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aff 2023 MARCH 3月号
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日本の桜 観るだけじゃない桜の魅力

日本の桜 観るだけじゃない桜の魅力

日本の桜は、私たちの目を楽しませ心を浮き立たせます。しかし、桜の魅力はそれだけにとどまりません。今回は、桜を材料とした使い心地の良い伝統工芸品や華やかなスイーツなど、さまざまな楽しみ方で桜の魅力を紹介します。

*ここでは、野生種の桜をカタカナで、
栽培品種をシングルコーテーション(‘’)で
括る表記としています。

桜の樹の質感を楽しむ ひとつとして同じ柄のない模様が美しい樹皮。そして、家具への使用に向いた滑らかで温もりを感じる風合いで、ヤマザクラは古くから使う人を魅了してきました。

渋く奥深い色合いが重厚な
武士の内職で発展した
伝統的工芸品

樹皮を貼り付ける工程で使用される、樺細工専用の金ゴテ。熱した金ゴテを駆使して樹皮に丸みや角度を付け丁寧に貼り付けていく。

ヤマザクラ類の樹皮を用いて作る「樺(かば)細工」は、武家屋敷が藩政時代の面影を残す“東北の小京都”秋田県仙北市角館町で生産されている、約250年もの歴史を持つ秋田を代表する伝統的工芸品です。
始まりは天明年間(1781年から1789年)の当時、角館を治めていた佐竹北家に仕える藤村彦六が、御処野家(現在の秋田県合川町鎌沢)より製造技術を伝授され、下級武士の手内職として産業化されました。
その魅力は、ヤマザクラの樹皮特有の光沢、ひとつとして同じ柄が存在しない自然素材ならではの模様です。また、使い込むほどに手に馴染み味わいを増すその質感もまた、工芸品としての重厚な存在感を表します。

樹皮の模様が豊かな表情を生む

【 型もの 】

木型に合わせて芯を作り、その芯に膠(にかわ)で樺を貼り付け筒状にする製法です。古くは印籠などに用いられましたが、現在では茶筒が代表的な製品となります。

【 木地もの 】

下地に木地を使った製法で、文箱や硯箱(すずりばこ)などの箱物が作られるほか、テーブルなど大きな製品も作られています。製品によっては繊細な模様付けが行われます。

【 たたみもの 】

磨いた樹皮を数十枚重ね貼りした塊を彫刻で削り出す製法です。現在ではブローチやペンダント、ループタイ等のアクセサリーが作られています。樹皮断面の層や磨き上げられた光沢が魅力です。

画像提供:いずれも角館樺細工伝承館

ぬくもり感じる桜で造る家具

家具の原料となるヤマザクラ。

画像提供:家具工房つなぎ

家具として使用される木材にはスギやヒノキ、ナラなどが知られていますが、ヤマザクラも少量ながら木材として流通し、加工・販売されています。色合いは明るくナチュラルで、磨くことで艶のある光沢が現れることから、家具や楽器等の木材製品に使用し、販売されている場合もあります。
日本人に古くから愛されてきたヤマザクラを使用した製品を生活に取り入れることで、桜の温もりをより身近に感じてみてはいかがでしょうか。

:ヤマザクラで作られたデスクとチェア。 :チェスト。穏やかな木目と艶のある質感、そして滑らかな手触りに温もりを感じる。

画像提供:いずれも家具工房つなぎ

桜の豊かな風味を味わう 桜湯や桜餅のみならず、春になるとスイーツなど桜を用いた料理や食品を多く見かけます。その風味を楽しみながらのお花見は、桜に満たされる、豊かなひとときになりそうです。

桜のスモークチップで
いつもの味を香り高く

:蓋を開けた瞬間に香る、桜チップのスモーキーな風味が食欲をそそる。
左:香り高い桜チップは高温短時間の「熱燻」調理向き。

画像提供:アフロ

肉や魚介類、卵にチーズ、そしてナッツやスナックなど、好きな食材にスモーキーな風味を付け、ひと味違った一品に仕上げる燻製料理は、バーベキューやキャンプなどのアウトドアシーンだけでなく、家庭でもできる手軽な調理として人気があります。
食材を燻製するために必要なのが煙の元となるスモークチップやスモークウッドです。スモークチップにはヒッコリーやナラ、リンゴなどの種類がありますが、なかでも桜は香りが高く比較的短時間で食材に風味を付けることができるため、誰もが気軽に燻製料理を楽しめます。この春、桜のスモークチップで、好みの食材を香り高く仕上げてみませんか?

