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農林水産省

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クロロプロパノール類及びその関連物質をめぐる国際的な動向

作成日:2019年3月28日
更新日:2022年6月2日


コーデックス委員会は、3-MCPDを高濃度に含む酸加水分解植物性たんぱく(アミノ酸液)を原料とする液体調味料の流通を防ぐため、3-MCPDの最大基準値を設定しました。また、同調味料の製造工程における3-MCPD低減のための実施規範を策定しました。
農林水産省は、国内事業者と協力して、アミノ酸液の製造時のアルカリ処理が3-MCPD濃度の低減に有効であるという情報を提供し、実施規範の策定に貢献しました。また、農林水産省は、アミノ酸液及びそれを原料とするしょうゆ中の3-MCPDの低減措置を策定・普及し、実態調査の結果、低減措置が有効であることを確認しました。

コーデックス委員会は、さらに、精製油脂及び当該油脂を使用した製品中の3-MCPD脂肪酸エステル類及びグリシドール脂肪酸エステル類の低減のための実施規範を策定しました。農林水産省は、国内事業者と協力し、低減技術に関する情報を提出し、この実施規範に反映させました。

国際機関の取組

酸加水分解植物性たんぱくを原料とする調味料中のクロロプロパノール類について

コーデックス委員会は、2000年から食品中のクロロプロパノール類について検討を行いました。これまでに、

  1. 酸加水分解植物性たんぱくやそれを原料とする製品の製造過程で3-MCPDを低減するための実施規範を策定(2008年7月の第31回総会で最終採択) しました。
    実施規範は、コーデックス事務局ウェブサイトのコーデックス食品規格リスト〔外部リンク〕から入手できます。
    農林水産省は、この実施規範の策定にあたり、国内の食品事業者と協力し、アルカリ処理を導入したアミノ酸液の製造法及び3-MCPD低減の有効性に関する情報を提供するなどして貢献しました。また、アミノ酸液及び及びそれを原料とするしょうゆ中の3-MCPDの低減措置を策定・普及し、実態調査の結果、低減措置が有効であることを確認しました。
    Code of Practice for the Reduction of 3-Monochloropropane-1,2-diol (3-MCPD) during the Production of Acid-Hydrolyzed Vegetable Protein (Acid-HVPs) and Products that Contain Acid- HVPs(CAC/RCP 64-2008)
  2. 酸加水分解植物性たんぱくを含む液状調味料(本醸造しょうゆを除く)の3-MCPDの最大基準値:0.4 mg/kgを設定 (2008年7月の第31回総会で最終採択)しました。

調味料中のクロロプロパノール類について、コーデックス委員会における実施規範策定及び最大基準値設定までの検討の詳細についてはコーデックス食品汚染物質部会における検討経緯をご覧ください。


ALARAの原則~食品に含まれる汚染物質の基本的な考え方~

国際的に、汚染物質の基準値を設定する際の基本となっている考え方に、食品中の汚染物質を“無理なく到達可能な範囲でできる限り低く(ALARA: As Low As Reasonably Achievable)”すべきであるというものがあり、ALARAの原則と呼ばれています。
コーデックス委員会が食品に含まれる汚染物質の基準値設定等のリスク管理措置を検討する際にも、この考え方に基づき、消費者の健康が確保されていることを条件に、生産や取引の不必要な中断を避けるために食品中の汚染物質の通常の濃度範囲よりもやや高いレベルを考慮します。この際には、適切な生産技術や手段により、可能な範囲でできるかぎり汚染されないように生産、製造された食品の濃度データのみを活用することが前提となっています。そのため、コーデックス委員会は、適切な生産・製造の指針を示す実施規範の策定を優先的に行っており、こうした対策が有効でない場合や十分でない場合には基準値の設定を検討します。

精製油脂及び当該油脂を使用した製品中の3-MCPD脂肪酸エステル類及びグリシドール脂肪酸エステル類について

国際的なリスク評価機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)が、油脂や乳児用調製乳中の3-MCPD脂肪酸エステル類及びグリシドール脂肪酸エステル類の濃度を下げるための努力が必要と勧告しました。このことを受け、コーデックス委員会は、2019年に、「精製油脂及び当該油脂を使用した製品中の3-MCPD脂肪酸エステル類及びグリシドール脂肪酸エステル類の低減のための実施規範」を策定しました。

この実施規範には、食用精製油脂を作ったり、油脂を使って食品を作ったりする工程で、3-MCPD脂肪酸エステル類及びグリシドール脂肪酸エステル類を合理的に達成可能な範囲でできる限り減らすための対策を含んでいます。農林水産省は、効果的かつ実用的な実施規範を作るため、国内の関係事業者と協力し、関係事業者が実施している低減技術に関する情報や意見を提出し、実施規範に反映させました。

(低減対策を行う食品製造工程の例)
  • 油脂の原料を作る工程(例:油糧作物の収穫・保管)
  • 油脂を精製する工程(例:脱ガム、脱色、脱臭)
  • 油脂を用いた食品(特に乳幼児用調製乳)を作る工程(例:原料油種の選定、加工)

Code of Practice for the Reduction of 3-Monochloropropane-1,2- Diol Esters (3-MCPDEs) and Glycidyl Esters (GEs) in Refined Oils and Food Products Made With Refined Oils (CXC 79-2019)(PDF:145KB)〔外部リンク〕

諸外国の取組

EUの取組

調味料中の3-MCPDの最大基準値の設定

1996年、EUの食品科学委員会(SCF)は、3-MCPDは発がん物質であり、いかなる分析方法によっても食品から検出されるべきでないと判断しました。しかし、その後の新たな研究成果から、2001年には3-MCPDは発がん性を示さないと結論しました。そして、発がん性がないことから、3-MCPDの耐容一日摂取量(TDI)を設定することは適当であり、これを2 µg/kg 体重とする意見を出しました。これを受け、2001年3月に、欧州委員会(EC)が酸加水分解植物性たんぱくとしょうゆ中の3-MCPDの最大基準値を設定しました。さらに、同年10月には、10か国(うち1か国はEU非加盟国であるノルウェー)が食品中のクロロプロパノール類の実態を調査し、2004年6月に調査報告書をEUのウェブサイト〔外部リンク〕で公表しました。

※1997年に設立された、食品の安全性に関して、独立した科学的な助言を欧州委員会などに与える機関です。現在は、2002年に新設された欧州食品安全機関(EFSA)に所属しています。

食品事業者による3-MCPD脂肪酸エステル類及びグリシドール脂肪酸エステル類低減の努力

国内外の食品関係事業者は、食品中の3-MCPD脂肪酸エステル類やグリシドール脂肪酸エステル類を減らす方法を調査・研究しています。欧州の事業者団体は、研究の成果として得られた低減技術の情報を一覧にまとめて公表しました(参考1、2)。さらに、低減の効果を確かめるため、事業者自ら製品中のこれら物質の含有実態を調査し、得られたデータを欧州委員会等に提出しました。このデータは、EUにおける基準値の設定にも活用されました。

<参考1>
欧州の植物油の事業者団体(FEDIOL)は、油脂を作る工程で使えそうな低減技術とその特徴を一覧にまとめて公表しました。また、自主的な目標値として、植物油脂中のグリシドール脂肪酸エステル類の濃度を、2017年9月までに1 mg/kg以下にすることとしました。
Review of mitigation measures for 3-MCPD esters and Glycidyl esters(PDF:621KB) 〔外部リンク〕

<参考2>
ドイツの食品事業者団体(BLL)は、油脂の原料を作る工程、油脂を精製する工程、油脂を使って食品を加工・調理する工程など、食品を作る各工程で使えそうな低減技術や、その技術の特徴を一覧にまとめて公表しました。 
Toolbox for the Mitigation of 3-MCPD Esters and Glycidyl Esters in Food(PDF:615KB)〔外部リンク〕

精製油脂及び乳児用調製乳等中の3-MCPD脂肪酸エステル類及びグリシドール脂肪酸エステル類の最大基準値の設定

欧州委員会(EC)は、欧州食品安全機関(EFSA)による健康影響評価の結果(リンク)や、事業者が提出した濃度実態データを考慮して、各種食品の3-MCPD脂肪酸エステル類、グリシドール脂肪酸エステル類の最大基準値を検討してきました。2021年1月1日現在、食用植物油脂、魚油及びその他の海洋生物由来油脂や乳幼児用調製乳等の3-MCPD脂肪酸エステル類、グリシドール脂肪酸エステル類の最大基準値を設定・施行しています。

EFSAの評価では、乳児や10歳未満の子どもは健康への懸念が低いといえる量よりも多くのグリシドール脂肪酸エステル類を摂っている可能性があるとされたため、乳幼児用食品の原料用の油脂、乳幼児用調製乳等については、植物油脂の基準値より厳しい基準値を設定しました。2018年2月のEU官報 〔外部リンク〕によると、乳幼児用調製乳等のグリシドール脂肪酸エステル類について、より感度の高い分析法を開発し、その分析結果に応じてより低い基準値の設定を検討することとしています。また、2020年9月のEU官報 〔外部リンク〕によると、乳幼児用調製乳等の3-MCPD脂肪酸エステル類について、2021年1月1日から2年以内により低い基準値の設定を検討 することとしています。

米国の取組

米国食品医薬品局(FDA)は、食品中の3-MCPD脂肪酸エステル類、グリシドール脂肪酸エステル類低減に向けた各種取組をウェブページ[外部リンク](2020年10月掲載)で紹介しています。FDAは、乳児の健康保護の観点から、精製油脂や乳児用調製乳のこれら物質の分析方法を開発し、含有実態を調査するとともに、経口摂取量を推定しました。また、乳児用調製乳の安全を確保するため、関係業界、3-MCPDE脂肪酸エステル類とグリシドール脂肪酸エステル類の健康への影響や、これらの汚染物質の低減方法に関する情報を共有してきました。FDAと業界が協力して取り組んだ結果、近年、米国で流通する乳児用調製乳のこれら物質の濃度は低減傾向にあると報告されています。

主な国の食品中の基準値(2022年6月2日現在)NEWアイコン

主に以下の国が、食品に含まれるクロロプロパノール類やその関連物質に関する基準値を設定しています。なお、食品の輸出に携わる方は、原典の確認や各国関係当局への問合せ等により、最新状況や基準値が適用される食品の範囲等をご確認ください。

3-MCPD及び3-MCPD脂肪酸エステル類


国/地域


食品


基準(mg/kg 食品)
3-MCPD当量)


米国


酸加水分解植物性たんぱく


1   
(業界自主基準)


カナダ


しょうゆ、オイスターソース等


1.0 
(暫定基準)


オーストラリア
ニュージーランド


しょうゆ、オイスターソース


0.2


スイス


Savory sauces


0.2

EU

 


しょうゆ、酸加水分解植物性たんぱく


0.02
※1


ココナツ油、トウモロコシ油、なたね油、ひまわり油、大豆油、パーム核油、オリーブ油(精製オリーブ油と未精製オリーブ油から成る)及びこれらの調合油注1

1.25


その他の植物油脂(オリーブ搾りかす油※2を含む)、魚油、その他の海洋生物由来油脂及びこれらの調合油注1

2.5

-上記2つのカテゴリの油種の調合油注1


製品中の油種の比率に沿って按分した濃度 (組成不明の場合、2.5


乳児用食品及び乳幼児用穀類加工品原料用の植物油脂、魚油、その他の海洋生物由来油脂及びこれらの油脂の調合油注1

0.75


乳児用調製乳※3、乳児用フォローアップミルク※4、特殊用途育児食品及び幼児用調製乳※5、注1


0.125
(粉末)
0.015(液体)

マレーシア


酸加水分解植物性たんぱくを含む食品


0.02


酸加水分解植物性たんぱく


1.0


精製パーム核油


1.25
202311日施行予定)


精製パーム油


2.5
202311日施行予定)


シンガポール


しょうゆ及びオイスターソース


0.02※6


タイ


大豆たんぱくを原料とする加水分解又は発酵調味料


0.4 (固形分40%以下)
1    (固形分40%超)


フィリピン


しょうゆ


1



中国



酸加水分解植物性たんぱくを含む固体調味料注2


1


酸加水分解植物性たんぱくを含むその他形態の調味料注2


0.4


台湾


しょうゆ及びしょうゆ加工品


0.3


香港


酸加水分解植物性たんぱくを含む固体調味料


1
2023年6月1日施行予定)


酸加水分解植物性たんぱくを含むその他形態の調味料


0.4
2023年6月1日施行予定)

韓国


酸加水分解しょうゆ、混合しょうゆ
(酸加水分解しょうゆ又はその原液を混合したものに限る)


0.02


酸加水分解植物性たんぱく


1.0


UAE


しょうゆ


1


注1  2021年1月1日以前に市場に流通していた製品は、賞味期限まで販売が可能です(しょうゆ、酸加水分解植物性たんぱく以外該当)。
注2  2013年6月1日より施行。最新の官報は2021318日に中国国家衛生健康委員会Webページに公表。

※1液状製品の重量比40%の固形分(乾燥重量)を含む液状製品に対して0.02 mg/kgとしたもの(固形分における濃度は0.05 mg/kg乾燥重に相当)。製品中の固形分の割合に応じて調整する必要があります。
例えば、液状製品の重量比20%の固形分(乾燥重量)含む製品の場合、当該製品に適用される最大基準値は0.01 mg/kgとなります。
※2オリーブ油(エキストラバージンオリーブ油等)を搾った後のオリーブの搾りかすから、さらに抽出して得られた油のことをいいます。
※3離乳食を開始する前の乳児のための調製乳(infant formula)のことをいいます。
4離乳食を開始した乳児のための調製乳(follow-on formula)のことをいいます。
51~3歳の幼児のための、乳ベース又は類似のたんぱく質ベースの製品(young-child formula)のことをいいます。
6重量比40%の固形分(乾燥重量)を含む製品に対して0.02 mg/kgとしたもの。

グリシドール脂肪酸エステル類


国/地域


用途


食品


基準値(mg/kg食品)
(グリシドール当量)

EU

 


以下の用途以外


直接消費用及び加工食品の原料用の食用植物油脂、魚油及びその他の海洋生物由来油脂(乳幼児用を除く)


1


乳幼児用


乳児用食品及び乳幼児用穀類加工品の原料用の食用植物油脂、魚油及びその他の海洋生物由来油脂


0.5


乳幼児用


乳児用調製乳※1、乳児用フォローアップミルク※2、特殊用途育児食品及び幼児用調製乳※3


0.05
(粉末)
0.006(液体)

ユーラシア経済連合(EEU※4


以下の用途以外


直接消費用及び加工食品原料用の食用植物油脂


1


乳幼児用


乳児用調製乳※1及び部分加水分解たん白由来製品


0.05
(粉末)
0.006(液体)


乳幼児用


生後6か月以上の乳児用の調製乳(粉ミルク、液体ミルク、生乳及び酸乳)


製品毎


乳幼児用


治療用途の乳児用製品
・ 低/無ラクトース製品
・ 分離大豆たん白由来製品
・ 完全加水分解たん白由来製品
・ 低/無フェニルアラニン製品(1歳以上)


0.006


乳幼児用


未熟児用製品


0.006


幼児用


幼児用製品の製造に使用される植物油


0.5


マレーシア 


食用


精製パーム核油及び精製パーム油



1
202311日施行予定)

台湾

以下の用途以外

     直接消費用及び加工食品の原料用の
     食用植物油脂※5、魚油及びその他の
     海洋生物由来油脂注1


1
  (202411日施行予定)


乳幼児用


乳幼児用穀類加工品及び乳児用補助食品の原料用の食用植物油脂、魚油及びその他の海洋生物由来油脂注1


0.5
202411日施行予定)


乳幼児用


乳児用調製乳※1、乳児用フォローアップミルク※2、特殊用途育児食品及び幼児用調製乳※3、


0.05
(粉末)
0.006(液体)


香港

 


乳幼児用


乳児用調製乳※1、及びフォローアップミルク2、注2(主に12か月以下の乳児用)(粉)

0.05(粉末)
(2023年6月1日施行予定)


乳幼児用


乳児用調製乳※1、及びフォローアップミルク2、注2主に12か月以下の乳児用)(液体)

0.006(液体)
(2023年6月1日施行予定)


注1  台湾の食用油脂に関する基準値については、2024年1月1日施行予定です。
注2  香港の乳児用調製乳及びフォローアップミルク(主に12か月以下の乳児用)の基準値については2023年6月1日施行予定です。

※1  離乳食を開始する前の乳児のための調製乳(infant formula)のことをいいます。
2  離乳食を開始した乳児のための調製乳(follow-on formula)のことをいいます。
3  1~3歳の幼児のための、乳ベース又は類似のタンパク質ベースの製品(young-child formula)のことをいいます。
4  ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスが加盟する地域経済同盟。
5  未精製油を除きます。

 

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

担当:化学物質管理班
代表:03-3502-8111(内線4453)

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