第2節 我が国における食料の供給
我が国において農業者の急速な減少や高齢化が見込まれる中、食料安全保障を確保し、農業の持続的な発展を図るためには、人・農地等の資源をフル活用し、食料自給力を確保することが必要です。このような観点から農地の確保(*1)、持続可能な農業構造の構築(*2)や、生産性の向上(*3)を図っていくことが必要であり、多収性や高温耐性等を備えた品種の開発・普及を推進(*4)するなど、様々な取組が進められています。
本節では、我が国における食料供給の状況、農業生産の動向等に加え、食料自給率について紹介します。
*1 第2章第3節で記載
*3 第2章第4節で記載
*4 第2章第5節で記載
(1)我が国における食料供給の確保
(国産と輸入先上位3か国による食料供給の割合は約8割)
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我が国の食料供給は、国産と輸入先上位3か国(米国、豪州、カナダ)で、供給熱量の約8割を占めています(図表1-2-1)。食料の安定的な供給を行うためには、国内の農業生産の増大を図るとともに、主要輸入先国との安定的な関係を維持していくことも必要です。
(食料安全保障の確保に向けた構造転換対策を推進)
食料安全保障の確保に向けた国民に対する食料の安定的な供給については、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと併せて国内生産だけでは賄えない食料や農業生産資材の安定的な輸入や備蓄の確保を図ることが必要です。
また、農地、水、人や農業生産資材等の資源を確保するとともに、それらと、農業生産基盤の整備・保全、新技術の開発・普及とが効率的に組み合わされた農業構造へ転換し、土地生産性及び労働生産性を向上させることにより、食料自給力を確保することとしています。このような農業の生産性向上と農産物の付加価値向上を通じ、農業経営の収益力を高め、農業者の所得の確保・向上を図ることにより、農業の持続的発展を図っていく必要があります。
(2)食料自給率の動向
(供給熱量ベースの総合食料自給率は前年度並み)
食料自給率は、国内の食料消費が国内生産によってどれくらい賄えているかを示す指標です。令和7(2025)年4月に閣議決定した基本計画では、令和12(2030)年度を目標年度として、供給熱量ベースで45%、生産額ベースで69%とする総合食料自給率の目標を設定するとともに、摂取熱量ベース食料自給率を新たに示し、同年度に53%とする目標を設定しました。
供給熱量ベースの総合食料自給率は、生命と健康の維持に不可欠な基礎的栄養価であるエネルギー(カロリー)に着目したものであり、消費者が自らの食料消費に当てはめてイメージを持つことができるなどの特徴があります。
令和6(2024)年度の供給熱量ベースの総合食料自給率は、38%と、前年度並みになりました(図表1-2-2)。これは、主食用米と砂糖の生産量の増加がプラス要因となる一方で、春先の天候不順の影響による小麦の生産量の減少等がマイナス要因となったことによるものです。
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一方、生産額ベースの総合食料自給率は、食料の経済的価値に着目したものであり、畜産物、野菜、果実等のエネルギーが比較的少ないものの高い付加価値を有する品目の生産活動をより適切に反映させることができます。令和6(2024)年度の生産額ベースの総合食料自給率は、64%と、前年度に比べ3ポイント上昇しました。これは、米、野菜、畜産物の国内価格が上昇したことがプラス要因となったことによるものです。
また、摂取熱量ベース食料自給率は、平時において、国民の日常生活に必要な摂取熱量のどの程度が国産で賄われているかを示すものです。令和6(2024)年度の摂取熱量ベース食料自給率は、46%でした。
供給熱量ベースの総合食料自給率は長期的には低下傾向にあり、平成10(1998)年度に40%まで低下し、近年はおおむね40%程度で推移しています。長期的に食料自給率が低下してきた主な要因としては、米の消費が減少する一方、畜産物や油脂類の消費が増大するなどの食生活の変化が考えられます(図表1-2-3)。畜産物は、消費拡大に伴い輸入が増加するとともに、飼料の海外への依存度が高い状況です。
また、平成12(2000)年度からの品目ごとの消費・生産について、供給熱量ベースの総合食料自給率への影響を見ると、国内で自給できる米の消費の減少等が総合食料自給率を押し下げる方向に作用しています。一方、輸入依存度の高い小麦、大豆の国内生産の拡大が総合食料自給率を押し上げる方向に作用しています(図表1-2-4)。今後、食料安全保障の確保のため、多様な米の需要拡大や小麦・大豆等の国内の農業生産の増大を図ることが重要です。
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(3)土地利用型作物(麦、大豆、そば、いも類、甘味資源作物)の生産動向
(小麦の作付面積は前年産に比べ減少)
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令和7(2025)年産の小麦の作付面積は、23万haと、前年産に比べ0.9%減少しました(図表1-2-5)。一方、単収は449kg/10aと、前年産に比べ1.1%増加し、収穫量は、103万1千tと、前年産に比べ0.2%増加しました。これは、主に九州において湿害等で作柄の悪かった前年産を上回ったことによるものです。
農林水産省では、実需者の求める生産量・品質・価格の安定化に向けて、国産小麦の生産を拡大するために、施肥・防除体系の構築等による生産性向上の取組や、農地の大区画化や汎用化等の基盤整備、スマート農業技術等を活用した適期作業等を推進しています。
(大豆の作付面積は前年産に比べ減少)
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令和6(2024)年産の大豆の作付面積は15万4千haと、前年産に比べ0.5%減少しました(図表1-2-6)。また、単収は164kg/10aと、前年産に比べ3.0%減少し、収穫量は、25万2千tと、前年産に比べ3.2%減少しました。これは、北海道では生育期間中の天候に恵まれた一方で、都府県では夏場の高温・干ばつの影響があったことによるものです。
農林水産省では、実需者の求める生産量・品質・価格の安定化に向けて、国産大豆の生産を拡大するために、農地の大区画化や汎用化等の基盤整備、集約化やブロックローテーションの導入、多収品種を含めた新品種への切替え等を推進しています。
(畑作物の本作化を推進)
農林水産省では、水田を畑として利用し、麦や大豆等の畑作物の本作化に取り組む農業者に対し、畑作物の生産が安定するまでの一定期間を支援する畑地化促進事業を実施しており、令和6(2024)年産においては約1万7千ha、令和7(2025)年産においては約8千haの水田で実施されました。また、水田における畑作物の導入・定着に向けた取組や生産性向上等の技術導入を支援する畑作物産地形成促進事業を引き続き措置しています。
(そばの作付面積は前年産に比べ増加)
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令和6(2024)年産のそばの作付面積は6万9千haと、前年産に比べ2.8%増加しました(図表1-2-7)。また、単収は59kg/10aと、前年産に比べ11.3%増加し、収穫量は4万tと、前年産に比べ13.5%増加しました。これは、北海道等において、夏場の高温の影響等により作柄が悪かった前年産を上回ったことによるものです。
農林水産省では、湿害軽減技術の導入や、播種(はしゅ)前の複数年契約取引等の拡大等を推進しています。
(かんしょの収穫量は前年産に比べ減少)
データ(エクセル:29KB)
令和7(2025)年産のかんしょの作付面積は、3万1千haと、前年産に比べ1.6%減少しました(図表1-2-8)。また、収穫量は69万9千tと、前年産に比べ2.5%減少しました。
農林水産省では、共同利用施設の整備や省力化のための機械化体系確立等の取組を支援しています。また、サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)の発生・まん延の防止を図るため、健全な苗の調達等を支援するとともに、対策技術等に関する研究開発を進め、防除技術の確立・普及に向けた取組を推進しています。
なお、令和5(2023)年度に、一部のほ場でサツマイモ基腐病と異なる腐敗症状を呈するかんしょが確認されたことから、緊急対応のための研究課題を立ち上げました。令和7(2025)年度からは、新たな総合防除体系の確立に向け、抵抗性品種の選定や農薬の活用、伝染源・発生助長要因の特定・除去等の研究を進めています。
(ばれいしょの収穫量は前年産に比べ減少)
データ(エクセル:29KB)
令和6(2024)年産のばれいしょの作付面積は7万1千haと、前年産に比べ0.4%減少しました(図表1-2-9)。また、収穫量は229万5千tと、前年産に比べ2.9%減少しました。
農林水産省では、省力化のための機械導入や収穫時の機上選別を倉庫前集中選別等に移行する取組を支援しています。また、ばれいしょ生産に必要な種ばれいしょの確保に向けた取組を支援するとともに、ジャガイモシストセンチュウ等の発生・まん延の防止を図るため、抵抗性品種への転換や共同利用施設の整備等を推進しています。
(てんさいの収穫量は前年産に比べ減少)
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令和7(2025)年産のてんさいの作付面積は4万8千haと、前年産に比べ1.8%減少しました(図表1-2-10)。また、収穫量は319万5千tと、前年産に比べ8.3%減少しました。このほか、糖度は15.6度と、前年産に比べ0.1ポイント低下しました。
農林水産省では、移植栽培から直播(ちょくはん)栽培への転換や病害虫まん延防止の取組といった、省力化や生産コスト低減等の取組を推進しています。
(さとうきびの収穫量は前年産に比べ増加)
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令和6(2024)年産のさとうきびの収穫面積は2万3千haと、前年産に比べ1.8%増加しました(図表1-2-11)。また、収穫量は140万5千tと、前年産に比べ18.9%増加しました。このほか、糖度は13.8度と、前年産に比べ1.0ポイント低下しました。
農林水産省では、人手不足に対応した機械化一貫体系の導入や、担い手、作業受託組織の育成・強化等を推進しています。
(4)野菜・果実の生産動向
(野菜の生産量は前年度に比べ減少)
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国産野菜シェア奪還プロジェクト
URL:https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/
engei/kokusan_shea_dakkan.html
令和6(2024)年度の野菜の生産量は、1,048万tと、前年度に比べ3.8%減少しました(図表1-2-12)。これは、夏季の記録的な高温や干ばつによる生育不良等により一部の品目で減少したことによるものです。
家計消費用野菜については、ほぼ全量が国産となっており、国内生産は生鮮野菜を重視する傾向が見られます。一方、需要量の約6割を占める加工・業務用野菜は、食品製造事業者等の実需者からの国産需要は多いものの、国産割合が約7割となっており、国産品の出回らない時期がある品目等を中心に輸入が約3割を占めています。
このため、農林水産省では、加工・業務用を中心とした国産野菜の生産、供給に関わる事業者の経営安定化等を通じ、国産野菜の活用拡大を図る「国産野菜シェア奪還プロジェクト」を令和6(2024)年4月に立ち上げ、令和7(2025)年度においては、サプライチェーンの各段階における課題の解決に向けた勉強会や、産地と実需者を結ぶマッチング等を行いました。
(事例)標高差を活かした生産や契約農家への支援により安定供給を実現(大分県)

自社農場でのこまつなの収穫
資料:株式会社創
食の外部化を背景に、野菜の需要は家計消費用から加工・業務用にシフトしており、今後もその傾向は継続すると見込まれます。このような中、加工・業務用野菜については、端境期を含めて周年的にリレー出荷ができる国内産地の育成や、契約栽培・出荷による効率的な生産・流通体系への転換により、国産野菜の周年的な安定供給を確立することが必要です。
大分県豊後大野市(ぶんごおおのし)の株式会社創(そう)は、グループ会社である冷凍加工事業者へ原料となる野菜を安定的に供給するため、平成29(2017)年にグループ会社の生産部門として創業しました。同社では、冷凍加工用の原料野菜の生産や販売、契約農家への支援に取り組んでおり、自社農場では、ほ場間の標高差を活かし、多種多様な野菜を生産するとともに、土壌改良から収穫までの機械化一貫体系を導入することで、周年安定供給体制を確立しています。
また、同社では、農家と契約を結ぶ際、栽培作物別に年間の作期ごとの最低・最高の予想収穫量を示してもらっており、これを活用することで、契約農家全体の収穫総量を踏まえた年間の栽培スケジュールを組むことができ、端境期を含め、安定した供給を行うことが可能となっています。くわえて、契約農家のコスト削減や負担軽減を図るため、経営試算や労働時間等を記した栽培マニュアル等の活用や、播種・収穫作業の受託にも取り組んでいます。このような支援により、今後、契約農家の維持・拡大、ひいては実需者への更なる安定供給につながることが期待されます。
(果実の生産量は前年度に比べ減少)
令和6(2024)年度の果実の生産量は、224万1千tと、前年度に比べ7.7%減少しました(図表1-2-13)。これは、夏季の高温・干ばつによって、うんしゅうみかん、かきの日焼け果等が発生したこと等によるものです。
