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農林水産省

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米国

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更新日:2018年11月28日


米国は、加工食品中のトランス脂肪酸の含有量の表示を義務づけています。また、2015年6月17日に、部分水素添加油脂の食品への使用規制を公表し、この規制を2018年6月18日から開始しました。ただし、規制の開始前に製造された食品や、部分水素添加油脂を特定の目的・方法で使用して製造された食品については、規制の開始を延期しました。

栄養成分表示

米国では、加工食品について、既に表示義務があった総脂質、飽和脂肪酸(1993年~)、コレステロール(1993年~)に加え、2006年1月から、トランス脂肪酸も含有量の表示を義務づけました。

米国食品医薬品庁(FDA:Food and Drug Administration)は、全米薬学協会/全米科学アカデミーによる「トランス脂肪酸をとる量はできるだけ少なくするべき」との提言を受け、トランス脂肪酸を義務表示項目としました。FDAは、トランス脂肪酸を「不飽和脂肪酸であって、トランス配位である非共役二重結合を1つ以上持つ物質」と定義しています。

米国では、食品に含まれるトランス脂肪酸の量を、1人前(Serving size)あたりで表示することとしています。食品1人前あたりのトランス脂肪酸が0.5 g未満の場合には、トランス脂肪酸の含有量を「0 g」と表示できます。

食生活におけるアドバイス

FDAは、トランス脂肪酸の含有量表示の義務化にあたり、栄養成分表示についての解説を公表しています。その中で、栄養素が十分な食事をとりながら、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸及びコレステロールをとる量を少なくするために消費者が日常的にできることとして、次のアドバイスをしています。

  • 栄養成分表示を見て食品を比べましょう。そして、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールが少ない食品を選びましょう。
  • 食事に含まれる飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を、一価及び多価不飽和脂肪酸で置き換えましょう。不飽和脂肪酸は、適量であればLDLコレステロールを増やさず、健康に良い側面もあります。一価不飽和脂肪酸はオリーブ油やなたね油に、多価不飽和脂肪酸は大豆油、とうもろこし油、ひまわり油、ナッツなどの食品に多く含まれています。
  • 植物油(ココヤシ油(ココナッツ油)及びパーム核油は除く。)やソフトタイプのマーガリンを選びましょう。これらの食品は、固形タイプのショートニング、ハードタイプのマーガリン、バター等の動物性油脂よりも、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールが少ないです。
  • 魚を食べましょう。ほとんどの魚は、肉より飽和脂肪酸が少ないです。サバ、イワシ、サケといった魚には、心疾患の予防効果について研究が進められている、オメガ3脂肪酸が含まれています。
  • 鶏肉(皮を除いたもの、揚げていないもの)や豚・牛の赤身(脂身を除いたもの、揚げていないもの)といった、脂質の少ない肉を選びましょう。
  • 飲食店で料理を注文する時に、調理でどのような油脂を使っているのか等について質問しましょう。
  • エネルギー量の表示を確認しましょう。脂質のもつエネルギーは1 gあたり9 kcalと高く、脂質はもっとも大きなエネルギー源となります。一方、炭水化物やたんぱく質のもつエネルギーは、1 gあたり4 kcalしかありません。
  • 飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールをとる量を少なく保つために、消費者ができる行動は次の2つです。
    • 栄養成分表示を見て食品を比べましょう。十分な栄養素を含むことを前提に、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸との合計が少なく、コレステロールが少ない食品を選びましょう。
    • できれば、オリーブ油、なたね油、大豆油、ひまわり油、とうもろこし油のような、一価及び多価の不飽和脂肪酸の割合が高い油脂に替えましょう。

1人前(Serving size)あたり

米国では、人が一回に食べる食品の一般的な量を、「1人前(Serving size)」として表します。「1人前」の基準量については、FDAが、全国的な食品消費量の調査結果に基づいてリストを作っています。

部分水素添加油脂の食品への使用規制

FDAは、2015年6月17日に、部分水素添加油脂(注)をGRAS(一般的に安全と認められる)※1の対象から除外する規制を公表しました。この規制を2018年6月18日に開始しましたが、部分水素添加油脂を特定の目的・方法で使用して製造した食品については、規制の開始を延期しました。

(注)「トランス脂肪酸がGRASの対象から除外された」や「トランス脂肪酸の食品への添加が禁止された」との報道がありますが、GRASの対象から除外されたのはトランス脂肪酸を含む”部分水素添加油脂”です。加工食品を作る工程で、トランス脂肪酸そのものを食品に添加しているわけではありません。

この決定の概要は以下のとおりです。

  •  部分水素添加油脂※2は、食品への使用についてGRASとは認められない。 
  •  含まれるトランス脂肪酸がすべて天然由来のもののみである油脂はこの規制の対象外。
  •  飼料への使用についてはこの規制の対象外。
  •  食品事業者は、部分水素添加油脂を特定の方法で食品に使いたい場合、その方法での使用が無害であることを、合理的な根拠をもって保証できるデータとともに、食品添加物としての使用をFDAに申請し、認可を受ける必要がある。
  •  2018年6月18日から規制を開始(猶予期間は規制の決定から3年間)する。ただし、規制開始日より前に製造された食品、部分水素添加油脂を特定の目的・方法で使用して製造された食品については、以下のとおり規制開始日を延期※3する。
部分水素添加油脂の使用 食品の製造日 延期後の施行日
使用申請があった目的・方法* 2019年6月17日まで 2021年1月1日
2019年6月18日以降 2019年6月18日
使用申請がなかった目的・方法 2018年6月17日まで 2020年1月1日
2018年6月18日以降 2018年6月18日(延期せず)

*焼き調理食品の離型剤、香料や着色料等の溶剤、加工助剤としての使用(健康補助食品(サプリメント)への使用は除きます。使用方法など、詳細はFDAの発表〔外部リンク〕ご覧ください。)

※1 Generally Recognized As Safe(一般に安全と認められる)の頭字語であり、米国における食品添加物等の規制についての制度の一部(1958年~)です。米国では、ある物質が、科学的な手続を経て安全であると一般的に認められる場合、又は一般的に使われていた経験(1958年以前から使われている)に基づき安全であると一般的に認められる場合、その物質はGRASの対象となります。GRASと認められた物質は、食品添加物としての認可を受けることなく食品に使うことができます。

GRAS制度における”safe”は、能力を持った科学者(科学的トレーニングを受け、安全性評価についての経験から適切とみなされる専門家)達が「根拠をもって確実にその物質が意図された使用範囲において無害である」とみなすことと定義されています。また、「一般に安全と認められる」ためには、その物質の使用の安全性について、専門家の間でのコンセンサス(合意)が必要です。また、「一般に安全と認められる」との認識が作られるためには、その物質の使用の安全性について、専門家の間でのコンセンサス(合意)が必要です。

今回は、部分水素添加油脂を食品に使うことが一般に安全であると言えるかという点について、専門家の間での合意が得られなかったため、GRASの対象から除外することを決定しました。

GRAS制度においては、それまで食品に使われていた物質であっても、新しい科学的知見によって専門家の合意が得られなくなったこと等を理由として、特定の物質の使用についてのGRAS認定を取り消すことがあります。過去には、その物質が栄養成分であっても、ヒトの健康への悪影響の可能性を考慮してGRASの対象から外した例もあります。
(例:ビタミンK様の働きをする物質、アミノ酸)

※2 FDAは、部分水素添加油脂を、ヨウ素価4超(ISO3961又はこれと同等の分析法で分析する必要)の、水素が添加された油脂と定義しました。
(ヨウ素価が4以下の、完全又はほぼ完全に水素添加された油脂は対象外)

※3 FDAは、当初の規制開始日である2018年6月18日より前に作られた食品については、保存期間を考慮し、規制開始を約1年半延期しました。また、食品事業者からの部分水素添加油脂の使用申請を却下したことから、申請されていた目的・方法で部分水素添加油脂を使った食品については、猶予期間として、規制開始を更に1年間延期しました。なお、FDAは、この使用申請を却下した理由を、その方法での部分水素添加油脂の使用が安全であると判断できるだけの十分な根拠が提出されなかったためとしています。

(参考)今回の規制の決定に当たり、FDAは、部分水素添加油脂由来のトランス脂肪酸の摂取量推定や、リスクとベネフィットの計算を行いました。詳しくはこちらをご覧ください。

参考リンク