動植物の検疫はなぜ必要なの?


家畜の伝染病や植物病害虫の持込みで起こる危機

豚や鶏などの大量死
伝染病が日本に侵入すると、家畜が病気にかかって出荷できなくなったり、死んでしまうこともあるよ。伝染病の広がりを止めるには、感染の可能性がある家畜は全て処分しなければならないんだ。だから、家畜を育てる農家さんやお肉を加工する業者さんに影響が生じ、お肉の値段が上がったり手に入らなくなったりすることもあるよ。


農産物に大きな被害
果物や野菜に付いた害虫や植物の病気が日本に持ち込まれると果実が幼虫に食べられたり、樹木が枯れたりするなど、農業や自然環境に大きな被害が出る可能性があるよ。世界の食料のうち2割から4割が植物病害虫の被害で失われていると言われていて、病害虫の侵入やまん延を防ぐことはとても重要なんだ。いっしょに勉強しよう。

農林水産省の動物検疫所・植物防疫所
空港や港など全国各地に設置された動物検疫所には家畜防疫官541人、植物防疫所には植物防疫官984人が配属されており、検疫業務を行っています(2023年度末の定員数)。
動物検疫所は海外から輸入される家畜や畜産物の検査を行うことで家畜の伝染病の侵入を防止するほか、伝染病のおそれのない家畜・畜産物を輸出するための検査を行っています。
植物防疫所は海外から輸入される植物等の検査を行い植物病害虫の侵入を防ぐとともに、輸出のための検査や国内における病害虫のまん延防止のための検査などを行っています。
国内に持ち込んではいけない肉製品や果物・野菜等
主にどのような物を国内に持ち込んではいけないのか、肉製品と果物・野菜等に分けて見てみましょう。
肉製品
持込禁止のものの例

国内に持ち込めない肉製品は、生肉はもちろん、ソーセージなどの加工品、機内で提供されたり売店で買ったりしたハンバーガーやサンドウィッチも対象になるよ。家畜の伝染病の病原体はたとえわずかな量でも感染を引き起こすおそれがあるんだ。乾燥や燻製、冷凍、真空パックされた肉もすべて持ち込みを禁止しているよ。また、旅行先で履いていた靴や着ていた服は、病原体が付着していることがあるのでよく洗ってから使ってね。それでも病原体を持ち込むかもしれないので、帰国後1週間は動物園や観光牧場へ行くことは控えてね。


入国後1週間は動物園、観光牧場などに行くことを極力控え、行く場合には施設に確認してください
果物・野菜等
持込禁止のものの例

国内に持ち込めない果物や野菜等にはたくさんの種類があるよ。上の図はごく一部で、国や地域によって持ち込めないものが違うから、お土産などを買う前に植物防疫所に確認してね。自分で検索できる「輸入条件データベース」もあるよ。
(日本語版)
http://www.pps.go.jp/eximlist/Pages/exp/condition.xhtml
(英語版)
http://www.pps.go.jp/eximlist/Pages/exp/conditionE.xhtml

侵入を防ぎたい家畜の伝染病や植物病害虫
主な家畜の伝染病

アフリカ豚熱(ASF)
ブタやイノシシがかかる致死率の高い病気です。2018年に中国で発生した際は同国の飼養頭数が一時4割も減少したとの報告があります。東アジアでアフリカ豚熱が発生していないのは日本と台湾だけです。

口蹄疫(FMD)
ウシやブタ、ヤギ、シカ、イノシシなどがかかる感染力の強い伝染病。舌や蹄に水泡ができるのが特徴です。日本でも宮崎県で2010年に10年ぶりに発生し、約2,350億円の経済的な損失が生じました(宮崎県による試算)。また2023年5月に韓国で4年ぶりに再発し、日本の動物検疫所は水際体制を強化しています。

高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)
A型インフルエンザウイルスが引き起こす家きん(ニワトリ、アヒル、ウズラ、キジなど)の病気で、感染力、致死率が高いのが特徴です。渡り鳥により国内に持ち込まれることが多く、冬期に発生しやすいです。
家畜の伝染病の中には、ほかの国・地域で発生していても、日本では発生していない伝染病もあるよ。発生国・地域から違法に肉製品を持ち込むと逮捕されることもあるんだ。旅行前に動物検疫所のHPを確認してね。

主な植物病害虫
ミカンコミバエやウリミバエなどのミバエ類の成虫は果実に卵を産み、生まれた幼虫が内部を食べてしまいます。かつては日本にも生息しており、これを根絶するため20余年の歳月と254億円もの費用がかかりました。ほかにも農作物に甚大な被害をもたらす様々な病害虫がいます。例えば、アリモドキゾウムシはイモを食べ、残った部分も苦くしてしまいます。また、火傷病(かしょうびょう)という病気は、りんごやなし等の樹木を枯らしてしまいます。
【虫注意!!】イラストの下のリンクをクリック(タップ)すると幼虫の画像が出ます。苦手な方はお気をつけください。

ミカンコミバエ
体長約7ミリメートル。果実や果菜類に甚大な被害を与える。
>(閲覧注意!)果実に寄生すると…(画像を開く)

ウリミバエ
体長約8ミリメートルから9ミリメートル。果実や果菜類に甚大な被害を与える。
>(閲覧注意!)果実に寄生すると…(画像を開く)

アリモドキゾウムシ
体長約6.5ミリメートル。さつまいも等に甚大な被害を与える。
>(閲覧注意!)芋に寄生すると…(画像を開く)

火傷病
感染力の強い細菌病。りんごやなし等に甚大な被害を与える。
>火傷病に感染すると…(画像を開く)
このほかにも特に警戒している病害虫がいて、日本に侵入していないか確認するために、定期的に調査をしているよ。詳しくはHPを見てね。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/keneki/k_kokunai/shinnyuuchousa/shinnyuuchousa.html

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