このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

食とくらしの「今」が見えるWebマガジン

特集 魚に夢中

さまざまな理由で海洋環境が変化している日本の魚と魚食を語る! さまざまな理由で海洋環境が変化している日本の魚と魚食を語る!

地球温暖化などの影響により海洋環境の変化が
大きな課題となっている今、
水産研究家の藤原昌高さんと、
釣りアンバサダーの中川めぐみさんが対談。
日本の魚と魚食における現状と問題点、
私たち消費者ができることを語ってもらいました。

魚を愛するふたりが語り合う日本の海と魚と魚食の未来 魚を愛するふたりが語り合う日本の海と魚と魚食の未来

これまで3,000種以上の魚を食してきた、“ぼうずコンニャク”こと水産研究家の藤原昌高さんと、
釣りや漁業で地域活性化を企画する釣りアンバサダーの中川めぐみさん。
愛に溢れるふたりが日本の魚を語ります。

水産研究家 藤原昌高さん

徳島県生まれ。子どもの頃に捕まえた川魚が江戸時代の書物に載っていたことから、水生生物に興味を持ち調べ始める。以来30年以上にわたり、全国の漁港や市場で収集した魚介類の味、知名度、地方名や、入手した魚を食材に使用した日々の料理などを主宰するWebサイトに掲載。日々約5万アクセスを誇る。
元島根県水産アドバイザー、著書、テレビ番組や雑誌の監修も多数。

釣りアンバサダー 中川めぐみさん

富山県生まれ。IT企業で新規事業立ち上げなどに携わる傍ら、趣味で始めた釣りの魅力にハマり、釣り✕地域活性事業で独立。現在も釣りや漁業を通して食、景観、文化などの魅力を発信する観光コンテンツの立案やPRに従事する。
(株)ウオー代表取締役。

地球温暖化により豊かな日本近海に大きな変化が訪れています 地球温暖化により豊かな日本近海に大きな変化が訪れています

魚の生育環境にも影響が 日本海側は対馬海流とリマン海流が、太平洋側では黒潮(日本海流)と親潮(千島海流)と、双方で暖流と寒流が混ざり合う日本近海は、多くの魚種が育まれ生息する豊かな海。そんな母なる海の海水温が地球温暖化(以下、温暖化)の影響で上昇。魚の生息環境にも大きな影響を与えています。
NAKAGAWA:漁師さんからは温暖化を嘆く声をよく聞きますFUJIWARA:温暖化による環境問題が顕在化していますが、それは海の中も同じ。近年、その地域では獲れたことのない魚が定置網に入るようになりました。たとえば北海道ではブリが水揚げされるようになるなど、各地の漁港で獲れる魚が変化してきています。NAKAGAWA:確かに、漁師さんからは「新しい魚が獲れるが価値がわからん」や「海藻が採れなくなった」など、温暖化の影響による漁場の変化を耳にします。中でも、沖縄など南方の海に影響が出ているとか?
FUJIWARA:温暖化で海水温が上昇した結果、魚が南から北上し、今まで獲れていたさまざまな魚が獲れなくなり値段が上昇しています。また、温暖化によるサンゴの白化、死滅により海の生態系が崩れてしまう。サンゴが消滅してしまうと、海洋生物や漁業にも大きな影響を及ぼしてしまうといわれています。NAKAGAWA:私も海と魚に携わる仕事をする中で、お話を伺うことはもちろん、実体験としても変化を感じ、温暖化による海水温の上昇をとても危惧しています。ただ、漁獲量が減る現状に、藤原さんは「いま獲れる魚を食べることが大切だよ」と著書などでおっしゃっていますね?FUJIWARA:温暖化によるサンゴの白化が大きな問題です

今、食べてほしい魚は「隣の珍魚」です! 今、食べてほしい魚は「隣の珍魚」です!

