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aff 2022 AUGUST 8月号
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もっと食べたくなるトマト 国産トマトの魅力を広げるトマト加工品

もっと食べたくなるトマト 国産トマトの魅力を広げるトマト加工品

トマトジュースを筆頭に、ピューレーやケチャップなど、トマトを原材料とする加工品にはさまざまなものがあります。今回は、素材の特徴を活かした国産トマトの加工品を紹介します。

トマト加工品で
町おこし

埼玉県北本市 北本トマトカレー

recomend 教えてくれた人|北本市観光協会事務局長 小松政毅さん

北本トマトカレー。同カレーの定義は「ライスをトマトで赤くすること」、「ルーにトマトを使用すること」、「トッピングにトマトを使用すること」の3カ条に則っていること。

ご当地グルメ大会出品が
きっかけで誕生

現在の埼玉県北本市西部にあたる石戸村は、1925年からトマトの栽培を始めました。やがてここから出荷されるトマトやトマト加工品は「石戸トマト」の名で全国に知られるようになりました。以来、トマトは北本市の代表的な特産品で、そんな背景から生まれたのが「北本トマトカレー」です。

きっかけは、2011年の「第9回埼玉B級ご当地グルメ王決定戦inきたもと」に出品するために開催したグルメ開発コンテスト。24レシピの中から北本トマトカレーが最優秀となり、「真っ赤な誘惑北本トマトカレー」として埼玉B級ご当地グルメ王決定戦に出品されると、そこでも見事優勝を果たしました。

北本トマト。北本市域では大正時代からトマト栽培の歴史があり、現在でも桃太郎などを中心に、桃色系大玉品種の栽培が盛んです。

2012年から参加している「よこすかカレーフェスティバル」。「全国ご当地カレーグランプリ」には毎回出場し、2014年、2019年にグランプリを受賞しています。

レトルトカレーは
累計50万食の大ヒット

その後は各地のグルメイベントなどに参加し、2014年に神奈川県横須賀市で行われた「全国ご当地カレーグランプリ」でグランプリを受賞したことでさらに知名度は向上。この優勝オリジナルレシピを忠実に再現したレトルトカレーは累計50万食の大ヒット商品となっています。「発売当初はじわじわと売れていたのですが、全国に知られるようになったためか、3年ほど前からは年間10万食出るようになりました」と語る、北本市観光協会事務局長の小松政毅さん。

現在は地域活性化を目的に、飲食店や家庭への普及を進めている北本トマトカレー。市内外の飲食店など15店舗では、それぞれ店の特色を活かしたオリジナルの北本トマトカレーを楽しむことができます。「また今後は北本市内でカレーのイベントを開催したいですね。北本トマトカレーだけでなく、市外のご当地カレーに取り組む方も一緒になってみんなで盛り上げていきたいです」

2014年から販売されているレトルトカレー「日本一の北本トマトカレー」。キーマタイプのカレーはパスタやパンとの相性も抜群。

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北本トマトのブランド化を図るために生まれたイメージキャラクター「とまちゃん」。

長崎県東彼杵郡川棚町 「いろはにとまと」
プロジェクト

recomend 教えてくれた人|川棚町役場 延山幸子さん

「小串トマト鉄板オムライス」が食べられるキッチンカー「スマイルトマト号」と、BUCO caféの「小串トマトクリン」

濃厚トマトピューレーを使った
オリジナルメニュー

「トマトの町」として知られる長崎県東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)川棚町では、2021年8月から同町の特産品である「小串トマト」を使った町おこしプロジェクト「いろはにとまと」を展開しています。町内の店を中心に、飲食店が小串トマトからつくったトマトピューレーを活用したメニューを考案。現在13店舗でそれぞれ趣向を凝らした料理を楽しむことができます。

小串トマトは、果物並みの糖度が特長のフルーツトマト。流通量が少なく、すぐ売り切れてしまうため、飲食店での取り扱いは困難でした。しかし同町観光協会から新商品開発を打診されていた佐世保市の菓子店「草加家」の高木龍男社長は、比較的安価な規格外品を用いて加工品をつくることを思いつき、濃厚なピューレーを開発。それを機にプロジェクトがスタートしました。

