第4節 農村における所得と雇用機会の確保

農山漁村を次の世代に継承していくためには、6次産業化(*1)等の取組に加え、他分野との組合せにより農山漁村の地域資源をフル活用する「農山漁村発イノベーション」の取組により農村における所得と雇用機会の確保を図ることが重要です。
本節では6次産業化、農泊(*2)、農福連携等の農山漁村発イノベーションの取組やバイオマス(*3)・再生可能エネルギーの活用を図る取組等について紹介します。
1~3 用語の解説(1)を参照
(1)農山漁村発イノベーションの推進
(6次産業化の取組を発展させた農山漁村発イノベーションを推進)

農山漁村における所得向上や雇用機会の創出を図るため、農林水産省は、従来、農村への産業の立地・導入を促進するとともに、農業者が加工・販売等に取り組む6次産業化の取組等を推進してきました。
今後の農村施策の展開に当たっては、農業以外の所得と合わせて一定の所得を確保できるよう、多様な機会を創出していくことが重要であることから、従来の6次産業化の取組を発展させ、農林水産物や農林水産業に関わる多様な地域資源を活用し、観光・旅行や福祉等の他分野と組み合わせて新事業や付加価値を創出する「農山漁村発イノベーション」の取組を推進しています(図表3-4-1)。
その推進に当たっては、農林漁業者や地元企業等多様な主体の連携を図りつつ、商品・サービス開発等のソフト支援や施設整備等のハード支援を行うとともに、全国及び都道府県段階に設けた農山漁村発イノベーションサポートセンターを通じて、取組を行う農林漁業者等に対する専門家派遣等の伴走支援や都市部の起業家とのマッチング等を行っています。
令和4(2022)年10月に施行された改正農山漁村活性化法(*1)の下、農山漁村発イノベーション等に必要な事業が円滑に実施できるよう、施設整備等に当たっての農地転用等の手続を迅速化しました。また、令和7(2025)年度までにモデル事例を300創出することを目標としており、現場の優良事例を収集し、全国への横展開等を図ることとしています(図表3-4-2)。

1 正式名称は「農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律」
(事例)農業と観光の相乗効果により多角的なビジネスを展開(栃木県)

観光資源としても活用する
管理された竹林
資料:株式会社ワカヤマファーム
たけのこ・くりの
6次産業化商品を販売
資料:株式会社ワカヤマファーム
栃木県宇都宮市(うつのみやし)の農業法人である株式会社ワカヤマファームでは、竹林やたけのこ等の地域資源を有効に活用しながら観光事業等の多角的なビジネスを展開しています。
同社は、24haの圃場でたけのこ等の生産や竹苗の育種・販売、近代都市空間における竹植栽の啓蒙を行っています。また、市街地近郊に管理された竹林が残存する希少性により、映画やCMの撮影地となったことを契機に、竹林への訪問者が増えたため、平成29(2017)年に農場の一部を公開し、入場料収入による観光事業を開始しました。入場者数は年々増加し、平成28(2016)年の4千人から令和4(2022)年は8万人に増加しました。
観光事業と併せて、たけのこ・くりの農産物加工品の開発・販売にも取り組んでおり、観光客向けに販売する農産物加工品(他社から仕入れた農産物加工品含む)の販売金額は、平成28(2016)年の270万円から令和4(2022)年の3,400万円に増加しました。また、観光客の増加が従業員の竹林管理の作業意欲の向上につながるなど、好調な観光事業が農業にも良い影響を与えています。
同社は、ハンモックテントを活用した竹林キャンプや国産メンマの開発にも取り組んでおり、更なる観光客や農産物加工品販売の増加を図りつつ、今後は自社製食材を活用した農家レストランの展開も計画しています。
(農山漁村の活性化に向けた起業を後押し)
若い世代を中心とした地方移住への関心の高まりに加えて、地域の課題に対してビジネスの手法を取り入れることで解決を図り、持続可能な農山漁村を目指す取組も見られます。
このような取組を広く展開するため、農山漁村における起業促進プラットフォームである「INACOME(イナカム)」では、地域資源を活用した多様なビジネスの創出を促進することを目的として、起業家間での情報交換を通じたビジネスプランの磨き上げや課題を抱える地域と起業家のマッチング、ビジネスプランコンテスト等を実施しています。
