
たんぱく質やビタミンB1が豊富に含まれている豚肉は、食卓に欠かせない存在といえるでしょう。安全かつ高品質な豚肉を消費者に届けるために、養豚農家の方々はさまざまな取り組みを行っています。今回はこだわりのブランド豚を育てている全国の養豚場の仕事に密着し、おいしい豚肉の秘密に迫ります。

品種開発や子豚生産、肥育から加工、流通、販売に至るまで自社で行っているという平田牧場。「いちばん丁寧なブランドになろう」というスローガンのもと、健康的な豚を育てています。
特に飼料にはこだわっていて、国産の米を交ぜて与えているのだとか。さらに、豚がストレスなく生活できるよう、衛生管理や環境整備を徹底しているそうです。その飼育の様子を「肥育編」と「繁殖編」に分けて、時系列で紹介します。
養豚場の一日を見てみよう!
8:00
朝の豚舎見回り
天候や豚舎内の状態を見て、豚にとって快適な温度や湿度になるようにカーテンの開閉を調整。豚の体調確認を行います。同時に豚舎内に破損箇所がないかもチェックします。

9:00
豚房の除糞作業
豚房内に入り、除雪車でコンクリート上にある糞尿をすのこの上まで掻き出します。

こだわりポイント1
平田牧場では、豚の排泄物を再利用。近代的な設備で約2カ月かけて無臭サラサラの良質な完熟有機堆肥に仕上げて、豚舎の敷材にしています。完熟堆肥には保温性があり豚のお腹を冷やすことがなく、湿気の多い時期もふわふわで、常に清潔な肥育環境を保つことができます。
11:00
出荷豚の計量、選抜
豚の体重を計量し、出荷できる体重ならマーキングして出荷豚房に移動します。頭数が多いため、計量するのは5頭から10頭ほどで、大半は目視選抜です。

14:30
消毒
疾病蔓延予防のため、豚舎内の消毒を徹底して行います。

16:00
夕方の豚舎見回り
朝の見回りと同様の作業を行います。それに加えて従業員がいなくなる夜間や早朝の環境に配慮し、気温変化や風向きの予報を参考にして、豚舎内がどういった状況になるかを予測した上で、カーテンの開閉を調整します。

睡眠中の豚の様子
8:00
朝の豚舎見回り
朝一番に豚を一頭一頭確認し、その様子から体調を把握します。特に母豚は暑さに弱いため、舎内温度に注意を払います。

9:00
発情確認
雄豚を用いて、発情をむかえた雌豚がいないかを確認します。発情を見逃さないように複数人でチェックします。
10:30
人工授精
発情が確認できた母豚に人工授精を行います。

こだわりポイント2
衛生面には細心の注意が必要です。人工授精に用いる器具の消毒は徹底的に行います。
14:00
採精
種雄豚から採精を行います。この時、精液に雑菌や異物が混入しないよう注意を払います。採取した精液は顕微鏡で異常がないか検査した後、測定器により精子数を確認。問題が無ければ人工授精まで保管されます。

15:30
妊娠鑑定
人工授精した母豚は、約30日後に妊娠鑑定器を使って受胎状況を確認します。

平田牧場ではおいしさを最優先に考え、品種開発や肥育を行ってきました。たとえば、同社では通気性がよく、豚が自由に歩き回れる広さの開放型豚舎で、ストレスを与えることなくのびのびと育てています。また、生後120日以降は原則として抗生物質を使用していません。
飼料にもこだわっており、産地が明確な国産米を中心に、遺伝子組み換えでないトウモロコシや大豆粕、さらに大麦を加えた飼料を与えています。お米を食べて育った豚の脂身には甘味とうま味があり、お米を与えることで脂の酸化が抑制されていると考えられています。
平田牧場のブランド豚は「平田牧場金華豚」と「平田牧場三元豚」の2つです。「平田牧場金華豚」は、絹のようにきめ細かい肉質が特徴で、中には和牛を超えるような「霜降り豚」が生まれることもあります。
「平田牧場三元豚」は3つの品種の豚をかけ合わせた「三元交配豚」です。一般的な三元豚は飼育日数が約150日から180日のところ、平田牧場三元豚は約200日から250日と長い期間をかけてじっくり育てています。柔らかさもありながら、心地よい歯応えがあるのが特徴で、上質な脂肪が風味の良さを生み出しています。

平田牧場は品種開発、生産、肥育、加工に留まらず、飲食の直営店を経営して独自のブランド豚を提供しています。
その直営店で、最高級ブランド「平田牧場金華豚」と、平田牧場の代名詞「平田牧場三元豚」を実際に食べ比べてみました!
金華豚
全体的に小ぶりで赤身がきめ細かく、牛肉にも負けないサシ(霜降り)が入るのが特徴。脂身の融点が低く、口の中でとろけるような食感が味わえ、芳醇なうま味を楽しめます。

三元豚
金華豚よりも全体的に大ぶりで、赤身と脂肪のバランスが良い肉質です。
口に含むとお肉の食感が程よく味わえ、じわりとうま味が広がっていきます。

いざ、実食!

「味の違いが最も感じられる」と店員さんがお薦めするしゃぶしゃぶで、2種類の豚肉をいただきました。
いざ口にすると、まったく違う食感で驚き!
金華豚は、口の中で柔らかく溶けていくような食感が楽しめ、甘くまろやかな味を感じることができました。まったくしつこくないので、箸が進みます。
三元豚は柔らかな食感の中にも確かな肉の質感を感じることができ、噛むほどに甘味がジュワッと染み出し、あと引くおいしさを楽しむことができました。お肉の食感をしっかりと楽しみたいという方に、ぜひお薦めです。
店舗情報
金華豚料理 平田牧場 極(きわみ) KITTE 丸の内店
住所:東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー6F
電話:03-6256-0829

広い放牧地でおいしい豚を!
(遊牧舎 秦牧場)

人間が利用できない資源をエサにして肉を生産することは、豚が本来もつ能力だと考えている同社。その能力が発揮できる飼育環境を大切にして十分に運動ができる十勝の広い放牧地で、時間をかけてじっくり育てています。使っている飼料は、十勝産のながいも、小麦、大豆、ユリ根、じゃがいも、ホエー(乳清)などの中で、本来廃棄されてしまう副産物から作られたものです。同社では、こういった飼育法を大切にしています。また、その結果あっさりとした味わいの脂肪をもつ、オリジナルブランド「遊ぶた」(ASOBUTA)が誕生しました。
遊牧舎のこだわり
広い牧草地で、太陽をいっぱいに浴びながら草や土を食べたり、土を掘り返して遊んだり、昼寝もして過ごす豚達。通常の豚は生後6カ月で出荷されますが、「遊ぶた」は12カ月以上かけてじっくり育てているので、成熟した豚本来の味わいの肉になります。

オリジナル飼料がおいしさのヒミツ!
(臼井農産)

柔らかな肉質で霜降りがあり、芳醇なコクと甘さを持つ「あつぎ豚」は、エコフィード(食品残さなどを活用した飼料)を与えることによって育てられています。たとえば、パン粉やラーメン、菓子粉など、食品工場における規格外製品や、無洗米粕といった製造工程で発生する副産物などを独自に配合し、飼料としています。エサだけでなく、丹沢山系に位置する自然豊かな環境で、湧き出す天然水を与えながら、衛生的な環境でストレスなく健康に育てていることも「あつぎ豚」のおいしさにつながっているそうです。
臼井農産のこだわり
「あつぎ豚」は雄の大ヨークシャー種と雌のランドレース種を交配させた母豚に、デュロック種を交配させた三元交配の独自血統であり、自社繁殖することで高い品質を維持しています。
(PDF : 566KB)
編集後記
若い頃はいろいろな種類のお肉をたくさん食べたものですが、齢50を超えてからは食べる量が徐々に減り、最近はお肉も小ぶりなパック詰めのものを選ぶようになりました。それでも、まだまだお肉は好きなので、これからも牛、豚、鶏それぞれのおいしさを、お手軽レシピで楽しんでいきたいと思います。(広報室SD)
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