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いろいろなかび毒

目次 

農林水産省が優先的にリスク管理を進めているかび毒(平成28年1月現在)

これらのかび毒について、詳しく知りたい方はリスクプロファイルもご覧ください。

その他のかび毒

 アフラトキシン類

アフラトキシン類は、穀類、落花生、ナッツ類、とうもろこし、乾燥果実などに寄生するアスペルギルス属(Aspergillus, コウジカビ)の一部のかびが産生するかび毒であり、食品から検出される主要なものに4種類(B1、B2、G1、G2)あります。また、アフラトキシンM1、M2の2種類は、動物の体内でそれぞれ飼料中のアフラトキシンB1、B2が代謝されて生成し、乳中に含まれることが知られています。

 

AFB1

アフラトキシンB1

AFB2

アフラトキシンB2

AFG1

アフラトキシンG1

AFG2

アフラトキシンG2

AFM1

アフラトキシンM1

AFM2

アフラトキシンM2

JECFAによるリスク評価(1987年、1996年、1997年、2001年、2007年)

国際的なリスク評価機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、アフラトキシン類は人の肝臓に発がん性があるとし、アフラトキシン類の中でもアフラトキシンB1を最も強い発がん性を有する物質としました。アフラトキシン類による健康リスクを低減するため、 摂取量を可能な限り低減すべきとし、特に、B型肝炎表面抗原陽性者では、陰性者に比べて肝がん発症率が高いため、アフラトキシン類の摂取量を減らすことが肝がんリスク低減に有効であると勧告しました。

内閣府食品安全委員会によるリスク評価(2009年、2013年)

内閣府食品安全委員会は、2008(平成20)年に厚生労働省の評価要請を受けて、総アフラトキシンの食品健康影響評価を行い、2009(平成21)年に報告書を公表しました。また、同委員会は2010(平成22)年に厚生労働省及び農林水産省の評価要請を受けて、乳中のアフラトキシンM1及び飼料中のアフラトキシンB1の食品健康影響評価を行い、2013(平成25)年に報告書を公表しました。詳しくは、同委員会のウェブサイトをご確認ください。

 農林水産省は、「米のカビ汚染防止のための管理ガイドライン」(2012(平成24)年2月策定)に基づき、米の乾燥調製、貯蔵段階において、アフラトキシン類を産生するようなかびを含めて米にかびが生育することを未然に防止する取組を推進し、より一層の米の安全性向上に取り組んでいます。

飼料中のアフラトキシンB1に関する農林水産省の指導基準及び管理基準

飼料

指導基準
配合飼料(乳用牛用)

0.01 mg/kg

飼料 管理基準

配合飼料(牛用(ほ乳期子牛用及び乳用牛用を除く)、豚用(ほ乳期子豚用を除く)、鶏用(幼すう用及びブロイラー前期用を除く)、うずら用)

とうもろこし

0.02 mg/kg

配合飼料(ほ乳期子牛用、ほ乳期子豚用、幼すう用、ブロイラー前期用)

0.01 mg/kg

 食品衛生法では、総アフラトキシン(アフラトキシンB1、B2、G1及びG2の総和)を10 μg/kgを超えて含有する食品は第6条第2号に違反するものとして取り扱うとしています。また、乳に含まれるアフラトキシンM1が 0.5 µg/kgを超えて含有する場合も、同様の取扱として規制されることが新たに決まりました(平成28年1月23日から適用)。

コーデックス委員会では、落花生(2004年)、木の実(2005年)、乾燥いちじく(2008年)、乳生産用家畜飼料(1997年)について、アフラトキシン類による汚染防止のための実施規範を採択しました。また、穀類のかび毒汚染の防止・低減に関する実施規範(2003年)において、アフラトキシン類を含むかび毒全般に関する規範を定めており、アフラトキシンに関する付属書の作成が進められています。落花生、木の実、乾燥いちじく及び牛乳については、それぞれ以下の最大基準値を設定しています。また、直接消費用の落花生の最大基準値の新規作成作業が進められています。

アフラトキシン類に関するコーデックス委員会の基準値
食品 最大基準値

加工原料用落花生

加工原料用木の実(アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、殻無しブラジルナッツ)

15 μg/kg
(総アフラトキシン(B1+B2+G1+G2)として)

直接消費用木の実(アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、殻無しブラジルナッツ)

