須賀さん 私は、農業は総合職だと考えていて、そこに魅力と可能性を感じています。今、農業と関わっていない人も、別の仕事で培った経験などを農業と組み合わせると、新しいことができると思います。
農業女子おすすめグッズ
農業女子PJの趣旨に賛同した企業が、女性農業者の声をもとに開発したさまざまな製品を紹介します。
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