ご当地の郷土料理の魅力 ふるさと給食自慢
日本全国で提供されている学校給食のメニューの中から、その土地で親しまれている郷土料理や食材などを取り入れたものを紹介。その地域ならではの食の連載をお届けします。

第16回
香川県高松市の学校給食
あんもち雑煮

黒豆ごはん、あんもち雑煮、県魚ハマチのレモンソース、小松菜と県の特産野菜「さぬきな」の交配種「食べて菜」の磯香和え、小原紅早生みかんと個性豊かな献立が並びます。
正月のご馳走「あんもち雑煮」
(高松市立香川学校給食共同調理場)
北は瀬戸内海、南には讃岐山脈を望み、豊かな自然に囲まれている高松市。年間を通じて寒暖の差が小さく穏やかな気候で、全国的に見ても晴天率が高い地域です。同市の小中学校では、江戸時代から正月に食されている郷土料理「あんもち雑煮」が1月の献立に登場します。


香川県の伊吹島で獲れたカタクチイワシを加工した伊吹いりこをふんだんに使った濃いめの出汁に、輪切りやいちょう切りにしただいこん、金時にんじんを加えて煮ます。そこに冷凍のあん入り白玉を入れ、香川県の伝統的な味噌である白味噌を加えます。仕上げにねぎを散らせば完成です。


給食で提供される「あんもち雑煮」には、いくつかの工夫があります。本来、野菜は「家族が仲良く円満でありますように」「今年一年丸く収まりますように」といった願いを込めて輪切りにされますが、給食では均等に配膳するためにいちょう切りに。金時にんじんの細い部分のみを輪切りにして、料理に込められたその意味を伝えています。また、本来はお椀に1個入る程度の丸もちを使用しますが、溶けやすいため大量調理には不向き。そこで、調理と配膳のしやすさや食べやすさを考慮し、冷凍の小さいあん入り白玉で代用しています。


近年、あんもち雑煮を正月に食べる家庭が減少しています。そこで、県の伝統的な味を知ってほしいという想いから給食で出されるようになりました。今では給食でしか「あんもち雑煮」を味わう機会がない子ども達もいるそうです。そのため、給食時間の放送での郷土料理の説明や、料理教室での調理など、子ども達が「あんもち雑煮」を知る機会を設ける学校もあります。
香川県の郷土料理
「あんもち雑煮」とは?
あんもち雑煮の歴史
香川県では、江戸時代にさとうきびの栽培法や砂糖の製法の研究が始まり、試行錯誤の末、白砂糖製法を確立しました。当時、国内で生産されていた砂糖の3割が、同県で生産されるようになりました。しかし、生産した砂糖は幕府への献上品であり、庶民は食べることができない高級品でした。普段は食べられない砂糖を、せめて正月だけは味わいたいという願いから、甘いあんもちの入った雑煮が作られたといわれています。正月の特別なご馳走として長く愛されてきた郷土料理です。

白味噌とあんこが合う!
あんもち雑煮の実力

写真提供/一般財団法人かがわ県産品振興機構
もちが入っているので腹持ちが良く、米麹の割合が多い白味噌には美肌効果が。また、あんこと根菜には食物繊維が豊富に含まれています。(監修:管理栄養士・国際中医薬膳師 清水 加奈子さん)

「あんもち雑煮」は出汁と甘めの白味噌やあん入り白玉で独特の甘塩っぱくやさしい味わいになり、給食でも人気のある料理の一つ。中学3年生を対象に行う「好きだった給食アンケート調査」では、毎年汁物部門で1位になるそう。子ども達は郷土料理を味わいながら、香川県の歴史や風土を学ぶことができます。
全国給食牛乳コレクション
全国のほとんどの学校給食で毎日提供されている牛乳にも、地域によって違いがあります。子ども達に新鮮な牛乳を楽しんで飲んでもらえるように、どんな工夫があるのでしょうか。各地域で提供されているご当地牛乳を紹介します!
近畿編

兵庫県小野市に、工場とジャージー牛を飼育する牧場などを運営している(株)共進牧場。兵庫県内の約半数の学校に給食用の牛乳を提供しています。「共進3.5牛乳」は、牛乳特有の甘味やコクを感じられる成分無調整牛乳です。パッケージは当時の牛舎と現存する3本のメタセコイヤを背景に、のんびりと放牧されている乳牛が描かれています。約30年前から続くデザインとあって「昔、学校給食で飲んでいた」「親子二世代にわたって飲んでいます」といった声もいただくそうです。

芦生原生林や、由良川などの豊かな自然に恵まれた南丹市美山町。町内3軒の酪農家が育てる約100頭の乳牛から絞られた生乳のみを使用したのが「美山牛乳」です。牛乳の成分が熱で変化することを抑えるため85度で15分間の保持殺菌法を採用しているので、生乳本来の濃厚な風味と甘味が感じられます。美山牛乳のイメージカラーである白色と赤色を基調としたパッケージは、明るい色調で美山町の自然と牛乳の鮮度を表現。健康な乳牛から搾られた新鮮な牛乳を味わえるとして、地域の方々や観光客にも人気の牛乳です。
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