自然と風土が生み出す日本各地のご当地チーズ



周囲には山々と雄大な十勝平野が広がる北海道新得町で、自然との共生を大切にしたチーズづくりを行う「共働学舎 新得農場」。「さくら」は、添えられた桜の花や葉の塩漬けが和を感じさせるフレッシュチーズです。乳酸菌のほかに、日本酒由来の酵母や、エゾヤマザクラのさくらんぼから分離された「とかち野酵母」を加えることで、より豊かな風味に。口に含むと、なめらかな口溶けとともに桜の香りがふんわりと広がります。「さくらのアフィネ」は、通常10日間熟成させる「さくら」 をさらに2週間以上熟成させたもので、まろやかで旨味のある味わいに。

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「世界一のブルーチーズを作る」、「江丹別を世界一の村にする」という夢を持ち、さまざまな活動を行っている「ブルーチーズドリーマー」こと伊勢昇平さんが代表を務める「伊勢ファーム」。約2カ月間じっくりと熟成させてつくる「江丹別の青いチーズ」は、国際線ファーストクラスの機内食に採用されたことでも知られています。「酒粕熟成~旭川~」は、この「江丹別の青いチーズ」を、地元旭川市の老舗酒蔵である高砂酒造の酒粕で覆い、低温で3週間追熟させたもの。強すぎない塩味とミルクの旨味のバランスが良く、初心者から個性的なチーズが好きな方まで楽しめます。

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那須高原の気候や風土を活かしたフレッシュチーズの製造を行う「あまたにチーズ工房」。原料には、同じく那須高原で放牧による酪農を実践している摩庭(まにわ)牧場の新鮮なミルクを使用。それぞれの季節に応じた方法でひとつひとつ手づくりで製造しています。「さけるチーズのたまり漬け」は、手で裂けるストリングチーズを、ほんのりとした甘味を感じさせるたまり醤油に漬け込んだもの。コクと旨味が凝縮された味わいが魅力です。

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築120年の古民家を改装した千葉県大多喜町の「チーズ工房【千】sen」。日本独自の乳酸菌と酵母をグラム単位で調合した、日本オリジナルのチーズづくりに取り組んでいます。試作を重ねて完成した同工房の代表作「竹炭」は、表面に竹の炭をまぶして熟成させたもの。「竹炭」をさらに3週間熟成させた「竹炭 濃厚熟成」は、口に入れるとホロホロと淡雪のように崩れ、芳醇で華やかな香りが口内に広がります。

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新潟県佐渡市内の牧場で搾られたミルクを使用し、手づくりで乳製品の製造を行う「佐渡乳業」。搾ってから6時間以内のミルクを使用した「農場ナチュラルチーズ」は、カマンベール、ゴーダ、モッツァレラ、クリームチーズの4種があります。そして同社と、上越市の杉田味噌醸造場とのコラボで生まれたのが「雪の花みそ漬け」シリーズ。新潟県産のコシヒカリと大豆から手づくりされる「雪の花みそ」に農場ナチュラルチーズ各種をじっくりと漬け込み、深く、豊かな味わいに仕上げています。

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F1チームの空力エンジニアだった是本健介さんが2016年に設立した「ボスケソ・チーズラボ」。地元の日本酒蔵の蔵付き乳酸菌や温泉水といった地域の豊富な資源とものづくりの経験を活かし、チーズづくりに取り組んでいます。「KASUGA(カスガ)」は、乳酸菌主体で凝固させた口どけの良いウォッシュタイプのチーズ。地元・春日温泉のアルカリ温泉水で表皮を洗うことで、納豆菌の仲間であるリネンス菌を活性化させています。きめ細やかな食感と口どけのよさ、濃厚なうま味が特長です。

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大阪府初のチーズ工房、IL FIORETTO。
その工房長であり、併設するレストラン「トラットリア イル フィオレット」のオーナーシェフでもある山口幸男さんは、チーズ職人の目線だけでなく、料理人としての目線も合わせてさまざまな側面からミルクと向き合い、個性的なチーズづくりを心がけているそうです。この「黒花」は「発酵+発酵」をキーワードに日本らしさを兼ね備えたチーズとして、海外でも通用するような味わいを目指したもの。北海道産生クリームで仕込んだクリームチーズに、北海道産の黒にんにくを練り込んでいます。

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山で家畜を自然放牧する「山地(やまち)酪農」で育てた牛や山羊のミルクを使用したチーズづくりを行う「三良坂フロマージュ」。季節によって食べる草の種類も異なるため、その時期ならではの味や香りの違いを楽しむことができるそうです。また、チーズを包む木や葉、地元産の果物など、広島県の材料をふんだんに使用したチーズづくりも魅力のひとつ。「アカショウビン」は、100パーセントグラスフェッド(牧草飼育)のブラウンスイス牛ミルクでつくったチーズを自家製の檜の皮で巻き、檜の板に載せて熟成させたウォッシュチーズ。檜の香りを移すことでより芳醇さを増した独特の香り、牧草のみで育てた牛のミルクの濃厚さや味わいをしっかり堪能できます。

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温泉地としても有名な大分県の由布院盆地に工房を構える「由布院チーズ工房」。高原の牧場から搾りたてのミルクを毎日必要量だけ仕入れ、これを使ってチーズづくりを行っています。一見すると和菓子のようにも見える「なっち」は、フレッシュタイプのチーズを梅酢につけたシソの葉でくるんでおり、カットすると真っ白なチーズ生地が現れます。爽やかな梅酢の酸味とミルクの風味のバランスが絶妙で、独特の歯応えも魅力です。

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親子2代でのチーズづくり
世界のコンテストで数々の賞に輝くチーズを製造している「ニセコチーズ工房」。初代オーナーの近藤孝志さんは流通関係の仕事をしていましたが、チーズ好きが高じ、退職後に本場フランスなどでチーズづくりを学びました。そして2005年に工房を立ち上げ、現在は二代目オーナーである息子の裕志さんとともに、親子2代でチーズづくりを行っています。


12カ月以上熟成させることで、じっくりと旨味が引き出されたハードタイプのチーズ。口に含めばじんわりと広がる深みのある味わいは、ワインのみならず日本酒との相性も抜群。
常に新しいアイデアで挑戦
工房設立の地にニセコを選んだのは、羊蹄山の澄んだ水と、この地の乳牛がつくる地元の質の高いミルクに魅了されたから。現在はフレッシュタイプからハードタイプまでじつに20種類以上のチーズを製造しており、この多彩さも魅力のひとつです。ドライフルーツを組み合わせた宝石のようなチーズや、切らずにすぐに食べられるクラッシュタイプのチーズなど、見た目も工夫を凝らしています。肩肘をはらずに日本人の口に合う「誰もが食べられるチーズ」づくりを目標としながら、世界に通用するチーズを目指して、常に新しいアイデアでチーズづくりに挑戦しています。


従来のブルーチーズと比較すると、柔らかな青カビの風味が日本人の味覚によく合い、今までブルーチーズが苦手だった人でもおいしく食べることができるそうです。爽やかな後味が特徴です。

熟成中のチーズ。日々改良を重ねています。
毎日手で拭いてじっくり熟成
熟成庫のチーズは毎日ひとつひとつ拭いて表皮をつくり、熟成させています。長期熟成タイプのチーズづくりの難しいところは、1年から2年経ってからでないとその出来具合がわからないこと。そのため、常に試行錯誤を繰り返し、製造方法を見直すことで、より良い仕上がりにできるように心がけています。たとえばチーズづくりに欠かせない乳酸菌は、さまざまなタイプがあるフランスやイタリアの乳酸菌の中から、うま味成分であるアミノ酸をより引き出せるものを選んで使っているそうです。
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チーズ工房に行ってみよう
全国各地に増えているチーズ工房。住んでいる地域のチーズ工房にも、ぜひ足を運んでみて、お気に入りの国産チーズを見つけてみてはいかがでしょうか。工房によっては、製造現場を見学させてもらえる場合も。ただし見学を希望する場合には、次のようなことに注意しましょう。
チーズ工房を訪れる際の注意点
事前に見学可能か確認しましょう
チーズの製造現場の見学はどこの工房でも可能なわけではありません。必ず事前に問い合わせを行いましょう。
時間は必ず守りましょう
チーズ工房は、少人数で運営しているところが多く、また早朝から夜まで一定のリズムで仕事をしているので、当日の大幅な時間変更には対応できないことも。事前に交通の便も調べ、余裕をもって出かけましょう。
清潔でシンプルな服装で!
工房内は非常に衛生管理が厳しい環境です。見学時には、着ている服の上から不織布のつなぎに帽子を着用し、長靴に履き替えることになるので、できるだけシンプルな服装のほうがよいでしょう。また長い髪は束ねておくようにしましょう。
撮影前には許可を取りましょう
写真や動画を撮影したい場合は、必ず撮影前に許可を取りましょう。よい画を撮ろうとして、入ってはいけない場所に入ったり、作業の邪魔をしないように注意。またSNSなどに載せたい場合には、別途許可を得るようにしましょう。
今週のまとめ
魅力ある国産チーズを製造する
チーズ工房が日本各地にあります。
その土地の自然や風土を活かした
「日本ならでは」の
チーズづくりが行われています。
お問合せ先
大臣官房広報評価課広報室
代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449