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農林水産省

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加工食品に含まれる鉛の実態調査

2021年3月31日公表
2023年9月27日更新

農林水産省はこれまで、国内で流通している加工食品を対象に、鉛の含有実態を調査しました。結果の概要は下表のとおりです。
なお、2016年度までの農産物や畜産物を含めた調査結果については、「有害化学物質含有実態調査結果データ集」にも掲載しています。
事業者による自主的な鉛の低減対策についても本ページで紹介いたします。

 
調査年度 品目 分析点数 定量下限
[mg/kg]
定量下限未満 最小値
[mg/kg]
最大値
[mg/kg]
平均値2
[mg/kg]
中央値3
[mg/kg]
点数 割合1
2011 スイートコーン缶詰 39 0.02 37 95% <0.02 0.02 0.00-0.02 -
2011 ゆであずき缶詰 39 0.02 39 100% <0.02 - 0.00-0.02 -
2011 トマト缶詰 33 0.02 32 97% <0.02 0.02 0.00-0.02 -
2013 果実缶詰
事業者による取組はこちら
103 0.01 14 14% <0.01 0.19 0.06-0.06 0.03
2016 120 0.01 31 26% <0.01 0.06 0.02-0.02 0.01
2013 果実飲料4 30 0.01 29 97% <0.01 0.01 0.00-0.01 -
2013 乳製品5 30 0.01 39 98% <0.01 0.01 0.00-0.01 -
2013 調製粉乳等6 40 0.01 19 95% <0.01 0.01
(0.0014)
0.00-0.01
(0.0000-0.0013)
-
2015 ぶどうジュース 30 0.01 22 73% <0.01 0.02 0.00-0.01 -
2015 豆類加工品 10 0.01 10 100% - - 0.00-0.01 -
2015 農産物漬物等7
2022年度調査の詳細はこちら
38 0.01 7 18% <0.01 0.18 0.05-0.05 0.04
2022 60 0.010 33 55% <0.010 0.172 0.027-0.032 -
2015 ジャム類 30 0.01 30 100% - - 0.00-0.01 -
2018 食用植物油脂 36 0.01 36 100% - - 0.00-0.01 -
2018 マーガリン、ファットスプレッド及びショートニング 15 0.01 15 100% - - 0.00-0.01 -
2018 牛脂及び調製ラード 10 0.02 10 100% - - 0.00-0.02 -
2019 緑茶8
詳しくはこちら
120 0.1 77 64% < 0.1 2.4 0.08-0.14 -
2018-2019 小麦粉 220 0.01 219 100% <0.01 0.01 0.00-0.01 -
2020 魚缶詰9 固形物 40 0.005 15 38% <0.005 0.05 0.01-0.01 0.01
液汁 0.006-0.02110 38 95% <0.006 <0.02 0.00-0.01 -
2022 砂糖類11 71 0.010 45 63% <0.010 0.049 0.008-0.014 -
2022 でんぷん糖類12 35 0.010 35 100% - - 0.00-0.01 -
2022 その他の甘味料類13 25 0.010 13 52% <0.010 0.090 0.019-0.024 -
2022 飴菓子類 120 0.010 115 96% <0.010 0.039 0.001-0.010 -

  1. 定量下限未満の割合は、定量下限未満の点数を全分析点数で除し、百分率(小数点第1位は四捨五入)で記載しています。
  2. 平均値1及び平均値2を算出し、平均値1から平均値2の範囲を記載しています。
    平均値1:定量下限未満の濃度をゼロとして算出(LB)
    平均値2:定量下限未満の濃度を定量下限値として算出(UB)
  3. 複数のデータを数値が小さい方から順に並べた時、中央に位置する値です。定量下限未満の割合が50%以下の場合にのみ記載しています。
  4. 果実飲料の農林規格(平成10年7月22日農林水産省告示第1075号)における果実ジュース、果実ミックスジュース、果粒入り果実ジュース及び果実・野菜ミックスジュースのうち、加糖していないものが対象です。
  5. バター、クリーム、チーズ等。
  6. カッコ外の数値は、粉末状態の製品当たりの分析値です。カッコ内の数値は調乳後の推定値(粉末状態の各製品の鉛濃度を、各製品に示されている希釈倍率で除した値。単位はmg/L)です。
  7. 2015年度調査はきゅうりの漬物、2022年度調査は梅干し等の梅を主原料とする加工食品が対象です。
  8. 茶葉当たりの分析結果です。
  9. 缶詰の内容物を固形物と液汁に分け、それぞれを分析しました。
  10. 缶詰の種類(水煮、油漬等)によって液汁中の定量下限が異なります。
  11. 上白糖などの分蜜糖(直接消費しない粗糖を含む。)、黒糖などの含蜜糖。一部、一般に市場に流通しないものを対象としています。
  12. 異性化液糖、みずあめ、グルコース、マルトース。いずれも一般に市場に流通しないものを対象としています。
  13. メープルシロップ、糖蜜、黒蜜、はちみつ。一部、一般に市場に流通しないものを対象としています。