高品質な果実の生産や国内外での堅調な需要を背景に国産果実の卸売価格は上昇傾向で推移している一方、果樹農業者の減少・高齢化により栽培面積・生産量はともに減少傾向にあり、果実の需要に対して国内生産が応えきれていない状況にあります。さらに、高温等の影響による障害が頻繁に発生する状況もあります。令和6(2024)年における品目別の果実産出額は、ぶどうが2,145億円で最も多く、次いで、りんごが1,945億円、みかんが1,877億円となっています(図表1-2-14)。
果樹農業は、整枝・剪定(せんてい)等の高度な技術を要する作業や、摘果、収穫等の機械化が困難な作業が多く、急傾斜地等の条件の厳しい園地が中心で機械化が遅れていることや、収穫等の季節的な労働ピークが存在するため年間を通じた雇用が困難で臨時雇用等の外部労働力に頼っているなどの果樹特有の課題があります。
生産拡大に向けて、農林水産省では、地域計画を活用した園地の集積・集約化や、基盤整備、省力樹形等の導入、スマート農業技術等による労働生産性の向上とともに、担い手や労働力の確保に向けた取組等を通じ、果樹農業の生産基盤の強化を推進しています。
(事例)新規就農者支援により、かんきつの生産基盤を維持(愛媛県)

新規就農研修センターの研修生
資料:えひめ中央農業協同組合
地域農業の担い手が不足する中、地域農業を振興するためには、地域外の参入者を新規就農者として迎え入れ、支えていくことが喫緊の課題となっています。
えひめ中央(ちゅうおう)農業協同組合では、高齢化の進行に伴い、かんきつの出荷量が減少したことを受け、率先して担い手を育てる必要があると考え、平成25(2013)年に研修ほ場を、平成27(2015)年に新規就農研修センターを、それぞれ設立しました。全国各地から集まる研修生は、2年間の研修で複数品種のかんきつの栽培技術を園地で学びます。
同農協の特徴的な取組としては、技術研修にとどまらず、就農後の手厚いフォローアップ体制にあります。例えば同農協では、空き園地や倉庫等の情報を収集し、農業委員会と連携して、これらを新規就農者にあっせんするほか、研修期間中に園地の借入案件が出てくる場合には、同センターが一旦借り受け、研修生の就農時に引き渡すなどしています。
また、販路の確保がハードルとなることが多い中、販路確保を同農協が担うとともに、営農定着に不可欠な地域とのつながりは、同農協の青壮年部を通じて、新規就農者同士、ひいては地域との間を橋渡しし、同センターの卒業生が新規就農者の経営や技術に関する各種の相談に対応するなどしています。
このようなきめ細かな取組により、これまでに同農協の研修後に就農した者は100人を超えており、その定着率も高いことから、高齢化による農家の減少はあるものの、産地の維持につながっています。
(5)畜産物の生産動向
(肥育牛の飼養頭数は前年に比べ減少、牛肉の生産量は前年度に比べ増加)
令和7(2025)年の繁殖雌牛の飼養頭数は61万1千頭と、前年に比べ4.5%減少しました(図表1-2-15)。
また、令和7(2025)年の肥育牛(肉用種・乳用種)の飼養頭数は157万7千頭と、前年に比べ2.4%減少しました(図表1-2-16)。
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令和6(2024)年度の牛肉の生産量は、35万3千tと、前年度に比べ0.6%増加しました(図表1-2-17)。これは、乳用種・交雑種の出荷頭数が減少する一方、和牛の出荷頭数は増加したことによるものです。
また、黒毛和種の子牛の取引価格については、令和4(2022)~6(2024)年にかけて低迷していたものの、上場頭数の減少等に伴い、令和7(2025)年には大きく上昇しています。農林水産省では、取引価格が下落した際のセーフティネットとして、肉用子牛生産者補給金に加え、令和6(2024)年4月から措置した優良和子牛生産推進緊急支援事業等の各種子牛対策で繁殖経営を下支えするとともに、より高く取引される優良な肉用子牛の生産に向けて、高齢の繁殖雌牛から若い繁殖雌牛への牛群転換を引き続き支援しています。
(乳用牛の飼養頭数は前年に比べ減少、生乳の生産量は前年度に比べ増加)
令和7(2025)年の乳用牛の飼養頭数は、129万3千頭と、前年に比べ1.5%減少しました(図表1-2-18)。
一方、令和6(2024)年度の生乳の生産量は、全国では737万4千tと、前年度に比べ0.7%増加しました(図表1-2-19)。これは、生乳生産抑制の見直し等を受け、増産基調で推移したことによるものです。また、都府県では311万tと、前年度に比べ1.3%減少し、北海道では426万4千tと、前年度に比べ2.1%増加しています。
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我が国の酪農経営は、飼料費等の生産コストの高止まりに加え、脱脂粉乳の需給が緩和したこと等により、厳しい状況にあります。このため、農林水産省では、令和7(2025)年度において、酪農経営に対して、コスト低減に資する長命連産性に優れた牛群への転換や脱脂粉乳の在庫低減対策の支援、農林漁業セーフティネット資金等の特例措置による金融支援等により、生産者への影響を緩和しています。特に脱脂粉乳の需給状況については、ヨーグルト需要の減少等により、需要低迷が課題となっています。農林水産省では、民間事業者が協調して行う脱脂粉乳の在庫の低減を図るための取組等を支援しています。
一般社団法人中央酪農会議(ちゅうおうらくのうかいぎ)が令和8(2026)年3月に公表した調査によると、指定生乳生産者団体の受託農家戸数の減少率は、令和5(2023)年8月以降鈍化しつつあるものの、令和8(2026)年2月には前年同月比で5.2%の減少となっています(図表1-2-20)。
農林水産省では、経営安定対策や金融支援、就農支援等各種施策を総合的に講ずることにより、酪農経営の安定を図っています。
(豚の飼養頭数は前年に比べ減少、豚肉の生産量は前年度に比べ減少)
令和6(2024)年の豚の飼養頭数は、879万8千頭と、前年に比べ1.8%減少しました(図表1-2-21)。令和6(2024)年度の豚肉の生産量も、89万5千tと、前年度に比べ1.6%減少しました(図表1-2-22)。これは、出荷頭数が減少したことによるものです。
(鶏肉の生産量は前年度に比べ増加、鶏卵の生産量は前年度並み)
令和6(2024)年度の鶏肉の生産量は、171万1千tと、前年度に比べ1.2%増加しました(図表1-2-23)。これは、消費者の低価格志向・健康志向の高まり等による堅調な需要を背景としたものです。また、令和6(2024)年度の鶏卵の生産量は、前年度並みの244万4千tとなりました(図表1-2-24)。
(地域における畜産の収益性向上を図る取組を推進)
畜産については、農業者の減少や高齢化、飼料価格の高止まりといった厳しい状況にあります。これらへの対応のほか、畜産物の国内需要への対応と輸出拡大に向け、生産基盤の強化を図ることが重要となっています。
このため、農林水産省では、地域における畜産の収益性向上等に必要な施設整備や機械導入等を支援するとともに、経営資源を継承する取組や農業生産資材の価格高騰等を踏まえた肉用牛繁殖経営、酪農経営における牛群構成の転換を支援しています。また、畜舎の建築コスト削減に向けて、事業者への周知や運用の見直しを行うなど、畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律の活用を推進しています。
さらに、肉用牛・酪農経営の省力化に資するロボット・AI・IoT(*1)等の先端技術の導入や、それらの機器等により得られる生産情報等を畜産経営の改善のために集約し、活用するための体制整備等を支援しています。
くわえて、これまで推進してきた肉用牛・乳用牛・豚・鶏の改良に加え、肉用牛の肥育期間の短縮・出荷時期の早期化等の取組を支援することにより、生産基盤の強化と持続可能な畜産物生産の推進を図っています。
*1 Internet of Thingsの略で、モノのインターネットのこと
(持続可能な畜産物生産のための取組を推進)
アニマルウェルフェアに関する
飼養管理指針
URL:https://www.maff.go.jp/j/chikusan
/sinko/animal_welfare.html
農林水産省では、地球温暖化対策を始めとする家畜生産の環境負荷低減に向けた取組の展開、耕種農家のニーズに適した高品質堆肥の生産や堆肥の広域流通・資源循環の拡大、国産飼料の生産・利用の拡大や有機畜産業の取組、アニマルウェルフェアに配慮した飼養管理の普及、畜産GAP認証の推進、これらの取組に関する消費者の理解醸成等を通じ、持続可能な畜産物の生産を図ることとしています。
(事例)自社のノウハウを活かした採卵鶏の平飼い技術の普及を推進(山梨県)

自社農場での平飼い
資料:農業生産法人黒富士農場
山梨県甲斐市(かいし)の農業生産法人黒富士農場(くろふじのうじょう)は、平成3(1991)年から採卵鶏の平飼いを行う中で、平飼い技術の専門知識等の普及が必要と考え、これまで自社で培った技術を活かし、平成31(2019)年から新たに平飼いを始める養鶏農家等に対して、導入支援を行う取組を開始しました。令和5(2023)年には、株式会社黒富士(くろふじ)AWアシストを設立して支援事業に取り組んでいます。
