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農林水産省

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知るから始める「みどりの食料システム戦略」

知って納得!
持続可能な食料システム

なぜ今、"食の持続可能性"が大切なのでしょうか。
その背景と目標から私たちの食の今と未来を読み解きます。生産者と消費者をつなぐ戦略のメリットや、環境負荷低減の取り組みを星の数で「見える化」したラベルにも注目!

知ろう!「みどりの食料システム戦略」

2021年5月に策定された「みどりの食料システム戦略」(以下、「みどり戦略」)とは、どのようなものなのでしょうか。その目的や内容、私たちの暮らしとの関わりを解説します。

「みどり戦略」は、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するための政策方針です。日本の食料・農林水産業は、気候変動による大規模な自然災害の増加や、資材調達の不安定化といった課題に直面しています。また、SDGsや環境を重視する国内外の動きが加速しており、日本の食料・農林水産業においても、持続可能な食料システムを確立していく必要性が高まっています。こうした状況から、農林水産省は2021年、「みどり戦略」を策定しました。「みどり戦略」では、2050年までに目指す姿として、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現など、14のKPI(重要業績評価指標)を掲げ、調達から生産、加工・流通、消費までの食料システムの各段階での環境負荷低減に向けた取り組みを進めています。

見る、選べる環境配慮の取り組み

環境に配慮した
生産者の取り組みを「見える化」

近年は消費者の間でも、環境に配慮した農産物への関心が高まっています。2023年に内閣府が行った「食料・農業・農村の役割に関する世論調査」で、「環境に配慮した生産手法の購入に対する意識」を調べたところ、8割以上の人が、「環境に配慮した手法によって生産された農作物を購入したい」と回答しました。しかしその一方で、「購入したことがない」「今後は購入しない」と答えた人のうち、その理由として「どれが環境に配慮した農産物かわからない」と回答した人は6割以上もいることが判明。こうした問題を解決するには、生産者の環境負荷低減の取り組みを「見える化」し、消費者が環境に配慮した農産物を選べる環境を整えることが重要となります。

「みどりの食料システム戦略」の背景と目標。SDGsへの対応強化、気候変動、資材調達の不安定化を背景に、KPIとして農林水産業のCO2ゼロエミッション化、化学農薬使用量(リスク換算)の50%低減、化学肥料使用量の30%低減、耕地面積に占める有機農業の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大することなどを掲げている。
「みえるらべる」の概要。温室効果ガス削減や生物多様性保全への貢献度を星の数で表示し、環境負荷低減に貢献する農産物を消費者が選びやすくする。生産者は環境に配慮した取り組みをPRでき、消費者は購入する商品の選択肢を増やすことができる。

生産者にも消費者にも役立つ「みえるらべる」

農林水産省では、「みどり戦略」に基づき、生産者の環境負荷低減の取り組みの「見える化」を推進しており、その具体的取り組みとして、「温室効果ガス削減」への貢献の度合いを星の数で示す「みえるらべる」が活用されています。化石燃料の使用量等の栽培情報をもとに、地域の標準的な栽培方法(慣行栽培)と比較した削減貢献率を算定。5%以上は星1つ、10%以上は星2つ、20%以上は星3つが付与されます。さらに、米については「生物多様性保全」の取り組みを得点で評価し、星を付与します。現在は、米、野菜、果樹、いも類、茶の24品目が対象で、2026年には牛乳乳製品、牛肉など畜産物の販売実証もスタート。「みえるらべる」の表示によって、生産者は環境負荷低減の取り組みを消費者に伝えることができ、他社製品との差別化により販路拡大が期待できます。一方、消費者は、環境に配慮した商品が一目でわかり、購入の選択肢が増えるなど、双方にメリットがあります。

「みえるらべる」の概要。温室効果ガス削減や生物多様性保全への貢献度を星の数で表示し、環境負荷低減に貢献する農産物を消費者が選びやすくする。生産者は環境に配慮した取り組みをPRでき、消費者は購入する商品の選択肢を増やすことができる。
「見える化」に取り組む企業の現在地

