このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

2 海外における食生活の改善等


世界では令和2(2020)年時点で、最大で約8.1億人が栄養不足に苦しんでおり、その大半が開発途上国で暮らしていると推計されています。

このような窮状を改善するため、我が国は、様々な形で取組を行っています。政府としては、食糧不足に直面している開発途上国からの援助要請を受け、食糧援助規約に基づき食糧援助を実施しており、令和3(2021)年度には二国間及び国際機関との連携で74億円(令和2(2020)年度は80億円)の支援を実施しました。また、我が国は、国連食糧農業機関(FAO)に対して、令和2(2020)年度には約45億円の分担金を拠出するとともに、難民や被災者に対する緊急食料支援等を行うために、国連世界食糧計画(WFP)に対して、令和3(2021)年度には約186億円、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA(*1))に対して約31億円を拠出しました。

令和3(2021)年9月には国連が主催する「国連食料システムサミット(FSS:Food Systems Summit)」が開催されました。我が国からは、日本食の栄養バランスのよさなどを踏まえた「バランスのとれた食生活」の重要性などを提唱し、FSSの議論に貢献しました(コラム「「国連食料システムサミット」について」参照)。また、我が国は、令和3(2021)年12月に「東京栄養サミット2021」を開催し、本サミットの成果文書として、「東京栄養宣言(グローバルな成長のための栄養に関する東京コンパクト)」を発出しました(コラム「「東京栄養サミット2021」について」参照)。

栄養改善事業推進プラットフォーム

栄養改善事業推進プラットフォーム
URL:http://njppp.jp/(外部リンク)

平成28(2016)年9月、世界的な栄養改善の取組を強化するため設立された官民連携「栄養改善事業推進プラットフォーム(NJPPP(*2))」には、現在、約85の民間企業及び団体が加入し、営利事業として持続可能なモデルを構築することを目指して一体的に活動しています。

例えばカンボジアにおいては、健康的な工場食(社員食堂のメニュー)を選択することでスタンプがたまるアプリを用いたゲーム感覚の栄養改善プログラムを令和元(2019)年度より実施しています。令和3(2021)年度は、数千人規模の実証試験を実施予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により延期されており、今後、改善状況を見つつ、実施することにしています。ミャンマーにおいては、栄養バランスのとれた工場食(社員食堂のメニュー)及び栄養強化米の提供や栄養啓発活動を実施してきましたが、現地事情により、プロジェクトが中断しています。

また、国際機関との連携強化を図るため、令和3(2021)年11月に、WFP、FAOとそれぞれ「東京栄養サミット2021」の公式サイドイベントを開催し、NJPPPにおけるこれまでの成果を発表しました。

そのほか、我が国は、平成28(2016)年8月に「食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA(*3))」を立ち上げ、本イニシアチブを通じて農業・食料アプローチに焦点を当てた現場でのマルチセクターの栄養改善の取組を開発協力実施機関や非政府組織(NGO)など多くの関係者と共に推進しています。

平成28(2016)年7月に策定され、平成30(2018)年7月に改定された「アジア健康構想に向けた基本方針」に加え、令和元(2019)年6月には、健康・医療戦略推進本部において栄養改善も対象とする「アフリカ健康構想に向けた基本方針」が決定され、同年8月のTICAD7の基調講演において、内閣総理大臣から「アフリカ健康構想」の立ち上げが発表されました。官民の連携による本健康構想を一つのきっかけとして、ガーナにおいて我が国の民間企業と公益財団法人による栄養補助食品やICTツール等を用いた栄養改善事業が開始されています。

*1 United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near Eastの略

*2 Nutrition Japan Public Private Platformの略

*3 Initiative for Food and Nutrition Security in Africaの略

コラム:「国連食料システムサミット」について

令和3(2021)年9月に「国連食料システムサミット」が開催され、各国政府、国際機関、NGO、生産者、民間企業、消費者、科学者など様々な関係者の参画の下、SDGs達成のため、食料の生産から消費に係る一連の活動を食料システムとして一体的に捉え、それを持続可能なものに変革していくための行動が議論されました。

準備プロセスでの議論では、我が国は、栄養バランスや持続可能性に優れた日本食は、世界の食生活の改善に貢献できるとの考えから、地域の食文化を踏まえた「バランスのとれた食生活」と食育の重要性を提唱しました。令和3(2021)年7月には、このような考えに賛同したフランス政府と「バランスのとれた食生活」に関する日仏共同文書に合意しました。

また、我が国の多くの民間企業や地方公共団体が、食育の推進などに関するコミットメントを国連に提出するとともに、国内外の有識者・料理人による日本食のメリットに関するビデオメッセージを国連のウェブサイトに掲載しました。

