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トピックス6 農業と福祉の課題を解決する「農福連携」を推進


「農福連携」は、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組です。近年、農業分野での労働力の確保が喫緊の課題となる中で、農福連携の取組が各地で盛んになっています。

以下では、農業と福祉の双方の課題解決につながる農福連携の取組について紹介します。

(農福連携に取り組む主体数は前年度に比べ15%増加)

令和元(2019)年6月に農福連携等推進会議において決定された「農福連携等推進ビジョン」においては、農福連携に取り組む主体を令和6(2024)年度までに新たに3千創出することが目標として設定されています。

図表トピ6-1 農福連携の取組主体数

データ(エクセル:31KB / CSV:1KB

令和4(2022)年度の調査によると、農福連携に取り組む主体数は、前年度に比べ15.1%増加し6,343主体となりました(図表 トピ6-1)。令和元(2019)年度からの3年間で2,226主体増加しています。

農福連携に取り組む障害者就労施設の中には、認定農業者として地域農業の担い手となっているものや農業に加えて農産物の加工・販売、レストランの運営等を行うものもあり、地域農業の維持や農村の活性化の観点から重要な取組となっています。

障害者が行える仕事を増やそうとしている社会福祉法人等が増加している中、障害者の賃金や工賃の引上げの観点からも農業への期待が高まっています。

(農業と福祉の双方が農福連携に取り組む効果を認識)

令和5(2023)年3月に一般社団法人日本基金(にほんききん)が実施した調査によると、農福連携に取り組んだ農業経営体のうち77.3%が、農福連携の取組による収益性向上の効果が「あり」と回答しています(図表 トピ6-2)。また、障害者等を受け入れることの効果について、「人材として、障がい者等が貴重な戦力となっている」、「農作業等の労働力が確保できたことで、営業等の別の仕事に充てる時間が増えた」との回答が50%を超えており、農福連携の取組が農業分野での労働力の確保や農業経営の発展に繋がっていることがうかがわれます。

他方、同調査によると、農福連携の取組によるプラス効果について、農福連携に取り組んだ障害者就労施設のうち87.5%が「あり」と回答しています。このうち身体面・健康面への効果では、「体力が付き長い時間働けるようになった」が80.5%で最も多くなりました。また、精神面・情緒面への効果では、「物事に取り組む意欲が高まった」が59.1%で最も多く、次いで「表情が明るくなった」の順となっており、農福連携の取組による心身の健康維持への効果がうかがわれています。

図表トピ6-2 農福連携の取組による効果

データ(エクセル:33KB / CSV:2KB

(農福連携を通じた地域共生社会の実現を推進)

農福連携等推進ビジョンにおいては、農福連携を農業分野における障害者の活躍促進の取組にとどまらず、高齢者、生活困窮者、ひきこもりの状態にある者等の就労・社会参画支援、犯罪・非行をした者の立ち直り支援等にも対象を広げていくこととしています。

農林水産省は、今後とも、関係省庁と連携しつつ、農福連携を通じた農業・農村の活性化と地域共生社会の実現を推進していくこととしています。

(事例)農福連携により障害者の能力を引き出せる作業環境を整備(群馬県)

群馬県前橋市
たまねぎの収穫作業

たまねぎの収穫作業

資料:社会福祉法人ゆずりは会

群馬県前橋市(まえばしし)の社会福祉法人ゆずりは会(かい)は、令和3(2021)年1月に認定農業者となるとともに、農福連携の取組を通じ、障害者の能力を引き出せる作業環境を作り、工賃向上による障害者の自立した生活を促し、一般事業所での就職チャレンジを支援しています。

同法人のうち、障害のある人が利用する就労継続支援B型事業所である「菜(な)の花(はな)」では、平成26(2014)年の開設当初から農福連携の取組を実施しており、近隣の離農者から農地を借り受けることで生産規模を拡大しています。令和4(2022)年度は14.7haの農地で、えだまめ、たまねぎ、ブロッコリー、ほうれんそう、長ねぎ、キャベツ等を栽培しています。

同事業所では、障害者の農作業は、職員が一人一人の特性を見極めて作業に配慮しながら実施しており、同年度の平均工賃は月額約7万6千円で、県内第1位となっています。

さらに、同法人では、出荷規格に合わない野菜を地元の食品企業へ持ち込み、「ノウフク餃子(ぎょうざ)」として外注製造するなど、加工販売にも取り組んでいます。

農福連携の取組は、障害者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む地域農業における新たな働き手の確保にもつながっており、今後とも地域と連携しながら、取組を推進していくこととしています。



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