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農林水産省

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実はとっても大切な話 食育を学ぼう

4 地域の団体や民間企業が取り組む食育

現在、全国で社会事業を営む団体が、幅広い食育活動に取り組み、地域住民に貢献しています。民間企業においても従業員の健康に配慮して、先進的かつ積極的に食育を推進しています。今回の特集では、いくつか事例をピックアップしました。食育に取り組む際の参考にしてください。

地域における食育の推進

東京の里山で食農体験を通じて食の大切さを伝える

石坂ファームハウス
(東京都日野市)

写真:食育推進全国大会の様子

緑が多く残る多摩丘陵の里山にある「石坂ファームハウス」。そこでは、約1ヘクタールの農地を利用し、里山の落ち葉で作った堆肥、踏み床の苗といった昔ながらの農法でお米や少量多品種の野菜づくりを行っており、さまざまな食農体験プログラムを催して地域住民との交流を図っています。

種まきから収穫まで一貫した体験農業

写真:石坂昌子さん

「自然の恵みを楽しむ会」を立ち上げた石坂昌子さん。

写真:石坂亜紀さん

石坂ファームハウス代表の石坂亜紀さん。

代表の石坂亜紀さんは「うちの場合は、種まきから収穫まで一貫して体験してもらうのが基本。種や苗からどう育っていくか、教科書で知っていても、田んぼや畑は初めてという子どもたちに、間引きや土寄せ、草むしりをしてもらいながら、自分の目で見て、土にふれて、育つ過程を知ってもらいたい」と話します。

こうした体験農業を始めたのは、40年ほど前、幼稚園からお芋掘りの行事の依頼があり、亜紀さんのご両親が引き受けたことがきっかけでした。1994年には、母の石坂昌子さんが、会員制の食農・自然体験型のプログラムを提供する「自然の恵みを楽しむ会」を設立。ぼた餅づくり、ヨモギ団子づくりといった季節の行事を主に行いました。子ども時代にここで体験したことを、今度は自分の子どもにも体験させてあげたいと、2世代にわたって参加してくれる人も少なくないといいます。

収穫したお米や野菜をその場で味わう

写真:餅つき大会の様子

自分たちで田植えや収穫したお米で餅つきをする。

「収穫したお米や野菜は自宅に持ち帰るだけでなく、その場で調理して一緒に食べることもあります。庭先にある昔ながらの井戸の水で泥を落として洗って、裏山で拾ってきた薪で火をおこし、かまどで煮炊きして、豚汁やカレーを作るんです。自分で育てた食材ですから愛着はあるし、料理にも積極的に参加してくれますし、食べ残すこともありません」と、亜紀さんは食育の効果を語ります。

昌子さんも「ふだんあまりご飯を食べないというお子さんでも、かまどで炊いたご飯でおむすびを出すと、『もっとおかわり!』というくらいに食べてくれ、親御さんが驚くこともしばしばです」と、笑顔で話します。

昌子さんは「高齢者を対象とした農業体験農園、それとひきこもりの人を支援して社会復帰に導くことに効果を感じているので、今後10年はこのふたつに力を入れていきたいですね」と、農業を通じたコミュニケーションへの抱負を語ってくれました。

企業による食育の推進

ICTやランチを活用したセルフケアの促進

味の素(株)
(東京都中央区)

写真:味の素社員食堂の様子

味の素では、「グループで働いていると、自然に健康になる」をコンセプトに、「バランスの良い食事」「適度な運動」「良質な睡眠」を意識した“セルフケアの習慣化”を目指しています。

具体的な取り組みとして、働き方改革により導入されたテレワーク環境「どこでもオフィス」と連動した健康状態を可視化するツールを活用。

その一つである「My Health」は、パソコン上で健診結果、就労状況、生活習慣状況を一覧できるシステムです。自身の健康状態を把握し、変化の予兆に気づくことで、良好なコンディションを維持できるよう、行動の見直しに活用することができます。

同社の浅井誠一郎さんは「スマホアプリ『カラダかわるNavi』の導入によって、「運動」「食事」「睡眠」「気分」の4つの面から健康状態の可視化も図っています。AIによるアドバイスが受けられるため、自分の食生活の癖を知り、コントロールの仕方を学ぶことができます」とICTを利用した取り組みを語ってくれました。

自社製品を使った低カロリーのランチメニュー

また、同社の社員食堂では、13名の保健師が在籍する健康推進センター監修による健康支援メニューを提供。ランチメニューは、自社製品を使いながら、たんぱく質と野菜が摂れる低カロリー(500キロカロリー目安)のものとなっています。社員食堂で食べたものは、アプリ上で簡単に記録できるため、セルフチェックにも役立っています。

写真:マリネチキンのサラダランチ

自社製品を使ったマリネチキンのサラダランチ。

社員食堂で「健康応援プロジェクト」を実施

トッパングループ健康保険組合
(東京都台東区)

写真:トッパングループ健康保険組合のみなさん

凸版印刷を母体に約42,000人の被保険者が加入するトッパングループ健康保険組合。全国に52カ所の診療所を持ち、保健師、看護師を配置するなど、健康経営が話題になる以前から従業員の健康をサポートする取り組みを行ってきました。2016年から全国の事業所や工場の社員食堂と連携し、「社員食堂から健康をお届けします」をキャッチフレーズに、健康プロジェクト「Happy & Healthy Canteenプロジェクト」(Canteenは社員食堂の意味。以下HHCプロジェクトと略)を実施してきました。専務理事の加藤博信さんは「新入社員の入社時の研修に「健康教育の時間」を設け、同組合の担当者が食育を含めた健康管理に関する講義を行うなど、さまざまな取り組みを展開しています」と、語ってくれました。

社員食堂でヘルシーメニューを提供

社員食堂では、勤務シフトに合わせて1日の食事を提供しています。特に地方の工場は周囲に食事を取るところが少なく、利用率はとても高いとのことです。HHCプロジェクトでは、一年ごとに健康を意識した「共通テーマ」を設定。2019年は『TT(とってもたべごたえのある)ヒーリングランチ』でした。テーマに合わせたヘルシーメニューを提供するほか、健康的な食事のとりかたを示したポスターを社員食堂に掲示し、啓発活動も行っています。

写真:黒米ごはんのランチ

「イロイロ彩り野菜フライ」や「黒米マンナンご飯」などヘルシーなメニューを提供。

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編集後記

今月は食育をテーマに紹介してきました。特集企画を進める中で、全国において様々な形で食の大切さを伝える活動が行われていることを、再度認識しました。大変心強いことで、日々このような活動に取り組まれている方々に、あらためて感謝したいと思います。(広報室SD)

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