本サミットでは、各国などが食料システムの変革に向けた考えや取組を発表し、我が国は、内閣総理大臣から、各国・地域の気候風土、食文化を踏まえたアプローチの重要性などを提唱しました。また、国連事務総長からは食料システムの変革の方向性などを示した「議長サマリー及び行動宣言」が発出されました。今後は、食料システムの変革に向け、本宣言を踏まえた様々な取組の推進が期待されます。

本サミットでの内閣総理大臣のステートメント

本サミットでの内閣総理大臣のステートメント

日本食のメリットに関するビデオメッセージ

日本食のメリットに関するビデオメッセージ

国連食料システムサミット(農林水産省)

国連食料システムサミット(農林水産省)
URL:https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kanren_sesaku/FAO/fss.html

コラム:「東京栄養サミット2021」について

内閣総理大臣による開会スピーチ(写真提供:内閣広報室)

内閣総理大臣による開会スピーチ
(写真提供:内閣広報室)

我が国は、東京2020大会開催国として、令和3(2021)年12月に「東京栄養サミット2021」(以下「東京栄養サミット」という。)を開催しました。

栄養サミットは、オリンピック・パラリンピックを契機に国際社会における栄養改善への取組を加速させるため、平成25(2013)年に英国が開始した取組です。

これまでの栄養サミットでは、飢餓や低栄養を中心に議論が行われてきましたが、東京栄養サミットでは、肥満や生活習慣病の原因となる過栄養を議論の対象に加え、低栄養と過栄養の状況が併存する「栄養不良の二重負荷」を初めて取り上げました。また、新型コロナウイルス感染症による収入の低下等の影響を受けた世界的な栄養状況の悪化や、持続可能な食料システムに対する世界的関心も踏まえ、これらの課題の解決に向けて、SDGsの推進にも資する議論が行われました。

東京栄養サミットでは、約60か国の首脳級及び閣僚級等のほか、国際機関の長、民間企業、市民社会、学術界等の代表等、計90名以上が、栄養改善に向けた取組を述べました。我が国からは、内閣総理大臣が、我が国の栄養関連の取組を述べつつ、今後3年間で3,000億円(28億ドル)以上の栄養に関する支援を行い、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(*1)の達成等に貢献していくことを表明しました。

2日間のサミットにおいて、計396のコミットメント(今後実施する政策等に関する誓約)が提出されるとともに、計270億ドル以上の栄養関連の資金拠出が表明されるなど、過去の栄養サミットを上回る成果が得られました。

今回の東京栄養サミットにおいては、成果文書として「東京栄養宣言(グローバルな成長のための栄養に関する東京コンパクト)」が215の関係者の賛同を得て発出され、令和12(2030)年までに栄養不良を終わらせるため、栄養改善に向けて国際社会が今後取り組むべき具体的な方向性が示されました。

東京栄養サミットの開催に伴い、様々な関係機関が主催する120件以上の栄養改善に関する行事が公式サイドイベントとして開催され、国内外における産学官の取組も踏まえ、栄養改善に向けた意見交換や取組の発信が行われました。厚生労働省が主催し、又は国内外の関係機関と共催したサイドイベントでは、「誰一人取り残さない日本の栄養政策」の経験や知見の発信・共有を目的に、日本の栄養政策の歩みや特長のほか、母子栄養、子供の肥満、高齢者の栄養、減塩の取組に関する紹介や議論が行われました。農林水産省が主催したサイドイベントでは、パネルディスカッションの一つとして、「誰一人取り残さないための食育の推進~食行動変容を促す食育のポピュレーションアプローチ」をテーマに取り上げたほか、食育活動の推進等を通じた個人の栄養に関する行動変容の促進等を盛り込んだアクションプランが発出され、アクションプランに賛同した60を超える企業・団体、NGO等の具体的行動が公表されました。

日本政府のコミットメントには、国内政策として、全ライフコースを対象とした持続可能な社会の基盤となる「誰一人取り残さない日本の栄養政策」を推進することや、第4次基本計画に基づき、バランスの取れた食生活、持続可能な食を支える食育を多様なステークホルダーと共に推進すること等が盛り込まれています。厚生労働省では、日本政府のコミットメント等を踏まえ、産学官等連携による推進体制として、「健康的で持続可能な食環境づくりのための戦略的イニシアチブ」を設立しました(第3章第2節コラム「健康的で持続可能な食環境づくりの推進」参照)。

東京栄養サミットの成果を踏まえ、政府一体となって、国内はもとより地球規模で、栄養改善の取組を強化していきます。

*1 全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態

東京栄養サミット2021(外務省)

東京栄養サミット2021(外務省)
URL:https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ghp/page25_002043.html(外部リンク)



ご意見・ご感想について

農林水産省では、皆さまにとってより一層わかりやすい白書の作成を目指しています。

白書をお読みいただいた皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。

送信フォームはこちら

お問合せ先

消費・安全局
消費者行政・食育課

担当者:食育計画班
代表:03-3502-8111(内線4578)
ダイヤルイン:03-6744-2125
FAX番号:03-6744-1974

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader