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農林水産省

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見直そう!豆のチカラ

3 今昔、豆の加工品。

大豆は加工して食べることが多く、バラエティ豊かな食品に姿を変えています。日々の食卓には、味噌、醤油、納豆、豆腐がならび、ほぼ毎日大豆食品が食べられています。伝統的な大豆の加工品から、近年、代替肉として注目を集めている大豆ミートまで、大豆の加工品にまつわるさまざまな話を紹介します。

写真:大豆、味噌、醤油

日本人の食生活を支える味噌と醤油

大豆を発酵させて作る味噌と醤油は、世界に誇る日本の代表的な調味料です。一説によるとそのルーツは古代中国の「醤(ひしお)」にあるとされ、日本に伝来したのち先人たちの創意工夫により、現在の味噌、醤油へと独自の進化を遂げたといわれています。日本の台所には欠かせない味噌と醤油の歴史や種類、特徴などを改めて見直してみましょう。

味噌の基礎知識

「味噌」は蒸した大豆をつぶし、麹菌と塩、種水を混ぜ合わせ発酵させた調味料です。中国から日本に醤が渡来したのは飛鳥時代といわれています。当初は高級品として、身分の高い人たちが愛用する調味料でした。その後、戦国時代には保存ができ栄養価の高さから兵糧として重宝され、大名たちは領地内で味噌づくりに力を入れました。江戸時代になると身分に関係なく味噌が食べられるようになりました。

味噌は発酵することでアミノ酸やビタミン類が増加し、大豆には本来含まれない酵母や乳酸菌なども摂取できます。「味噌は医者いらず」ということわざがあるほど、今も昔も優秀な健康食品です。

日本全国おらが味噌

味噌づくりは全国各地で行われ、土地ごとの気候風土や麹菌を付ける穀物の種類、原料の配分、熟成期間の違いで色や風味、味わいなどが異なる特徴ある味噌が生まれています。また、味噌は麹菌を付ける原料により「米味噌」「麦味噌」「豆味噌」の3種類、味により「辛口」「甘口」「甘」、色により「赤」「白」「淡色」に大きく分類されます。

一番多く食べられている「米味噌

麹菌を米に付け発酵させた米麹と、大豆を混ぜ発酵醸成させた味噌で種類も多く、色も味もさまざま。全国各地で生産されていますが、主に北関東から東北、北海道地方では赤褐色、長野県、北陸、中国地方の日本海側は淡色の辛口米味噌が生産されています。日本で生産される味噌の約8割は米味噌。白味噌も米味噌の一種です。

主として九州地方で作られる「麦味噌

大麦とはだか麦を使った麹で、大豆に対する麹の割合が多いのが特徴です。主な産地は、九州地方と中国、四国地方の一部地域ですが、関東北部でも作られています。関東の麦味噌は麹が少なく長期間熟成を経た辛口で赤色、生産量が一番多い九州地方のものは比較的熟成期間が短く、甘口で淡色です。赤色のものも生産されています。

気候にあわせた技法で作られる「豆味噌

豆味噌が作られているのは主に愛知県、三重県、岐阜県。この地域は夏場に高温多湿になり、米麹や麦麹を使った味噌では酸敗(脂肪類が酸化してすっぱくなること)が起こりやすいため、味噌玉(蒸した大豆を球状にしたもの)に直接麹菌を付け塩と混ぜて仕込む、という技法でつくられるようになりました。

2種類以上の味噌、
複数の麹を使用して醸造
調合味噌

米味噌と豆味噌、米味噌と麦味噌など異なる2種類以上の味噌を合わせたり、複数の種類の麹を合わせて醸造したりした味噌を調合味噌とよびます。

種類別日本全国味噌MAP

図:種類別日本全国味噌MAP。愛知・岐阜・三重:豆味噌圏。九州・山口・愛媛:麦味噌圏。それ以外:米味噌圏。
写真:津軽味噌(青森県)

津軽味噌(青森県)

長期熟成タイプの赤色辛口味噌。米麹の割合が低く塩分が高め。熟成期間が長いため、独特のうま味がある。

写真:仙台味噌(宮城県)

仙台味噌(宮城県)

