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いろいろなかび毒

アフラトキシン類

アフラトキシン類は、穀類、落花生、とうもろこし等に寄生するアスペルギルス属(コウジカビ)の一部のかびが産生するかび毒であり、ナッツ類、とうもろこし等から6種類(B1,B2,G1,G2,M1,M2)が検出 されています。

国際的なリスク評価機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、アフラトキシンB1を強い発がん性を有する物質としています。また、遺伝子を傷つけることによりがんを引き起こす物質であることから、毎日摂取し続けても健康への悪影響がないとされる量を設定することができず、摂取量を可能な限り低減すべきとされています。また、肝がんを引き起こすことが知られており、特にB型肝炎ウイルス保菌者での発がん率が高いことが知られています。

食品衛生法は、アフラトキシンB1が全食品から検出されてはならないとしています。(厚生労働省の通知法における検出限界は10 ppb(10 µg/kgに相当します。))

コーデックス委員会では、落花生(加工原料用)、木の実及び牛乳について、それぞれ以下の基準値を設定しています。

 

アフラトキシン類に関するコーデックス委員会の基準値
食品 基準値

落花生(加工原料用)

加工用木の実(アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ)

15 μg/kg
(総アフラトキシン(B1+B2+G1+G2)として)

直接消費用木の実(アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ)

10 μg/kg
(総アフラトキシンとして)
牛乳 0.5 μg/kg
(M1として)

 

アフラトキシンB1
(アフラトキシンB1)

→「アフラトキシンB1」のリスクプロファイル

オクラトキシンA

1960年代に南アフリカで穀類から分離され、その後の動物試験などで、肝臓や腎臓への毒性が確認されました。アスペルギルス属及びペニシリウム属(アオカビ)の一部のかびが産生するかび毒であり、穀類、豆類、乾燥果実、飲料等いろいろな食品から検出されています。

北欧諸国でのブタの腎障害やバルカン諸国における人の腎疾患との関係が疑われています。動物試験では腎毒性及び発がん性が認められています。

 

(注)動物試験の毒性データなどに基づいて安全性評価を行い、人が1週間当たりに一生食べ続けても健康に悪影響を与えない量として設定した量です。1日当たりの量として設定した場合は暫定耐容一日摂取量(PTDI)を用います。

 

わが国では食品の基準値は設定されておりません。

コーデックス委員会では、小麦、大麦及びライ麦について以下の基準値を設定しています。

 

オクラトキシンAに関するコーデックス委員会の基準値
食品 基準値

小麦、大麦、ライ麦

5 μg/kg

オクラトキシンA
(オクラトキシンA) 

→「オクラトキシンA」のリスクプロファイル

トリコテセン類

類似する化学構造を持つかび毒(C-12、13にエポキシ環、C-9、10に二重結合を有する四環構造のかび毒)をまとめて「トリコテセン類」と呼んでいます。1950年代にわが国で発生した赤かび病に罹った麦類などを喫食した人の急性食中毒や、1940年前後に旧ソビエト連邦で発生した中毒事故(ATA症)などは、トリコテセン類のかび毒が原因と考えられています。

麦類の品質低下や収穫量の減少の原因となることが知られている赤かび病の病原菌であるフザリウム属(アカカビ)のかびが、農作物に付着・増殖し、不適切な生産管理や収穫・乾燥等を行うことで、これらのかび毒を産生します。

トリコテセン類の骨格
(トリコテセン類の骨格)

デオキシニバレノール(DON)

マウスを用いた長期試験の結果、0.1 mg/kg体重/日に相当する量までは継続して食べ続けても健康への影響は見られませんでした。しかし、0.5 mg/kg体重/日に相当する量を食べ続けると、餌を食べる量や体重の増加量が減ったり、免疫力が低下するなどの悪影響が見られました。
JECFAでは、影響が見られなかった0.1 mg/kg体重/日のさらに100分の1である1 µg/kg体重/日であればDONを毎日摂取しても問題がないと評価しています。
なお、著しく汚染された穀物を一度に摂取すると、おう吐など急性中毒の症状が生じることが報告されています。また、これまでの毒性試験では、発がん性を示す根拠は報告されておりません。

厚生労働省は、2002年5月に市場に流通する小麦の安全性を確保するための行政上の指針として、小麦の暫定的な基準値として1.1ppm(1.1 mg/kgに相当します。)を定めました。現在、農業団体等による自主検査により暫定的な基準値を超えるDONが検出された場合は、販売の自主規制等が行われています。

農林水産省は、「麦類のDON・NIV汚染低減のための指針」(2008年12月公表)に基づく取組を推進し、より一層の汚染低減に取り組んでいます。

デオキシニバレノール
(デオキシニバレノール)

→「デオキシニバレノール」のリスクプロファイル

ニバレノール(NIV)

マウスを用いた長期試験の結果、0.7 mg/kg 体重/日に相当する量を継続して食べ続けると、餌を食べる量が減ったり、、免疫力が低下するなどの悪影響が見られました。欧州委員会(EC)の食品科学委員会(SCF)では、悪影響が見られた最低の濃度のさらに1000分の1である0.7 µg/kg 体重/日であれば、NIVを毎日摂取しても問題がないとの暫定的な評価をしています。

なお、著しく汚染された穀物を一度の摂取すると、DONと同様に、おう吐など急性中毒の症状が生ずることが報告されています。また、これまでの毒性試験では、発がん性を示す根拠は報告されていません。

わが国や諸外国、コーデックス委員会では基準値は設定されていません。

農林水産省は、「麦類のDON・NIV汚染低減のための指針」に基づく取組を推進し、DONとともに、より一層の汚染低減に取り組んでいます。

ニバレノール


(ニバレノール)

→「ニバレノール」のリスクプロファイル

T-2トキシン、HT-2トキシン

わが国や諸外国、コーデックス委員会では基準値は設定されていません。

T-2:R1=OAc、HT-2:R1=OH
(T-2:R1=OAc、HT-2:R1=OH)

→「T-2トキシン、HT-2トキシン」のリスクプロファイル

パツリン

1942年に発見され、当初は抗生物質として注目されていましたが、人に対する毒性が強いことが明らかとなったため、その利用は断念され、現在では、りんご果汁を汚染するかび毒として国際的にも規制の対象とされています。台風等によりりんごが地上に落果して傷が付き、土壌中にいるペニシリウム属又はアスペルギルス属の一部のかびが、損傷部から侵入し、果実の中で増殖してパツリンを産生します。欧米では、特に、体重に対してりんごジュースの摂取量が多い子供の健康保護の観点から重要視されているかび毒です。

動物試験では、短期毒性として消化管の充血、出血、潰瘍等の症状が認められ、また、長期毒性として体重増加抑制等の症状が認められています。

コーデックス委員会では、2003年にりんご果汁について50 μg/kgの基準値を設定するとともに、「りんご果汁及びりんご果汁を原料とする飲料のパツリン汚染防止・低減のための実施規範」を採択しました。

こうした国際的な動きを踏まえて、わが国でも、2003年に食品衛生法基づく清涼飲料水の成分規格として、りんごジュース及び原料用りんご果汁について、パツリンの基準値として0.050 ppm(50 µg/kgに相当します。)が定められています。また、農林水産省は、原料用りんご果実の生産、流通及び加工段階におけるパツリン汚染防止・低減のための対策(傷果発生の防止、腐敗果の選別等)の徹底について指導しています。

パツリン
(パツリン)

→「パツリン」のリスクプロファイル

ゼアラレノン

トリコテセン類のかび毒と同様に、フザリウム属の一部のかびが農作物に付着・増殖し、不適切な生産管理や収穫・乾燥等を行うことで産生するかび毒です。ゼアラレノンに汚染されたとうもろこし飼料により、ブタの生殖毒性による中毒事例が報告されています。また、家畜の生育増進ホルモン剤のゼラノール(alpha-ゼララノール)の前駆体であり、内分泌かく乱物質の一つとして注目されています。

わが国及びコーデックス委員会では食品の基準値は設定されていません。

ゼアラレノン
(ゼアラレノン)

→「ゼアラレノン」のリスクプロファイル

フモニシン類

フモニシン類の発見は他のかび毒に比べて新しく、1988年に構造が決定されています。自然汚染が多いのは、フモニシンB1、B2、B3で、ウマの白質脳症やブタの肺水腫など家畜への影響のほか、とうもろこし加工品を主食としている地域において、新生児の神経管への催奇形性を示すとの報告があることから注目されています。また、ラットやマウスを使った動物試験では、肝臓や腎臓に発がん性が認められています。

わが国及びコーデックス委員会では食品の基準値は設定されていません。

現在、コーデックス委員会において、とうもろこし及びその製品について基準値の設定に向けた検討が進められています。

 フモニシンB1
(フモニシンB1)

→「フモニシン」のリスクプロファイル

ステリグマトシスチン、シトリニン、ルテオスカイリン

これらのかび毒は、いずれも、国際機関等でのリスク評価は行われておらず、現段階では、コーデックス委員会でも基準値等の議論は行われていません。また、わが国でも基準値等は設定されていません。

【ステリグマトシスチン】
動物試験で発がん性の報告がありますが、わが国では、過去に長期間保存されて変質した穀類等から見つかっている程度で、中毒事故等は報告されていません。

【シトリニン、ルテオスカイリン】
わが国では、第二次世界大戦直後の食糧事情が悪い時代に、海外から輸入された米の汚染が問題となったこと(黄変米事件)がありますが、近年、食品中の汚染はほとんど見つかっていません。

お問い合わせ先

消費・安全局農産安全管理課 
代表:03-3502-8111(内線4507)
ダイヤルイン:03-3592-0306
FAX:03-3580-8592

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