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農林水産省

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  • aff10 OCTOBER 2021
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大学農系学部に潜入! 発掘! 凄モノ情報局

大学の農系学部が研究・開発した製品と、その製品化までの道のりを紹介します。

第9回

米の新たな可能性に迫る!

秋⽥県⽴⼤学が開発した新品種米

画像:稲

私たち日本人の食卓に欠かすことのできない米。主食用米(白米・玄米)、加工用米(味噌や米菓向けなど)、酒米など、様々な用途に応じた需要がありますが、そこに、健康に配慮した「機能性米」という新たな需要を生み出そうと研究に取り組んでいるのが秋田県立大学です。
同大学は、レジスタントスターチ(難消化性デンプン)を多く含む米「まんぷくすらり」を開発しました。この「まんぷくすらり」は生活習慣病の予防に役立つことが期待できると同大学の藤田直子教授は語ります。

レジスタントスターチが
従来の米より豊富に

もともと、デンプンがイネの中でどのように作られるのかという研究を行なっていた藤田教授は、研究を進めるなかで、ある酵素が欠けたイネにはレジスタントスターチが多く含まれていることを発見しました。レジスタントスターチには食物繊維と似た働きがあることから、藤田教授らの研究チームは機能性米の開発への可能性を見出します。そして品種改良などを重ね、通常の米の約10倍のレジスタントスターチを含むジャポニカ米「まんぷくすらり」の開発に成功します。

画像:まんぷくすらり

「まんぷくすらり」を
美味しく食べるには?

画像:パエリア

「まんぷくすらり」は、デンプン構造が一般の米とは異なるという性質上、どうしても食感が硬くなり、食味が落ちるというデメリットがあります。そのため、私たちが普段口にする米と同じ感覚で食べるのには向かないため、まずは通常の米やもち米と混ぜて少量から試すのがおすすめとのこと。
藤田教授が提案するレシピは、もち米と半々にした炊き込みご飯です。根菜類などカリカリとした食感の具材を混ぜることで、「まんぷくすらり」の硬さが気にならなくなり、美味しく食べられるといいます。また、パエリアなどでは「まんぷくすらり」100パーセントでもおいしく食べることができます。

機能性米の加工品開発を
米需要拡大の第一歩に

「まんぷくすらり」には、収量が高く、日本全国で栽培ができる(栽培適地は秋田県)という特徴もあります。栽培方法が従来の米とほとんど変わらないため、生産者は新たに農機具を揃える必要はなく、通常の稲作と並行して「まんぷくすらり」を栽培することができます。
このようなメリットを踏まえ、将来的に機能性米を加工した米製品を輸出することができるようになれば、日本の米需要の拡大につながるのではないかと藤田教授はいいます。
その第一歩として、秋田県立大学発のベンチャー企業(株)スターチテックが地元企業とともに開発したのが、「カラダ想いのきりたんぽ」と「天然醸造味噌」です。

「カラダ想いのきりたんぽ」

画像:「カラダ想いのきりたんぽ」
画像:きりたんぽ鍋

(有)タンポヤ林の協力を得て開発した「まんぷくすらり」を使用した秋田県の郷土料理きりたんぽ。「まんぷくすらり」の米粉に水を加えて加熱して作る「米粉ゲル」をあきたこまちに混ぜることで、食感の硬さを解消し、通常のきりたんぽと遜色のない食感を実現しました。鍋はもちろん、夏は焼いたきりたんぽをレトルトカレーにつけて食べるのもおすすめです。

「天然醸造味噌」

画像:「天然醸造味噌」

「まんぷくすらり」の栽培を委託している湯沢市内の企業(有)カンパーニャ・アグリとともに開発した、昔ながらの手作り味噌。「まんぷくすらり」の精米を使用しているので、レジスタントスターチが豊富に含まれていますが、味や食感は一般的な味噌と変わりません。

米粉ゲルに秘められた
可能性

米粉ゲル

先述したように、「まんぷくすらり」はそのままだと食感が硬いため、米製品にするにはそれを感じさせないように加工する必要がありました。そして、幾度かの試行錯誤を経て藤田教授が発見したのが、米粉に水を加えて加熱して作る「米粉ゲル」を利用する方法です。
米粉ゲルは「カラダ想いのきりたんぽ」にも使用しており応用性が高く、今後様々な商品展開が期待できると藤田教授はいいます。
米菓への加工はもちろん、例えばハンバーグなど、様々な食品に米粉ゲルを混ぜることで、より簡単にレジスタントスターチを摂取することができるようになります。

学生の声!

プロフィール画像

秋田県立大学
生物資源科学研究科 博士前期課程1年
植物生理研究室

鈴木 直人 さん

私の所属する研究室では、米のデンプンについて研究しています。現在は、大学院の修士課程に進学し、卒業研究のテーマである「未分解デンプンのゲル濾過」を発展させながら、研究を行っています。将来的には、デンプンの性質に関わる全ての情報を、米ごとにまとめてデータベース化することで、デンプンを扱う食品企業などに対して、商品開発のヒントとなるような情報を提供できればと考えています。
研究を通して、動かなければ何も始まらないことを学びました。考えているだけでは、研究は進みません。また、研究においては予想していた結果とは異なる結果が得られることも多いので、失敗を恐れずさらに励みたいと考えています。

今後の研究について

画像:観察中の藤田教授

現在、藤田教授が率いる研究チームは、機能性表示食品として登録ができる商品開発を目指しています。そのためには、加工しても機能性に関する成分値を維持することができる米が必要となるため、「まんぷくすらり」よりもさらに多くのレジスタントスターチを含む米を開発中とのこと。
また、農業の発展に貢献するためにも、「生産者の確保はもちろん、加工や販売のルートを確立し、日本の稲作ビジネスにムーブメントを起こすきっかけとなるような研究開発を行っていきたいですね」と藤田教授は語ります。

画像:大学外観

秋田県立大学

秋田県秋田市下新城中野街道端西241-438

https://www.akita-pu.ac.jp/

今回 教えてくれたのは・・・

プロフィール画像

秋田県立大学
生物資源科学研究科 生物生産科学科

藤田直子 教授

1999年から秋田県立大学生物資源科学部助手として着任。2015年から同学部教授に就任。イネを使った澱粉生合成メカニズムを研究。2010年頃から、機能性や食感が異なる新品種米を育成。2019年に大学発ベンチャー(株)スターチテックを設立し、2020年に高レジスタントスターチ米「まんぷくすらり」の販売を開始。

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大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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