現場でかっこよく働く女性たち
[その2 山編]
【林業】林業女子のパイオニアとして活躍
北村林業(株) 北村林業女子部(北海道)

北村林業女子部メンバー。左から大西紗椰さん、伊藤涼香さん、岡島春萌さん、土田瑞穂さん。SNSで仕事の情報を発信したり、林業への就職促進のイベントに参加したりしている。
北海道の南東部、十勝郡浦幌町で育林や素材生産の事業を行う北村林業(株)では、現場で働く26名のうち、4名が女性です。
そのひとり、土田瑞穂さんは「以前、札幌で事務仕事をしていたけれど、アウトドアが好きで、自然の中で体を動かすうちに、こういうところで働きたくなりました。そして、仕事を探す中で林業に興味を持ちました」と言います。

伐倒の研修にて。チェーンソーは、木に水平にかつ伐りすぎないようにする。
「北村林業では、苗の植え付けや雑草を取る下刈りなどの作業をしています。四季を感じながら自然の中で働くのは清々しいですし、植えた苗から新芽が出るなど樹の成長を実感したときは、喜びを感じます」と土田さん。「自分でやった仕事が目に見えるのも好きなところです。作業した後、山に違う景色が広がっているのを眺めると達成感を味わえます」

伐採後、残った枝などを片付けて、苗木を植えられるようにする「地ごしらえ」の作業。
北村林業社長の北村昌俊さんは「林業の世界に女性はまだ少ないですが、働きはまったくそん色ありません。むしろ植え付けなど同じ作業を根気よく続けられるところは優れているように感じます。林業の仕事はすでに機械化が進み、今後、女性もより働きやすくなっていくはずです。興味のある方は、ぜひチャレンジしてください」と話します。

重機の操縦も板に付いてきた土田さん。
写真提供/「北海道の人、暮らし、仕事。くらしごと」

女性社員のために、軽トラックに積んだ移動式のトイレも用意されている。
- 4時50分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 起床
- 6時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 出勤
- 6時20分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 現場に移動し、今日の作業について打ち合わせ
- 7時30分から11時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 現場作業(地ごしらえ)
- 11時から12時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 昼休憩
- 12時から16時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 現場作業(地ごしらえ)
- 17時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 退勤
- 22時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 就寝
【狩猟】「森の番人」と呼ばれるにふさわしいハンターになりたい
福原3姉妹(滋賀県)

長女の福原亜希さん(左)と次女の晴菜さん(中)、三女の捺未さん(右)。
写真提供/(株)しがぎん経済文化センター
いずれも滋賀県猟友会の会員である福原亜希(児童指導相談員)さんと晴菜(主婦)さん、捺未(トリマー)さんの3姉妹は冬場の狩猟シーズンにはたびたび狩猟を行います。猟場は琵琶湖の東に広がる鈴鹿山脈、狙うのはニホンジカやイノシシ。猟の方法は、獲物を遠巻きに囲んでから、勢子(せこ)役のメンバーが犬を放ち、ハンターが待ち伏せする所へ追い込ませる「巻き猟」です。「獲った動物は自分たちで食べるのが基本。新鮮なシカ肉はおいしいですよ」と長女の亜希さん。

狩猟に用いるのはプロット・ハウンドという犬種がメイン。「『鳴き犬』と呼びますが、吠えながら獲物を追い込んでくれます」
3姉妹は滋賀県猟友会の会長を務める父 守さんの影響で狩猟を始めました。「ベテランハンターの父は動物の足跡だけで、いつ付いたものなのか、オスかメスかなどを判断します。経験にはかなわないな、と感じます」(亜希さん)
猟を楽しむといった狩猟の他、許可を取って農業被害の低減のために行う有害駆除があります。野生動物による農業被害は全国的な問題です。滋賀県でもシカなどが適正頭数を遥かに上回る頭数まで増えており、農作物の被害だけでなく、木の樹皮や下草の食害も深刻になっています。
「山が荒れることが原因で土砂崩れが起こることもあります。ハンターは生態系を調整する役目を果たすことで山を守る、ということから『森の番人』と呼ばれています。その呼び方に恥じないハンターになり、伝統の技を後世につなげていきたいです」(亜希さん)

獲物の気配に神経を研ぎ澄ませる「待ち」。「生まれてはじめての狩猟では、遠くから犬の声が聞こえ始めたとき、自分の心臓の音がうるさく感じるほど興奮しました」
福原さんたちのような「狩りガール」は増えており、今や全国の猟友会会員の1割ほどが女性になっています。「2019年には女性ハンターのネットワークができて、約30人とSNSでつながり、情報交換をしています。女性が入りにくい世界のように感じるかもしれませんが、どの県の猟友会も歓迎し、サポートしてくれるはずです」(亜希さん)
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