米味噌の代表格。麹歩合が比較的低く、塩味とうま味の均衡が取れた赤色辛口味噌。

写真:越後味噌(新潟県)

越後味噌(新潟県)

味噌汁にしたときに麹粒が浮く「浮き麹」が特徴。麹粒を残すため精白した丸米を使う。

写真:信州味噌(長野県)

信州味噌(長野県)

淡色で辛口で若干酸味のある芳香が特徴。長野県だけでなく全国で生産されている。

写真:江戸甘味噌(東京都)

江戸甘味噌(東京都)

十分な米麹を使い濃厚な甘味と光沢、独特の香りがある味噌に仕上げる。色は赤褐色。

写真:東海豆味噌(愛知県、三重県、岐阜県)

東海豆味噌(愛知県、三重県、岐阜県)

中京地方の豆味噌の総称。熟成期間は約3年と長く、特徴的な香りと濃厚なうま味がある。

写真:関西白味噌(関西地方)

関西白味噌(関西地方)

脱皮した大豆と精米度の高い米を使用、米麹の割合が多い短期熟成型の味噌。

写真:讃岐味噌(香川県)

讃岐味噌(香川県)

コクのある風味とさっぱりした甘味が特徴で、関西白味噌と広島県の府中味噌と並ぶ代表的な白味噌。

写真:せとうち麦味噌(愛媛県、山口県、広島県)

せとうち麦味噌(愛媛県、山口県、広島県)

麦麹を多めに使う愛媛県の麦味噌は、さっぱりとした甘味と豊かな麦の香りが特徴。

写真:九州麦味噌(九州地方)

九州麦味噌(九州地方)

麦麹の割合が高く味は甘口が多いが、九州北部では辛口も作られる。色は赤褐色と淡色がある。

写真提供:みそ健康づくり委員会ホームページより抜粋

味噌Q&A

知っているようで知らない味噌の素朴な疑問にお答えします。

Q

なめ味噌とはどんな味噌ですか?

A

調味料としての味噌ではなく、そのまま副食として食べる味噌。大豆、小麦、大麦、裸麦、米で麹を造り、それに食塩などを入れ発酵させた「醸造なめ味噌」(金山寺味噌など)と、通常の味噌をベースにして作る「加工なめ味噌」(ピーナッツ味噌、ゆず味噌、鯛味噌など)があります。

Q

味噌には賞味期限がありますか?

A

一般的に麹の使用量(麹歩合)の多いものや塩分量が少ないものほど賞味期限は短く、麹の使用量が少なく食塩含有量が多めで、熟成期間が長いものや豆味噌などは、賞味期限は長くなります。全国味噌工業協同組合連合会ではひとつの目安として、常温の場合、米味噌の甘口は3カ月から6カ月、米味噌の辛口、麦味噌、調合味噌で3カ月から12カ月、豆味噌は6カ月から12カ月という範囲が適当であるとしています。

今回教えてくれたのは

監修者プロフィール

みそ健康づくり委員会

みそ健康づくり委員会は全国味噌工業協同組合連合会が、すぐれた健康食品である味噌を健康増進に役立ててもらえるように設立した組織です。味噌に関するさまざまな活動を展開しています。

<外部リンク>http://miso.or.jp/

醤油の基礎知識

醤油は蒸した大豆と炒って砕いた小麦に、麹菌をまぶしてしょうゆ麹を造り、それに食塩水を混ぜて仕込みます。約6カ月間かけ発酵熟成させて造った、もろみを絞った液体に通常は「火入れ」をして完成です。醤油は鎌倉時代の僧侶が味噌づくりの際に桶の底にたまった液体を、調味料として使ったことがルーツといわれています。室町時代半ばに現在の醤油のような形になり、江戸時代には、各地に醤油製造業が興りました。

醤油バリエーション

和食に欠かせない醤油は、原料の割合や仕込み方、熟成期間の長さにより味や香り、色などに違いが出てきます。また、地域ごとの嗜好や醸造の歴史が数多くの個性豊かな醤油を育んでいます。醤油の種類は日本農林規格(JAS)によって、こいくち、うすくち、たまり・さいしこみ・しろの5つに分類されています。なかでも、日本全国の出荷量の80パーセント以上を濃口醤油が占めています。