様々な企業や団体が、環境負荷低減に向けた取り組みで「みえるらべる」を取得。「みえるらべる」を表示した商品を通年購入できる店舗も増えています。

「みどり戦略」では2030年度までに、一年を通して「みえるらべる商品」が購入できる店舗等を、47都道府県に拡大する取り組みを進めています。2026年8月時点で26都道府県まで広がっており、スーパーマーケットや道の駅、物産館、通信販売などで「みえるらべる商品」を購入できるほか、ふるさと納税の返礼品としても活用されています。各店舗で、米や茶、「みえるらべる」を取得した野菜の加工品など保存の効く商品を取り扱ったり、複数の品目を販売したりと工夫を凝らし、「みえるらべる商品」の通年販売を実現しています。

牛乳や米などでラベルを表示

県内の酪農家全員で、環境負荷低減を実現

鳥取県の大山(だいせん)乳業農業協同組合は、看板商品の「白バラ牛乳」において、国産飼料の自給拡大に努めたことで、飼料を輸送する際に排出されるCO2の削減に成功しました。その他環境負荷低減に関する様々な取り組みが評価され、「実証用みえるらべる」星2つを取得しました。「大山乳業は全国でも珍しく、県内すべての酪農家が組合員となっている農業協同組合です。環境負荷低減にも、全酪農家が一丸となって取り組んでいることが大きな強みであり、製品のブランド力向上につながると考えています」と語るのは、大山乳業農業協同組合・総合企画室室長の今吉正登さん。「『みえるらべる』取得に向けた調査結果をフィードバックすることで、それぞれの牧場が、どの工程で環境負荷が高くなっているのか再認識でき、運搬用車のアイドリングストップを心がける、作業後すぐに搾乳機の電源を切るなど、持続可能な酪農への意識が高まっていると感じます。現在は星3つの取得を目指しつつ、消費者の方々に『みえるらべる』を理解していただく工夫をしています。他の商品でも『みえるらべる』の取得を検討していきたいですね」(今吉さん)

「多くの人に知っていただくため、SNS等で『みえるらべる』を取得した白バラ牛乳をPRしています」と、大山乳業・広報担当の乾裕一さん。写真提供=大山乳業農業協同組合
(左)秋田県産・栽培期間中農薬不使用の「ササニシキ」。(右)秋田県産・栽培期間中農薬不使用の「サキホコレ」。道の駅では「みえるらべる」の説明書きを添えて販売。写真提供=(有)なるほど舎

長年の環境に配慮した栽培方法で星を獲得

秋田県の(有)なるほど舎では、生産部門の(株)権右衛門(ごんうえもん)が栽培した「ササニシキ」「サキホコレ」「あきたこまち」が、「温室効果ガス削減」「生物多様性保全」への貢献で星3つを取得。インターネットや道の駅で販売しています。なるほど舎の須田美由紀さんは、「長年、栽培期間中は農薬を使用せずに栽培を行っていますが、環境にやさしいお米であることが、お客様に伝わりにくいと感じていました」と話します。「『みえるらべる』をSNSで告知したところ反応が良く、道の駅でも『みえるらべる』についてお客様に質問されるなど手応えを感じています」(須田さん)。また、権右衛門の佐々木唯翔(ゆいと)さんは、「『みえるらべる』で、環境負荷低減に向けた頑張りを評価していただけると同時に、消費者にも我々の取り組みをアピールできます」と語ります。「今後も、鳥海山から流れるきれいな水など、地元の良いところを最大限に活用しつつ環境負荷低減に取り組み、商品に付加価値をつけていきたいです」(佐々木さん)

(左)秋田県産・栽培期間中農薬不使用の「ササニシキ」。(右)秋田県産・栽培期間中農薬不使用の「サキホコレ」。道の駅では「みえるらべる」の説明書きを添えて販売。写真提供=(有)なるほど舎
若いアイディアが未来をつなぐ

「食」に関する課題を解決し、持続可能な社会を目指す「みどり戦略」。その実現に向けて、未来を担う若い世代もさまざまな挑戦を始めています。

未来の日本の主役となる若い世代に「みどり戦略」を知ってもらい、持続可能な食料・農林水産業を実現するための課題解決への挑戦のきっかけに、との目的で、農林水産省は2024年に「みどり戦略学生チャレンジ」をスタートしました。これは農業に関係する教育機関に限らず、幅広い高校、大学・専門学校の学生を対象に、「みどり戦略」に関わる地域の課題解決の実践と成果をポスターにまとめて提出してもらうもの。審査委員会による審査の結果、優秀な取り組みに対して「農林水産大臣賞」などの表彰が行われます。第2回となる2025年は全国から387チームが参加。地域に根ざしたテーマに対し、独自のアイディアで挑戦する様子が寄せられました。家庭での食品ロス削減に対する取り組みで「大臣官房長賞」を受賞した、京都先端科学大学附属高等学校「SDGs飯プロジェクトチーム」にお話を伺いました。

規格外野菜を活用して開発した商品「惣菜のもと」の例。京風のやさしい味付けを特徴とし、パッケージにも工夫を凝らしている。学生が商品づくりに携わった事例として、「きょうのなすび。」のパッケージが紹介されている。
家庭での食品ロスを減らしたい

冷蔵庫で忘れ去られる野菜を救う

2020年から活動を始めた京都先端科学大学附属高校「SDGs飯プロジェクトチーム」。京都府久御山町(くみやまちょう)で京野菜を生産する石﨑信也さん((株)しんやさい代表)との縁がきっかけで産地に足を運ぶ中、スーパーや飲食店に出荷できない規格外野菜の存在を知ります。「味に影響はないのに、傷や変色があるせいで捨てられる野菜があることに驚きました。それをきっかけに規格外野菜の即売会を行うなど、活用方法を模索してきました」とリーダーの田中陸翔(りくと)さん。2025年には料理初心者でも使いやすい、長ナス入りの惣菜のもと「きょうのなすび」を開発しました。こうした活動をとおして、野菜を使い忘れて冷蔵庫で腐らせてしまうケースもあることを知り、家庭での食品ロス削減対策を考えるようになりました。

規格外野菜を活用して開発した商品「惣菜のもと」の例。京風のやさしい味付けを特徴とし、パッケージにも工夫を凝らしている。学生が商品づくりに携わった事例として、「きょうのなすび。」のパッケージが紹介されている。
規格外野菜の活用と「デジタブル」の取り組み。京都市内のマルシェで規格外野菜の即売会を行い、来場者に生産者と消費者をつなぐ「デジタブル」を紹介。野菜に付けたQRコードから情報を確認でき、食品ロス削減や生産者と消費者のつながりづくりを目指している。
「生産者との連携を強化して、捨てられる野菜の削減に貢献したい」と話す「SDGs飯プロジェクトチーム」のメンバー

「リマインドQRコード」で使い忘れを防ぐ

そこで開発したのが「リマインドQRコード」です。野菜に貼付したQRコード※をスマホでスキャンするだけで、設定日時が近づくと通知とレシピのURLが表示されるというもの。「スマホの標準カレンダーとの連携なので、アプリのダウンロードや個人情報の登録は不要。簡単に利用できるのが特長です」と、チーム内技術班の近藤優樹さん。お客様からは「野菜を使い切れた」「これなら続けられそう」といった声が。現在はこの技術を「デジタブル」と名づけ、AIによるレシピ提案や生産者に感想を届ける機能を付加するなど、使いやすさの向上を目指して開発を続けているそうです。この他2025年の「みどり戦略学生チャレンジ」では、ホップの抗菌作用でソーセージを長期保存する研究(岩手県立花巻農業高等学校)や焼酎粕を活用した高付加価値のきのこ生産(鹿児島工業高等専門学校)など、多様な取り組みが見られました。

「QRコード」は(株)デンソーウェーブの登録商標です。

「生産者との連携を強化して、捨てられる野菜の削減に貢献したい」と話す「SDGs飯プロジェクトチーム」のメンバー
規格外野菜の活用と「デジタブル」の取り組み。京都市内のマルシェで規格外野菜の即売会を行い、来場者に生産者と消費者をつなぐ「デジタブル」を紹介。野菜に付けたQRコードから情報を確認でき、食品ロス削減や生産者と消費者のつながりづくりを目指している。
「生産者との連携を強化して、捨てられる野菜の削減に貢献したい」と話す「SDGs飯プロジェクトチーム」のメンバー

撮影=小林禎弘
  イラストレーション=シマノアヤ子

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