直接消費用乾燥いちじく

10 μg/kg
(総アフラトキシン(B1+B2+G1+G2)として)

牛乳

0.5 μg/kg
(アフラトキシンM1として)

  オクラトキシンA

1960年代に南アフリカで穀類から分離され、その後の動物試験などで、肝臓や腎臓への毒性が確認されました。アスペルギルス属(Aspergillus, コウジカビ)及びペニシリウム属(Penicillium, アオカビ)の一部のかびが産生するかび毒であり、穀類、豆類、乾燥果実、飲料などいろいろな食品から検出されています。
北欧諸国におけるブタの腎障害やバルカン諸国における人の腎疾患との関係が疑われています。動物試験では腎毒性及び発がん性が認められています。 

OTA

JECFAによるリスク評価(1990年、1995年、2001年、2007年)

動物試験(ブタ)における腎毒性を考慮し、以下の耐容量を設定しました。

暫定最大耐容一週間摂取量(PMTWI) (注1)=0.1 μg/kg体重

穀類に由来するヒトの推定摂取量は耐容量を大きく下回っており、リスクは低いとしました。
(注1)動物試験の毒性データなどに基づいて安全性評価を行い、人が一生食べ続けても健康に悪影響を与えないと推定した、体重1 kg当たりの一週間の摂取量です。

内閣府食品安全委員会によるリスク評価(2014年)

内閣府食品安全委員会は、2014(平成26)年に自らの判断で行った食品健康影響評価において、非発がん毒性に関する耐容摂取量を16 ng/kg体重/日、発がん性に関する耐容摂取量を15 ng/kg体重/日と設定した上で、食品からのOTAの摂取が一般的な日本人の健康に悪影響を及ぼす可能性は低いとする評価結果を公表しました。なお、OTAの主な産生菌は、異なる生育条件では異なる種類の農作物及び食品に生育し、また、OTAの汚染の程度は、気候等の影響を受けやすいことから、リスク管理機関において汚染状況についてのモニタリングを行うとともに、規格基準について検討するよう勧告しています。
詳しくは、同委員会のウェブサイトをご確認ください。

 

農林水産省が、米(玄米)及び小麦(玄麦)を対象とし複数年にわたって実施した含有実態調査では、オクラトキシンAの濃度は継続して低い値(全試料が0.3 μg/kg未満)であることがわかりました。そのため、農林水産省はそれらの農産物に対しては、新たなリスク管理措置は不要と判断しました。日本では、食品の基準値は設定されていません。

コーデックス委員会では、穀類(2003年)、ワイン(2007年)、コーヒー(2009年)、カカオ(2013年)について、オクラトキシンA汚染を防止するために実施規範を採択しました。また、小麦、大麦及びライ麦について以下の最大基準値を設定しました。  
オクラトキシンAに関するコーデックス委員会の基準値
食品 最大基準値

小麦、大麦、ライ麦

5 μg/kg

 トリコテセン類

下図の化学構造を持つかび毒をまとめて「トリコテセン類」と呼んでいます。構造の違いにより、タイプAトリコテセン類、タイプBトリコテセン類などがあります。1950年代に日本で発生した赤かび病にかかった麦類を原料とした食品などを食べた人の急性食中毒や、1940年前後に旧ソビエト連邦で発生した中毒事故 (ATA症)などは、トリコテセン類のかび毒が原因と考えられています。

トリコテセン類

トリコテセン類の基本骨格
(R1からR5に付く官能基により多くの種類がある。)

麦類の品質低下や収穫量の減少の原因となることが知られている赤かび病の病原菌であるフザリウム属(Fusarium, アカカビ)のかびが、農作物、特に麦類や豆類に付着し、不適切な生産管理や収穫・乾燥などを行うことでこのかびが増殖し、トリコテセン類のかび毒を産生します。食品の汚染において特に問題となるものに、デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール(NIV)、T-2トキシン、HT-2トキシンがあります。

 デオキシニバレノール(DON)

DONは主に麦類などの穀類に見られるタイプBトリコテセン類です。このDONに加えて、DONにアセチル基や糖が結合したもの(アセチル体、配糖体)が存在します。

DON  

 

R1

R2

R3

デオキシニバレノール

OH

H

OH

3-アセチルデオキシニバレノール
(3-Ac-DON)

OCOCH3

H

OH

15-アセチルデオキシニバレノール
(15-Ac-DON)