魚種の変化や漁獲量の減少など水産業へ多大な影響を及ぼしている温暖化。
そんななか、「今、食べてほしい魚」として藤原さんが語ったのは、ユニークな名称でした。

珍魚イメージ
FUJIWARA:はい。たとえば中川さんの出身地である富山湾ではギンポやサメも獲れますが、富山県周辺ではあまり食べる習慣がないでしょう。また、近年、さまざまな魚が北上していますが、流通システムや食文化はそのスピードに追いついていません。私がよくお邪魔する神奈川県小田原の海でも、一度に大量の魚が獲れた場合は大きなダンベ(水槽)に集められ、養殖のエサ向けに出荷される魚種も多い。それらは丁寧に処理したり、すり身にすればおいしく食べられますが、浜に加工できる人が少なくなってきています。こうした人材不足や流通のあり方についても、水産業界全体で見直す必要があるでしょうね。NAKAGAWA:低利用魚や未利用魚というワードもよく耳にします。先日、子ども達に向けたワークショップを行ったのですが、コロダイやイラなど、一般には馴染みのない魚を自ら調理して食べてもらったら、皆「おいしい!」と大喜び。口々から「なんでこんなにおいしいのに食べられていないの?」、「どうして低・未利用魚なの!?」って質問が続出しました。その地域で食べる習慣がなかったとか、知らない魚も食べてみてほしいですね。
FUJIWARA:また、皆さん今日はマグロを食べよう、サンマを焼こうと決めて魚を買いにいくでしょう。その隣にはおいしいコロダイやイラも並んでいるのに見向きもされない。私は以前よりそうした一般的にはなじみがなく珍しいとされる魚を「隣の珍魚」と呼び、Webサイトやブログでも調理法を紹介し積極的に食べることを提案しています。たまには魚種を決めず売り場の人にお薦めの魚を聞いてみるといい。旬の魚のおいしい食べ方を提案してもらえるし、1匹ものの魚をさばいてくれるスーパーマーケットも増えていますから、あとは調理するだけです!NAKAGAWA:水産業界以外の一般の消費者は、そこまで魚種を知りませんよね。おっしゃるとおり売り場の方にお薦めの魚を聞いたり、また、知らない魚は藤原さんのWebサイトで調べたりと、もっと低・未利用魚に興味を持ってほしいですね。また、未知の魚のおいしさを知るには、釣りも良い入り口だと思うんです(笑)。自分で釣った魚なら、知らない魚種でも食べたくなるじゃないですか。釣りはレジャーとしての楽しさはもちろん、魚食普及のためにも有効な手段だと思います!FUJIWARA:買う魚を決めず「隣の珍魚」に注目してほしいNAKAGAWA:低・未利用魚を減らすための取り組みを!

みんなに知ってほしい!魚の多様性と旬のおいしさ みんなに知ってほしい!魚の多様性と旬のおいしさ

 季節の味わいを楽しもう!ぼうずコンニャクセレクト!旬のお魚カレンダー 春:3月から5月 ニシン・サヨリ・タチウオ・カイワリ/夏:6月から8月 トビウオ・スズキ・アユ・アイゴ/秋:9月から11月 マイワシ・カワハギ・アカアマダイ/冬:12月から2月 ブリ・トラフグ・クロダイ
FUJIWARA:私も釣りを入り口にするのは、魚食を推進するうえでとても理にかなった方法だと思います。また、中川さんが西伊豆で企画した、釣った魚を地域通貨に換えられ、それを地元飲食店や土産店で使用できる取り組みも面白いですよね。今、漁獲量とともに消費量も減少しています。魚の消費量を増やすためには、そうした街ぐるみの取り組みなどで、魚食のきっかけを増やす必要があるのです。NAKAGAWA:藤原さんほどではありませんが、私も全国の漁港を巡り多くの漁師さんと知り合いました。中には、地元の魚やそれを使った魚食の魅力を伝えたいと願う漁師さんが多くいます。そして、そんな熱い想いを持つ漁師さんが持ってくる魚はやっぱりおいしい。私はそんな彼らの想いを伝えるべく、「漁師ナイト」や「アジフェス」と銘打ち消費者との出会いの場を設けるイベントを開催するなど、魚食のさらなるきっかけづくりを目指しています。
藤原・西川

「旬のお魚カレンダー」では、ブリやイワシ、トラフグなど、近年、漁場が変わるなど多く穫れるようになった魚をはじめ、アカアマダイや地域によってはなじみのないアイゴやクロダイなど、藤原さんがお薦めする「隣の珍魚」も紹介しました。魚にはこれだけ多様な魚種が存在していますし、魚の魅力はその多様性と旬の魚ならではのおいしさです。鮮魚売り場で見かけた時は、ぜひ、店員さんにお薦めの食べ方をたずねてみてください。

知っていましたか!?毎月3から7日は「さかなの日」 知っていましたか!?毎月3から7日は「さかなの日」

毎月3から7日は「さかなの日」であることを知っていますか? 資源管理された魚を食べることは
消費拡大のみならず、SDGsの目標にも通じるサステナブルなアクションなのです。

日本の水産物の消費量が減少傾向にある中、水産庁は水産物の消費拡大に向け官民の取り組みを推進するため、毎月3から7日を「さかなの日」とし、毎年11月3日から7日を「いいさかなの日」として、消費拡大活動の強化週間と位置づけています。

日本人が摂取するたんぱく質のうち約17パーセントが魚介類であり、動物性たんぱく質の摂取量に占める魚介類の割合は約30パーセントに上るなど、水産物は私たちが健康に生活するうえで欠かせない食物です。また、水産物は漁獲量を適切に維持することで資源が回復する、持続的に活用可能な資源でもあるのです。

さかなの日のコンセプトは「さかな ✕サステナ」。漁獲制限や持続可能な養殖生産などで資源管理された魚を食べることは、SDGsの目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」ことにつながり、ひいては目標14「海の豊かさを守ろう」という世界共通の目標にも通じるサステナブルなアクションなのです。

豊かな生育環境を持つ日本近海や川、湖などの旬の魚を食べ、その生態系や魚食文化を次世代へと引き継いでいきましょう!

「さかなの日」アンバサダー さかなクン

今週のまとめ

温暖化により漁場や海洋環境が大きく
変化しています。
しかし、日本には
おいしい魚がたくさんあります。
多様な魚を食べることは持続可能な
消費行動です。
今日の献立の一品に、
今、獲れている旬の魚はいかがでしょう。

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader