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農林水産省

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2026

4月号

豚

2 養豚を支える 現場リポート

家庭での消費量が増加傾向にある豚肉。安全な豚肉の供給のために、各養豚現場では人材育成や、生産管理などで多様な取り組みが行われています。

企業型養豚で職業的ステータスを確立

世界基準の設備を取り入れて養豚を「見える化」することで、より安全な豚肉を生産するとともに、養豚業の人材育成と職業的ステータスの確立を図る取り組みを行っています。

熊本興畜(株) 代表取締役社長 石渕大和さん デンマークでのファームステイを経て国内養豚業の職業的ステータスを高めることを目標に2004年、社長に就任。IoT導入で新たな生産方式「熊本方式」を確立。

  • スリーセブン方式で 子豚を飼育 一般的に子豚は毎日バラバラに生まれてきます。3週間に1度、同じ日齢の子豚を集約させることで、豚群(ロット)の状態を把握。生産コントロールが可能になり、スタッフの作業効率や肥育農場の飼育効率が高まります。
  • 同じ環境で飼育し 同一規格の豚に 同じ日齢で集約され、大きなロットになった子豚を肥育舎へ移動させずに、出荷までそのまま同じ場所で飼育する「ウィーン・トゥ・フィニッシュ」システムを採用。温度や湿度など環境を管理し、同一規格の豚に育てます。
  • IoT養豚にすることで 生産効率を向上 豚の発育状況や健康状態を自動計測するオートソーターや、給餌状態や量を把握できるタンクロードセルを豚舎ごとに設置。生産管理を「見える化」することで人と設備の生産効率を最大限に高めています。

これらの取組(熊本方式)を実践することで、畜産では難しいといわれる「simple・standard・specialty」の3S(※)を実現。複雑だった養豚を日齢別に集約し簡素化・標準化。また、同じ環境で豚を育てることでスタッフの労働生産性を高め、各マイスター制度によるスペシャリストを育成できます。※マニュアル化および標準化されたシンプルな飼養形態、給餌の自動化、マイスターの育成

熊本方式 5つのメリット

  1. 1 作業をマニュアル化できる シンプルな熊本方式の飼養形態は、すべての作業をマニュアル化し、標準化。誰もがわかりやすくなるので人材育成のスピードも上がります。
  2. 2 同環境で比較分析しやすい ウィーン・トゥ・フィニッシュ舎では、同じ日齢の豚を集約。離乳した子豚の場所を変えずに肥育するため、分析やアプローチがしやすくなります。
  3. 3 マイスターがサポート&指導 種付け、分娩、肥育など特定の部門を極めたマイスター制度を設置。各部門に2人配置し、随時農場を巡回してサポートや指導などを行います。
  4. 4 数字で豚の飼育を管理 給餌施設を可能な限り自動化し、飼料タンクにロードセルを設置。飼料の在庫量が明確になり、豚の摂食状態を数字で見える化・分析できます。
  5. 5 社員の働く意欲を高める 3週間に1度、生産成績検討会を行って各農場の課題を話し合います。課題が数字で見える化されているので、持ち帰って現場で具体的な目標設定ができ、社員の働く意欲を高めることができます。

養豚管理獣医師による医療・農場コンサルティング

豚の病気に振り回されず豚肉を生産するために、養豚管理獣医師の指導のもと多様なシステムを取り入れて徹底した感染防止対策を行っています。

農事組合法人清和畜産 代表理事 菅谷知男さん 2004年に3代目の代表理事に就任。養豚管理獣医師である妻の結子さんと二人三脚で豚の予防医療や生産性向上に注力し、「病気に振り回されない養豚経営」をめざしている。

  • 繁殖から肥育まで 一貫して生産 自社農場内で繁殖から分娩、離乳、肥育まで一貫生産を行い、また養豚管理獣医師監修の行き届いた衛生管理システムで、安定した生産を実現し、生産性の向上を図っています。
  • ツーサイトシステムで 防疫対策を徹底 感染防止の観点から周囲に養豚場が少ない茨城県城里町に繁殖農場を配置。子豚は豚の飼料工場が近い千葉の農場で肥育します。他のエリアに比べてエサの運賃コストを抑えられ、また消費者との距離も近いので新鮮な豚肉を提供できます。
  • オールイン・オールアウト方式で感染防止対策を徹底 同じ日齢の豚を棟単位で育成し、移動や出荷も一斉に行うオールイン・オールアウト方式を採用。出荷後、空になった豚舎を徹底的に清掃、消毒してから新しい豚を迎え入れることで、感染リスクの低減を図っています。
  • 体調コントロールがしやすいグループシステム 母豚からの離乳・交配・分娩を3週間に1回に集約するグループシステム「スリーセブン分娩方式」を導入。同じ日齢の豚を1棟で管理することでワクチンのタイミングも同じになるので豚の体調コントロールがしやすくなります。
  • 徹底した衛生ルールで飼育環境を管理 衛生的な飼育環境を守るために、豚舎ごとに着替えと靴の履き替えを行い、手袋や手指消毒も徹底します。また、「地面=ウイルス」の考えのもと、事務所から分娩舎などの各豚舎へ行く専用通路を設けています。

みんなに優しい環境づくり

豚にストレスを与えない豚舎など、豚に対する優しい環境はもちろんのこと、排せつ物の処理システムも確立し、地域や働く人々にも配慮した環境づくりを行っています。

縦型コンポスト 密閉型の縦型コンポストを使い、微生物の力で約3週間かけて豚の糞を発酵させ、良質な堆肥にします。できた堆肥は地域の農家へ販売するなど、循環型農業に貢献しています。 浄化槽 豚舎の床をすのこに設計し、糞と尿を分離。集めた尿は最新の浄化槽システムで有機物を分解するバクテリアを利用し処理します。周辺地域への臭いの流出を防ぐ配慮も行っています。

豚舎 豚がストレスを感じずのびのびと過ごせるように、ゆとりのある豚舎を設計し、飼養する頭数も管理しています。空調や照明も自動化し、豚にとって快適な環境を整えています。 飼育管理システム「Porker」 養豚経営支援システム「Porker」を導入し、豚舎内の温度や湿度をデータ化。各農場で情報をリアルタイムに共有することで豚の異常に早く気づけるとともに、販売計画も管理できます。

Point! 豚熱(CSF)は豚やいのししの病気です

豚熱は、 ウイルスによる豚やいのししの病気であって、人に感染することはありません。また、豚熱は感染力が高いため、養豚農場で豚熱の感染が確認された場合、他の養豚農場への拡散を防ぐため、発生農場の豚を処分することが家畜伝染病予防法で規定されています。このため、感染豚の肉が市場に出回ることはありません。

今週のまとめ

昨今の養豚は、従来の仕事のイメージを覆すような取り組みや、高度な衛生管理で飼育する企業が増えています。進化を続ける養豚現場に今後いっそう注目が集まりそうです。

今月の特集

  • 豚肉で作る日本の郷土料理

    2026年4月29日公開

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大臣官房広報評価課広報室

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ダイヤルイン:03-3502-8449

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