起業促進プラットフォーム「INACOME」
URL:https://inacome.jp/(外部リンク)
(6次産業化による農業生産関連事業の年間総販売金額は約2.1兆円)
6次産業化に取り組む農業者等による加工・直売等の販売金額は、近年横ばい傾向で推移しています。令和3(2021)年度の農業生産関連事業の年間総販売金額は、農産加工等の増加により前年度に比べ337億円増加し2兆666億円となりました(図表3-4-3)。
地域の農林漁業者が、農産物等の生産に加え、加工・販売等に取り組み、新たな価値を生み出す6次産業化の取組も引き続き進んでおり、六次産業化・地産地消法(*1)に基づく総合化事業計画(*2)認定件数の累計は、令和4(2022)年度末時点で2,630件となりました。
1 正式名称は「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」
2 六次産業化・地産地消法に基づき、農林漁業経営の改善を図るため、農林漁業者等が農林水産物や副産物(バイオマス等)の生産とその加工又は販売を一体的に行う事業活動に関する計画
(農村への産業の立地・導入を促進)
農林水産省では、農業と産業の均衡ある発展と雇用構造の高度化に向けて、農村地域への産業の立地・導入を促進するため、農村産業法(*1)に基づき、都道府県による導入基本計画、市町村による導入実施計画の策定を推進するとともに、税制等の支援措置の積極的な活用を促しています。
令和4(2022)年3月末時点の市町村による導入実施計画に位置付けられた計画面積は約1万7,900haであり、同計画において、産業を導入すべき地区として定められた産業導入地区における企業立地面積は全国で約1万3,700ha、操業企業数は6,815社、雇用されている就業者は約46万人となっています。
1 正式名称は「農村地域への産業の導入の促進等に関する法律」
(2)農泊の推進
(農泊地域の宿泊者数は前年度に比べ58万人泊増加)
農泊とは、農山漁村において農家民宿や古民家等に滞在し、我が国ならではの伝統的な生活体験や農村の人々との交流を通じて、その土地の魅力を味わってもらう農山漁村滞在型旅行のことです。農林水産省は、令和4(2022)年度末までに全国621の農泊地域(*1)を採択し、これらの地域において、宿泊、食事、体験に関するコンテンツ開発等、農泊をビジネスとして実施できる体制の構築等に取り組んでいます。
令和3(2021)年度における農泊地域の延べ宿泊者数は、前年度に比べ約58万人泊増加し約448万人泊となりました。このうち、訪日外国人旅行者の延べ宿泊者数は前年度に比べ減少し約1万人泊となりました(図表3-4-4)。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワーケーションや近隣地域への旅行(マイクロツーリズム)といったニーズが顕在化しており、農泊地域では、そのようなニーズに対応した多様な取組が行われています。
農林水産省では、新型コロナウイルス感染症の収束後を見据えたコンテンツの磨き上げを支援するなど、引き続き安全・安心な旅行先としての農泊の需要喚起に向けた取組を展開しています。
1 農山漁村振興交付金(農泊推進対策)を活用した地域
(事例)宿泊者数回復を見据え、インバウンドの受入体制を強化(秋田県)

秋田県仙北市(せんぼくし)は日本国内でも数少ない、インバウンドグリーンツーリズムの団体受入れが可能な地域であり、同市の一般社団法人仙北市農山村体験推進協議会(せんぼくしのうさんそんたいけんすいしんきょうぎかい)は多言語対応等の環境整備を進め、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて減少したインバウンドを含む宿泊者数の回復を図っています。
同市における農山村体験を総合的に推進することを目的として、平成20(2008)年に市、観光協会、農協、宿泊施設等を構成員として設立された同協議会では、グリーンツーリズムの宿(農家民宿等)36軒を中心に、地域の特色を活かしたアウトドア体験等、多数の体験コンテンツの提供や温泉施設等を活用した農泊の受入れを行っています。
平成30(2018)年からは、国家戦略特区を活用して国内旅行業務取扱管理者資格及び地域限定旅行業の登録を行い、Webサイトから予約リクエストが可能なワンストップサービス体制を構築するとともに、国内外の個人旅行客に対応するため、農泊施設内の表記やWebサイトの多言語化、カード決済システム、無線LAN環境、翻訳アプリ等の受入体制整備を行いました。
同協議会では、宿泊者数の回復を見据え、グリーンツーリズムの宿や田沢湖(たざわこ)等の地域資源を活用した「リトリート(*)」の推進に取り組んでいます。
仕事や生活から離れた非日常的な場所で自分と向き合い、心と身体をリラックスさせるためにゆったりと時間を過ごす新しい旅のスタイル
(「SAVOR JAPAN」認定地域に4地域を追加)
増大するインバウンドが、訪日外国人旅行者の更なる増加と農林水産物・食品の輸出増大につながるといった好循環を構築するためには、訪日外国人旅行者を日本食・食文化の「本場」である農山漁村に呼び込むことが重要です。農林水産省は、平成28(2016)年度から、農泊を推進している地域の中から、特に食と食文化によりインバウンド誘致を図る重点地域を「農泊 食文化海外発信地域(SAVOR JAPAN(セイバージャパン))」に認定することで、ブランド化を推進する取組を行っています。インバウンド観光の再開に伴う訪日外国人旅行者の増加を見据え、令和4(2022)年度は新たに4地域(*1)を認定し、認定地域は全国で41地域(令和4(2022)年12月時点)となりました。
1 令和4(2022)年度に認定された地域は、北海道網走市(鮭料理)、愛知県田原市(あさり料理)、広島県呉市(牡蠣料理)、熊本県阿蘇市(あか牛、高菜漬け)の4地域。()内は、その地域の食
(3)農福連携の推進
(農福連携に取り組む主体数は前年度に比べ2割増加)
障害者等の農業分野での雇用・就労を推進する農福連携は、農業、福祉両分野にとって利点があるものとして各地で取組が進んでいます。
農福連携等推進ビジョン(*1)においては、農業経営の発展とともに障害者がやりがいや生きがいをもって農業分野で活躍する場を創出することにより、農福連携の裾野を広げていくため、農福連携に取り組む主体を令和元(2019)年度末からの5年間で新たに3千創出するとの目標の下、認知度の向上や専門人材の育成、施設整備への支援等に取り組むこととしています。
農福連携に取り組む主体数は、令和元(2019)~3(2021)年度において新たに1,392主体が農福連携に取り組み、前年度に比べ約2割増加し5,509主体となりました(図表3-4-5)。
また、現場で農福連携を支援できる専門人材を育成するため、農林水産省及び都道府県では、障害特性に対応した農作業支援技法を学ぶ農福連携技術支援者育成研修を実施しています。令和4(2022)年度は、開催箇所数を拡大して農林水産省及び7県で同研修を実施しており、令和5(2023)年3月時点で新たに171人の農福連携技術支援者を認定し、累計で348人となりました。
1 令和元(2019)年6月に農福連携等推進会議で決定
(農福連携等応援コンソーシアムによる全国展開に向けた普及・啓発を推進)
令和2(2020)年に設立した農福連携等応援コンソーシアムでは、イベントの開催、連携・交流の促進、情報提供等の国民的運動を通じた農福連携の普及・啓発を展開しています。
同コンソーシアムでは、農福関連の商品の価値をPRするノウフクマルシェや現場の課題解決を図るノウフク・ラボ等の取組を実施するとともに、令和5(2023)年2月には、農福連携に取り組む団体、企業等の優良事例23団体を「ノウフク・アワード2022」において表彰しました(図表3-4-6)。
農福連携等応援コンソーシアム
URL:https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/noufuku/conso.html

(多世代・多属性の利用者が交流・参加するユニバーサル農園の整備・利用を推進)
農業には、農産物を生産し食料を供給する役割のほか、土や作物との触れ合いを通じた精神的・肉体的なリハビリテーションや健康増進の効果を発揮する役割も期待されます。また、体験農園での農作業を通じて様々な人と触れ合うことは、高齢者や障害者の社会参画にもつながります。
ユニバーサル農園(埼玉県)
資料:NPO法人土と風の舎
農林水産省は、誰もが農業体験を通じた農業の持つ多面的な機能を享受でき、障害者、高齢者等の多世代・多属性の利用者が交流・参画する農園を「ユニバーサル農園」と位置付け、その整備・利用を推進しています。
ユニバーサル農園の取組が全国に広がることにより、利用者の健康増進や生きがいづくり、社会参画の促進のみならず、農地の利用の維持・拡大、就農者の増加といった様々な社会問題の解決につながることを目指しています。
(4)バイオマス・再生可能エネルギーの推進
(「バイオマス活用推進基本計画」を見直し)
持続的に発展する経済社会の実現や循環型社会の形成には、みどり戦略(*1)に示された生産力の向上と持続性の両立を推進するとともに、バイオマスを製品やエネルギーとして活用するなど地域資源の最大限の活用を図ることが重要です。
政府は、平成28(2016)年に策定した「バイオマス活用推進基本計画」を見直し、令和4(2022)年9月に新たな基本計画を閣議決定しました。同計画では、農山漁村だけでなく都市部も含めた地域主体のバイオマスの総合的な利用を推進し、製品・エネルギー産業の市場のうち、国産バイオマス産業の市場シェア(*2)を一定規模に拡大することを目指すこととしています。
また、同計画では、バイオマスの持続的な活用に向けて、バイオマスの供給基盤となる食料・農林水産業の生産力向上と持続性を確保するとともに、家畜排せつ物や下水汚泥資源等の活用に当たっては、利用者の理解を醸成しながら、その特性に応じた高度利用を推進していくこととしています。さらに、重要な地域資源である農地において資源作物を栽培し、荒廃農地の発生防止に取り組むこととしています。
1 第2章第9節を参照
2 令和12(2030)年に約2%、将来的に約10%の市場が形成されることを目標としている。
(事例)エネルギーの地産地消により「一石五鳥」のメリットが発現(北海道)

北海道鹿追町(しかおいちょう)は、町内で稼働する二つのプラントによるバイオガス発電を通じて「エネルギーの地産地消」に取り組むことにより、環境の改善のみならず、地域活性化等様々な効果を発現させています。
同町は平成19(2007)年に家畜ふん尿の適正処理、生ごみ・汚泥の資源化等を図るため、既存の汚泥処理施設にバイオガスプラント・堆肥化施設を新設した鹿追町環境保全(しかおいちょうかんきょうほぜん)センターを設置しました。
同施設の稼働に当たっては、利用費の負担が必要な酪農家による施設の利用や、発酵残さである消化液を活用する耕種サイドによる協力が必要でしたが、話合いや説明会等の粘り強い活動を通じて地域の理解が得られたことにより、計画の実施に至りました。
同町ではバイオガスプラントの稼働により、周辺環境の改善に加え、発電した電気の施設内利用や売電、余剰熱の温室栽培や魚類養殖への活用等「一石五鳥」のメリットが発現したとしています。
平成28(2016)年には2施設目となる瓜幕(うりまく)バイオガスプラントが本格稼働しました。令和32(2050)年までにカーボンニュートラルの実現を目指す同町では、バイオガスプラントを核としたエネルギーの地産地消の取組を更に進めていくこととしています。

瓜幕バイオガスプラント
資料:北海道鹿追町
(バイオマス産業都市を新たに4町選定)
地域のバイオマスを活用したグリーン産業の創出と地域循環型エネルギーシステムの構築を図ることを目的として、経済性が確保された一貫システムを構築し、地域の特色を活かしたバイオマス産業を軸とした環境にやさしく災害に強いまち・むらづくりを目指す地域を、関係府省が共同で「バイオマス産業都市」として選定しています。令和4(2022)年度には、北海道浜中町(はまなかちょう)、群馬県長野原町(ながのはらまち)、滋賀県竜王町(りゅうおうちょう)、広島県世羅町(せらちょう)の4町を選定し、これまでにバイオマス産業都市に選定した地域は全国で101市町村となりました。農林水産省は、これらの地域に対して、地域構想の実現に向けて各種施策の活用、制度・規制面での相談・助言等を含めた支援を行っています。
(農山漁村再生可能エネルギー法に基づく基本計画を作成した市町村数は81に増加)
農山漁村において再生可能エネルギー導入の取組を進めるに当たり、農山漁村が持つ食料供給機能や国土保全機能の発揮に支障を来さないよう、農林水産省では、農山漁村再生可能エネルギー法(*1)に基づき、市町村、発電事業者、農業者等の地域の関係者から成る協議会を設立し、地域主導で農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電を行う取組を促進しています。
令和3(2021)年度末時点で、農山漁村再生可能エネルギー法に基づく基本計画を作成し、再生可能エネルギーの導入に取り組む市町村は、前年度に比べ7市町村増加し81市町村となりました(図表3-4-7)。また、農山漁村再生可能エネルギー法を活用した再生可能エネルギー発電施設の設置数も年々増加しており、設備整備者が作成する設備整備計画の認定数は、令和3(2021)年度末時点で100となりました。
一方、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、一部の地域では、災害や環境への影響、再生可能エネルギー設備の廃棄などへの懸念が指摘されています。このため、経済産業省、農林水産省、国土交通省、環境省の4省共同で「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」を開催し、令和4(2022)年10月に再生可能エネルギー関連の事業における課題やその解消に向けた取組の在り方等について提言を取りまとめました。
1 正式名称は「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律」
(再生可能エネルギー発電を活用し、地域の農林漁業の発展を図る地区の経済規模は増加)
農山漁村の所得の向上・地域内の循環を図るためには、地域資源を活用したバイオマス発電、小水力発電、営農型太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入促進が重要です。
農林水産省は、再生可能エネルギーを活用して地域の農林漁業の発展を図る取組を行う地区における再生可能エネルギー電気・熱に係る経済規模について、令和5(2023)年度に600億円にすることを目標としています。令和3(2021)年度末時点の経済規模は、前年度に比べ73億円増加し521億円となりました(図表3-4-8)。
(荒廃農地を活用した再生可能エネルギーの導入を促進)
荒廃農地(*1)については、再生利用及び発生防止の取組を進めることが基本ですが、これらの取組によってもなお農業的な利用が見込まれないものも存在しています。このため、荒廃農地を農山漁村再生可能エネルギー法に基づく設備整備区域(*2)に含める場合には、耕作者を確保することができず、耕作の見込みがないことをもって農地転用規制の特例の対象となるよう要件を緩和することにより、再生可能エネルギー導入の促進を図っています。
1 用語の解説(1)を参照
2 市町村が基本計画において定める再生可能エネルギー発電設備の整備を促進する区域
(営農型太陽光発電の取組面積が拡大)
農地に支柱を立て、上部空間に太陽光発電設備を設置し、営農を継続しながら発電を行う営農型太陽光発電の取組面積は年々増加しており、令和2(2020)年度は前年度に比べ145ha増加し873haとなりました(図表3-4-9)。
(コラム)営農型太陽光発電の不適切な事例が増加
営農型太陽光発電は、農業生産と再生可能エネルギーの導入を両立する有用な取組であり、その設置件数は年々増加しています。一方、太陽光パネル下部の農地において作物の生産がほとんど行われない等、農地の管理が適切に行われず営農に支障が生じている事例も増えており、その数は令和2(2020)年度末時点で存続している2,535件(*1)の取組のうち18%の458件となっています。
事業者に起因して支障が生じている取組に対しては、農業委員会又は農地転用許可権者により、事業者に対する営農状況の改善に向けた指導が行われていますが、指導に従わなかった結果、事業の継続に必要な農地転用の再許可が認められないようなケースも発生しています。
このため、太陽光パネルの下部の農地における営農が適切に行われるよう、農地法や再エネ特措法(*2)等の関係法令に違反する事例に対して、厳格に対処するなどの対応が必要となっています。
1 令和2(2020)年度新規許可分は、施設が整備中で営農が開始されていないものが多いことから件数から除外
2 正式名称は「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」
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