SNSを通じた自炊記録や食の発信、レシピ本の出版など、精力的な活動を行う
元Jリーガー・小泉勇人さんに「食を考えること」の大切さを聞きました。
Jリーグの鹿島アントラーズなどで活躍した元プロサッカー選手の小泉勇人さん。
アスリートだからこそ身にしみた「食の大切さ」とは?

小泉勇人 さん
1995年茨城県生まれ。元プロサッカー選手。鹿島アントラーズユースからトップチームへ昇格、2014年プロデビュー。いわてグルージャ盛岡、ザスパクサツ群馬、ヴァンフォーレ甲府などの移籍を経て2023年現役引退。(株)en’s lifeを立ち上げ代表取締役に就任。SNSを通じて食にまつわる情報発信を続けている他、レシピ本の出版やキッチンアイテムの企画開発などの活動を行っている。
身長192センチメートル、体重83キログラムの恵まれた体格を生かし、Jリーグのトップチームのゴールキーパーとして活躍した小泉さんが、食の大切さに気付いたのは現役時代の終盤だったといいます。
練習を積んでも思うような成果が出せずにいたころ、自炊を始め、食事の内容に気を配り、栄養などについての知識が増えていくと、日々の健康のために食べるものがいかに大切かを実感します。
引退を決意し、アスリートだからこそ伝えるべきことがある、と「上級食育アドバイザー」や「アスリートフードマイスター」といった資格を取得しながら知識や経験を積み、さまざまなことにトライを始めました。
現在は15万人近いフォロワーがいる『元Jリーガーの自炊記録』をはじめ、SNSを通じて料理や食育に関するさまざまな情報を発信して、自分の想いを届けたいと思っているそうです。
そんな小泉さんに、話を聞きました。

料理に目覚めたきっかけ
小泉さんはもともと料理がお好きではなかったそうですね。いつごろから、何をきっかけに興味や関心を持つようになったのでしょうか?
体調も気分も変わる
小泉さんが自分で健康に配慮した料理を作るようになってから、体調や生活スタイルなどで何か変化はありましたか?

フィジカル面でも、メンタル面でも、明らかに好影響がありました。
食事に気を付けると体調が良くなる。体調がいいと、気分も上向きます。そして、気分が良ければ、自然に体が良く動くのです。そのうえ、気分や体調が良ければ笑顔になります。すると、その笑顔を見て周囲の雰囲気も明るくなっていきました。
このような相乗効果から、日々、新たなことにチャレンジしていこうという意欲も高まっていったのです。
食育の活動に力を入れるようになったのも、このような自分の体験があったからに他なりません。
まずは基礎的な知識を
今年2月、農林水産省が開催した『食育推進フォーラム2024』において、小泉さんは「Z世代への提案~食育Here we go!」という基調講演を行いました。いわゆるZ世代というのは1990年代後半から2010年頃までに生まれた世代、といわれているので小泉さんもそこに入るわけですが、そういう若い人たちは食に関してどのような意識を持っているのでしょうか?

ネット上にあふれるグルメ情報やダイエット情報などを見てもわかるとおり、若い世代の食への関心は非常に高いと思います。ただし気になるのは、彼らが日常的に受け取っている情報の「質」でしょうね。
たとえば、有名人がやっているからといって、その食事やダイエットの方法を何も考えず、真似しているだけの人も決して少なくはありません。
では、膨大な量の情報をどうやって取捨選択したら良いのか? そのために必要なものが食や栄養についての正しい知識、それはつまりは「食育」なのだと僕は考えています。ごくごく基礎的な知識、たとえば五大栄養素とその役割について知っているだけでも、あるひとつの情報が本当に正しいものなのか? 自分に合っているものなのか? そういう判断を行う能力は格段に向上すると思います。
子どもの可能性を広げたい
これまで小泉さんはレシピ本を3冊出版していて、先日、4冊目が出ましたね(※)。これは成長期の子どものための本だと伺いましたが、そこにはどのような想いが込められているのでしょう?(※『心も体も強くなる 成長期応援!ぐんぐんレシピ』幻冬舎刊)