醤油の種類とオススメの商品を「職人醤油」代表の高橋万太郎さんに伺いました。

濃口醤油(こいくちしょうゆ)

関東を中心に作られていましたが、今では全国で一番使われている一般的な醤油、味のバランスに優れています。調理用、卓上用どちらにも使える万能調味料です。

濃口醤油(こいくちしょうゆ)

百寿 (石孫本店)

昔ながらの作り方を守り続けている蔵元。どんな素材にも合う万能タイプで、独特の香りが特徴。
おすすめの使い方:じゃがバター、酢醤油で餃子に

淡口醤油(うすくちしょうゆ)

関西生まれの淡い色の醤油で、醤油生産量の約12パーセントを占めています。塩味は強いけれど、色や香りを抑えた醤油です。素材の色を美しく仕上げる調理によく使われます。

淡口醤油(うすくちしょうゆ)

淡紫(末廣醤油)

塩分控えめの特製うすくちかけ醤油。淡口醤油の老舗が、たっぷりの米麹を使用し淡口特有の塩辛さをまろやかな味わいに。
おすすめの使い方:白身の刺身、豆腐

溜醤油(たまりしょうゆ)

主に中部地方で造られる色の濃い醤油です。とろみと、濃厚なうま味、独特な香りが特徴。寿司、刺身などの味を引き立てるほか、加熱するときれいな赤みが出ます。

溜醤油(たまりしょうゆ)

つれそい(南蔵商店)

濃いだけでなく、濃厚な赤褐色で美しさも感じる溜。原料は大豆と塩だけでうま味の凝縮は他の溜と比較しても高いレベルです。
おすすめの使い方:マグロの刺身、厚揚げ焼き

再仕込醤油(さいしこみしょうゆ)

他の醤油は麹を食塩水で仕込むのに対し、生揚げ醤油(加熱未処理の醤油)で仕込むため「再仕込」と呼ばれています。濃厚な風味です。

再仕込醤油(さいしこみしょうゆ)

手造り醤油かけ二段仕込み熟成三年 (岡本醤油醸造場)

再仕込み醤油の入門編としておすすめ。全量が木桶仕込みという珍しい蔵元です。3年熟成もクセがなく使いやすい醤油。
おすすめの使い方:焼うどん、刺身やとんかつ、フライのソース代わりに

白醤油(しろしょうゆ)

愛知県で生まれた、淡口醤油よりさらに淡い琥珀色の醤油です。味は淡白ながら甘味が強く、独特の香りがあります。

白醤油(しろしょうゆ)

有機白醤油(七福醸造)

有機JAS認定の白醤油。有機の小麦、大豆を主原料に、機械圧搾でなく自然抽出の白醤油は、ほのかな甘味に上品な塩味。
おすすめの使い方:出汁巻き卵、卵かけご飯

醤油Q&A

身近な食材の醤油に関する疑問にお答えします。

Q

日本国内で醤油はどのくらい出荷されているのですか?

A

日本全国の醤油メーカーが生産して出荷した醤油は家庭用、外食産業用、加工食品の原料用を含め約75万キロリットル(2019年)になります。この量は家庭で一般的に使用されている、1リットルパックで約7.5億本分になります。国民1人当たりだと、年間で約6本の醤油を使用していることになります。

Q

醤油を開栓して時間が経つと、色が濃くなるのはなぜですか?

A

醤油の中のアミノ酸と糖は、酸化により色が濃くなるという性質のメラノイジンという物質を作ります。開封して空気に触れると酸化現象を起こし、醤油の色を濃くするのです。この現象は、温度が高くなるとさらに進み、色が濃くなると同時に風味も落ち、品質も劣化します。醤油は温度の低い日の当たらない場所に保存しましょう。

今回教えてくれたのは

監修者プロフィール

職人醤油

高橋 万太郎さん

1980年群馬県生まれ。立命館大学卒業後、(株)キーエンスにて精密光学機器の営業に従事。現在は、蔵元仕込みの醤油を100ミリリットルの小瓶で販売する「職人醤油」を運営。訪問した醤油蔵は400以上。主な著書は『にっぽん醤油蔵めぐり』(東海教育研究所)ほか。

