AI搭載 病害虫診断アプリを緒方湊さんが体験


おがた・みなと
2008年生まれ、神奈川県出身。10 歳のとき、日本野菜ソムリエ協会認定の「野菜ソムリエ プロ」を最年少で取得。テレビなどへのメディア出演のほか、野菜などに関する物知り博士として活躍中。2021年から国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)初の広報アンバサダーに就任している。
僕は小さなころからずっと野菜が大好き。1歳のころの写真を見ると、外へ遊びに行くときに、にんじんやミニトマト、さつまいもなどが入った保存容器を持って行っていたようです。お菓子よりも野菜が好きだったんですね。 小学校のころから、自分で野菜を作ってみたいという気持ちが強くなり、近所の畑を借りて、育て始めました。今は、自宅の庭の一角を畑にして、全国から集めためずらしい品種や伝統野菜など、自分が食べたいものを20種類くらい育てています。
育ててみると、やっぱり病害虫の被害に困ることもあります。気になる症状があればインターネットで、「トマト 葉っぱ サビてる」というようなワードで検索しますが、なかなかぴったりとした答えが見つからずに苦労しています。
今回は、こうした作業をAIが助けてくれるとのことなので楽しみです。
日本農薬(株)
外販事業本部スマート農業推進室 専任課長

AI診断で最適な対処方法や
薬剤を教えてくれる

このアプリではスマホで撮った写真から、病害虫、雑草をAIが判定し、それらの生態情報や防除方法、有効な薬剤を表示します。今回のなすでいうと、例えば害虫となるアザミウマは何種類かいます。このアプリを使うと、アザミウマの種類を絞り込んで、それに合った薬剤を選ぶことができます。やみくもに薬剤を使うことがなくなるので、農薬を減らすことにもつながります。
ただ、AIは間違えることもあるので、アプリには「カルテ式診断」という方法も用意されています。病害虫を撮った写真と、アプリに登録されている写真を比較して、自分でも診断できる方法です(谷口さん)。

AIの性能を上げるために様々な病害虫の写真を集めています(谷口さん)。

「レイミーのAI病害虫雑草診断」アプリを起動し、トップ画面の「診断」をタップ。

まだらに茶色になっている葉が気になりますね。診断してみましょう(谷口さん)。
病気の葉を撮影して診断開始

「病害・食害」「害虫」「雑草」のいずれかを選びます。葉の病気を診断したい場合は、「病害・食害」を選択すると、カメラが起動します。


病気だと思われる箇所を拡大して、中央に大きく表示させます。

「AI診断」を選択。写真をもとにAIが判定を行います。
診断の履歴が残せる機能も有効
褐色円星病(かっしょくまるぼしびょう)、と出ましたね。それ以外にもAIは全部で5つの候補を出してきました。左から自信度(パーセント)の高い順に並んでいます(谷口さん)。
おお、すごい。詳細な情報も表示されるので分かりやすいですね(緒方さん)。

さらに進むと病気に有効な薬剤の名前も分かります。

ただ診断するだけでなく、その履歴も残せるのは、とてもありがたいですね。もし病気が広がっても、失敗としてきちんと記録して、振り返ることができるのはとても大事なことですから。「去年はこういう病害虫の被害が出たから、今年は初めから、それの対策をしておこう」という計画が立てられます(緒方さん)。
将来も楽しみな病害虫診断アプリ

病害虫についてはインターネットで調べることもできますが、ずばりヒットということはまずないので、試行錯誤していました。結局、原因が分からないので、有効な対策も取れず、毎年、同じような症状が出てしまう、ということが続いていたんです。
このアプリを使えば原因だけでなく、薬剤などの対策方法もピンポイントで分かるので、本当に画期的だなって思いました。おおげさではなく「これは世界が変わるな」というのが、正直な感想です。AIを使っているということで、これから利用者が増えるほど、精度も機能性も向上していくそうなので、どんどん広まってほしいです。そうすれば、もっともっと使いやすくなっていくはずですから(緒方さん)。
新技術をチェック!
「みどりの食料システム戦略」
技術カタログ

みどりの食料システム戦略の実現に向けて、戦略で掲げた各目標の達成に貢献し、現場への普及が期待される技術について、「『みどりの食料システム戦略』技術カタログ」としてとりまとめています。有用な新技術を知っていただくとともに、環境にやさしい農業への取り組みにご活用ください。
お問合せ先
大臣官房広報評価課広報室
代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449