
サバは、栄養価の高さや独特のうま味から人気の魚種です。
そんなサバを缶詰にした「サバ缶」は、手軽にそのおいしさが楽しめることから近年ブームとなっています。今回はサバ缶の魅力や簡単にできるアレンジレシピを紹介。サバ以外の珍しい缶詰情報もお届けします。

日本で漁獲されるサバは、主に2種類あります。1つは、秋から冬に旬を迎え、脂がのって柔らかい肉質が特徴の「マサバ」。もう1つは、季節による味や脂肪量の変化があまりない、腹部にゴマのような暗色点がある「ゴマサバ」です。また、日本の市場に多く出回り、ノルウェーなどで漁獲される「タイセイヨウサバ」も有名。ここからは、サバ本来の特徴や、加工することで得られる「サバ缶」の魅力をみていきましょう。

サバの高い栄養価

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青魚の代名詞ともいえるサバには、コレステロールや中性脂肪を減少させる効果が期待できるDHA(ドコサヘキサエン酸)や、血液をサラサラにする働きが期待できるEPA(エイコサペンタエン酸)が含まれています。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンD も含有することから、健康に気を使う人にうれしい栄養が多く含まれています。

調理のしやすさ

調味加工されているサバ缶は、そのまま食べるだけでなく、調理に活用しやすいのも魅力です。中でも「水煮缶」はアレンジの幅も広く、和、洋、中のさまざまな食材や調味料と合います。「油漬け」であれば、身の部分はもちろん、サバのうま味が移った油も調理に活用できます。

コストパフォーマンスの良さ

手頃な価格で栄養価も高く、余すところなく食べられる商品であることから、コストパフォーマンスに優れています。近年のサバ缶ブームで、多くの企業が定番から変わり種まで多彩な商品を販売しており、選べる楽しさも人気の一因となっているようです。

岩手県産(株)が販売する国産サバを使用した缶詰「サヴァ缶」は、思わず手に取りたくなるかわいいパッケージと豊富な種類で人気を博しています。2020年8月現在までに、「オリーブオイル漬け」、「レモンバジル味」、「パプリカチリソース味」、「アクアパッツァ風」、「ブラックペッパー味」の5種類を展開しています。2013年9月発売以来、シリーズ累計販売数700万缶を突破するヒット商品となった「サヴァ缶」の誕生秘話やこだわり、水産物缶詰への想いを、同社の担当の方に伺いました。
震災・水産業復興への想いから誕生
2011年の東日本大震災による影響で、大きなダメージを受けた三陸の水産業。「被災地から発信できる加工食品を生み出すことが、復興への大きな一歩につながるかもしれないという想いからサヴァ缶の商品開発はスタートしました」と当時を振り返ります。(一社)東の食の会を中心に、岩手缶詰(株)と同社の3社が集まり、共同プロジェクトを始動させました。新しいサバ缶を生み出すためにさまざまな苦労があり、特に味付けにはこだわったとか。「これまで日本のサバ缶には水煮と味噌煮の2種類程度しかありませんでしたが、イワシのオイルサーディンをヒントにした洋風テイストの開発を進めました。そして誕生したのが最初のサヴァ缶である国産サバのオリーブオイル漬けです」

消費者に喜んでもらえるサバ缶を追求
「調味液のバランス調整やサバの生臭さが気にならないように工夫を凝らしながら、何度も何度も試作を重ねました。5種類の中でも特に試行錯誤してできたのがレモンバジル味です。開発開始から2年の年月をかけて発売に至りました」。商品開発を進める中で、味と香りには強いこだわりを持っていた3社。さらに、これまでのサバ缶のイメージと差別化を図るため、「雑貨のように部屋に飾ってもかわいらしく、店頭で圧倒的に目立つようなデザインにしてほしい」とデザイナーに発注し、ポップなパッケージデザインに仕上げることにもこだわりました。また、「独自の質感を出すために、印刷缶ではなくあえて紙ラベルを採用し、1缶ずつ手作業で巻いています」と教えてくれました。
商品名の「Ça va?(サヴァ?)」は、フランス語で「元気?」という意味。これには「私たちはおかげさまで元気です。みなさんもこれを食べて元気を出して!」という復興支援をしてくれた全国の消費者へのメッセージが込められているそうです。
さまざまな料理に使いやすいサバ缶を使った、暑い夏にもぴったりな家庭でできる簡単アレンジレシピです。

材料(2人前)

