このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー
aff 2023 JULY 7月号
7月号トップへ戻る

はばたけ! 農業高校生

はばたけ! 青春の熱量MAX! 農業高校生 農高の部活・文化祭は熱い
高校生活の楽しみの一つが部活動。珍しい部活動や、農業高校ならではの部活動を紹介します。また、在校生にとっては年に一度の集大成であり、地域交流も図れる文化祭。特徴的な文化祭を開催している高校を紹介します。
部活で燃えろ!

自主性が力の源! フラワーデザイン部・弓道部

静岡県立田方農業高等学校

静岡県立田方農業高等学校は2022年に創立120周年を迎えた伝統ある農業高校。生産科学科、園芸デザイン科、動物科学科、食品科学科、ライフデザイン科の5つの科があり、共生・共育の実践を通して地域産業を支える人材育成を目指しています。そんな同校は部活動も盛んです。複数の大会で入賞しているフラワーデザイン部と県内屈指の強豪校である弓道部を紹介します。

静岡県立田方農業高等学校

学校の周りには、部活動の活躍を示す横断幕がずらり。

フラワーデザイン部

限られた部活の時間に集中して取り組む

フラワーデザイン部
資格検定に向けて練習中

取材当日は
フラワー装飾技能士の
資格検定に向けて練習中。

数々の受賞歴を誇るフラワーデザイン部。
「NFD全国高校生フラワーデザインコンテスト」では、3度日本一に。「高校生押し花コンテスト」では、9年連続で文部科学大臣賞を受賞。青年技能者(原則23歳以下)を対象とした「技能五輪」のフラワー装飾でも、5年連続でメダルを獲得しています。
個人戦も優秀で、横田和奏さん(当時3年生)が、今年1月に行われた「第71回関東東海花の展覧会」で高校生初となる最高賞の農林水産大臣賞を受賞しました。

受賞した様子を収めた写真

部室の入り口には受賞時の写真が隙間なく並ぶ。

イラスト

フラワーデザイン部顧問の赤池章助先生は、「部員全員を表彰台に登らせたい」と数々の大会に出場する目的を語ります。プロの大会でも勝負できるようになった今は、技能五輪国際大会に高校生として初めて出場することを目標に掲げています。
部員には、フラワーデザインに関係のある園芸デザイン科だけでなく、動物科学科や食品化学科の生徒もいます。大会によって、部員全員で取り組んだり、個人的に技術を磨いたりと、限られた時間を有効活用する工夫をみんなで考えながら進めています。

現在の部員

現在の部員は9名。練習で作ったブーケを手に。手前中央が部長の島田さん。

資格の検定試験が近づいてくると朝練も行い、毎日やり続けることで作業スピードが速くなってくるというスポーツ的な一面もあります。
部長の島田紗椰さんは、「何より集中力が大切。最初はうまくいかなくても、練習を重ねるうちにできるようになって、それを先生や友だちにほめられるとうれしい」とフラワーデザインの魅力について話してくれました。

弓道部

自ら進んで練習することがいい結果に

静岡県は弓道が盛んで、県内にある高校約130校のうち半数以上の約70校に弓道部があり、全国一を目指してしのぎを削っています。同校の弓道部はそんなレベルの高い東海地域においても常に優秀な成績を収めている屈指の強豪校。昨年度は静岡県高校総体で女子団体が3位、男子団体は優勝してその後の全国高校総体でベスト8の好成績を収めました。

弓道部

28メートル先の的をめがけてひたすら弓を引く毎日。

現在の部員は30名あまり。今年度の東海高校総体個人3位の石田光星さん(3年生)は、「部員自ら進んで練習することが、結果につながっている」と言います。
弓道部を指導する米倉監督によると、「初めて的にあたったときの喜びを忘れず、弓を引くのが好きになることがまず大切。そして、調子が落ちたときにネガティブにならず踏ん張ること」が、実力を伸ばしていく秘訣とのこと。
今年度の静岡県高校総体でも男子団体は優勝を果たし、全国高校総体へ出場を決めています。

石田さん

射た後の姿勢
「残心(身)」までが
大事だと話す石田さん。

弓道ってすごく楽しい!
3年生・部長 臼田美里奈さん

3年生・部長 臼田美里奈さん

的にあたる音がとてもいいです。連続してあたったときは楽しいです

3年生・副部長 高村鎧斗さん

3年生・副部長 高村鎧斗さん

弓道は高校から始める人が多く、段々と実力が上がるのが魅力です。初めて的にあたったときの感動は忘れられません

弓道部員の皆さん

弓道部の皆さん。高校総体などの大会に向け、練習に励む。

畑の上で熱戦! ファームバレーボールで活躍

群馬県立勢多農林高等学校

ファームバレーボール

男子2人制、女子4人制でプレイするのがファームバレーボールのルール。

群馬県立勢多農林高等学校では、同校農場内にある休耕地を整地して毎年、ファームバレーボールの大会を行っています。ファームバレーボールとは畑をコートにして、ビーチバレーのように裸足で行うバレーボールのこと。
「もともとは部員が少なくても2人1組で公式戦に参加できるビーチバレーを練習するつもりでした。しかし、海のない群馬県には練習場所がありません」(顧問 須賀克也先生)。
そこで当時の同校校長の「空いている畑を使えばいい」というアイデアをきっかけに、ファームバレーが生まれました。

「地域の他の高校にも、裸足で土の感触を楽しみながらバレーボールをしよう、と声をかけたら賛同が得られたので、当校を中心に、2013年から大会を始めました」
2022年の第9回大会は、全12コートで高校男子の部、高校女子の部、一般男子、一般女子それぞれが白熱した試合を展開。高校女子の部で同校女子バレー部が1位を獲得しました。
「大会会場では農作物も販売しています。コートをつくった大型トラクターも見られるので、農業について知っていただくいい機会にもなっています」
2023年はコート数を14に増やし、さらに規模を拡大中。今年は10周年の記念大会であるため、前橋市と共催でより多くの学校が参加できるよう計画しています。

農作物の販売

大会開催中は同校で収穫した農作物の販売も。

コートの整備にはトラクターが出動

コートの整備には
トラクターが出動します。

酒造りの全工程を生徒が実践する「酒造蔵部」

山口県立田布施農工高等学校

山口県立田布施農工高等学校には全国でも珍しい酒造りを行う部活動「酒造蔵部(しゅぞうくらぶ)」があります。田布施町は、かつて日本酒の醸造工程を取り仕切る杜氏(とうじ)を多く輩出した地域で、同校ではその伝統を引き継ぎ杜氏を育成するために1956年に醸造科が開科。その後、食品科学科に改編されましたが今でも酒造実習が行われています。
酒造蔵部の前身である部活動ができたのは2014年のこと。授業だけでは学べない本格的な酒造りを実践・学習する場として発足。酒造蔵部では顧問の先生が杜氏を務めています。

酒造蔵部の外観

入り口には新酒ができたことを告げる「杉玉」がつるされている。

現在の部員は食品科学科の生徒を中心に18名。酒造りに使う酒米は学校で生産しています。収穫後の精米も校内の精米機を使い、蒸米、仕込みと、ゼロから酒造りの工程を実践しています。生徒はもちろん未成年なので酒を味見することはできません。酒造蔵部では、匂いを嗅ぐほか、各工程で収集したデータと過去のデータを比較したり、アルコール度数や酸度を分析して酒造りをしています。

米袋の運搬など力仕事

米袋の運搬など力仕事もあり、
体力・筋力も必要で
運動部的な側面も。

酒造り

データを確認しながら
酒造りを進める。

「食品科学科に入れなかったけどお酒造りをやってみたい」という動機で入部する生徒も多く、なかには将来を見据えて入部する生徒もいて、年に1、2 人は酒造関係に就職しています。
「酒造りはチームプレイなので、先輩後輩がコミュニケーションを取って作業進めることは、将来どの仕事に就いても役立つことだと思います」(顧問 乗安義実先生)

文化祭で熱くなれ!

地元・平川市伝統のねぷた囃子を披露

青森県立柏木農業高等学校

ねぷたの絵

ねぷたの絵を描くのは、地元の絵師に指導を受けた生徒たち。

青森県立柏木農業高等学校の文化祭・柏農祭では、ねぷた囃子をステージで披露したり、“ねぷた絵”を展示したりといった、ねぷた祭りが有名な青森県ならではのイベントがあります。
「当校のある平川市には“平川ねぷた”があります。校内にはねぷた委員会もあり、柏農祭は“平川ねぷた”について発表する機会のひとつです」(生徒会顧問 工藤航先生)
柏農祭はコロナ禍で一般公開を見合わせていましたが、昨年は3年ぶりに地域の方々の来校も可能となりました。米、りんご、野菜類をはじめとする農作物に加え、草花や加工品のジャムなどの販売が好評で、多数の来校がありました。生徒たちが作った農作物の苗も販売されており、地元の農業関係者に人気です。