- COLUMN - 自宅でも簡単!
燻製料理の作り方

桜チップのほかフライパンとその直径より小さい網、そしてアルミホイルがあれば家庭でも簡単に燻製料理が楽しめます。好きな食材をスモークしてみましょう!

フライパンにアルミホイルを敷き、その上に桜のスモークチップひとつかみ(10グラムから15グラム)を乗せ、網を置けば準備完了です。

網の上に、煙が行き渡るよう間隔をあけ、好みの食材を並べ蓋をする。まずは中火にかけ、煙が出てきたら弱火に変えます。

10分間燻したら火を止め、煙が落ち着くまで5分から10分ほど待てば完成! 使用後のチップは水を掛け完全に消火し、適切に処分しましょう。

画像提供:いずれも(一社)日本燻製協会

料理に可憐な花を咲かせ
ハレの日を華やかに彩る

お湯で溶けば桜湯に、米と一緒に炊き込めば桜ご飯にと、料理や飲み物に春の装いをもたらす桜の塩漬け。

桜湯などに用いられるのは桜の塩漬けといい、多くは栽培品種である‘八重桜’を素材としたものです。桜の塩漬けの産地として有名な神奈川県秦野市千村地区で製造される「丹沢のさくら漬」は、白梅酢と塩だけで漬け込んだ、シンプルにして上品な一品です。また、県と生産者団体で構成するかながわブランド振興協議会が、統一の生産・出荷基準を守り、一定の品質を確保するなどの要件を満たす農林水産物や加工品だけで認められる「かながわブランド」に登録されています。
なお、桜餅に使用される葉の多くは、餅を巻くことに適した大きさで産毛が少なく食べやすい、オオシマザクラの葉を塩漬けにしたものです。葉を巻くことで餅の乾燥を防ぎ、桜特有の甘く華やかな香りとほのかな塩味を付けてくれます。
毎年、春になると桜湯や桜餅だけでなく、桜ご飯や桜の天ぷら、ケーキやビールなど、桜を使用したりイメージした料理や食品が多く出回り、桜の味わいで春を感じることができます。

桜を使用したメニューも

‘八重桜’の花びらと葉を原料に使用した、桜が香るビール。

画像提供:サンクトガーレン

桜風味の生地とクリームで桜餡を巻いて仕上げた、見た目も味も桜満開のロールケーキ。

画像提供:ISHIYA

桜風味をプラスした、ストロベリーチョコレートとホワイトチョコレート。

画像提供:ROYCE’

桜の花びら入りはちみつ。紅茶やヨーグルトに入れるだけで、食卓を華やかに彩る。

画像提供:金市商店

*上記商品は、いずれも期間もしくは数量限定商品です。

関東と関西では
形も材料も違う桜餅

慶長年間(1596年から1615年)に創建された、天台宗の寺。8代将軍、徳川吉宗の世に「長命寺桜もち」が生まれ、花見客の人気を博した。

画像提供:墨田区観光協会

江戸時代、向島(現在の東京都墨田区)の長命寺の門番をしていた山本新六という人が、隅田川土手の桜の葉を塩漬けにしたあん入りの餅「桜もち」を考案したといわれています。
また、関東と関西では、桜餅の製法と形状が異なることをご存知でしょうか。関東は水溶きした小麦粉をクレープ状に焼き、筒状にしたあんを包む一方、関西では、もち米を蒸して乾燥させた後に粗く挽いた道明寺粉が使用されており、饅頭の生地にあんを包んだものが食べられています。クレープのような見た目の関東風ともち米の粒感が楽しめる関西風、いずれも美味しい春の味覚です。

【 関東風 】

【 関西風 】

画像提供:冨岡典子
出典:いずれも農林水産省「うちの郷土料理」

今週のまとめ

ヤマザクラは伝統工芸や家具にも
使用されています。
桜の花や葉を使った
料理やスイーツで桜を味わいましょう。
春の訪れを桜から感じてみませんか。

(PDF:1,997KB)
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