同社では、新たに平飼いを始める際、産卵場所である巣箱の外で卵を産んでしまう巣外卵や、破卵の発生が課題になると考えています。そのため、採卵鶏が巣箱で産卵できるよう、照明の調節や餌の活用による巣箱への誘導といった自社農場のノウハウを基に指導を行っています。また、平飼い導入後には、同社に毎日、飼育状況や産卵成績等を報告してもらうこととしており、その結果、異変に気付きやすくなり、トラブルが起きた際にも、同社が素早く助言することが可能となっています。
このような手厚いサポートにより、支援した農場は国内外で広がりを見せており、同社では、今後、平飼いを行う養鶏農家等と流通事業者をつなぐ「平飼いネットワーク」を形成し、平飼い卵の販売先を確保することで、より安心して平飼いに取り組むことができる環境を整備していきたいと考えています。
(6)花き・地域特産作物の生産動向
(花きの産出額は前年産に比べ増加)
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令和5(2023)年産の花きの産出額は、3,695億円と、前年産に比べ0.3%増加しました(図表1-2-25)。一方、作付面積は2万3千haと、前年産に比べ2.6%減少しました。
農林水産省では、花きの需要に合わせた安定生産・安定供給に向け、高温障害を回避・軽減する技術、高温耐性・病害虫抵抗性品種への転換の実証や普及活動、花き業界関係者の情報連携に向けた取組、新たな需要開拓・利用拡大といった、地域や全国で生じている課題解決に資する取組を支援しています。
(コラム)ばらで日本を、そして、世界を輝かせよう(広島県)
我が国における花きの産出額は減少傾向にありましたが、日常生活における需要が増加し、令和3(2021)年からは増加傾向にあります。このような中、更なる花きの需要拡大を図るためには、博覧会、展示会、品評会の開催等を通じて花きのブランディングに取り組み、消費を拡大していくことが重要です。
広島県福山市(ふくやまし)では、令和7(2025)年5月に「第20回世界(せかい)バラ会議福山大会(かいぎふくやまたいかい)2025」が開催されました。世界バラ会議とは、世界バラ会連合が3年ごとに開催するばらに関する国際会議であり、これと併せて、ばらに関する講義や庭園ツアー、優秀庭園賞の決定、ばらの発展に貢献した品種の審査・決定等を行っており、各国・地域からの参加者・ばら愛好会との間での交流も行われています。同大会では、誰にでも育てやすいばら、まちなかでの栽培に適したばらの新品種国際コンテストが開催されました。
また、同大会の開催を記念し、ばらの博覧会「Rose Expo FUKUYAMA 2025」では、若い世代に親しみのあるファッションフェスタとコラボレーションし、ばらや同市特産のデニムを取り入れた衣装をまとったモデルが、ばらで彩られたランウェイに登場するイベント等を実施しました。
さらに、同大会では、令和9(2027)年に神奈川県横浜市(よこはまし)で開催されるGREEN×EXPO 2027(*)のブースが設けられ、ポスター掲示等の認知度向上につながる取組も行われました。
農林水産省では、GREEN×EXPO 2027において、我が国の高品質な花きをいけばなや盆栽等の花き文化とともに紹介し、国内外の需要の拡大を図ることによって、我が国の花き産業の成長産業化、花きの生産振興を目指しています。
* 正式名称は「2027年国際園芸博覧会(こくさいえんげいはくらんかい)」
ばらの新品種国際コンテストで
農林水産大臣賞を受賞したばら
資料:世界バラ会議福山大会実行委員会
ファッションフェスタとの
コラボレーションによるイベント
資料:🄫Fukuyama Rose Runway produced by TGC
(茶の栽培面積は前年産に比べ減少)
データ(エクセル:29KB)
令和7(2025)年産の茶の栽培面積は、3万3千haと、前年産に比べ4.8%減少しました(図表1-2-26)。また、荒茶の生産量は、7万5千tと、前年産に比べ1.6%増加しました。
農林水産省では、需要の変化に対応した生産性の高い茶生産を推進するとともに、輸出の更なる促進、消費の拡大等の取組を進めています。
(薬用作物の栽培面積は前年産に比べ増加)
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漢方製剤等の原料となるミシマサイコやトウキ等の薬用作物の栽培面積については、令和5(2023)年産は、613haと、前年産に比べ7.0%増加しました(図表1-2-27)。
農林水産省では、産地と実需者等が連携した栽培技術の確立のための実証ほ場の設置等の取組や、販路の確保・拡大に向けた産地と実需者のマッチング等のための地域相談会の開催等の取組を支援しています。
お問合せ先
大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883