OH

H

OCOCH3

 

JECFAによるリスク評価(2001年、2010年)

DONのアセチル体が動物体内でDONに代謝されることから、2010年の評価では対象をDON単独からDONのアセチル体を含めたグループとしました。マウスを用いた長期毒性試験による体重減少を指標に、以下の耐容量を設定しました。

暫定耐容一日摂取量(PMTDI)(注2)(DON, 3-Ac-DON, 15-Ac-DONのグループとして)= 1 µg/kg 体重

また、著しくDONやDONのアセチル体に汚染された穀物を一度に摂取すると、おう吐などの急性中毒の症状が生じることから、JECFAでは、ブタを用いたおう吐に関する2つの試験結果をもとに、以下の急性参照量を設定しました。

急性参照量(ARfD)(注3)(DON, 3-Ac-DON, 15-Ac-DONのグループとして)= 8 µg/kg 体重

JECFAは各国の平均推定摂取量はPMTDIを下回っているが、摂取量が多い子供では、2、3のケースでのみ推定摂取量がPMTDIを超えることを報告しました。また、穀類のDONの基準値が1 mg/kgの下では、パン類を一度にたくさん食べた場合に摂取量がARfDに近い値になることを報告しました。

(注2)動物試験の毒性データなどに基づいて安全性評価を行い、人が一生食べ続けても健康に悪影響を与えないと推定した、体重1 kg当たりの一日の摂取量です。
(注3)動物試験の毒性データなどに基づいて安全性評価を行い、人が短期間に食べても健康に悪影響を与えないと推定した、体重1 kgあたりの摂取量です。

内閣府食品安全委員会によるリスク評価(2010年)

内閣府食品安全委員会は、2010(平成22)年に自らの判断で行った食品健康影響評価において、耐容摂取量をDON単独で1 μg/kg体重/日と設定した上で、一般的な日本人では食品からのDONの摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性は低いとする評価結果を公表しました。詳しくは、同委員会のウェブサイトをご確認ください。

農林水産省は、「麦類のDON・NIV汚染低減のための指針」(2008(平成20)年12月策定)に基づく対策を推進し、より一層の汚染低減に取り組んでいます。なお、飼料製造事業者のGMP等の工程管理による有害物質の低減対策の効果を確認するための指標として、以下の管理基準を設定しています。

飼料中のデオキシニバレノールに関する農林水産省の管理基準

飼料

管理基準

家畜等(生後3か月以上の牛を除く。)に給与される飼料

1 mg/kg

生後3か月以上の牛に給与される飼料

4 mg/kg

厚生労働省は、2002(平成14)年5月に、DONの摂取による健康リスクを低減し、健康被害の発生を未然に防止する観点から、市場に流通する小麦の安全性を確保するための行政上の指針として、小麦の暫定的な基準値を1.1 ppm (1.1 mg/kgに相当)と定めました。農業者団体などでは小麦の販売前に自主検査を実施し、暫定的な基準値を超える濃度のDONが検出された場合には、販売を自主規制しています。なお、農林水産省が2002(平成14)年 以降に実施している小麦のDONの含有実態調査では、約1500点の調査点数のうち暫定基準値を超えたのは、2002(平成14)年の6点(最大2.1 mg/kg)点のみであり、2003(平成15)年以降は暫定基準値を超えたものはありませんでした。

コーデックス委員会では、2003年に穀類のかび毒汚染の防止及び低減に関する実施規範を採択しました。また、2015年に穀類(小麦、大麦、とうもろこし)及びこれらの加工品に次のような最大基準値を設定しました。
デオキシニバレノールに関するコーデックス委員会の基準値
食品 最大基準値 備考

加工向けの穀類

(小麦、大麦、トウモロコシ)

2 mg/kg

「加工向け」とは、食品原材料として使用される前、さもなくば食用としての加工又は提供の前に、DON濃度を低減する追加の加工/処理を受けることが意図されているものを指す。加盟国は、濃度を低減する加工を規定できる。

小麦、大麦又はトウモロコシを原料とするフラワー、ミール、セモリナ及びフレーク 1 mg/kg  
乳幼児用穀類加工品 0.2 mg/kg

基準値は乾物ベースで適用

 ニバレノール(NIV)

NIVもDONと同様に麦類などの穀類を汚染する代表的なタイプBトリコテセン類であり、日本では麦類がDONとNIVに同時に汚染されることが知られています。

NIV 

 

R1

ニバレノール

OH

4-アセチルニバレノール

(フザレノンX)

OCOCH3

JECFAによるリスク評価

NIVに関してJECFAではこれまでリスク評価は行われていません。

内閣府食品安全委員会によるリスク評価(2010年)

内閣府食品安全委員会は、2010(平成22)年に自らの判断で行った食品健康影響評価において、耐容摂取量をNIV単独で0.4 μg/kg体重/日と設定した上で、一般的な日本人では食品からのNIVの摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性は低いとする評価結果を公表しました。詳しくは、同委員会のウェブサイトをご確認ください。 

農林水産省は、「麦類のDON・NIV汚染低減のための指針」に基づく対策を推進し、DONとともに、より一層の汚染低減に取り組んでいます。農林水産省が2002 (平成14)年以降に実施している小麦、大麦のかび毒の含有実態調査では、NIV濃度は 3.0 mg/kg未満となっています。 コーデックス委員会では、2003年に穀類のかび毒汚染の防止及び低減に関する実施規範を採択しました。なお、日本を含め、諸外国、コーデックス委員会では、食品中の最大基準値は設定されていません。

 T-2トキシン、HT-2トキシン

T-2トキシン、HT-2トキシンを産生する主なかびであるF. sporotrichioidesは腐生菌で、マイナス2℃から35℃の間で、かつ水分活性が高い(Aw 0.88以上)場合のみ生育します。そのため、収穫時には通常これらのかび毒は穀類に検出されませんが、特に冷涼な気候下において収穫時又は収穫後にほ場に長時間放置された場合や、貯蔵中に濡れた場合に発生しやすくなります。T-2トキシン、HT-2トキシンはタイプAトリコテセン類に分類されます。

T2

 

R1

T-2トキシン

OCOCH3

HT-2トキシン

OH

JECFAによるリスク評価(2001年)

JECFAでは、HT-2トキシンはT-2トキシンの代謝物でもあるため、グループとして評価が行われました。JECFAは、動物の短期毒性試験でT-2トキシンに免疫毒性、血液毒性があるが、長期毒性については十分な証拠がないと評価しました。動物試験(ブタ)での白血球及び赤血球数の変動を指標に、グループとして以下の耐容量を設定しました。

暫定最大耐容一日摂取量(PMTDI)(T2トキシン、HT-2トキシンのグループとして)=0.06 μg/kg体重

欧州のデータに基づけば、推定摂取量はPMTDIを下回っていると考えられるが、その他の地域における暴露量のデータやより多くの毒性データが必要と勧告しました。

コーデックス委員会では、2003年に穀類のかび毒汚染の防止及び低減に関する実施規範を採択しました。日本及びコーデックス委員会では食品中の最大基準値は設定されていません。EUでは食品及び飼料用の穀類及び穀類製品について、指標値(indicative value)を設定しています。

農林水産省では、リスク管理措置の必要性を判断するため、2012(平成24)年から国産麦類の含有実態調査を行っています。

 ジアセトキシスシルペノール(DAS)

DASもT-2トキシンやHT-2トキシンと同様に、タイプAトリコテセン類に分類されるかび毒です。海外では穀類やいも類を汚染するとの報告がありますが、国産農産物中の含有実態は不明です。これまでJECFAでリスク評価をしたことがなく、また、内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価も行われていません。現在、コーデックス委員会食品汚染物質部会が策定した、JECFAの優先評価リストに登録されています。農林水産省としてもリスク管理措置が必要かどうかを検討するため、優先的にリスク管理を行う危害要因として、今後、国産農産物を中心に含有実態を調査することにしています。

 パツリン

1942年に発見され、当初は抗生物質として注目されていましたが、人に対する毒性が強いことが明らかとなったため、その利用は断念され、現在では、りんご果汁を汚染するかび毒として国際的にも規制の対象とされています。台風や雹害などにより地上に落果したりんごに、土壌中にいるペニシリウム属(Penicillium, アオカビ)又はアスペルギルス属(Aspergillus, コウジカビ)の一部のかびが傷ついた部分から侵入し、果実の中で増殖してパツリンを産生します。欧米では、特に、子供は成人に比べて体重に対するりんごジュースの摂取量が多いので、子供の健康保護の観点から重要視されているかび毒です。

動物試験では、短期毒性として消化管の充血、出血、潰瘍などの症状が認められ、また、長期毒性として体重増加抑制などの症状が認められています。

PAT

JECFAによるリスク評価(1989年、1995年)

動物試験(ラット)における体重減少を指標に以下の耐容量を設定しました。

暫定最大耐容一日摂取量(PMTDI)=0.4 μg/kg体重

通常、りんご果汁のパツリン濃度は50 μg/kg以下であり、子供においても推定される最大暴露量は耐容量を下回っているが、汚染果実の使用を避け、暴露をできるだけ低減する努力が必要と勧告しました。

内閣府食品安全委員会によるリスク評価(2003年)

食品安全委員会は、2003(平成15)年に厚生労働省が規格基準を作るに当たっての評価要請を受けて、パツリンの食品健康影響評価を行い、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会において行われたパツリンのPTDI(暫定耐容一日摂取量)を0.4 μg/kg体重/日と設定するとの評価結果を妥当と考えるとの結果を公表しています。詳しくは、同委員会のウェブサイトをご確認ください。


コーデックス委員会では、2003年にりんご果汁及び原料用りんご果汁のパツリン汚染防止・低減のための実施規範を採択するとともに、りんご果汁について50 μg/kgの最大基準値を設定しました。

日本でも、2003(平成15)年に食品衛生法基づく清涼飲料水の成分規格として、りんごジュース及び原料用りんご果汁について、パツリンの基準値として0.050 ppm(50 µg/kgに相当)が定められています。農林水産省では、原料りんご果実の生産及び流通段階、りんご果汁の流通及び加工段階におけるパツリン汚染防止・低減のための対策(傷果発生の防止、腐敗果の選別・除去など)の一層の徹底について指導しています。

 ゼアラレノン(ZEN)

トリコテセン類のかび毒と同様に、フザリウム属(Fusarium, アカカビ)の一部のかびが農作物に付着し、不適切な生産管理や収穫・乾燥などによってこのかびが増殖することで産生します。ZENに汚染された飼料を給餌されたブタが生殖障害を発症した事例が報告されています。また、ZENは家畜の生育増進ホルモン剤のゼラノール (alpha-ゼララノール)(注4)の前駆体であり、内分泌かく乱物質の一つです。

(注4)ゼラノールをはじめとする肥育ホルモン剤は、米国、カナダ、オーストラリアなどでは使用されていますが、日本では使用されていません。

ZEN

JECFAによるリスク評価(1999年)

ブタの短期毒性試験におけるホルモンへの影響を指標に、以下の耐容量が設定されました。

暫定最大耐容一日摂取量(PMTDI)=0.5 μg/kg体重

欧州のデータに基づく穀類や豆類の摂取による暴露量の推定値は耐容量を下回っていました。ZEN及びその代謝物の総量が耐容量を超えないようにすべきと勧告しました。
コーデックス委員会では、2003年に穀類のかび毒汚染の防止及び低減に関する実施規範を採択しました。

日本及びコーデックス委員会では、食品の最大基準値は設定されていません。農林水産省が2005(平成17)年以降に実施している小麦・大麦などのZEN含有実態調査では、0.44 mg/kg未満の低い値となっています。なお、農林水産省では、飼料製造事業者のGMP等の工程管理による有害物質の低減対策の効果を確認するための指標として、以下の管理基準を設定しています。

飼料中のゼアラレノンに関する農林水産省の管理基準

飼料

管理基準

家畜に給与される飼料

1 mg/kg

 フモニシン類

フモニシン類は、フザリウム属(Fusarium, アカカビ)の一部のかびが農産物に付着し、不適切な生産管理や収穫・乾燥などによってこのかびが増殖し、産生します。その発見は他のかび毒に比べて新しく、1988年に構造が決定されました。自然汚染が多いのは、フモニシンB1、B2、B3で、ウマの白質脳症やブタの肺水腫など、家畜への影響のほか、とうもろこし加工品を主食としている地域において、新生児の神経管への催奇形性を示すとの報告があることから注目されています。また、ラットやマウスを使った動物試験では、肝臓や腎臓に発がん性が認められています。

FB

 

 

R1

R2

フモニシンB1

OH

OH

フモニシンB2

OH

H

フモニシンB3

H

OH

JECFAによるリスク評価(2001年、2010年)

マウスの長期毒性試験における肝細胞中の巨赤血球を指標に以下の耐容量が設定されました。

暫定最大耐容一日摂取量(PMTDI)(B1、B2、B3のグループとして)=2 μg/kg体重

 なお、飼料中のフモニシンの畜産物への移行は小さいため、飼料中のフモニシンは人の食品安全上の問題とはならないと報告しました。

コーデックス委員会は、2003年に穀類のかび毒汚染の防止及び低減に関する実施規範を採択しました。また、とうもろこし及びその加工品について、以下の最大基準値を設定しました。

フモニシンに関するコーデックス委員会の基準値
食品 最大基準値(フモニシンB1及びB2の総量として)

未加工のとうもろこし穀粒

4000 μg/kg

とうもろこしのフラワー及びミール 2000 μg/kg

 ステリグマトシスチン

主にアスペルギルス属(Aspergillus, コウジカビ)の一部のかびが産生するかび毒で、主に穀類を汚染します。動物試験では発がん性の報告があります。国内では、過去に長期間保存されてかびの発生した米から検出されています。また、農林水産省の調査によって、国内の穀類乾燥調製施設内にはステリグマトシスチンを産生するかびが広く生息している可能性があることがわかりました。 現在、コーデックス委員会食品汚染物質部会が策定した、JECFAの優先評価リストに登録されています。農林水産省としてもリスク管理措置が必要かどうかを検討するため、優先的にリスク管理を行う危害要因として、今後、国産穀類を中心に最新の含有実態について調査することにしています。

 シトリニン、ルテオスカイリン、シクロクロロチン

これらのかび毒は、現段階ではいずれもJECFAでのリスク評価は行われておらず、コーデックス委員会において実施規範や最大基準値の議論は行われていません。また、国内でも食品健康影響評価は行われておらず、基準値などは設定されていません。農林水産省においても、現時点では優先的にリスク管理を行うかび毒としていませんが、リスク管理の必要性について検討するため、情報収集を行っています。

主にペニシリウム属(Penicillium, アオカビ)、アスペルギルス属(Aspergillus, コウジカビ)及びモナスカス属(Monascus, ベニコウジカビ)の一部のかびが産生するかび毒で、主に穀類を汚染します。 飼料が高濃度に汚染されていた場合、動物の腎臓や肝臓に悪影響を与えることがあります。

国内では、第二次世界大戦直後の食料事情が悪い時代に、海外から輸入された米の汚染が問題となったこと(黄変米事件)があります。なお、日本では、着色料として用いられるベニコウジ色素(モナスカス色素)には、シトリニン含有濃度が0.2 μg/g以下との規格が定めされています。

 (参考)国際がん研究機関(IARC)によるかび毒の発がん分類(Vol.1-108)

グループ

評価

かび毒(評価年)

グループ1

ヒトに対して発がん性がある
(Carcinogenic to humans)

アフラトキシン類(2012)

グループ2A

ヒトに対しておそらく発がん性がある
(Probably carcinogenic to humans)

グループ2B

ヒトに対して発がん性があるかもしれない
(Possibly carcinogenic to humans)

アフラトキシンM1(1993)

ステリグマトシスチン(1987)

オクラトキシンA(1993)

フモニシンB1(2002)

Fusarium moniliformeが産生する毒素(フモニシンB1、フモニシンB2、フザリンC)(1993)

グループ3

ヒトに対する発がん性を分類できない
(Not classifiable as to its carcinogenicity to humans)

シクロクロロチン(1987)

シトリニン(1987)

パツリン(1987)

ルテオスカイリン(1987)

Fusarium graminearum, F. culmorum及び F.crookwellenseが産生する毒素(ゼアラレノン、デオキシニバレノール、ニバレノール、フザレノンX(注5))(1993)

Fusarium sporotrichioidesが産生する毒素(T-2トキシン)(1993)

グループ4

ヒトに対する発がん性はない
(Probably not carcinogenic to humans)

(注5)フザレノンXは、4-アセチルニバレノールの別称

お問い合わせ先

消費・安全局農産安全管理課
担当者:生産安全班(食品関係)
代表:03-3502-8111(内線4507)
ダイヤルイン:03-3592-0306
FAX:03-3580-8592

消費・安全局畜水産安全管理課
担当者:飼料安全基準班(飼料関係)
代表:03-3502-8111(内線4546)
ダイヤルイン:03-6744-1708
FAX:03-3502-8275

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