トピックス4 農業・食関連産業でのデジタル変革の推進

社会全体でデジタル化の実現に向けた取組が加速する中、農業や食関連産業分野でも、デジタル技術の活用による変革、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取組が進みつつあります。以下では、農業・食関連産業でのデジタル技術活用の現状やデジタル変革の推進状況について紹介します。
(生産現場でのデジタル変革)
スマート農業技術の生産現場での実証プロジェクトを全国148地区で進めている中、その横展開や通信インフラの整備等の本格的な社会実装を加速化していく段階にあります。
また、データを活用した農業を行っている農業経営体は現段階では全体の2割に満たないほか、農地情報が個別に管理され、農業者や関係職員に負担が生じているなど、データ活用による経営改善の取組促進や負担の軽減等が必要な状況にあります。
(農村地域でのデジタル変革)

都市と地方の人材を
つなぐプラットフォーム
資料:株式会社おてつたび
デジタル技術を活用して都市と地方の住民や地域内の異業種人材をつなぐプラットフォームが生まれつつあり、農村地域の課題解決や地域資源への活用が期待されますが、現時点では限定的です。
また、鳥獣被害対策、農業基盤整備等にデジタル技術を活用し、対策の効率化やスマート農業の実装に向けた取組が進みつつありますが、本格的な実装はこれから進めていく段階です。
(流通・消費におけるデジタル変革)
物流の効率化・自動化に向けて、他産業では、共同輸送、混載や、最適な輸送経路の選択等にデジタル技術を活用する取組も進みつつありますが、農業分野では限定的です。
また、ネット通販では、消費者と農業者を直接つなぎ、消費者ニーズに基づく生産・販売を展開しているケースも見られますが、農業者や流通・小売業者との接点は限られているのが一般的であり、デジタル技術を活用して、川上から川下までデータでつなぎ、情報の共有を可能とすることが求められています。

SNSをベースとしたアプリで産地情報・販売情報を農業者と流通業者でやりとりする取組
資料:株式会社kikitori
(食品製造業、外食・中食産業におけるデジタル変革)
食品製造や外食産業等の労働力不足に対応するため、進展するAI(*1)やロボット技術による食材の加工や皿洗いの自動化等、様々な場面での先端技術の活用が期待されています。
また、資源循環型の食料供給の必要性が高まる中で、代替タンパク、機能性食品等を利用したフードテックに取り組む事業者が登場し始めており、技術開発と併せて、その価値を科学的に評価し得る技術・仕組みの構築も求められています。
*1 用語の解説3(2)を参照
(「農業DX構想」を策定)
以上のように、農業や食関連産業分野でのデジタル変革は、これから進めなければならない段階にあります。このため、令和3(2021)年1月から「農業DX構想検討会」において、農業・食関連産業分野のDXの方向性や取組課題の議論が行われ、「農業DX構想」が同年3月に公表されました。これらの分野におけるDXの実現に向け、多種多様なプロジェクトが実施される予定です。
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