食料自給率を、「食事バランスガイド」のコマに表された一日の食事で試算した場合、全体の食料自給率は52.0%(※)となるというデータがあります。このように、「食事バランスガイド」の考え方は、実は食料自給率の向上にもつながっています。
主食であるごはんをベースに、郷土料理や地域で収穫した新鮮な野菜などの農作物を食べること。また、食料自給率の高い魚(料理)を積極的に食べることで、さらに食事のバランスが良くなるとともに、食料自給率も上がります。こうした「地産地消」の動きとあわせて、「食事バランスガイド」からも食料自給率を考えてみましょう。

高知大学教育学部針谷順子教授「ごはん食を核とした食料自給率向上のためのデータベースの構築その2」研究結果を基に「クッキング自給率(料理自給率計算ソフト)21年度版」(農林水産省)によりデータを更新したもの。
かつて、日本人の食事は栄養バランスがとれた望ましい食生活であると、国際社会からも高く評価されていました。ただし、それは昭和50年代頃の話。当時の食事は、ごはんを中心にした主食、そして魚・野菜・大豆などの伝統的な食べものに、肉や油脂などが適量加わったものでした。その後は、米の消費量が減少する一方で、畜産物や加工品の消費が増加。このため、日本の食料自給率は徐々に低下していきました。
このような現代の食生活を「食事バランスガイド」で考えると、肉料理などの「主菜」や「ヒモ」として表されている菓子や嗜好飲料を、多くとりすぎていることが理解できるでしょう。ごはんなどの「主食」と、野菜などの「副菜」を積極的に食べることで、バランスのとれたコマの形になることもわかります。
ごはんは食料自給率100%。米を主食にするだけで、食料自給率がアップします。
ごはん食はあらゆる料理と組み合わせやすいのが特徴です。主食、副菜、主菜を偏りなく食べることができ、脂肪の少ない献立がたてやすいので、栄養のバランスがとりやすく、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防にも役立ちます。
四季の移り変わりを楽しむ食卓や、地域の産物を生かした郷土料理は、次世代に継承したいのが日本の食文化です。主食をしっかり食べ、おかずに魚や肉、牛乳や乳製品、野菜・果物、海そう、豆類などを使ったいろいろな食品を組み合わせる「日本型食生活」を実践しましょう。
旬の魚は味がよく、栄養価も高くなります。新鮮な魚なら、焼き魚や刺身といったシンプルな料理もおいしく食べられます。また、地域でとれる農産物も旬ならではのおいしさがあります。
こうした地域の食材を活用する「地産地消」は、食料自給率の向上に役立つだけでなく、遠隔地に輸送するための燃料も少なくすむことから環境にもやさしく、また地元の農業や漁業の振興に役立ち、地域経済の発展にもつながります。新鮮でおいしい地域の食材を、主菜や副菜に積極的に取り入れましょう。



