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農林水産省

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2026

1月号

料理人

3 国境を越えた料理人

海外で日本料理を作る料理人と海外から日本に来る料理人。国境を越えた料理人たちは、技術を駆使して日本の食材や料理の素晴らしさを伝えます。

外交を支える、公邸料理人の仕事

海外にある大使館や総領事館の公邸で会食の料理を担当する公邸料理人として、3カ国に赴任し、10年以上勤務した料理人の仕事ぶりを紹介します。

(株) EIRYO 代表取締役 工藤英良さん 日本料理とフランス料理の経験を積み、2009年から2019年までカナダのバンクーバー、中国の北京、フランスのパリで公邸料理人として勤務。2022年に(株) EIRYOを設立し、代表取締役に就任。

  • 日本料理とフランス料理を習得 飲食を営む両親のもとで育ち、高校卒業後は (株) なだ万で料理人として日本料理の修業を積みました。その後5年ほどホテル内にあるフランス料理のレストランに勤務し、フランス料理の技術も習得しました。
  • 公邸料理人の仕事とは? 主な仕事は、大使が開催する各国の要人たちとの会食での食事提供です。食事は雰囲気作りに重要な役割を果たすので、メニューや盛り付けなどに配慮して作ります。公邸料理人は、大使の外交活動を食で支えています。
  • 活躍の場は多岐にわたる 現在は、1日1組限定でコース料理を提供するサロンを開設しています。また、各地で地場の食材を活かした料理を提案するほか、最近はドラマの海外撮影に帯同して、数か月にわたり出演者やスタッフへの食事提供で現場を支えました。

公邸料理人ならではの経験

  • 一番高い壁は言語 私が赴任したのはカナダ、中国、フランスとそれぞれ言語の異なる国だったので、毎回辞書を片手に単語を覚えるところからスタートしました。ゲストに喜んでいただける料理を作るためには、現地スタッフとのコミュニケーションが非常に重要です。
  • 会話が弾む、料理の工夫 日本料理に慣れていない方にも喜ばれるのは、寿司と天ぷらです。焼き鳥や豆腐料理もよく作りました。食事中、会話が途切れないよう、食べやすい大きさにしたり、盛り付けに気を配ることも大切な要素のひとつです。
  • 褒め言葉にもお国柄 帰りのご挨拶の際に、大使がお客様に料理の感想を尋ねることがあります。フランスでは表現に凝る方が多く、和牛料理をお出しした際は「今夜、夢の中でもまた食べたいですね」など日本では聞けないようなお褒めの言葉をいただきました。
  • 苦労が報われる瞬間 海外の要人に料理をお出しするという、とても気を遣う仕事ですが、当初、緊張感があった会食も、食事が進むうちに和やかな雰囲気になり、最後には私にも握手を求める方もいらっしゃいます。食を通じて何かが伝わったと感じる瞬間です。

フランス出身の料理人が作る、 国境を超えた料理

来日して10年になるフランス生まれのユーゴ・ペレ=ガリックスさん。日本料理とフランス料理を融合した彼の料理は、多くの人を惹きつけています。

氣分(きぶん) 料理長 ユーゴ・ペレ=ガリックスさん フランス・ドローム県生まれ。15歳から料理人を志す。2015年に来日し、京都の「菊乃井本店」で2年間修業。2017年から東京・銀座のフランス料理店「エスキス」へ。2024年5月から現職。「氣分」は、ミシュランガイド東京2025で一つ星を獲得。 https://kibuntokyo.com/
氣分(きぶん) 料理長 ユーゴ・ペレ=ガリックスさん フランス・ドローム県生まれ。15歳から料理人を志す。2015年に来日し、京都の「菊乃井本店」で2年間修業。2017年から東京・銀座のフランス料理店「エスキス」へ。2024年5月から現職。「氣分」は、ミシュランガイド東京2025で一つ星を獲得。 https://kibuntokyo.com/
  • 京都の菊乃井本店で修業 京都市の特定伝統料理海外普及事業に参加し、日本料理の名店「菊乃井本店」で2年間、日本料理を基礎から学びました。包丁の使い方や出汁の取り方、魚の捌き方など日本料理独特の技術を学びました。 左から京都市長(当時)、菊乃井本店の村田氏、ユーゴ氏
  • 銀座でフランス料理を提供 フランス人のリオネル・ベカさんがエグゼクティブシェフを務める銀座「エスキス」で7年半、厨房に立ちました。日本で作るフランス料理なので、日本の食材への理解が必要ですが、日本料理を学んだ経験を活かすことができました。
  • 日本料理とフランス料理を融合 2024年、西麻布に「氣分」がオープンし料理長に就任しました。店名にはそれぞれの食材が持つ「氣」を料理にして分かち合うという意味を込めています。これまでに経験してきたことを全て生かして、自分にしか作れない料理を提供しています。 © masahiro goda

日本で学んだ、料理の奥深さ

  • 食材の豊富さから料理が広がる 一番感心したのは食材の豊かさです。魚介類だけでなく山菜や柑橘類も種類が多く料理のバリエーションが広がります。それに旬が加わるので、アユやハモ、松茸や山椒など、季節によって食材を使い分けることで豊かな世界が広がります。
  • 仕入れには目利きが必要 毎朝豊洲市場に通っています。旬などの知識は、来日以来、少しずつ身につけました。旬の魚であっても、必ずしも品質が良いとは限らないので、自分の目で選び、仕入れた魚は朝のうちに下処理を済ませることで、食材のうまみを引き立てます。
  • 料理を引き立てる器選び 食材と同様に器にも産地ごとの特色があり、器選びによって、料理の引き立ち方が変わります。最近は従来の和食器とはひと味違う若手作家の作品を店でよく使います。料理によって、様々な器を使い分けるのも楽しみのひとつです。
  • 型を踏襲することで生まれる美 日本料理は、季節ごとに作る料理や合わせる器などの「型」があります。刺身や天ぷらなどでは奇数の3種、5種を盛り合わせます。偶数にはしません。厳格に「型」を踏襲することでフランス料理にはない美を表現しています。

シンガポールで活動する 日本食普及の親善大使

シンガポールで日本料理店を経営する前友章宏さんは「日本食普及の親善大使」にも任命されています。海外での料理人の仕事について聞きました。 日本料理「Maetomo」オーナーシェフ 前友章宏さん 大阪あべの辻調理師専門学校を卒業後、日本料理の名店で修業し、2010年にシンガポールへ。日本料理の料理人として仕事を続け、2019年に日本料理「Maetomo」をオープン。2021年に農林水産省の「日本食普及の親善大使」に任命。

  • 日本食の魅力は四季を感じる食材 店で使用する食材のほとんどを日本から仕入れています。日本の食材は季節を感じるものが多く、それをベースに料理を組み立てることで、お客様には1年を通して変化に富んだ料理を楽しんでいただいています。
  • 外国人客が求めるのは本格的な日本料理 日本料理に興味を持ち、本格的な日本料理を食べたいと訪れるお客様のために、現地の方の好みに合わせてアレンジした料理を提供することは、あえてしていません。ほとんどの方が箸を上手に使って食事されています。
  • 日本料理に興味を持つ 料理人も増えている 2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、シンガポールでも和食ブームが起きています。日本料理に興味を持つ現地人も増え、日本食を普及するため、イベント等で日本料理の調理技術のデモンストレーションを行っています。

今週のまとめ

国境を越えて仕事をする3人の料理人は、日本独自の食材や調理法、海外の食文化との違いを理解した上で、個性を活かした仕事を追求しています。日本の食や食文化を支える料理人が世界中で活躍しています。

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お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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