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農林水産省

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ノロウイルス食中毒と衛生管理対策

作成日:令和2年2月24日
更新日:令和5年4月11日

食中毒発生状況

近年の食中毒届出数は、年間1,000件程度、患者数は10,000人前後で推移しています。
また、食中毒事案のうち、ノロウイルスによる食中毒は、国内で報告された食中毒件数の2割及び食中毒患者数の5割を占めています。
ただし、令和2~4年のノロウイルスによる食中毒については例年に比べて少なく、令和4年は食中毒件数の1割未満及び食中毒患者数の3割程度でした。
R4食中毒件数(ノロHP)




ノロウイルス食中毒
全体
事件数(件)    患者数(人)
2011 296 8,619
2012 416 17,632
2013 328 12,672
2014 293 10,506
2015 481 14,876
2016 354 11,397
2017 214 8,496
2018  256  8,475
2019 212 6,889
2020 99 3,660
2021 72 4,733
2022 63 2,175
(厚生労働省「食中毒統計」を基に農林水産省が作成)


ノロウイルスの感染環

ノロウイルスは、感染したヒトの腸管内の細胞でのみ増殖し、糞便やおう吐物中に大量に排出されます。
これらを介して、主にウイルスに感染したヒトから、ほかのヒトに感染します。
感染者の糞便やおう吐物に含まれるノロウイルスは、手指や食器等を汚染し、食品を汚染(食中毒件数全体の約8割)、
トイレを通じて浄化処理施設に流れ込み、そこで除去・消毒しきれないと下水とともに海に流れ、 海域中のノロウイルスの汚染の度合いに応じて、二枚貝に蓄積されることがあります。(図参照)

図 感染環

二枚貝のノロウイルスの汚染防止に向けた取組

農林水産省は二枚貝生産道府県、生産者、水産加工の皆様と連携して生産段階における汚染防止対策や、
カキ中のノロウイルスの汚染防止に向けた
調査、研究を行っています。

(参考)カキのノロウイルス対策に関する情報交換会

 

二枚貝の衛生管理対策~生産現場での取組~

現在、国内の二枚貝の生産段階で行われている衛生対策は次のようなものがあります。

(ア)漁場に流入する海水の水質改善
(イ)海水の水質による漁場の分類と、それに応じたモニタリング
(ウ)販用の処理
・よりよい水質の海域に養殖棚を移動(転地)
・紫外線殺菌した海水で一定期間、飼育(浄化)
・加熱による加工・調理
(エ)最終製品のコントロール(水質検査※、トレーサビリティ)
※検査項目:生菌数、E.coli最確数、腸炎ビブリオ最確数

これらの対策により、二枚貝の喫食による腸炎ビブリオなどの細菌性食中毒が減少しました。


二枚貝の衛生管理対策~農林水産省での取組~

生産現場で行われている衛生対策をより効果的なものとし、消費者の皆様に安全な食品をお届けするために行っている農林水産省の取組を紹介します。
二枚貝のノロウイルス汚染防止対策の基本は次の通りです。

(ア)清浄な海域で養殖すること
(イ)ノロウイルスに汚染されていない海域で養殖すること
(ウ)そのための海域やそこで養殖された二枚貝のノロウイルスの清浄性について、科学的に管理を検討すること

これらのことを踏まえ、現在農林水産省は次のことに取り組んでおります。

1.カキのノロウイルスの平常時の水準の調査
産地におけるノロウイルスの保有状況を把握することで、必要性の有無も含めた対策の検討材料とすることを目的として、2019年度から、カキの主要生産道府県の水産部局、衛生部局、漁業協同組合、生産者の方々と連携してサンプリング調査を実施しております。

(参考)カキのノロウイルスに係る平常時の水準調査委員会


2.カキのノロウイルス低減対策の検証
各産地において、滅菌水等を用いたいわゆる浄化処理が実施されています。
これらの処理によるノロウイルス低減効果については、知見が限られているため、研究事業において、検証を行っています。


(参考)カキ中のノロウイルス低減対策に関する研究

3.国際的なノロウイルス検査法の国内実施に向けた取組
近年、シンガポールへの冷凍カキの輸出の際にノロウイルスが検出され、廃棄処分等となる事例が散発しています。
こういった課題を踏まえ、シンガポール向けにカキを輸出する際に推奨される検査方法を国内で実施可能とするべく検討を行い、検討結果を公表しています。

(参考)シンガポールへの対応


お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

代表:03-3502-8111(内線4457)
ダイヤルイン:03-6744-2135