このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

食品中のヒ素に関する基礎情報

2019年3月25日更新

ヒ素ってどんな物質?

  •    ヒ素は自然環境中に広く存在する元素です。地殻中に分布しており、火山活動や森林火災、鉱物の風化などの自然現象によって環境中に放出されるため、農地を含めて全国の土や水の中にも存在しています。また、日本のように比較的新しい火山活動の影響を受けた地域の土壌に含まれるヒ素の濃度は、他の地域に比べて高いと言われています。
       純粋なヒ素(単体)は、金属と非金属両方の性質を持った「半金属」と呼ばれる物質です。そのヒ素に酸素や炭素などの他の元素が結合して、様々な形のヒ素化合物となって環境中に存在しています。ヒ素化合物のうち、炭素を含むものを「有機ヒ素(化合物)」、炭素を含まないものを「無機ヒ素(化合物)」といいます。
  •    私たち人類は古くからヒ素を利用してきました。現在でも医薬品、半導体、農薬、木材の防腐処理剤などを作るときの原料として工業的に利用されています。また、このようなヒ素を原料とする製品を含めた廃棄物の処理、火力発電、金属精錬といった産業活動に伴って自然環境中に放出されたヒ素化合物も存在します。
       産業活動による環境中へのヒ素の放出を適切に管理するために、日本では、水や土壌に関する環境基準や水道水に関する水質基準の設定、事業場からのヒ素の排出規制などを行っています。

ヒ素がヒトの体に入ることで生じる影響

  •    食品を食べたり水を飲んだりすることで、ヒ素がヒトの体の中に入ったときにどのような影響を及ぼすかは、体の中に入ったヒ素化合物の種類とその量によって異なります。
  •    ヒ素化合物のうち有機ヒ素については、ヒトの体の中に入ったときにどのような影響があるのか現在のところよく分かっていません。欧州食品安全機関(EFSA)や米国食品医薬品局(FDA)の評価によると、一般的に有機ヒ素は無機ヒ素に比べるとその悪影響の程度は小さいと言われています。
       一方、無機ヒ素が一度に、または短い期間に大量に体の中に入った場合は、発熱、下痢、嘔吐、興奮、脱毛などの症状があらわれると報告されています。また、無機ヒ素が長期間にわたって、継続的かつ大量に体の中に入った場合には、皮膚組織の変化やがんの発生などの悪影響があると報告されています。

水や食品からのヒ素の摂取量

  •    動植物が水や土などから取り込んだヒ素は農畜水産物にも存在します。このため、飲料水だけでなく、様々な食品は微量のヒ素を含んでおり、私たちは毎日の食生活を通じて、ヒ素を口から摂取(経口摂取)していることになります。
  •    国際的なリスク評価機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、ヒトが飲料水や食品を通じて経口摂取するヒ素のうち、飲料水から摂取する量の割合が最も大きいと推定しています。ただし、飲料水に含まれるヒ素の濃度が低い地域では、ヒ素の経口摂取量全体のうち食品を通じて摂取するヒ素の割合が相対的に大きくなると評価しています。下記の「参考:飲料水から摂取するヒ素」も併せてご覧ください。
       日本では、水道システムの整備に加え、ヒ素に対する事業場からの排出規制や水道水における水質基準の設定により、飲料水に含まれるヒ素の濃度が低く維持されています。したがって、日本人が経口摂取するヒ素のうち、飲料水からの割合は小さく、また、食品からの割合が相対的に大きいと推定されています。
  •    なお、日本人におけるヒ素の摂取量について、詳しくは「食品からのヒ素の摂取量」のページをご覧ください。

参考:飲料水から摂取するヒ素

  •    海外(インド、バングラデシュなど)には、自然由来のヒ素や産業活動で排出されたヒ素が地下水や河川水を汚染し、それを飲料水として利用した住民に健康被害が起きている地域があります。
  •    日本では、上記のとおり飲料水中のヒ素濃度は低い状態で管理されていますが、平成15年に茨城県で、高濃度のヒ素化合物を含む井戸水を飲んだ住民に健康被害が起きた事例がありました。これは、旧日本軍が化学兵器に使用した物質の原料でもある「ジフェニルアルシン酸」というヒ素化合物を含む廃棄物が、住民の利用する井戸の近隣に不法投棄されたことが原因でした。

食品に含まれるヒ素の低減に向けた取組

  •    ヒ素のように意図せずに食品に含まれる有害化学物質については、「生産から消費の段階で適切な措置を講じて合理的に可能な範囲で食品に含まれる量を減らすべき」というのが、国際的に合意された考え方です。このため、国内外で、食品中のヒ素について様々な調査・研究等の取組が進められています。
  •    農林水産省は、どの食品にどのくらいのヒ素が含まれているか把握するため、食品の実態調査を行ってきました。これまでに行った実態調査の結果については「食品に含まれるヒ素の実態調査」のページをご覧ください。
       ヒ素化合物の中でも、一般的に無機ヒ素は有機ヒ素に比べて、健康に与える悪影響の程度が大きいと言われています。そこで、農林水産省は、総ヒ素に占める無機ヒ素の割合が他の食品に比べて大きいコメやヒジキについて、その中に含まれるヒ素の低減に向けた取組を進めています。詳しくは「コメに含まれるヒ素の低減に向けた取組」、「ヒジキに含まれるヒ素の低減に向けた取組」のページをご覧ください。
  •    国際食品規格(コーデックス規格)の策定などを行っているコーデックス委員会では、コメ中の無機ヒ素濃度に関する最大基準値を定めました。また、コメに含まれるヒ素を減らすために有効な対策などをまとめた実施規範が策定されました。 詳しくは「海外の動向」のページをご覧ください。

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課

担当者:土壌汚染防止班(農産物関係)
代表:03-3502-8111(内線4507)
ダイヤルイン:03-3592-0306
FAX:03-3580-8592
 

消費・安全局畜水産安全管理課水産安全室

担当者:水産安全班(水産物関係)
代表:03-3502-8111(内線4540)
ダイヤルイン:03-6744-2105
FAX:03-3502-8275

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader