あずきのスイーツに夢中!
小豆とあんこの基礎知識
監修

1982年、奈良県出身。
2018年、あんこ普及振興を目的とする日本あんこ協会を創設し、 あんこによる地域振興や情操教育に取り組む。
小豆が甘いあんこになったわけ
あんことは、どのようなものを指すのでしょうか。
一般的には小豆からつくられるのですが、ずんだ(枝豆)や栗、さつまいも(かんしょ)などあんこにできる食材は多く、日本あんこ協会では「食材を煮詰めて練ったペースト状のもの」と幅広く定義しています。小豆を用いたあんこは大きく分けて4種類、おなじみのつぶあん、こしあんのほか、つぶあんを潰して炊き上げたつぶしあん、こしあんに大納言小豆の蜜煮を混ぜ合わせた小倉あんがあります。
甘く味づけしたあんこはいつ登場したのですか。
日本では古くから小豆が食べられていました。縄文時代の遺跡から発見されていますし、『古事記』や『日本書紀』には五穀の1つとして登場します。あんこの原型とされる中国の餡(あん)は肉や野菜などの詰めもののことで、日本に入ってきたのが飛鳥時代とされます。日本では仏教の影響から肉食が禁じられていたこともあり、小豆を使うようになりますが、当初は塩味が主流でした。その後、安土桃山時代には茶の湯で使われる菓子にも多用され、あんこは発展します。砂糖が普及して甘いあんこが庶民の間に広まったのは江戸時代です。
新たな可能性を見せてくれる食べ物
小豆には産地による違いはありますか。
全国的に広く生産されていますが、日本3大小豆産地といわれるのが、北海道・丹波・備中です。北海道は生産量が圧倒的に多く、品種改良も盛んで、普及した「エリモショウズ」やそれから派生した「きたのおとめ」、近年、生産量を大きく伸ばした「きたろまん」などが誕生しています。丹波は伝統的な産地の1つで、丹波栗、丹波黒豆とともに丹波三宝とされるのが丹波大納言です。備中は備中大納言や普通小豆のほか希少な品種の備中白小豆の産地でもあります。
あんこのスイーツのトレンドを教えてください。
「進化系おはぎ」「ビジュアルおはぎ」と称されるSNS映えするおはぎが人気となったり、コーヒー専門店やファストフード店があんこバーガーやあんサンドといったメニューを続々と提供しています。カルダモンやシナモン、ブラックペッパーなどのスパイスと合わせた商品も増えています。日本人とは長い付き合いのあんこですが、未だに新たな可能性を見せてくれる、実に奥の深い食べ物なんです。
主な小豆の種類

エリモショウズ
主な産地:北海道
一般的な小豆の品種。昔ながらのあんこの味、小豆のあの独特のアクっぽい風味を求めるあんこファンにとって、エリモショウズは期待を裏切りません。

丹波大納言
主な産地:京都府・兵庫県
兵庫県丹波市春日町東中(ひがしなか)は、丹波大納言小豆の発祥の地と伝えられています。古くから丹波地方でつくられ、小豆の高級品種として京菓子の材料にも使われています。

備中白小豆
主な産地:岡山県
備中(岡山県の西部)は白小豆の発祥の地として知られています。白小豆は乳白色から黄白色くらいで、サイズは一般的な小豆よりやや小さい傾向にあります。とても珍しい品種です。
小豆を世界に! グローバル化に挑戦
1973年の発売以来、小豆の風味を生かした商品として人気を保ち、年間約3億本が売れる「あずきバーシリーズ」。その味へのこだわりや海外戦略とは。
嗜好の変化などに合わせて改良
ロングセラーのあずきバーですが、これまで改良は行われたのでしょうか。
嶋田孝弘さん(以下、嶋田)1本あたり約100粒の小豆が入り風味や粒感を楽しんでいただけることや、豆の選別工程を経てから生豆から炊き上げる製法などのこだわりは守りつつ、お客様の嗜好の変化などに合わせて改良を行ってきました。1992年には使用する砂糖をそれまでの上白糖から後味がすっきりするグラニュー糖に切り替えました。グラニュー糖は北海道産のビート(さとうだいこん)を原料としています。2023年の50周年のリニューアルの際は、小豆の風味をよりダイレクトに味わっていただきたい、ということから材料を絞り込み、小豆・砂糖・水あめ・食塩のみで作る技術を開発しました。切り口の異なる商品もあり、例えば2018年には、高級和アイス専門店和涼菓堂で販売している「涼菓バー」、2021年には“オール北海道”というコンセプトで北海道産の小豆と砂糖、オホーツクの塩を用いた「北海道あずきバー」を発売しました。
小豆はなぜスイーツに合うのでしょうか
嶋田ほのかな甘み、うまみがあり、あんこに加工しやすいことがあります。また炭水化物、たんぱく質を含みますが、脂質は少ないので乳脂肪と合わせやすく、見た目も赤色なので抹茶の緑やミルクの白に映えやすいこともあげられます。

「ぜんざいを凍らせてアイスにできないか」との発想から誕生したあずきバー。2022年度の売上はシリーズ合計2億9,300万本。

高級和アイス専門店「和涼菓堂 京都店」の「涼菓バー」は厳選した素材を加えた2層の手作りアイス。苺、柚子、豆と抹茶、栗と抹茶の4種類がある。
海外に小豆文化を広めるため
輸出もされているとのことですが、あずきバーの海外戦略について教えてください。
井村 慎さん(以下、井村)輸出先は現在19か国です。マレーシアでは現地生産も行っています。製造・販売だけでなく、日本の食文化や和菓子の魅力を海外に発信しています。豆を甘く調理することが一般的ではない国が多いのですが、マンガの影響からどら焼きが知られるようになったり、訪日客がたいやきに注目したり、といったこともあり、“AZUKI”の文化が世界に広がりつつある手ごたえを感じています。

マレーシアで製造している「IMURAYA AZUKI BAR」。現地メーカーに生産を委託している。

米カリフォルニア州のIMURAYA USA工場。「あずきをAZUKIに!」をスローガンに、2010年にアメリカでの小豆商品の製造・販売を開始。
国内向けにはどのような情報発信をされていますか。
井村三重大学や近畿大学などとの産学連携も含め食物繊維やポリフェノールなどを豊富に含む小豆の健康性・機能性についての研究を行ったり、幼稚園児によるあずきの収穫体験などの食育活動も続けています。今後も、小豆の魅力を積極的にPRしていきたいです。
砂糖のこと、
どれだけ分かるかな?

出典:シュガペディア(シュガーチャージ推進協議会)/農林水産省「砂糖で学ぼう! 砂糖で遊ぼう!」
次の3つのうち、砂糖を使用したものはどれでしょう
![選択肢[Aはちみつ B水あめ Cべっこうあめ]](/j/pr/aff/2403/img/spe_1_04/pt03_ph01.jpg)
砂糖にはたくさんの種類があり、それぞれに特徴や適した用途(料理)があります。以下にあげた砂糖は、どの料理に向いているでしょうか。線でつないでみましょう。
![選択肢[三温糖(さんおんとう) 顆粒状糖(かりゅうじょうとう) 氷砂糖(こおりざとう) 和三盆 ヨーグルト 果実酒 煮物 和菓子]](/j/pr/aff/2403/img/spe_1_04/pt03_ph02.jpg)
○×クイズです
砂糖は、ストレス解消に効果がある?
![選択肢[○ある ×ない]](/j/pr/aff/2403/img/spe_1_04/pt03_ph03.png)
さとうきびから作られるものすべてに「◯」を付けましょう
![選択肢[砂糖 たたみ デニム エタノール]](/j/pr/aff/2403/img/spe_1_04/pt03_ph04.jpg)
解答

べっこうあめ
「べっこうあめ」は砂糖と水のみで作られています。砂糖と水を軽く混ぜ合わせたら「アメ色」になるまで鍋で煮詰めます。型やアルミホイルの上で形を整えたあと、冷まして固まれば完成です。
「はちみつ」は、ミツバチが集めた花のみつを蜂の巣に貯めてできたものから不純物を除いたものです。
「水あめ」は砂糖を使っているように思うかもしれませんが、原料はさつまいもやじゃがいもなどの「でんぷん類」です。


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独特の風味を持ち、甘さも強い。煮物などの料理にコクを出したいときに使用される。
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高純度のお砂糖で多孔質の顆粒状をしている。水に溶けやすいことから、冷たい飲み物や果物、ヨーグルトなどにかけるのに適している。
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氷のように見える大粒の砂糖。溶けるのに時間がかかるので、果実酒をつくるのに最も適している。
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日本独自の伝統的な製法で製造された砂糖。和菓子に使用される高級材料。

○ ある
砂糖を摂取すると、心が落ち着きリラックスします。
その理由は、砂糖の摂取により脳内に「セロトニン」という神経伝達物質が合成されるためといわれています。セロトニンには、精神を安定させて心をリラックスさせる効果があります。セロトニンは、肉、魚、卵、牛乳などのタンパク質豊富な食品に多く含まれる「トリプトファン」というアミノ酸から合成されており、トリプトファンを脳内に優先的に運ぶには、ブドウ糖や砂糖などの摂取により分泌されるインスリンの働きが必要です。そのため、砂糖を使った甘いお菓子や飲料をとることで、セロトニンが合成されてストレス解消につながるといわれています。

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砂糖
さとうきびの搾り汁から「砂糖」を作ることができます。
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たたみ
「たたみ」は、主に「いぐさ」という植物から作られています。
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デニム
サトウキビの絞りかすを乾燥させて細かくして作った和紙と綿を織り合わせて作る「デニム」もあります。見た目は綿で作られた普通のデニムと変わらず、軽くて乾きやすいのだそうです。
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エタノール
「エタノール」は、さとうきびを絞って取れる煮汁を発酵させることで糖分と分解して作ります。日本酒をお米から作るのと同じ原理です。

シュガペディア(シュガーチャージ推進協議会)
https://sugarcharge.jp/sugapedia/
マフ塾2023「目指せお砂糖博士!砂糖を学ぼう!」
https://www.maff.go.jp/j/kids/kodomo_kasumi/2023/content/satou.html
お問合せ先
大臣官房広報評価課広報室
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