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農林水産省

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2025

8月号

漁業取締船

直撃インタビュー 船の上で働く人たち

悪天候の中でも、常に沖合で任務にあたる漁業取締船。そこでは、多様な職種の乗組員がそれぞれの持ち場で力を発揮しています。4人の若手乗組員が、この仕事に就いたきっかけややりがいなどを語ります。

私と漁業取締船とのカンケイ

漁業取締船の仕事に、誇りをもって取り組む乗組員たちに話を聞きました。仕事もプライベートな時間も大切にしていることが伝わってきます。

次席三等航海士 吉田一翔さん ワッチと呼ばれる、操船、視認業務を行っています。勤務時間は20時から24時、8時から12時です。 二等通信士 山口陽翔さん 無線室で、周囲の船舶の情報を集めたり気象情報を取ったりして、他の船に情報を提供しています。 司厨員 福田ゆかりさん 船内で乗組員への食事の準備と調理、後片付けを担当しています。メニューを考えるのは司厨長です。 機関員 本橋愛都さん 光が入ってこない機関室で黙々と作業しています。船のプロペラを回すエンジンの整備や点検を担当しています。

私が●●士になったきっかけ

  • 吉田さん 私は長崎県の出身で、港の近くで生まれ育ちました。小学生の頃、地元の魚祭りで寄港していた水産庁の船の内部を見学したんです。その時に案内してくれた航海士の方に憧れを抱いたのがきっかけです。
  • 山口さん もともと海や釣りが好きで、中学生の頃から船の通信士に憧れていました。水産高校に進学して密漁の問題を知って、水産資源を守る仕事に興味を持ち、漁業取締船で仕事がしたいと思うようになりました。
  • 福田さん 職業について両親と話し合った時に、自分が苦にならないものの方が長続きするからと、調理師の資格を取り、調理の仕事に就きました。10代の頃から料理を作ることが好きだったんです。
  • 本橋さん バイクが好きで、高校時代からエンジンをいじったりしていたので、その延長というところがあります。バイクのエンジンとは大きさがまるで違いますが、基本的に機械いじりが好きなんです。

船上勤務あるある4選

  1. 1 船酔い デスクワークを行う時も寝ている時もずっと揺れているので、慣れるまでは船酔いが大変です。最近は船酔いしそうだと思ったら、すぐにガムを噛んで、酔いを抑えるようにしています。(山口さん)
  2. 2 曜日や時間の感覚がなくなる 平日も休日もないので曜日の感覚がなくなります。さらに光が全く入ってこない機関室で勤務していると時間の感覚がなくなって昼夜が逆転してしまうこともあります。(本橋さん)
  3. 3 やりたいことがすぐできない 会いたい人がいてもすぐに会いにいくことができませんし、欲しいものがあってもすぐに買いに行けるわけではありません。そういう制限のようなものはあります。(福田さん)
  4. 4 コミュニケーションアプリが貴重 陸上で生活している時はXやインスタグラム、Facebookなどが自由に使えますが、船上でも使用が許可されているコミュニケーションアプリがあります。そうしたツールは、本当にありがたい存在です。(吉田さん)

漁業取締船で働いて驚いたこと

  • 吉田さん 大学時代に操船の実習で教わったのは、ほかの船を避けることが中心でしたが、取締船では船を視認するために近づくことが必要だということに驚きました。
  • 山口さん 普段の生活では感じられない緊張感があります。それなりに危険を伴う仕事なので承知の上ではあるのですが、実際に体験すると想像とはまるで違っていました。
  • 福田さん 以前は漁業調査船で勤務していたので、初めて取締船に乗った時、航海区域によっては危険を伴うため船外へ出るのも気を付けなければならないことに驚きました。
  • 本橋さん 航海中に防弾防刃仕様の救命胴衣を生まれて初めて着用しました。思っていたよりもはるかに重かったです。

これさえあれば安心 私たちの必需品

枕 備え付けの枕が小さいんです。睡眠は、疲労を回復するためにもすごく大切なので、マイマクラを持参しています。 イヤフォン 自室でよく音楽を聴くのですが、乗船中はずっとエンジン音が響いているのでイヤフォンが必需品です。

カメラ 停泊中に船から降りて、その土地の風景写真を撮っています。このカメラは仕事を始めてすぐに買いました。 ゲーム機とスピーカー ゲーム機は自室のテレビにつなげて毎日1時間はプレイしています。スピーカーは音楽を聴く時に使います。

この仕事のやりがい

  • 吉田さん 入庁してまだ2ヶ月ですが、すでに拿捕を2回経験しました。書類作成などもあって大変でしたが、海の秩序を正し日本の水産資源を守ることのやりがいを感じています。
  • 山口さん 温暖化など海洋環境の変化で不漁が続いていますが、私たちは外国漁船の違法操業を取り締まる業務を通じて、日本の水産資源を守っているという実感があります。
  • 福田さん 航海でいろいろな場所に行くことができます。ハワイへも行きました。司厨員としては、停泊中、自分で考えて作った料理がおいしいといわれると嬉しいです。
  • 本橋さん エンジンを整備するために、分解したり組み立てたりするのが楽しいです。この仕事でないと、なかなかこの規模のものを扱うことはできないと思います。

船員から教わった 生活に役立つロープワーク

漁業取締船の乗組員は、係留や人命救助などさまざまなシーンでロープを使います。ここでは日常生活にも役立つ3つのロープワークを紹介します。

  • 強度が強く、ほどきやすい! 「もやい結び」 船の係留に役立つロープワークで、ロープの先端を引っ張っても輪の大きさが変わらないため、遭難した人を救助した際は体を締め付けすぎることなく吊り上げることができます。 結び方 小さな輪を作り、その輪に先端を下から通し、輪の根元をくぐりながら輪の中に通します。
  • 新聞や雑誌を束ねるのに便利! 「巻き結び」 ロープを杭などに結ぶ時に使うロープワークで、簡単で素早くロープを結ぶことができます。日常では、新聞などを束ねる時に巻き結びにするとしっかり結べます。 結び方 対象物を巻くように輪を2つ作って端を引きます。
  • 三角巾で応急処置にも応用できる! 「本結び」 同じ太さのロープをつなげて使う場合に役立つロープワークです。ほどけにくいので、ほどく必要がない場合に使います。日常でも荷物をしばる時などに紐の長さが足りなくなった時に便利です。 結び方 2つのロープを交差させて1回巻き、同じ動きを逆向きにもう一度繰り返します。結び目が交差している場合は、やり直してください。

漁業取締船の「通訳人」

外国漁船とコミュニケーションを取る時の通訳を担当しています。官船船長や漁業監督官が内容を考えて、私はそれを中国語に訳して無線で伝えます。外国漁船への立入検査や検挙時には漁業監督官と一緒に乗込んで通訳業務を行います。この仕事は語学に通じているだけでは不十分で、その時の状況を把握して対応する必要があります。その意味でも普段から航海士の人たちと話をするよう心がけています。待機期間が長いので、自分の時間をうまく過ごすことも大事です。

今週のまとめ

違法操業から日本の水産資源を守る漁業取締船の業務は、たくさんの人たちの働きの上に成り立っています。長期に及ぶ航海には苦労もありますが、それぞれが工夫しながら任務を果たしています。

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お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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