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農林水産省

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  • aff08 AUGUST 2021
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大学農系学部に潜入! 発掘! 凄モノ情報局

大学の農系学部が研究・開発した製品と、その製品化までの道のりを紹介します。

第5回

伝統色“藍色”を生み出す阿波藍

四国大学が見出した藍の食用としての可能性

低カリウムを実現した島根大学の「しまね夢メロン」

東京オリンピック・パラリンピックのイメージカラーのひとつとしても選ばれた藍色。深く神秘的なブルーは “JAPAN BLUE”とも称され、海外でも広く知られています。そんな日本の伝統色のひとつである藍色は、その名の通り藍の葉から染料が作られていますが、実はその収穫の大半を徳島県が占めていることをご存知でしょうか?
徳島県で栽培された藍の乾燥葉を発酵させて作る染料 “すくも”は“阿波藍”と呼ばれ、今日まで徳島県の伝統文化と産業において重要な役割をはたしてきました。しかし化学染料の台頭により、その生産は年々減少傾向に。
そこで2017年にスタートしたのが、四国大学の「SUBARU事業」です。阿波藍の新たな価値を創造するための研究ブランディング事業であり、その活動の一環として、藍を使用した食品を開発する“食藍”の研究が行われています。
今回は、食用としての藍の知られざる可能性に迫ります。

「藍商人は病気知らず」は本当だった!?

藍染の染料としてのイメージが強い藍ですが、実は、かつては漢方のように利用されていた歴史があるといいます。藍には解熱、解毒、食あたりなどに効果があると信じられていたそうで、体に不調を感じると藍を摂取していたのだとか。そのため、徳島県には古くから「藍商人は病気知らず」という言葉が伝えられています。しかし、その効能については、これまで科学的な検証がされているわけではありませんでした。
そこで、阿波藍の付加価値を高めるために、四国大学の近藤教授は藍の機能性に着目し、食用としての藍の研究に着手しました。

藍の葉が生活習慣病の予防に

近藤教授はまず、藍の食品としての安全性を確認するため、モデルラットをオスとメスそれぞれ用意し、さらに飼料に藍の葉を5パーセント添加した高用量群、藍の葉を1パーセント添加した低用量群の2グループに分けて、26週間様子を観察しました。すると、飼育期間中は全てのラットが死亡することなく、臓器の肥大や蓄積も確認されませんでした。
さらに、Ames試験の結果から発癌性がないことが認められたといいます。

機能性については、II型糖尿病モデルラットの雄に、1パーセントタデアイ添加食と普通食(タデアイを含まないエサ)を6週間与え、体重や血液成分の変化を観察する実験を実施。すると、1パーセントタデアイ添加食を投与したラットでは、普通食に比べて、体重は70グラム減少し、血糖値は20パーセント低下したことが確認されました。

以上の研究により、藍の機能性と安全性を科学的に立証できたことから、近藤教授は藍に糖尿病をはじめとした生活習慣病を予防する機能性表示食品としての可能性を見出します。さらに、2020年7月には厚生労働省から藍の葉と茎を食用として利用することが認可され、“食藍”の製品化までの道のりがより現実的なものとなりました。

茎には葉と異なる機能性が

タデアイの葉の機能性を証明することに成功した近藤教授は、これまで廃棄されていた茎の部分を新たな研究対象とし、さらなる機能性を探る実験を2020年から進めています。 茎にはとても多くの繊維が含まれており、ラットに茎を食べさせたところ、腸内に多様な菌がいることが確認されました。そのため、茎には腸内細菌叢を改善するプロバイオティクス効果があるのではないかと推察されています。

学生の声!

四国大学大学院
人間生活科学研究科 人間生活科学専攻1年
栄養学研究室

島田 航太さん

藍の葉に機能性が認められたように、茎も機能性を持つ可能性は十分あり得ます。現在はまだ研究段階ですが、茎の機能性も科学的に証明できれば、阿波藍の価値を高めることにさらに貢献できるはずです。今後は地元・徳島県から食としての藍を広め、多くの人の健康に役立てていきたいと思っています。

どう食べる? 阿波藍レシピ公開!

食用としての歴史が浅い藍は、まだまだ未知の食材。その知られざる特徴やユニークなレシピを紹介します。

タデアイの葉にはポリフェノールの一種であるタンニンが含まれています。お茶に含まれているタンニンと同様の成分で、これにより、えぐみや渋みを感じます。

藍と聞くと、藍染のブルーを思い浮かべる人が多いと思いますが、“食藍”では藍の葉そのものを利用するため、葉を加工した料理やお菓子は緑色に染まります。

“食藍”レシピ第1号はパウンドケーキ

近藤教授が所属する生活科学部管理栄養士養成課程では、学科行事として、大学祭で3年生が主体となってパウンドケーキを製作して販売するというイベントが50年以上続いています。そこで、藍を使用した最初のレシピ提案として、藍葉入りのパウンドケーキが製作されることになりました。
しかし、藍葉パウダーのみを材料に混ぜてパウンドケーキを作ったところ、「時間を置くと藍の葉特有の香り(草の香り)が気になる」との声が。そこで、いくつかの副材料を入れたレシピを製作し、学生や教員、市民の方々に試食を実施。そして、最も人気の高かった「オレンジピール入り藍葉パウンドケーキ」が、大学祭で販売するレシピに決定しました。

レシピ(パウンドケーキ1本分)

  • (主材料)
  • 薄力粉
    100グラム
  • 砂糖
    100グラム
  • 2個
  • バター
    120グラム
  • 藍パウダー
    2.5グラム
  • ベーキングパウダー
    3グラム
  • (副材料)
  • アーモンド
    60グラム
  • くるみ
    50グラム
  • オレンジピール
    40グラム

このパウンドケーキの試作の後、ニョッキやクッキー、天ぷら、パスタなど、藍を使用したさまざまなレシピが考案されました。

健康おやつの藍葉クッキー。

もっちり食感が楽しい藍葉ニョッキ。

そばとの相性が抜群な藍葉天ぷら。

藍葉をジェノベーゼパスタ風にアレンジ。

今後の目標

藍の葉は収穫するとすぐに萎れてしまうため、野菜のように葉そのものを市場に流通させるのは難しいという点があるそうです。そのため、今後は藍の機能性成分をたっぷりと凝縮したサプリメントとしての普及を目指して研究を進めていきたいと近藤教授は語ります。

画像:

四国大学

徳島県徳島市応神町古川字戎子野123-1
088-665-1300(代表)

https://www.shikoku-u.ac.jp/

今回 教えてくれたのは

四国大学 生活科学部 管理栄養士養成課程
近藤 真紀 教授

2001年から四国大学生活科学部教授に就任。2016年から阿波藍の機能性成分に関する研究に従事。徳島県の特産品のひとつである藍の機能性を発見することで、染色以外での用途で広く活用することを可能とし、地域活性化に貢献することを目指す。

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大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
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