事業者による自主的な鉛の低減対策成功例について(果実缶詰)

農林水産省が2013年度に果実缶詰中の鉛濃度の含有実態を調査した結果、国産原料を使用して国内で製造された缶詰の一部の製品において、鉛濃度が 0.1 mg/kg以上と比較的高い濃度の製品があることが分かりました。
缶詰・製缶事業者と連携してこの原因を調査した結果、缶の材料であるスズめっき鋼材に不純物として含まれる鉛が溶出したものである可能性が高いことが判明しました。

その後、我が国の鋼材製造事業者は、スズめっき鋼材の鉛濃度を低減する対策を自主的に導入しました。
農林水産省では、鉛低減対策が導入されたスズめっき鋼材を使用すれば鉛の溶出を抑制できることを確認するため、2016年度に、一般に流通する果実缶詰中の鉛濃度を調査しました。
その結果、果実缶詰中の鉛濃度は2013年度の調査結果と比較して統計学的に有意に低下しており、鋼材製造事業者が導入した低減対策が有効であることが確認できました。
また、2016年の調査の結果、国内で流通する果実缶詰中の鉛濃度は、2015年に採択されたコーデックス基準値(0.1 mg/kg)に適合していることが分かりました。

缶詰は長期間の保存が可能な食品です。
そこで、鉛の低減対策済みの鋼材を使用して果実缶詰を製造すれば、賞味期限内の保管中に鉛の溶出が抑制されることを確認するため、製造日以降に経時的に同一ロットの果実缶詰を採取し、鉛濃度を分析しました。
その結果、保管期間中に鉛濃度が著しく上昇することはなく、低減対策によって缶からの鉛の溶出が抑制されたことが分かりました。

pbCAN.png

梅加工品中の鉛について

国内で流通する梅干し等の梅を主原料とする加工食品(以下「梅加工品」といいます。)に含まれる鉛の実態を把握するため、2022 年度に60 点を分析しました(上記の表の「農産物漬物等」参照)。分析の結果、国産の梅を原材料とした梅加工品の方が、海外産の梅を原材料とした梅加工品よりも鉛が低濃度であることが確認されました。また、下表のとおり、食事全体からの鉛の摂取量に占める梅加工品からの摂取量の割合は、国産梅、海外産梅のどちらを原材料とした梅加工品であっても小さく、リスク管理措置を講じる必要性は低いと判断しました。

表  梅加工品からの鉛の推定摂取量及び食事からの鉛の推定一日摂取量に占める割合

推定摂取量1
(µg/日)
食事からの鉛の推定一日摂取量2
占める割合(%)
国産梅を原材料とした梅加工品 0.067 0.76
海外産梅を原材料とした梅加工品 0.40 4.5
  1. 平均鉛濃度に平均消費量を乗じて算出した。
    平均鉛濃度は、今回の調査で得られた果肉中の鉛濃度を用いて(定量下限未満の濃度は定量下限値(0.010 mg/kg)とする。)平均値を算出した。
    平均消費量は、令和元年国民健康・栄養調査における「たくあん・その他の漬け物」の摂取量の平均値を用いた。なお、当該食品群には梅加工品以外の食品も含まれるため、過大な推定になる可能性があることに留意が必要である。
  2. 食事からの鉛の推定一日摂取量として8.88 μg/日(2019 年、マーケットバスケット方式による調査)を用いた(鉛の食品健康影響評価(2021 年、食品安全委員会))。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

担当者:化学物質管理班
代表:03-3502-8111(内線4453)
ダイヤルイン:03-3502-8731