新鮮なたまごを届けてくれるニワトリ
採卵鶏について
たまごをとるために飼育されるニワトリの雌を採卵鶏(さいらんけい)といいます。品種改良を重ね、たまごを多産する鶏種として開発されたものです。
取材協力・監修

創業1925年。埼玉県と茨城県で約180万羽を飼育。ニワトリのふ化、育成から、たまごの生産、選別、包装、さらに飼料づくりに至るまで、たまご生産のあらゆる工程にたずさわっています。
ニワトリが産むたまごの数
雌鶏(めんどり)は受精をしなくてもたまごを産みます。私たちが普段スーパーなどで購入するたまごは、受精せず雌鶏が産んだたまご(無精卵)がほとんどで、ヒヨコにはなりません。採卵鶏はふ化してから約5か月でたまごを産み始め、約7か月で産卵のピークを迎えます。1日に約1個、たまごを産みますが、産まない日もあり、1年間だと300個程度になります。
出典:(一社)日本養鶏協会

たまごの誕生からニワトリになるまで
安全で品質の良いたまごを食卓に届けるため、農場ではどのようなことが行われているのでしょうか。(株)愛鶏園の取組を教えていただきました。
-
[1]種鶏農場
たまごを産んでくれるニワトリの親のことを種鶏(しゅけい)といいます。種鶏農場では雄鶏と雌鶏を飼育しており、ここでヒヨコになる種卵(しゅらん)が産まれます。
-
[2]ふ化場
種卵はふ化場に運ばれます。ここで21日間、約37度で大事に温められヒヨコが産まれます。ヒヨコの雌雄を判別し、雌鶏が採卵鶏になります。
-
[3]育雛農場・育成農場
産まれたてのヒヨコは育雛(いくすう)農場に入り、ここで40日間ほど育ちます。この後、育成農場に移り、120日齢まで育てられます。
※人は年を“年齢”で数えますが、ニワトリは“日齢”で数えます。
-
[4]成鶏農場
ふ化してから120日齢くらいで成鶏農場に入り、たまごを産み始めます。採卵鶏には飼料安全法に基づいた配合飼料が与えられ、定期的に健康診断も行います。各工程の農場は、衛生管理が徹底されています。
産まれたたまごを出荷するまで
成鶏農場で産まれたたまごはすぐにGP(Grading(格付)Packing(包装))センターに運ばれ、出荷するための加工が行われます。加工工程の自動化が進んでおり、GPセンターでは人の手がたまごに触れることがなく、衛生管理も徹底されています。
-
[1]集卵
産まれたたまごを集め、殻が割れたものなどを取り除いてから、GPセンターに運びます。
-
[2]洗卵(洗浄)
GPセンターの洗卵室で消毒液(次亜塩素酸ナトリウム溶液)を含む温水を使い、専用ブラシで表面を洗浄・殺菌します。
-
[3]乾燥
洗った後、ブラシをかけながら風を吹きつけて乾燥させます。
-
[4]検卵(検査)
洗卵を終えたら、光を当てて内部を透かし、血などが入っていないか検査。たまごを叩き、音を分析してひびの有無を調べる検査装置や、画像を撮って汚れの付着を判別する検査装置も使います。
-
[5]サイズ計量判別(格付け)・包装
この後、紫外線で殺菌してから自動計量器で重さを量り、サイズごとに振り分け、配送先ごとに指定された容器に包装します。
-
[6]保冷・保管
パッケージングされたたまごは最終目視検査の後、製品庫(配送準備室)へ。徹底した温度管理のもと保管され、出荷を待ちます。
鶏ふんも無駄にせず
堆肥に活用
鶏ふんは植物の成長に必要な3大栄養素、窒素、リン酸、カリウムを含みます。さらに採卵鶏にカルシウムを与えるため飼料に貝殻などを加えることから鶏ふんは石灰分も豊富です。(株)愛鶏園では、有機循環型農業(有機物を用いて地域と有機的に連帯し、食の輪・人の輪・地域の輪を広げ結ぶ)を目指し、毎日約180トン出る鶏ふんから堆肥を製造しています。

養鶏場に隣接するコンポストセンター。鶏ふんに木材チップを混ぜて発酵させます。

2か月以上かけ、発酵槽でじっくり発酵させ、養生させることでにおいの少ない堆肥に。
写真提供:(株)愛鶏園
主な採卵鶏の種類
ニワトリの品種には白いたまご(白玉)を産む白色レグホンや褐色のたまご(赤玉)を産むロードアイランドレッドなどがあり、これらを交配して、多くの鶏種が開発されています。現在日本で飼育されている採卵鶏の多くは海外で育種された親鶏から産まれたものですが、国産の鶏種として(株)後藤孵卵場(岐阜県)の「もみじ」と「さくら」があります。
-
ジュリア
【開発会社】
ローマン社(ドイツ)
Lサイズのたまごを多く産みます。国内市場の占有率トップの白玉鶏です。
写真提供:(株)ゲン・コーポレーション
-
バブコックB400
【開発会社】
ヘンドリックス・ジェネティックス社(オランダ)
ジュリアに比べて体重が軽いのが特徴。卵白に高さのあるたまごをたくさん産みます。
写真提供: (株)アイエスエージャパン
-
ボリスブラウン
【開発会社】
ハイライン社(アメリカ)
赤玉の鶏種として、国内で最も多く飼養されています。
写真提供:(株)ゲン・コーポレーション
-
シェーバーブラウン
【開発会社】
ヘンドリックス・ジェネティックス社(オランダ)
小さめですが、殻が強く、濃い褐色のたまごをたくさん産みます。
写真提供: (株)アイエスエージャパン
-
純国産鶏もみじ
【開発会社】
(株)後藤孵卵場(日本)
丈夫で光沢のある美しい褐色のたまごを産みます。
写真提供:(株)後藤孵卵場
-
ソニア
【開発会社】
ハイライン社(アメリカ)
白いニワトリと茶色いニワトリを掛け合わせた鶏種です。ピンク色の殻が特徴です。
写真提供:(株)ゲン・コーポレーション
-
純国産鶏さくら
【開発会社】
(株)後藤孵卵場(日本)
環境適応性に優れた性質です。さくらが産んだ「さくらたまご」の卵殻はさくら色です。
写真提供:(株)後藤孵卵場
お問合せ先
大臣官房広報評価課広報室
代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449