<外部リンク>https://www.s-shoyu.com/

写真:高橋 万太郎さん

しょうゆ情報センター

全国約1,200社の醤油醸造企業が参加する「醤油PR協議会」の情報発信機関。PR活動やメディア媒体のパブリシティを通して、一般消費者への醤油の情報の拡大を図っている。

<外部リンク>https://www.soysauce.or.jp/

大豆の加工品

大豆の加工品は大きく大豆油用と食品用に分けられます。世界的に見ると東アジア以外では大豆は主に油の原料で、食品用としての利用はわずかです。一方、日本では大豆は『古事記』や『日本書紀』に五穀のひとつとして記されるほど、古くから身近な食用作物で、肉を食する習慣があまりない時代には貴重なたんぱく源でもありました。大豆は現在にいたるまで多様な食品や調味料に加工されており、毎日の食事に大豆の加工品が見当たらない日はないほど、日本人の食生活に浸透しています。

おなじみの大豆の加工品

大豆の加工品には大豆を発酵させた食品と、発酵を伴わない食品があります。発酵させた食品の代表は毎日使う味噌、醤油や納豆。発酵を伴わない食品は豆腐やがんもどき、油揚げなど豆腐の加工品、きな粉、煎り豆、豆乳、ゆばなどがあります。いずれもどこでも手軽に入手できるおなじみの食品ばかりです。

今話題を集める大豆の加工品

近年、話題を集めているのは脱脂大豆から、食品用に分離したたんぱく質を原料として製造した代替肉、大豆ミートです。味や食感も年々向上しており、国内の食品メーカーが注目しています。また、クリームやチーズ、バターなど意外な食品の原料としても、大豆が使われています。

おから・豆乳・豆腐をパン・お菓子に

(株)おとうふ工房いしかわ

豆腐製造過程で排出するおからは、栄養価も高く食物繊維やたんぱく質が豊富。しかし大半は廃棄物として処理されていました。おとうふ工房いしかわでは食材としておからの再利用に注目、新たな商品を生み出しています。

おからパン

おからと北海道産小麦「ゆめちから」をブレンドし、練乳を加えコクのある甘さをプラス、国産大豆の自家製豆乳を使用した食パン。

写真:おからパン

とうふドーナツ

国産大豆100パーセントの絹豆腐をたっぷりと練り込み、国産小麦を加えたドーナツ。おからを使用したドーナツもあります。素朴でふんわり、しっとりとした食感。

写真:とうふドーナツ

国産丸大豆を使用した「ミラクルミート」

DAIZ(ダイズ)(株)

DAIZでは30年以上にわたる発芽大豆の研究の中で、成分組成が肉に似ていることを発見、また、発芽大豆を使うことで味と食感、大豆特有の青臭さや油臭さなどこれまでの課題を解決した植物肉「ミラクルミート」を開発、実用化しています。

大豆ミートのタコス

従来の植物肉は脱脂加工大豆が主原料。「ミラクルミート」は原料に丸大豆を使用しています。また、エクストルーダーという機械にかけることで肉のような食感を再現、まさに挽き肉のようです。

写真:大豆ミートのタコス

大豆ミートの唐揚げ

発芽時の諸条件を変えることで大豆に含まれるアミノ酸バランスが変化します。鶏肉に特徴的なグルタミン酸などを増加させる栽培方法を採用することで、味、弾力、食感が鶏肉風に。

写真:大豆ミートの唐揚げ

THE GOOD BURGER シリーズ

バーガーカフェ「FRESHNESS BURGER」では、「ミラクルミート」の大豆パテを使用した商品を展開中。ヘルシーな「大豆ミート」を使い、かつ食べ応えもあると話題を集めています。

写真:THE GOOD BURGER シリーズ

編集後記

「鬼滅の刃」ブームがまだ収まりそうにありません。きっと、今年の豆撒きは盛り上がるでしょうね。我が家では小学生の兄妹が、難しい単語や漢字の混じった文章を読み書きできるようになり、鬼滅さまさまです。全然関係ありませんが、農林水産省の建物の鬼門(北東)には、法務省があります。。。。おっと誰かが来たようだ。(広報室YT)

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