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農林水産省

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第5節 農業経営の安定化に向けた取組の推進



自然災害や価格低下等の様々なリスクに対応し、農業経営の安定化を図るためには、収入の減少を補償する収入保険や、諸外国との生産条件の格差から生ずる不利を補正するための対策等の推進が重要となっています。本節では、これらの取組の推進状況について紹介します。

(1)収入保険の普及促進・利用拡大

(収入保険への加入者は令和4(2022)年2月末時点で約7.6万経営体)

収入保険は、農業者の自由な経営判断に基づき収益性の高い作物の導入や新たな販路の開拓にチャレンジする取組等に対する総合的なセーフティネットであり、品目の枠にとらわれず、自然災害だけでなく価格低下等の様々なリスクによる収入の減少を補償しています。

収入保険制度が始まった令和元(2019)年は、様子見の農業者も多かったものの、農業者の声を踏まえた制度改善を行うなどの普及促進に取り組んだ結果、加入者は着実に増加しています。令和3(2021)年は、加入者数を5万5千経営体にする目標に対し、新型コロナウイルス感染症の影響で農業者の関心が高まったこと等を背景に、前年に比べ約2.3万経営体増加し、5万9,084経営体となりました。これは青色申告を行っている農業経営体(*1)(35.3万人)の16.7%に当たります。

さらに、令和4(2022)年の加入実績は、7万1千経営体の目標に対して、同年2月末時点で7万5,663経営体となっています(図表2-5-1)。なお、自然災害による損害を補償する農業共済と合わせた農業保険全体で見た場合、令和2(2020)年産の水稲の作付面積の83%、麦の作付面積の97%、大豆の作付面積の80%が加入していることになります。

図表2-5-1 収入保険の加入経営体数と加入割合

データ(エクセル:31KB / CSV:2KB

また、令和2(2020)年の収入保険の支払実績は、令和4(2022)年2月末時点で、1万3,512件、343億円となりました。無利子のつなぎ融資(*2)については、同月末時点で、累計で6,160件、255億円の貸付けが行われており、このうち新型コロナウイルス感染症を要因とするものは、1,750件、87億円となっています。

農林水産省は、同年の収入保険から、加入申請を農林水産省共通申請サービス(eMAFF(*3))で行えるようにするとともに、継続加入者向けに自動継続特約を設けるなど、加入者の利便性の向上を図るための見直しを実施しました。今後も農業者の声を聴きながら、収入保険の利用拡大を図り、収入保険の加入経営体数を令和4(2022)年度に10万経営体とする目標に向けて取り組んでいきます。

*1 用語の解説1、2(1)を参照

*2 全国農業共済組合連合会が実施する、収入保険の保険期間中であっても補填金の受取が見込まれる場合に受けることができる制度

*3 トピックス4第2章第8節を参照

(2)経営所得安定対策の着実な実施

(担い手に対する経営所得安定対策を実施)

経営所得安定対策は、農業経営の安定に資するよう、諸外国との生産条件の格差から生ずる不利を補正するための畑作物の直接支払交付金(以下「ゲタ対策」という。)や農業収入の減少が経営に及ぼす影響を緩和するための米・畑作物の収入減少影響緩和交付金(以下「ナラシ対策」という。)を交付するものです。

令和3(2021)年度の加入申請状況を見ると、ゲタ対策は、加入申請件数が前年度に比べ593件減少の4万1,592件となった一方、作付計画面積は、前年度に比べ1万ha増加の51万haとなりました。また、ナラシ対策は、収入保険への移行のほか、継続加入者についても、主食用米の作付面積を減らしたこと等により、加入申請件数が前年度に比べ9,825件減少の6万8,213件、申請面積は前年度に比べ11万ha減少の71万8千haとなりました(図表2-5-2)。

図表2-5-2 経営所得安定対策の加入申請状況

データ(エクセル:27KB / CSV:2KB

(3)農業金融

(農業向けの新規貸付けは近年増加傾向)

農業向けの融資においては、農協、信用農業協同組合連合会、農林中央金庫(以下「農協系統金融機関」という。)と地方銀行等の一般金融機関が短期の運転資金や中期の設備資金を中心に、株式会社日本政策金融公庫(にっぽんせいさくきんゆうこうこ)(以下「公庫」という。)がこれらを補完する形で長期・大型の設備資金を中心に、農業者への資金供給の役割を担っています。直近5年間(平成27(2015)~令和2(2020)年度)の農業向けの新規貸付額の伸びを見ると、農協系統金融機関は1.6倍、公庫は2.0倍、一般金融機関は0.9倍で、全体として増加傾向にあります(図表2-5-3)。

また、金融システムの安定に係る国際的な基準に対応するための「農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律」が令和3(2021)年6月に成立しました。

図表2-5-3 農業向けの新規貸付額

データ(エクセル:31KB / CSV:1KB



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