川魚を知って好きになる!

錦鯉ってどんな魚なの?
錦鯉のはじまりは、1800年代初めの江戸時代。新潟県の二十村郷(現在の小千谷市、長岡市の一部)で食用として飼育していたマゴイの中から、突然変異により色のついた「変わりもの」が出現。当時の人々は、それを珍しがり、より美しい色をつくろうと改良を重ね、昭和のはじめに「紅白・大正三色・昭和三色」の代表的な三品種が出揃いました。
大正時代に鯉の品種改良を熱心に指導した、新潟県庁水産主任官の阿部圭氏が初めて「大正三色」の鯉を見たとき、「これはまさしく錦鯉だ!」と感嘆したことがはじまりとされています。

大正時代に描かれた模様鯉の絵。
提供:小千谷市
錦鯉にはどのくらいの品種があるの?
現在は100を超える品種があるとされています。以前は統一された品種の定義がありませんでしたが、2022年に錦鯉のJAS(日本農林規格)が制定されました。地肌の色や模様によって21の品種が明文化されました。

紅白
赤は濃くて明るく、白はより白く、赤と白の境目がはっきりしたものが優美とされています。「紅白に始まり紅白に終わる」といわれるほど、「紅白」を基礎にさまざまな品種が誕生しました。

大正三色
「紅白」に漆墨(うるしずみ)と呼ばれる墨の模様が入ったもの。大正時代の初めに作られたことから名付けられました。「紅白」の模様を基本に、ツヤのある墨がバランスよく配置されたものが理想的。

昭和三色
連続した形状の写り墨(うつりずみ)で墨の豪快さを訴える品種。「大正三色」とは異なり、腹から背にかけて巻き上がる墨と、顔を二つに割るような面割れ模様の墨が入るものが良いとされています。
錦鯉は進化し続けている

錦鯉は約200年にわたって交配や品種改良を繰り返されてきましたが、なかでもドイツから輸入された黒鯉と錦鯉を交配した「ドイツ鯉」の出現は、品種倍増に貢献。「秋翠」「山吹黄金」といった人気の品種が多数生まれました。
いろいろな錦鯉

ドイツ昭和
背中と両側面の大きなうろこ以外はほとんどうろこをもたない「ドイツ鯉」の一種。

秋翠
背筋にある大きなうろこは「鬼鱗(おにごけ)」と呼ばれる。

山吹黄金
体に模様がなく全身が単色で金属のような光沢を持つ「光り無地」の一種。

(一社)全日本錦鯉振興会 副理事長
大日養鯉場(株)

(一社)全日本錦鯉振興会 新潟地区長
伊佐養鯉場(株)
――錦鯉の魅力はなんでしょうか。
伊佐さん:ペットとしての癒しと、美を追求する芸術性を兼ね備えているところですね。「同じ色と模様は世界に一つしかない」というのも面白いです。錦鯉を飼っている人は、子どものようなわくわくとした表情を見せてくれますよ。
間野さん:思うように育たないこともありますが、それがまた魅力です。予想外に美しく成長をすることもあって、そういうときは本当にうれしくなります。錦鯉は高級なイメージがありますが、千円以内で買えるものもあります。家庭の水槽でも飼育できるので、気軽に育ててほしいです。
――錦鯉は海外でも人気があるそうですね。
伊佐さん:特に中国では昔から、端午の節句や風水などの縁起物として人気があります。10年ほど前からはベトナム、ミャンマー、カンボジアなど東南アジアのお客さんが増えていますね。
間野さん:今年の品評会には46か国からエントリーがあり、幅の広がりを感じています。コロナ禍のステイホーム期間には「自宅で錦鯉を楽しみたい」というヨーロッパのお客さんが急増しました。
――お二人の育てた鯉は品評会で何度も受賞していますが、育て方のコツはありますか。
伊佐さん:一番大事なのは血統です。しかし、品評会で優勝した2匹を組み合わせればいいというわけではありません。鯉の体調や水温に合わせたエサの配合や給餌方法など、考えなければならないことは毎日たくさんあります。
間野さん:品評会は競走馬のレースと似ていて、当日に合わせて仕上げることが重要。会場までの輸送もあるので、いろいろ気を遣います。
全日本錦鯉振興会主催の大会は年間3回開かれますが、なかでも注目度が高いのは「全日本総合錦鯉品評会」。世界中の錦鯉と生産者、そして一般の愛好家が集まる“錦鯉のワールドカップ”です。2023年1月に開催された第53回大会では、大きさや品種別に各賞が決まりました。

貴重な錦鯉の数々を一度に見られる品評会は、日本国内の錦鯉ファンはもちろん、海外からの観光客にも人気。
錦鯉を見に行こう!
新潟県小千谷市「錦鯉の里」

4つの池と2つの滝がある日本庭園の鑑賞期間は、4月から11月。

小千谷市原産の20品種100匹余りが泳ぐ鑑賞棟。
一年を通して錦鯉に会える、世界で唯一の錦鯉のテーマパーク。屋外には四季の花とともに鑑賞できる「日本庭園」と、屋内には円形プールがある「鑑賞棟」があります。エサを購入して、錦鯉とのふれあいを楽しむことも。錦鯉の歴史や飼育方法が分かる資料展示室も必見です。
錦鯉の里 / https://www.nishikigoinosato.jp/
錦鯉発祥の地(小千谷市公式YouTube) / https://youtu.be/2X5Kg3huWGc
国際的な人気を誇る
日本の錦鯉
海外での錦鯉人気は年々高まっており、輸出金額はこの10年で2倍以上(63億円)に。国内で生産する錦鯉のうち、約6割は輸出向け(2020年実績)。2022年11月は、錦鯉発祥の地・新潟県で「世界錦鯉サミット」を初開催し、錦鯉を通じた経済・文化の国際交流を促進。翌12月には、錦鯉が「輸出重点品目」に追加されるなど、今後もさらなる輸出拡大が期待されています。
錦鯉は酸素と水を大きなビニール袋に入れられた後で、専用の容器に入れられ、海外に空輸されます。安全に運ぶカギは、輸送時間に合わせた酸素量と水温の調整、そして水質を保つこと。フンで水が汚れるのを防ぐために、輸送の数日前からエサを抜くといった対策がとられています。

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