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食を究めたスペシャリストが教えます 達人レシピ。

日本各地、旬の食材を提供する農家や漁師など、食のスペシャリストたちが、専門家だからこそ知っている秘伝のレシピを紹介。食材の味や、栄養を引き出し尽くす! 達人ならではのレシピをお見逃しなく!

第14回 わさび

写真:わさび

日本固有の香辛料であるわさび(水わさび、畑わさび)は、根茎(こんけい)部分をすりおろすと甘く清涼感のある辛味が生じるため、寿司や刺し身、蕎麦などの薬味として和食に欠かせない食材です。根茎部分は1年中収穫できますが、晩秋から冬にかけてゆっくり成長したわさびは、より辛味が楽しめます。江戸時代初期に静岡県静岡市葵区有東木(うとうぎ)地区で、渓谷一面に自生していたわさびを、「井戸頭」という湧水地に移植したのが、わさび栽培の始まりと伝えられています。

わさび栽培の達人

(株)わさびの門前 

白鳥 義彦さん(静岡県静岡市)

「このわさび田とわさびは先人の汗と努力の賜物」

写真:白鳥 義彦さん

2018年に国連食糧農業機関(FAO)から「静岡水わさびの伝統栽培」が“世界農業遺産”に認定されました。その際、約400年続くわさび農家の17代目である白鳥さんも認定式に出席したそうです。「わさびは非常にデリケートな植物で、低温と高温に弱く、常時水温15度前後の湧き水が大量に必要です。通年水温が変わらない湧水は、冬の寒さ、夏の暑さからわさびを守ってくれます。有東木では、『畳石(たたみいし)式』という特殊な棚田でわさびを栽培しています。畳石式とは、地盤を掘った上に、大きな石、小石、砂の順番に敷き、その上にわさびを植え、上段から湧き水を流した栽培方法。わさびの辛味成分には、他の植物の育成を阻害する効果があります。また、この辛味成分によって自家中毒を起こしてしまい、わさび自体もあまり大きくなることができません。しかし、畳石式は地中を流れる大量の水によって辛味成分が流されるので、おいしく大きなわさびができます。畳石式は19世紀後半に開発された築田法ですが、当時の技術で山の中まで大量の石を運ぶ作業は、本当に大変だったと思います。このように先祖が血のにじむような汗と努力によって残してくれた財産であるわさび田とわさびを、私も次の世代に残していきたいと思います」。険しい山と森に囲まれた有東木には、わさび栽培の他にも、国の民俗無形文化財に指定されている盆踊りやお神楽など、貴重な文化が多く残されています。

<外部リンク>http://www.wasabiya.net/

写真:収獲の様子
独特の辛味は効果いっぱい

わさびの辛味成分アリルイソチオシアネートには抗菌、抗虫作用があり、古くから食中毒予防に使われてきました。近年の研究では、根茎に含まれる香り成分6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-MSITC)には抗酸化作用やがん抑制作用、認知機能の向上、アレルギー軽減作用など多くの効果が期待できるとして注目を浴びています。チューブわさびで6-MSITCを摂取したいなら、本わさびを多く配合しているものを選びましょう。(監修:管理栄養士・国際中医薬膳師 清水 加奈子さん)

食のスペシャリストが教える! 達人レシピ"

  • 写真:わさびの茎を切る
    1

    わさびの茎を5ミリメートル幅の薄切りにします。

  • 写真:熱湯をかけ、水を切る
    2

    1をザルにあけ、熱湯をかけて、水分を絞ります。

  • 写真:密閉容器に入れる
    3

    密閉容器に入れ、30分ほどおきます。

  • 写真:わさびの茎、塩昆布、かつお節
    4

    粗熱が取れたら、塩昆布で和えて30分ほどおき、器によそってかつお節をかければ出来上がりです。

写真:白鳥 義彦さん

ここがポイント!

密封容器に入れることによって、揮発性のわさびの辛味成分を逃がすことなく、清涼な辛味のある味わいになります。

なくそう! 食品ロス

根茎は使用した箇所を良く洗ってから水気を拭き、ラップをして冷蔵庫の野菜室で保存すれば、1カ月から1カ月半はもちます。

また、すりおろしたわさびを棒状にしてラップに包み冷凍保存すれば、多少風味は劣りますが、長期保存できます。使いたい分だけ折って解凍して使用してください。

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