米のパッケージ

販売する
米のパッケージにも、
ねぷた絵が描かれています。

昨年のポスター

今年は「農 stop 農 advance」がスローガン。ポスターは昨年のもの。

「昨年は一般公開を経験していない生徒だけでの開催で不安でしたが、無事成功させることができました。柏農祭へ向けた過程のすべてが楽しく、大切なものだと実感しました」(3 年生・生徒会長 齊藤龍太郎さん)
今年も昨年と同様に、一般公開を予定しています。
「生徒会ではSNSを使った学校のPR活動に力を入れています。昨年新設した公式Twitterでは、地域の人に向け、柏農祭などの学校行事の風景を配信しています」

1952年から続く仮装行列が名物イベント

秋田県立大曲農業高等学校

毎年恒例の仮装行列

毎年恒例の仮装行列は、同校から大曲駅付近までを往復するコース。

秋田県立大曲農業高等学校の文化祭・大農祭は、3日間開催。
初日は、その年の豊作に感謝する収穫感謝祭が行われます。2日目は同校名物の仮装行列。全校生徒が参加し、クラスごとにテーマを決めて仮装。吹奏楽部の演奏を先頭に、約1時間半、街中を練り歩きます。
「当校の仮装行列は、1952年に始まりました。きっかけにはさまざまな説があるようですが、戦後復興のために地域を活気づけようと仮装した生徒が街に出たというのが、有力です」(特別活動部 髙川健悟先生)

調理を伴う模擬店

調理を伴う模擬店は、3年生が担当します。

昨年のポスター

昨年の「大農祭」ポスター。

3日目は、保護者や地域の方々も来校する一般公開日。ねぎ、果物、たまご、花類、食品加工品などの販売に加え、さまざまな模擬店、クラスや学科の展示もあります。
「昨年、私のクラスでは、教室を飾り付けて写真映えスポットをつくりました。コロナ禍で、準備期間中にも学級閉鎖になり大変でしたが、それでもクラスで団結した結果、優秀な展示に与えられる努力賞がもらえてうれしかったです。今年は、キッチンカーでの料理提供や、秋田名物ババヘラアイスの盛り付けを生徒がデザインする企画などを考えています」(3年生・生徒会長 佐々木夏妃さん)

地元の人々に長年愛され続ける文化祭

東京都立農業高等学校

緑地計画科がつくった西門の装飾

緑地計画科がつくった
西門の装飾。
好評で文化祭終了後も
しばらく展示されました。

食品科学科が販売するパン

食品科学科が販売する
バラエティに富んだパン。
どれも焼き立ての味が楽しめます。

東京都立農業高等学校の文化祭・農高祭は、全5学科の生徒たちがさまざまな形で、学びの成果を発表しています。
食品科学科では自分たちが作ったメニューを提供する飲食店を開きます。
「昨年は生徒が手打ちしたうどんを販売しました。また、焼き立てパンやクッキーの販売もして、特にメロンパンが好評でした」(食品科学科3年生 村長花織さん)
「昨年のパン売り場は、1階から4階までお客さまが並ぶほど大盛況でした。クッキーの材料にした抹茶は、校内で栽培した茶葉でつくりました」(食品科学科3年生 奈良菜花さん)
緑地計画科は、校門の装飾をしたり、校内に庭園をつくります。

辻侑里さん、梅田伊万里さん、村長花織さん、奈良菜花さん

左から辻侑里さん、梅田伊万里さん、
村長花織さん、奈良菜花さん。
実行委員やクラスの代表として
農高祭を主導しています。

昨年のポスター。

昨年の農高祭ポスター。

「昨年は、滝をメインに和風と洋風を混ぜた表現で、西門を飾りました。庭園には生徒たちがガイドとなってお客さまをご案内しました」(緑地計画科3年生・梅田伊万里さん)
都市園芸科では、育てた野菜や果物、草花などの販売や、さまざまな企画も。
「昨年は大根や多肉植物がもらえるスタンプラリーや、フラワーアレンジメント体験など、お客さま自身で楽しめる企画を行いました」(都市園芸科3 年生・辻侑里さん)
創立110 年を超える同校の文化祭は、地域のお祭りという面もあります。今年は一般公開になる予定で、地元の方々も以前のように楽しめる農高祭になりそうです。

感想を送る

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader