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農林水産省

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食とくらしの「今」が見えるWebマガジン

特集 2 今こそ日本酒

おいしい日本酒は、 おいしいお米から

日本酒の原料のひとつがお米。酒米(さかまい)と
呼ばれるお米からどのようにして
日本酒が生まれるのでしょうか。米づくりには
どのような工夫があるのでしょうか。
日本酒とお米の関係を解き明かし、
酒米の生産現場をリポートします。

お米が麹の力で大変身!日本酒はこうして造られる

日本酒の製造は、糖化とアルコール発酵という工程をたどります。この工程は、ビールやワインの製造と比べてもとても複雑なもの。日本酒ができる仕組みを、図を見ながらわかりやすく解説します。

日本酒ができる仕組み

糖化 お米から酒を造るには、まずお米中のでん粉を糖に分解する必要があります。この工程を糖化といい、日本酒造りではこうじ菌の酵素がこれを担っています。|アルコール発酵 アルコール発酵には、糖分と酵母が必要です。酵母は糖をアルコールと炭酸ガス(二酸化炭素)に変換します。

ビールやワインとの製造工程の違い

ビールの場合は、発芽(モルティング)時に活性化する酵素によって糖化が行われます。ワインの場合は、ぶどうの果汁にすでに多くの糖分が含まれているので、糖化は必要ありません。日本酒造りの特徴は、糖化(でん粉を糖に分解する)とアルコール発酵(糖をアルコールに変える)の2つの工程が同時に行われることです。このような並行複発酵という醸造技術は、他のアルコール飲料には見られないもので、高度に訓練された技術、経験、知識が必要なのです。

日本酒の製造工程

玄米が日本酒に生まれ変わる工程を追いかけます。この工程には、杜氏たちの高度な知識と経験、そして技術が必要です。

玄米 精米 白米 蒸米 麹 酵母 水 酒母 初添 仲添 留添 もろみ 醸造アルコール 酒粕 上槽 日本酒 火入 貯蔵 ろ過 割水 びん詰 火入 市販の日本酒 監修:国税庁鑑定企画官

どこでどうやって作っているの? 酒米について

日本酒の原料となるお米、その中でも酒造り専用の品種が酒造好適米(酒米)です。 生産地のトップはどの都道府県でしょうか。酒米の銘柄のシェアナンバー1は? インフォグラフィックスで、現状をわかりやすくお伝えします。

酒米の産地割合|酒米の産地は、食用米の産地と同じ?酒蔵の多い地域で作られている?データを見て確認しましょう。

1位兵庫県 2位新潟県 3位岡山県 4位長野県 5位秋田県 6位広島県 7位山形県 8位福井県 9位富山県 10位福島県 ※農林水産省「酒造好適米の農産物検査結果(生産量)と令和5年産の生産量推計(産地品種銘柄別)」より

酒造好適米の銘柄割合

食用米の銘柄として有名なのは、コシヒカリやあきたこまち。酒造好適米はどうでしょうか。

山田錦40% 五百万石20% 美山錦5% その他35% ※農林水産省「酒造好適米の農産物検査結果(生産量)と令和5年産の生産量推計(銘柄別)」より

酒蔵が酒米づくりも 酒米の生産者インタビュー

江戸時代から続く酒蔵、愛知県北設楽郡設楽町の関谷醸造では、酒造りに必要な酒米の20パーセントを自社で栽培しています。歴史ある酒蔵はなぜ酒米の栽培を始めたのでしょうか。生産現場の声をお届けします。

関谷醸造(株)代表取締役 関谷 健さん|1971年愛知県生まれ。東京農業大学農学部醸造学科卒業後、酒類卸会社等を経て家業である関谷醸造に入り、2010年から現職。愛知県酒造組合会長、設楽町商工会会長、「農!と言える酒蔵の会」の代表理事を務め、土地の風土や文化を生かした酒造りに取り組む。https://www.houraisen.co.jp/ https://www.houraisen.co.jp/ja/

関谷醸造(株)代表取締役 関谷 健さん|1971年愛知県生まれ。東京農業大学農学部醸造学科卒業後、酒類卸会社等を経て家業である関谷醸造に入り、2010年から現職。愛知県酒造組合会長、設楽町商工会会長、「農!と言える酒蔵の会」の代表理事を務め、土地の風土や文化を生かした酒造りに取り組む。https://www.houraisen.co.jp/ https://www.houraisen.co.jp/ja/

地域の農業を支える酒米づくり|関谷醸造が酒米の栽培を始めたのは2006年です。地元で米の生産者が高齢化し、このままでは地域の農業が立ち行かなくなると懸念して、「うちがやります」と手を挙げました。栽培面積は年々増えて、現在40ヘクタールになります。

小さなほ場が多い、山間部の農業|周囲を山々に囲まれた設楽町は平地が少ないため、ひとつひとつの田んぼが小さく、点在していますから、トラクターなどの農機具の移動に時間がかかり、効率がいいとはいえません。夏場に行う畦(あぜ)の草刈りも、かなり骨が折れる作業です。

スマート農業で省力化を実現!|ICT機器を活用するスマート農業を積極的に取り入れています。農薬や肥料の散布もドローンでできるようになり、人手がかからなくなりました。ほ場の水の管理もセンサーを取り付けて、どこの水が足りていないのかをスマートフォンで確認しています。

地域の代表品種夢山水など4品種を栽培|酒米でよく知られているのは山田錦ですが、設楽町は標高が700メートルと高いため、山田錦の栽培には向いていません。私たちは酒米を4品種ほど栽培しています。そのうちのひとつ夢山水は愛知県で育成された品種で、この地域でしか育たないものです。

酒造りに生きる酒米づくり|農産物は気象条件の影響を受けるので、酒米の品質も毎年同じではありません。暑くて雨が少なかった年のお米は、仕込み時の吸水時間を長くするなど調整が必要です。その年のお米の状態が早い段階でわかるのは、酒の仕込みにおける強みになっています。

テロワールを生かした日本酒を|関谷醸造では、日本酒でもワインのようにテロワール(土地の気候や風土を生かした味わい)を表現しようと、地元で栽培したお米だけを使った日本酒も醸造しています。夢山水という地元の品種を使った純米大吟醸「摩訶」は、その代表的な一本です。

酒米生産現場でも農福連携!|F・F磯崎の取り組み 農福連携とは、障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取り組みです。宮城県松島町の(有)F・F礒崎は、同じ町にある就労継続支援A型事業所「松島のかぜ」と連携し、利用者とともに米やさつまいもの栽培、カキの養殖を実施しています。栽培したひとめぼれから造られた特別純米酒「いやすこ」は、町内の旅館やホテルで提供。宿泊客からは「すっきりとして飲みやすい」と喜ばれています。

今週のまとめ

日本人の主食であるお米は、
日本酒の原料としても生産されています。
おいしい日本酒の原点にあるのは、
おいしいお米。
日本酒を飲む時は、ぜひお米の
風味を味わってください。

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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