作り方
木綿豆腐はキッチンペーパーに包んで15分から20分重しをして水切りをします。ゴーヤーはスプーンで種を取り除いてから5ミリメートル幅に切り、塩を少々ふって混ぜ合わせ、5分ほどおきましょう。ゴーヤーの水分をキッチンペーパーで拭き取ります。
フライパンにごま油(大さじ1)を中火で熱し、1の豆腐を食べやすい大きさにちぎって加え、焼き色がつくまで炒めたら一度取り出します。

フライパンの中をキッチンペーパーで拭いてから、ごま油(大さじ1)を加えて中火で熱し、ゴーヤーを炒めます。8割ぐらい火が通ったら、サバの身(缶汁は使わない)を加えて木べらで粗めにほぐしながら炒めます。

2の豆腐を加え、溶き卵を加えて炒め合わせ、醤油、塩、黒こしょうで味を調えます。

豚肉の代わりにサバ缶を使うことによって、あっさりとした味わいに。カレー粉を入れるとまた違った味を楽しめます。
サバ缶ポイント !
サバの身をあまり細かくほぐしてしまうと、出来上がりの見た目が悪くなるので、ざっくり粗めにほぐしましょう!

材料(2人前)

(太さ約1.6ミリメートル)
作り方
ミディトマトは湯むきをしてから、8等分から12等分に切ります。
1と粗くほぐしたサバの身(缶汁は使わない)、にんにくすりおろし、ちぎったバジル、バルサミコ酢、オリーブ油、塩、黒こしょうをボウルに入れて軽く混ぜ合わせておきます。

沸騰したお湯に塩(適量)を入れて、スパゲッティーニを袋の表示時間通りに茹で、流水で粗熱を取ったら氷水で冷やします。

3をザルに入れて水気を切り、布巾に包んで水気を絞ります。

2に4を加えて氷水につけながら混ぜ合わせ、塩で味を調えます。

器に盛り、オリーブ油(分量外)を回しかけ、バジル(分量外)を散らせば出来上がりです。
食欲の出ない夏にもさっぱりと食べられます。パスタは素麺や細めのうどんにしてもOK !バジルを大葉やパクチーに代えると味もガラッと変わりますよ。
サバ缶ポイント !
水煮缶だけでなく、オリーブオイル漬けのサバ缶で作ってもおいしいです !
サバ以外にも水産物の缶詰はさまざまな種類が販売されています。その中でも、ちょっと珍しい水産物を使用したご当地缶詰3つを紹介します。
高級魚を缶詰で味わえる
「のどぐろ水煮」(島根県)

島根県のプライドフィッシュ(全漁連が定めた選定基準を満たす、地元漁師が自信をもって薦める魚介類)に認定されているノドグロ(正式名称:アカムツ)を使用したぜいたくな缶詰。身も骨も柔らかくなるまでじっくり煮込んだノドグロを控えめな塩味で味付けしています。そのままはもちろん、炊き込みご飯やパスタなどの料理にアレンジしてもおいしく食べられます。
海の香りとウニの風味を堪能
「うに缶」(福島県)

福島県いわき市の鮮魚と名産品の専門店が販売する、珍しいウニの缶詰。5月から8月のおいしい時期に獲れた三陸産ムラサキウニを新鮮なその日のうちに蒸し上げているので、しっとりふわふわの舌ざわりが絶品。そのまま食べてもムラサキウニ本来のおいしさを味わえますが、わさび醤油につけるとさらに甘さが際立ちます。
クロマグロの希少部位を缶詰に!
「まぐろへそ醤油煮」(和歌山県)

紀州で育った養殖クロマグロのへそ(心臓)を醤油煮にした缶詰。マグロ一匹から一つしか取れない希少な部位であるへそを、しょうがと醤油で煮ているので、クセや臭みがなく、ご飯のお供にも、お酒のおつまみにもぴったり。ムチッとした独特の食感がクセになります。
今回教えてくれたのは
栄養・レシピ監修者プロフィール
管理栄養士・JSA 認定シニアソムリエ
吉沼 弓美子 さん
イタリアに料理留学をしたのち、料理家として雑誌やテレビ番組制作に携わる。
イタリア料理教室Cucina del cielo 主宰

(PDF : 610KB)
編集後記
普段、何気なく手に取って買い物かごに入れている缶詰。今は、色使いや文字のデザインなどもよく考えられて、おしゃれなものがあるんですね。担当にとって缶詰といえば、あのくるくる回しながら開けるコンビーフ缶。味もさることながら指先のあの感触が好きで、子供の頃よく食べていたことを懐かしく思い出しました。(広報室SD)
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