この本の中で特に言いたかったのは「親の知識が子どもを守る」ということです。
子どもの時の食事は大切で、その後の体力や学力、生活習慣などに影響が出ることもあります。ですから、さまざまな可能性を秘めた子どもの将来のため、親は食に関するきちんとした知識を持たなければならない、と思うのです。
Z世代の若者は、自分自身がより良く暮らしていくためだけでなく、今後はその次の世代を育てていく立場にもなるわけですから、意識を高く持ってほしい、と思います。
食育は自分の使命
その意味では、成長期の子を持つ親御さんだけではなく、これから子育てを経験するであろうZ世代の若者にもぜひ読んでもらいたい本だと言えますね。
では最後にもうひとつ、小泉さんの今後の活動目標について聞かせてください。

ほとんどのアスリートにとっては引退してからの方が長いので、いわゆるセカンドライフというものが非常に重要です。そんななか僕は、Jリーガーとしての経験を活かしながら、現役時代と変わらぬ体形で人前に出て、健康や体づくりに欠かせない食の情報を広く発信し続けています。これは自分にしかできない使命であるとともに、ある意味、お世話になったJリーグへの恩返しだと思っています。
そして、こうした活動は子どもたちのチャンスを広げる手助けになるばかりでなく、日本のスポーツ界全体のレベルアップ、ひいては国力の向上にもつながるものだと僕は信じています。
現役時代と変わらない引き締まった体はどうやって保たれているのでしょうか? 小泉さんが日々何を食べているのか、聞いてみました。

小泉さんに「どんな料理を作るのですか?」と聞くと、「作り置きがいろいろありますよ。これからランチにしようと思っていたので、そちらでいかがですか?」とテーブルに並べてくださいました。
「お昼にガッツリいただきます。夜はお酒を飲む機会もあるのでほんの少し。このスタイルが今の僕に一番合っている」と言っていました。

冷蔵庫の作り置き

小泉さんが作り置きしていた料理の中から「誰にでも簡単にすぐできて、おいしいのはこれ」という3品を選んでくれました。

レンチン ミートボール
材料(1人分)
豚ひき肉 200グラム たまねぎ 4分の1個 えのきたけ 4分の1束
[A]顆粒コンソメ 小さじ1 片栗粉 大さじ2 塩こしょう 少々
[B]ケチャップ 大さじ3 ウスターソース はちみつ 各大さじ1
粉チーズ、乾燥パセリはお好みで
作り方
- たまねぎをみじん切りして、えのきたけの石づきを除いてハサミで短くカットし、豚ひき肉と[A]を入れてよく混ぜる。ひと口大に成形して耐熱容器に入れラップをし電子レンジ600ワットで6分加熱
- [B]をよく混ぜ合わせて1.に和える。お好みで粉チーズ、乾燥パセリを乗せて完成

ほうれんそうの中華和え
材料(1人分)
ほうれんそう 1束 かに風味かまぼこ 3本 焼きのり 1枚
[A]酢、砂糖、醤油、ごま油、 鶏ガラスープの素 各小さじ2 おろしにんにく 小さじ2分の1 いりごま 適量
作り方
- ほうれんそうは茹で、水にさらして粗熱を取る。水気を切り、3センチメートル幅に切る
- かに風味かまぼこをほぐし、焼きのりを手で細かくちぎる。[A]を混ぜ、1.と和えて完成

パプリカのマリネ
材料(1人分)
赤、黄パプリカ 各1個
[A]オリーブオイル 大さじ2 酢 大さじ1と2分の1 砂糖 小さじ1 ブラックペッパー 少々
作り方
- パプリカを半分にカットし、わたを取り除く。切り口を下にしてグリルに並べ強火で10分、皮が黒くなるまで焼く
- パプリカが熱いうちに皮をむき、1センチメートル幅に切る。[A]と混ぜて完成
こども霞が関見学デー
8月7日(水曜日)、8日(木曜日)に開催!

文部科学省をはじめとした府省庁が連携して行う「こども霞が関見学デー」が今年も開催されます。夏休みのこの機会に、省の中を見学したり、どんなお仕事をしているか、のぞいてみませんか?

今週のまとめ
アスリートだからこそ実感した「食の大切さ」。
未来を担う子どもたちへ大きな影響を与えるZ世代にこそ
「食」に関する正しい知識を得てもらいたい。
お問合せ先
大臣官房広報評価課広報室
代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449
自分の作った料理をインスタグラムなどにアップするようになったのは今から約3年前、現役を引退する2年ほど前のことです。
それまでプロのサッカー選手としてトレーニングを積んできましたが、思ったほどの成果が上がっていかなかった。
そんな時にふと「自分はあまり食事にこだわってこなかったなぁ」と思い当たったのです。自分で調理したり、食べ物の栄養などについて学び始めたのも、それがきっかけでした。