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農林水産省

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作成日:平成29年3月31日

ブロイラー鶏群のサルモネラ保有状況調査

2.1.2.2. 食鳥処理場

 2.1.2.2.4. ブロイラー鶏群の菌保有状況調査(平成25年度)

食鳥処理場に搬入されたブロイラー鶏群のサルモネラ保有状況(主に夏季及び秋季)を把握するため、食鳥処理場13か所において、10処理日にわたり、計130鶏群の盲腸内容物を対象にサルモネラの調査を行いました。

その結果、130鶏群のサルモネラ保有率は64%でした。2か月毎(5~6月、7~8月、9~10月、11~12月)の保有率は、46~77%で推移していました。

(1) 目的

食鳥処理場に搬入されたブロイラー鶏群のサルモネラ保有状況(主に夏季及び秋期)を把握する16

16 「ブロイラー鶏群のカンピロバクター保有状況調査」(2.1.1.2.4)と併せて実施。
 

(2) 試料採取

食鳥処理場13か所において、平成25年5~12月の間にそれぞれ10処理日ずつを選び、各処理場の1処理日につき1鶏群(計130鶏群)を調査対象としました。各鶏群から、中抜き工程において5羽分の盲腸内容物(1鶏群当たり5羽分をプールした試料1点)を採取しました。

(3) 微生物試験

プールした盲腸内容物を試料としてサルモネラの定性試験(3.2.1.1(11))を実施しました。試料からサルモネラが分離された鶏群は、サルモネラ陽性と判定しました。分離されたサルモネラは、O抗原及びH抗原を調べて血清型を特定(3.2.3.1)しました。

(4) 結果 

鶏群のサルモネラ保有率は64%(83/130)でした。2か月毎(5~6月、7~8月、9~10月、11~12月)の保有率は46~77%でした(表44)。7~8月、9~10月及び11~12月のサルモネラ保有率は同程度であり、保有率に有意な差がみられたのは5~6月(46%)と9~10月(77%)の間のみでした。

表44:食鳥処理場に搬入されたブロイラー鶏群のサルモネラ保有率の季節変化

調査期間

鶏群数

うちサルモネラ陽性鶏群
鶏群数 陽性率(%)
平成25年5月-6月 26 12 46a
平成25年7月-8月 34 19 56
平成25年9月-10月 39 30 77a
平成25年11月-12月 31 22 71

 
注釈 ap<0.05(95%以上の確率で、5月~6月に調査した鶏群の方が、9月~10月に調査した鶏群よりも、サルモネラ保有率が低い。)

なお、サルモネラを保有する83鶏群から分離された85株のサルモネラのうち82株は、7つの血清型に分類され、残りの3株は既知の血清型に分類できませんでした。分離株数で上位3血清型の鶏群の保有率は、Salmonella Infantisが28%(36/130)、S. Schwarzengrundが17%(22/130)、S. Manhattanが9%(12/130)でした(表45)。

表45:食鳥処理場に搬入されたブロイラー鶏群から分離されたサルモネラの血清型と陽性率

サルモネラ血清型

陽性数

陽性率(%)

S. Infantis 36 28
S. Schwarzengrund 22 17
S. Manhattan 12   9
S. Typhimurium   9   7
S. Livingstone   1     0.8
S. Thompson   1     0.8
S. Virchow   1     0.8
特定不能 [O4:HUT]   2   2
特定不能 [OUT:r,1,5]   1     0.8

 

指導者・事業者の皆様へ

食鳥処理場13か所で食鳥処理されたブロイラー130鶏群(5~12月に調査)のサルモネラ保有率は64%でした。今回の調査では、2か月毎の保有率は46~77%で、5月~6月に調査した鶏群の方が、9月~10月に調査した鶏群よりも、保有率が低いことが分かりました。7~8月、9~10月及び11~12月の保有率は同程度でした。

なお、分離されたサルモネラの血清型の多くは、サルモネラ食中毒事例で分離される血清型でした(ただし、2,500以上の血清型のうち、サルモネラ食中毒の原因として一番多い血清型S.Enteritidisは分離されませんでした。)。

今回の調査と過去の農場での調査(2.1.2.1.12.1.2.1.2)の結果から、6~8割のブロイラー鶏群がサルモネラに感染していることが分かりました。食鳥処理場は、受け入れる生鳥がサルモネラに感染している可能性があることを考慮して、衛生対策を実施する必要があります。厚生労働省は、食鳥処理場における衛生管理措置及び食鳥検査や、食鳥処理場におけるHACCPの導入を推進しています。

また、サルモネラ陽性鶏群と陰性鶏群から製造された鶏肉のうち、サルモネラに汚染されていた鶏肉のほとんどが陽性鶏群から製造されたものであったこと(2.1.2.1.12.1.2.2.5)を考慮すると、農場において鶏群のサルモネラの保有率を下げることによって、鶏肉の汚染率が下がり、食中毒の発生の減少につながると期待できます。農場において有効と考えられる衛生対策を「鶏肉の生産衛生管理ハンドブック」(生産者編・指導者編)で紹介していますので、参考にしてください。

 

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課
担当者:危害要因情報班
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