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農林水産省

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トピックス3 女性活躍の推進


女性は農業と地域の活性化において重要な役割を果たしています。農業の発展と、誰もが自分らしく活躍できる農業の実現に向けて、女性が働きやすく、農業経営等に参画しやすい環境を整備していくことが重要です。

令和元(2019)年度食料・農業・農村白書では、自ら経営に参画し、ビジネスチャンスを見出しながら、輝きを増す女性農業者の姿を初めて特集として取り上げました。また、令和2(2020)年度には「女性の農業における活躍推進に向けた検討会」において更なる女性の活躍に向けた具体的方策について検討を行いました。

以下では、最近5年間の動きを中心に、女性農業者の動向等について紹介します。

(女性の基幹的農業従事者数は減少傾向であるものの、若い世代には明るい兆し)

令和6(2024)年における女性の基幹的農業従事者(*1)数は、前年に比べ4.5%減少し43万1千人となりました(図表 トピ3-1)。女性の基幹的農業従事者は全体の38.7%を占めており、引き続き重要な担い手であることに変わりはありませんが、女性の占める割合は、減少傾向にあります。ただし、平成12(2000)年からの20年間では年平均で0.39ポイント低下していましたが、令和2(2020)年以降は年平均で0.24ポイントの低下となっています。

図表 トピ3-1 女性の基幹的農業従事者数

データ(エクセル:29KB

一方、農林業センサスを活用した分析結果から農業に年間150日以上従事している女性農業者数を見ると、平成27(2015)年に15~59歳であった従事者数に対し、5歳加えた令和2(2020)年の20~64歳の従事者数は約1万人増加しています(図表 トピ3-2)。全体の増減に占める割合は低いものの、比較的若い世代の女性の活躍には明るい兆しが見え始めています。

図表 トピ3-2 年間で農業に従事した日数と年齢階層別に見た女性農業従事者の増減数

データ(エクセル:28KB

また、令和6(2024)年の農業経営体における女性の常雇い(*2)数は、7万3千人となっており、全体の46.1%を占めています。

*1 15歳以上の世帯員のうち、ふだん仕事として主に自営農業に従事している者

*2 あらかじめ、年間7か月以上の契約(口頭での契約も含む。)で主に農業経営のために雇った人(期間を定めずに雇った人を含む。)をいう。

(女性が経営参画している個人経営体は農産物販売金額の伸び率が高い)

農林業センサスを活用した分析結果によると、女性が農業経営に参画している個人経営体は、参画していない個人経営体に比べ、農産物販売金額が高く、平成27(2015)年から令和2(2020)年にかけて、農産物販売金額の伸び率が高くなっています(図表 トピ3-3)。

女性の経営参画は、経営に新たな視点を取り込むことにつながり、消費に関する意思決定の中心を担う女性のニーズを的確に捉え、より効果的な対応ができるといった効果があると考えられています。

今後の農業の発展、地域経済の活性化のためには、多彩な能力を持つ女性農業者が力を発揮していけるようにすることが必要です。

図表 トピ3-3 女性の経営参画の有無で見た農産物販売金額と伸び率

データ(エクセル:26KB

(事例)さつまいもを通じて様々な事業を展開し、農業界の発展を後押し(新潟県)

(1)農業界全体を発展させたいという想いから、農産物の生産・加工・販売のプロデュースに挑戦

新潟県小千谷市(おぢやし)の「株式会社農(のう)プロデュース リッツ」では、農産物の生産・加工・販売までをプロデュースする様々な事業を展開しています。同社の代表取締役である新谷梨恵子(あらやりえこ)さんは、さつまいもを通じて農業界全体を発展させていきたいと考えており、農家レストランの経営や6次産業化プランナーとして農業者に対する助言等を行っています。

(2)農家レストランを経営しながら6次産業化プランナーとして活動するなど様々な事業を展開

新谷さんは、農家レストランである「さつまいも農カフェきらら」を経営しており、さつまいもを活用した料理等を提供しています。さつまいもの上にソフトクリームを乗せた同社の代表商品は、各種メディアに取り上げられ、累計で3万個以上販売されました。また、店内のイベントスペースを貸し出して、主な利用客である子育て中の女性を対象としたイベント等の開催にも協力しています。

このような実体験に基づき、6次産業化プランナーとして農業者からの相談を受けており、商品開発や販路拡大等について相談者が実践できる内容となるよう配慮しながら助言を行っています。さらに、規格外野菜の受託加工や農家への研修生の派遣を行うなど様々な方面から事業を展開しており、これらの活動を通じて地域の活性化に取り組んでいます。

(3)学生を始めとした研修生の積極的な受入れや女性の活躍を推進し、農業界の発展を後押し

新谷さんは、「次世代の子供の夢が未来の現実になる」との考えから、学生を始めとした研修生の積極的な受入れを進めています。また、女性が働きやすい職場環境の整備にも取り組んでおり、今後とも、様々な事業の展開を通じて農業界の発展を後押ししていくこととしています。

新潟県小千谷市
「株式会社農プロデュース リッツ」代表取締役の新谷梨恵子さん

「株式会社農プロデュース リッツ」
代表取締役の新谷梨恵子さん

資料:株式会社農プロデュース リッツ

農家レストランで開催されたベビーマッサージの会

農家レストランで開催された
ベビーマッサージの会

資料:株式会社農プロデュース リッツ

(「農業女子プロジェクト」の更なる活性化)

「農業女子プロジェクト」推進会議

「農業女子プロジェクト」推進会議
URL:https://www.maff.go.jp/j/keiei/jyosei/noujopj.html

「農業女子プロジェクト」は、社会全体での女性農業者の存在感を高め、女性農業者自らの意識改革や経営力発展を促すとともに、職業としての農業を選択する若手女性の増加を図ることを目指し、多様な活動を展開しています。平成25(2013)年に設立された同プロジェクトは、令和6(2024)年には、1千人を超えるメンバーによる地域・世代を超えた全国ネットワークに成長し、企業との協同による商品・サービスの開発や未来の農業女子を育む活動といった多彩な取組(*1)を実施しています。

企業との協同により開発された女性が使いやすい農業機械等は、「ジェンダード・イノベーション(*2)」の観点からも注目を浴びており、女性に限らず、新規就農者や高齢農業者といった多くの方が使いやすいものとなっています。

令和6(2024)年度は、農業に関する実践的な知識や技術等を学べるオンラインセミナー「NEXTラボ2024」を農業女子メンバーと協同して企画・運営しました。このうち、輸出セミナーを契機として、「GFP(*3)×農業女子PJ輸出伴走支援プログラム」がスタートし、輸出実績のある農業女子メンバーがメンターとなり、チームで輸出の実践に取り組みました。

また、新たに、就農に向けて教育機関等に在学中又は研修中の女性も「プレメンバー」として共に活動できるようにすることで、本プロジェクト活動の更なる活性化を図っています。さらに、様々な知見・経験を有し活躍するメンバーが参加しているという強みを活かし、知見・経験を後輩に伝える場を積極的に設けるなど、メンバーの成長と新たな取組の実践につなげていくこととしています。

NEXTラボ2024に参加する農業女子メンバー

NEXTラボ2024に参加する農業女子メンバー

「GFP×農業女子PJ輸出伴走支援プログラム」キックオフ会議

「GFP×農業女子PJ輸出伴走支援プログラム」
キックオフ会議

農業女子プロジェクト

農業女子プロジェクト
URL:https://nougyoujoshi.maff.go.jp/

女性の基幹的農業従事者の割合が減少傾向にある中、女性が活躍できる農業や、女性が暮らしやすい農村を実現することは、女性農業者のためだけではなく、農業・農村に新たな視点や活力をもたらし、農業・農村の持続的な発展にとってますます重要になってきています。このような認識を関係者間で共有していくことが必要です。

農林水産省では、農業女子プロジェクトのほか、農村地域における意識改革、女性が働きやすい環境整備、女性グループ活動の活性化、地域をリードする女性農業経営者の育成等を進めており、引き続き地方公共団体や関係団体と連携し、女性の活躍推進に向け取り組むこととしています。

*1 各期の農業女子プロジェクト推進会議資料を参照

*2 科学や技術に性差の視点を取り込むことによって創出されるイノベーションのこと

*3 第3章第2節を参照



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