全国の日本酒と出会い、ペアリングを楽しむ！：農林水産省

2025 2月号

食とくらしの「今」が見えるWebマガジン

特集 3 今こそ日本酒

風味豊かな日本酒は、どのように選べばいいのか。
どのような食べものと合わせれば
より楽しめるのか。漫才師「にほんしゅ」の
お二人が
選び方を、料理家の真野遥さんが
ペアリング料理を提案します。

チャートで見る
日本酒の味わい方

比べると味がよくわかる
飲み比べの楽しみ

日本酒と料理の
ペアリング

蔵元が提案する
新しい日本酒の楽しみ方

日本酒に精通した漫才師「にほんしゅ」の二人が、好みの日本酒と出会うための味わいチャートを作成。自分好みの日本酒選びには、二人のアドバイスも参考になります。

にほんしゅあさやん（左）と北井一彰（右）による漫才師。ともに３種類の日本酒の資格を持ち、酒漫才だけでなく、日本酒イベントやセミナーにも登壇し、さまざまな角度から日本酒の魅力を伝える。これまで訪れた蔵は約150、飲んだ日本酒は5000種類以上。

日本酒の味わいは、甘口と辛口、淡麗（たんれい）と濃醇（のうじゅん）という基準で分類するとわかりやすいんです。淡麗はすっきり、濃醇はしっかり。さらにフルーティーという香りの基準やキレの良さなども加えるとより解像度が上がります。

たとえば酸味があってフルーティーな白ワインが好きなら、淡麗甘口。もっとキレのいい白ワインが好きなら、淡麗辛口がおすすめです。

言葉で自分の好みを説明できるといい出会いが期待できます。

最初のうちは、日本酒が揃っている居酒屋や酒販店でお店の方に相談するのもひとつの手ですね。

1:水芭蕉純米吟醸（群馬県） 2:伯楽星特別純米（宮城県） 3:亀泉純米吟醸原酒CEL-24（高知県） 4:八海山特別本醸造（新潟県） 5:播州一献超辛純米（兵庫県） 6:一ノ蔵無鑑査本醸造超辛口（宮城県） 7:大山特別純米酒十水（山形県） 8:玉川 Time machine 1712（京都府） 9:達磨正宗十年古酒（岐阜県） 10:春鹿純米超辛口（奈良県） 11:大七純米生酛（福島県） 12:神亀純米清酒（埼玉県）

日本酒の最大の魅力は、飲んでみないとわからないところ。同じ銘柄のお酒でも翌年はがらりと味が変わっていることもあります。原料や製法の細かい違いで味が大きく変わりますから。

飲む時の温度帯によってもかなり感じ方が違います。冷やして飲むのか常温で飲むのか、あるいは燗酒にするのか。

旅先でも地元の日本酒を飲むと、新たな発見があります。海に近くて生魚をよく食べる地域では、すっきりとした飲み口のお酒が多いんです。

酒蔵見学もおすすめです。❻一ノ蔵や❿春鹿など見学できる酒蔵はたくさんあります。試飲すると、同じ蔵で造っているお酒でも味わいがまるで違うことがわかるんです。

味わいチャートにある12種類の日本酒から4本をセレクトし、日本酒に詳しい料理家の真野遥さんにそのお酒に合う料理を作ってもらいました。ペアリングのポイントも解説します。

淡麗甘口伯楽星特別純米宮城県白菜と柿のカニ入り柚子胡椒マヨサラダ

白菜の瑞々しさと柿の甘味、カニのうま味に柚子胡椒がピリリと効いて、癖になる味わいのサラダです。カニ缶はカニ風味かまぼこで代用可能。時期的に柿が手に入らない時はりんごを使ってもおいしいです。

材料 2人分：白菜 …200グラム（葉２枚か３枚）柿 …1個カニ缶 …1缶 A「マヨネーズ …大さじ3（35グラム）オリーブオイル …大さじ1 粉チーズ …大さじ1 柚子胡椒 …大さじ2分の1 レモン汁 …小さじ1」｜作り方：1.白菜は白い芯の部分を5センチメートル幅に切り、繊維に沿って７ミリメートルから８ミリメートル幅の細切りにする。葉は食べやすい大きさにちぎる。流水でさっと洗ったらザルにあげ、ラップをかけて冷蔵庫で冷やしておく（できれば2時間以上冷やすと白菜が柔らかく瑞々しくなる）。 2.カニ缶は茶漉しかザルで軽く水気を切っておく。柿は皮をむき、12等分のくし切りにする。 3.ボウルにAとカニ缶を入れて混ぜる。白菜と柿を加えてさっと和えたら器に盛る。

Point! “究極の食中酒”と評判の伯楽星は、カニの繊細な風味を引き立てます。イカやタコなどの魚介類や鶏むね肉など淡白な味にも合います。

淡麗辛口八海山特別本醸造新潟県カキとワカメの長芋塩麹あんかけ

カキを酒で軽く漬け込み、ワカメ・塩麹と共にさっと炊き、すりおろした長芋がまろやかで淡い味付けとやさしい旨味のあんかけです。柚子皮の千切りを添えたらより香りが広がります。

材料 2人分：カキ（むき身）… 200グラムワカメ（茹で、もしくは戻したもの）… 60グラム長芋… 100グラム酒… 大さじ2 水… 80ミリリットル塩麹… 大さじ2 柚子皮（千切り）… あれば適量｜作り方：1.カキは塩を適量ふりかけてやさしく揉み、流水で洗いザルにあげる。ペーパータオルで水けを拭き取り鍋に入れ、酒をふりかけておく。 2.ワカメは食べやすい長さに切り、長芋は皮をむきすりおろしておく。 3.1の鍋を中火にかけ、鍋をゆすりながらカキを酒煎りする。カキの身がぷっくりして火が通ったら火を止め、カキを取り出しておく（水分は鍋に残しておく）。 4.同じ鍋に水と塩麹、ワカメを加えて中火にかけ、煮立ったら長芋を加える。ひと煮立ちしたらカキを戻し入れ、再び煮立ったら火を止める。器に盛り、お好みで柚子皮を散らす。