ゲノム編集技術により作出された生物とカルタヘナ法との関係
ゲノム編集技術などの、新たな育種技術により作出された生物のカルタヘナ法上の整理及び取扱方針については、中央環境審議会にて議論されました。
中央環境審議会における議論について
中央環境審議会(環境省)では、ゲノム編集技術の利用方法などを考慮し、現行のカルタへナ法で規定されている「遺伝子組換え生物等」の定義に照らして、どのような生物までが「遺伝子組換え生物等」に該当するか否かが検討されました。
また、「遺伝子組換え生物等」に該当しないとされる生物について、生物多様性への影響の防止の観点から、どのように取り扱うべきかが議論されました。
詳細な議論の概要については、中央環境審議会自然環境部会遺伝子組換え生物等専門委員会[外部リンク]のページからご覧いただけます。
カルタヘナ法上の整理及び取扱方針について
中央環境審議会での議論を受けて取りまとめられた、ゲノム編集技術により作出された生物についての取扱方針では、
ア)細胞外で加工された核酸が残存していない生物は、カルタへナ法の対象外である
イ)カルタへナ法の対象外である生物についても、当面、使用者に対し主務官庁への一定の情報提供を求めることとし、生物多様性影響が生ずるおそれに関し疑義があった場合は、主務官庁は当該使用者に対し、必要な措置をとる
とされました。
また、ゲノム編集以外の新たな育種技術により作出された生物についても、可能な限り、同様の考え方に従って整理することとされました。
今後、こうした仕組みのもとで得られた情報を含め、カルタへナ法の対象外である生物の生物多様性への影響に関する科学的な知見を蓄積し、蓄積された情報を考慮して、新たな規制の必要性の有無等も含め、対応を見直すこととしています。
中央環境審議会での議論を踏まえ、環境省から以下のとおり通知が発出されています。
カルタへナ法の対象外である生物の情報提供等について
中央環境審議会に報告された取扱方針では、拡散防止措置(注)をとらずに該当する生物を使用等する者に対し、次のような情報を、使用の前に提供するよう求めることとされています。また、このうち、一定の情報が公表されることになっています。
(a) カルタヘナ法に規定される細胞外で加工した核酸又はその複製物が残存していないことが確認された生物であること
(b) 改変した生物の分類学上の種
(c) 改変に利用したゲノム編集の方法
(d) 改変した遺伝子及び当該遺伝子の機能
(e) 当該改変により生じた形質の変化
(f) (e)以外に生じた形質の変化の有無(ある場合はその内容)
(g) 当該生物の用途
(h) 当該生物を使用した場合に生物多様性影響が生ずる可能性に関する考察
(注) 当該生物の使用に当たって、施設、設備その他の構造物を用いることその他必要な方法により施設外の大気、水又は土壌中に当該生物が拡散することが防止されるものとして、農林水産省(農林水産業を行う場合)が定めた措置。
農林水産省では、環境省から発出された通知を踏まえ、農林水産分野における当該生物の情報提供について学識経験者からの意見を聴くとともに、パブリックコメントや意見交換会等にて寄せられた御意見や情報も参考に、農林水産分野における情報提供等に関する具体的な手続を定めました。
- 手続の骨子案についての意見・情報の募集(パブリックコメント)の結果[外部リンク]
- 「ゲノム編集技術を利用して得られた食品等に関する意見交換会」
- 通知「農林水産分野におけるゲノム編集技術の利用により得られた生物の生物多様性影響に関する情報提供等の具体的な手続について(PDF : 353KB)」
情報提供に際しては、事前にその内容を確認した上で受け付けることとしています。手続の詳細については、こちらをご覧ください。
お問合せ先
消費・安全局農産安全管理課
担当者:組換え体企画班
代表:03-3502-8111(内線4510)
ダイヤルイン:03-6744-2102
FAX番号:03-3580-8592