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食とくらしの「今」が見えるWebマガジン

特集 4 今こそ日本酒

日本酒を世界に!戦略的取り組みに迫る

日本酒の輸出は、現在どのような
状況になっているのか。
今後さらに日本酒を世界に売り込むためには
どんな戦略が必要なのか。
最前線で奮闘しているスタートアップ企業2社の
インタビューをお届けします。

年々増加している?日本酒の輸出の現状

日本酒の輸出量は、この10年間、右肩上がりに伸びています。どこの国や地域に、どれくらい輸出されているのでしょうか。最新の統計データから、日本酒の輸出状況をひも解きます。

日本酒輸出量の推移

単位=千kL 平成10年:8 15年:8 20年:12 25年:16 30年:26 令和元年:25 2年:22 3年:32 4年:36 5年:29 ※出典:財務省「貿易統計」

日本酒の輸出先別シェア

令和5年分金額ベース:中国30% アメリカ22% 香港15% 韓国7% 台湾7% その他19% ※出典:財務省「貿易統計」

JSS JAPANESE SAKE|地理的表示(GI)によるサポート 国内産の米のみを原料とし、かつ国内で製造された清酒を日本酒と呼ぶことができます。地理的表示は、海外でも正式に認証された日本酒であることを証明できると同時に、模倣品の生産に歯止めをかけることができます。

一合缶で世界に売り込む

缶ビールのような手軽さを日本酒に持ち込み、2020年から一合缶の販売を開始した(株)Agnavi。一合缶は日本国内、そして世界で売り出し中です。一合缶にはどんな魅力があるのでしょうか。代表取締役の玄成秀さんに話を聞きました。

(株)Agnavi|代表取締役 玄 成秀さん 食への興味から東京農業大学へ進学。卒業後も同大学院で研究を続け、農芸化学の博士号を取得。2020年に(株)Agnaviを設立し、現在は、全国120近い蔵元の日本酒を一合缶で販売。台湾、シンガポール、フランス、イギリスなど世界10ヶ国・地域への輸出実績がある。

なぜ一合缶なのか? 1缶を1合(180ミリリットル)という単位にしたほうが日本酒独自の魅力が伝わると考えました。国内も含めて、1.8リットルの一升瓶、720ミリリットルの四合瓶では、飲み切るのに時間がかかる。もっと気軽に日本酒を楽しんでほしいという想いもあって、一合缶にしました。

蔵元との協業で日本酒を盛り上げる 現在120近い蔵元の日本酒を一合缶として販売しています。蔵元の方にこちらから「こういう商品を売らせてください」とお願いしたり、あるいは先方が興味をもってくれたり紹介者がいたりと、出会いはさまざまです。

一合缶は輸出にも強みを発揮 船便で出すと、現地の販売店に並ぶまでに約3ヶ月ほどかかります。運搬や積み降ろす際に破損する危険性は瓶より缶のほうが低く、軽量ですから送料が安い。また、日本酒の品質が劣化する要因のひとつである紫外線も、缶なら心配がありません。

世界に届ける 時間というコンセプト

HINEMOSは、時間をコンセプトにして造った日本酒です。このコンセプトが生まれたのは、世界中の人たちに届けることを念頭に置いていたから。企画・販売する(株)RiceWineのCOO(最高執行責任者)渡辺毅志さんに詳しく話を聞きました。

(株)RiceWine|COO 渡辺毅志さん 京都大学農学部卒業後、2009年(株)リクルートに新卒入社。農林水産省、農業法人や医療系ベンチャー企業をへて(株)RiceWineに入社。現在はCOOとして、セールスやマーケティングの国内事業を担当。東京の原宿に2024年4月に誕生した商業施設ハラカド内にも店舗がある。

日本酒ビジネスの強みとは? 日本酒がいいのは何より「日本」と入っているところ。海外展開をする上でもこれは大きな強みになります。そして日本酒は海外の企業が製造することは難しく、簡単に模倣される心配がありません。日本酒には、ビジネスとしての面白さも詰まっています。

コンセプトは時間 私たちが造る日本酒は時間をコンセプトにしています。「SHICHIJI」は、夜の7時に飲むスパークリングで甘口の日本酒。アルコール度数も5度なので乾杯におすすめ。海外の方も理解しやすい考え方です。

海外のコンテストで高評価を獲得 イギリスのIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)やフランスのKura Master、シンガポールの酒チャレンジなど、海外のコンテストで高評価をいただきました。自信になりますし、販売にもいい影響があるのでありがたいですね。

日本酒市場を開拓する 輸出ではなく現地に子会社を設立して直接販売を行っています。国内でも直接販売することで、消費者のニーズをよりリアルに汲み取って商品づくりや販売方法に活かしていますから、海外でもそのやり方でいくことにしました。

万博でインバウンド需要を狙う酒蔵の挑戦 EXPO2025 大阪・関西万博では、日本酒関連のプログラムも数多く展開される予定です。1849年創業の老舗酒蔵、兵庫県丹波市の西山酒造場は、酒蔵見学や利き酒講座、酒造り体験などを用意。海外からの旅行客にとって、日本の伝統的な酒造りの文化に触れるきっかけになることが期待されます。

今週のまとめ

世界で注目を集める日本酒。
「日本酒を世界に届けたい」という
想いをもつ人たちの力強い
取り組みによって、
これからさらに
人気が高まりそうです。

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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