空港で嗅ぎ分ける検疫探知犬の活躍


農林水産省 動物検疫所 主任検疫官・ハンドラー 玉野麻紀子さん
動植物検疫探知犬「絆(キズナ)号」4歳
動植物検疫探知犬とは?
動植物検疫探知犬(以下、検疫探知犬)は、旅客の手荷物や国際郵便物などの中から動植物検疫の検査を必要とする肉製品、果物等を嗅ぎ分けて発見する訓練を受けた犬です。輸入禁止品を水際で発見することにより、口蹄疫(FMD)やアフリカ豚熱(ASF)など家畜の伝染病、ミバエなど植物病害虫が、肉製品や果物等を介して日本へ侵入することを防ぐという重要な役割を担っています。
空港の入国検査場で働く検疫探知犬は、主にビーグル犬です。ビーグルは狩猟犬で、人に従順かつにおいを嗅ぎ分けるのを得意としています。その実力は、キャリーバッグの外側から真空パックされた肉製品を探し当てるほど。また、小さくて可愛らしいので旅行者に威圧感を与えず、人混みのなかでも小回りがきく点も探知に適しています。
検疫探知犬の禁止品探知実績
探知件数の約4割が検疫探知犬によるものと、実績に大きく貢献。現在は主要空港だけでなく地方空港への配備も進み、全国で140頭の検疫探知犬が活躍しています。


関西空港で働く「セシル号」が見つけた鶏足を煮込んだもの。
検疫探知犬「絆号」に密着!
検疫探知犬は、一日の多くをペアのハンドラー(検疫探知犬を扱う人)と過ごします。空港での任務のほかは、どのように過ごしているのでしょうか。検疫探知犬、絆のとある1日の活動内容を紹介します。

食事
ハンドラーが犬舎に到着したら、まずは朝食。絆号は食欲旺盛! 食物を探知する仕事なので、食いしん坊であることは大事な要素です。

朝の散歩・排泄
胃腸の動きが活発になってきたところで、犬舎の駐車場にて短めの散歩。散歩は、任務を終えた夕方にも行います。


犬房の掃除
犬房の掃除も、ハンドラーの仕事。絆号をケージに移し、モップとタオルで床を磨き上げます。絆が休息時間を過ごす場所なので、毎日清潔に。


歯磨き・グルーミング
歯磨きとグルーミングは必ずペアのハンドラーが行い、健康状態も同時にチェック。荷物に接する可能性もあるため、ブラッシングなど衛生管理は入念に。

10時ごろには活動場所である空港へ出発し、探知活動と訓練を開始。探知は交代制で行われ、出番が来たら手荷物受取場へ!

荷物受け取りのターンテーブルの回りで、ハンドラーとともに旅行者の間を縫って荷物を嗅ぎ分けていきます。

対象物のにおいを探知したら、荷物の脇で「お座り」をして知らせます。ハンドラーから知らせを受けた動物検疫所の検査官は、旅行者の荷物を確認します。

荷物の中から肉製品や果物が見つかったら、ご褒美のおやつがもらえます。使命感をもって仕事にあたってくれるので、たくさんほめてあげます。
17時までは空港で探知や訓練を何度か繰り返したあと、犬舎に戻ります。18時半までハンドラーと一緒に散歩をしたり、食事をします。その後は、犬房でリラックスタイムです。

ハンドラー
玉野麻紀子さん
検疫探知犬が楽しく活動できるよう
心掛けています
学生のころから犬に関わる仕事がしたいと思い、大学卒業後に動物検疫所に入省しました。元々ハンドラーではなかったのですが、実際に探知犬の働きぶりや貢献度を目にするなかで、ハンドラーの仕事に憧れ、所内で募集があった際に希望をし、訓練施設での研修を経て、2022年3月から絆号と一緒に羽田空港で探知活動をしています。
絆号は人の気持ちを読むことに長けていて、こちらが少しでも気を抜いたりするとそこを感じ取って探知能力が下がってしまうんです。そのため、探知や訓練時はもちろん、健康管理のときにも日々明るく向上心を持って業務に臨むよう心掛けています。絆が楽しく円滑に探知活動を行えるよう試行錯誤の毎日ですが、動植物検疫に貢献できていると実感を得られたときには、やりがいを感じますね。
ウイルスを山林から
持ち帰らないで!
現在、野生イノシシの間で豚熱が広がっています。人間に感染することはありませんが、ブタに感染して養豚業に大きな被害を与えます。登山、キャンプ、山林内で作業する際にはウイルスを山林から持ち帰らないよう、下記のことに気をつけてください。
大切な4か条
1)ウイルスは土にも含まれます。靴の泥は山で落としましょう。
2)イノシシを誘引しないよう残飯は持ち帰りましょう。
3)家畜がいる施設に近寄らないようにしましょう。
4)イノシシの死体を見つけたら管轄の自治体に連絡してください。


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