「今後は認知度を上げるために、さまざまなイベントを開催したいです」と語る、川棚町役場の延山幸子さん。まずは今年の秋に町内の方々を対象にしたイベントを行った後、毎年1回イベントを開催していくそうです。「お客さまには生のトマトもぜひ食べていただきたいので、小串トマトの出荷時期である1月下旬から6月上旬ごろにできたらよいですね。そうして“トマトの町”の知名度を上げていきたいです」

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小串トマト。選果場の糖度センサーにより、糖度が8度以上のものが化粧箱入りのプレミアムトマトとして出荷されています。

草加家の「小串トマトの濃厚150% ピューレ『OGUSHI』」。JAながさき県央の直売所「グリーン東彼新鮮市場」ではピューレー単体でも販売しています。

トマト加工品の種類 トマト加工品の種類

生のトマトは日持ちしませんが、加工品にすることで長く保存できるようになります。トマト加工品には上のようにさまざまな種類がありますが、主な加工品の呼び方や分類は日本では日本農林規格 (JAS)で定められています。トマトジュースには、収穫したトマトから直接つくられる「ストレート」と、トマト果汁の水分をとばすことでできる濃縮トマトに水を加え、搾汁状態に戻してつくられる「濃縮還元」の2種類があります。濃縮トマトのうち、無塩可溶性固形分(液の中に溶けている固形成分から食塩分を除いたもの)が24パーセント未満のものをトマトピューレー、24パーセント以上のものをトマトペーストと呼びます(共に、トマト固有の香味を変えない程度に少量の食塩や香辛料などを加えたものも含みます)。また濃縮トマトを調味したもののうち、可溶性固形分が25パーセント以上のものをトマトケチャップ、8パーセント以上25パーセント未満のものをトマトソースと呼びます。

全国のトマト加工品

Tomato Juice トマトジュース

カゴメ カゴメトマトジュース
プレミアム
食塩無添加

2014年から毎年夏に数量限定で発売されているストレートトマトジュース。契約農家が丁寧に育てた旬のとれたてトマトを使っていて、生トマトをかじったようなおいしさが特長です。

開発コンセプト

カゴメは、加工用トマトの国内産地拡大を通して、おいしさを追求した商品の需要創造と共に、日本の農業への貢献を目指しています。
「カゴメトマトジュースプレミアム」は、カゴメ独自の「とれたてストレート製法®」により、旬の国産トマトのみずみずしさを最大限活かしたこだわりのトマトジュースです。

─ カゴメ(株)飲料企画部 山口貴之さん

ファームケイ ジュエリー
トマトジュースset

滋賀県の琵琶湖東にある農園「ファームケイ」のトマトジュース。栽培中のイタリア原産ミニトマト8種から5種類をジュースにしており、それぞれの個性が楽しめます。

開発コンセプト

クレヨンみたいにいろいろな色が揃ったジュースがあったらいいなというのが出発点。当初はトマト以外にブドウやオレンジなどの果物も使うつもりでしたが、価格が高くなってしまうために断念。そこで発想を転換してトマトだけで色をつくることにチャレンジし、完成したのがこの商品です。

─ ファームケイ 井狩けいこさん

(注)本記事の一部について、2022年8月12日に修正。

イナゾーファーム 有機トマトジュース
クリア

トマトのうま味エキスだけを抽出した、シャンパンゴールド色のトマトジュース。爽やかな甘さとさらっとした口当たりは、そのままでも、また料理の出汁にも使えます。北海道の優れた加工食品を選定する「北のハイグレード食品2022」選定商品。

開発コンセプト

素材の生産者として、素材の持ち味・良さをそのまま楽しんでいただける商品を目指しています。見た目のインパクトは奇をてらったものではありませんが、トマトジュースから想像されるものとは異なるギャップはちょっとした驚きや期待にもつながります。このトマトジュースをきっかけに、思わず会話が弾んだり、人と人がつながったり、新たな出会いや発見が生まれるかも。そんなささやかな期待を込めて、北海道の農場から1本1本心を込めて送り出しています。

─ イナゾーファーム 谷江美さん

(注)本記事の一部について、2022年8月12日に修正。

あぐりいといがわ 樹上完熟トマトジュース
大農

樹上で完熟させた生食用大玉トマトである「樹熟金線トマト」を、1瓶に約6個も使った贅沢なトマトジュース。さらっとした口当たりでクセがなく、トマトの風味そのものを味わえます。

開発コンセプト

「あぐりいといがわ」は、新潟県糸魚川市で2006年に創業しました。このジュースを開発した理由は、当初生食用トマトの安定した販路が確保できておらず、収穫最盛期のロスがでていたため、そのロスの削減のためというのがまずひとつ。またおいしい、という評価をいただいているトマトを通年で味わってほしいという思いもあって開発しました。

─ (株)糸魚川農業興舎 取締役業務部長 青木仁さん

(注)本記事の一部について、2022年8月12日に修正。

Others その他

遊子川ザ・リコピンズ こどもケチャップ

愛媛県遊子川(ゆすかわ)の清らかな土地で育った完熟トマトをまるごと6個分使用し、じっくりと煮込んでつくったトマトケチャップ。甘さ控えめでトマト本来の味わいを楽しむことができます。他に柚子こしょうを加えて辛口に仕上げた「大人ケチャップ」もあります。

開発コンセプト

収穫の際にどうしても出てしまう規格外のトマトで付加価値をつけて何かできないかということで、地域の女性が集まって特産品開発に取り組みました。香辛料を控え、お子様でもおいしく食べられるものを作りたいという想いで「こどもケチャップ」と命名しましたが、お子さまだけでなく、たくさんの方々にトマト本来のうま味を味わっていただけるケチャップとなっています。

─ 遊子川ザ・リコピンズ 副理事長 水口美鶴さん

(注)本記事の一部について、2022年8月12日に修正。

JA紀州 とまと梅

紀州みなべの名産である南高梅の梅干しを、最低糖度8度という果物並みのミニトマト「優糖星」の果汁で1カ月以上じっくり漬け込んだ梅干し。まろやかで甘いミニトマトの味で仕上げた、新感覚のデザート梅干しです。

開発コンセプト

JA紀州は、2014年にJA紀州中央、JAグリーン日高、JAみなべいなみが合併した新生JAです。管内には多くの特産品がありますが、そのうちみなべ町の「紀州みなべの南高梅」と印南町の「優糖星」という2つの町の特産品をコラボしました。新たなイメージを持ったこの梅干しは、新感覚のスイーツとして、また2つの町をつなぐ商品として、今後の販売拡大に期待を寄せています。

─ JA紀州 販売部 久保田博之さん

ノヴァ 有機クラフトスピリッツ

ボタニカルと呼ばれる香りづけの原料が特徴のスピリッツ(蒸留酒)には、ジュニパーベリーを使うジンなどがありますが、こちらは自家製トマトのみをボタニカルとして使ったスピリッツ。使用するトマトの品種によって、「アイコ」と「サングリーン」の2種があります。

開発コンセプト

地元・埼玉県北本市の特産品といえばトマト。トマトを活かした商品づくりが私たちにもできないだろうか。そう考えたときに閃いた方法が「スピリッツ」でした。試行錯誤の末、自社の有機ドライフルーツからつくる有機クラフトスピリッツと合わせる方法を作出し、トマトらしい酸味や香味を醸しています。

─ ノヴァ 代表取締役 ブッシュ一木さん

トマト加工品製造で
農福連携を実現

障がいがある人をはじめとする多様な人が、農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取り組み「農福連携」。この農福連携をトマト加工品の製造によって実践しているのが、神奈川県平塚市の「しんわルネッサンス」です。同施設では2014年から農産品加工場を稼働し、地元農協から仕入れた規格外トマトでつくったジュースやピューレーを「湘南とまと工房」のブランドで販売しています。この取り組みが評価され、農福連携の優良な事例を表彰する「ノウフク・アワード2021」ではチャレンジ賞を受賞しました。

湘南とまと工房のトマトジュースとトマトピューレー。加工前に完熟トマトをさらに1週間追熟させてうま味を出すなどの工夫によって、濃厚な味わいを引き出しています。

湘南とまと工房楽天市場店
外部リンク

工場では約20人の障がい者が生産に携わっています。トマトの芯はスプーンでひとつひとつ取り除き、青臭さの原因を除去。一人ひとりに合った器具をつくるなど生産工程を工夫し、品質向上につなげています。

今週のまとめ

味や品質の高さが評価
されている国産トマトの加工品。
保存が利くので1年を通して
楽しめる点が大きな魅力です。

(PDF:13,047KB)

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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