5.鳥獣害対策及び農福連携
野生鳥獣による農作物被害の防止のためには、農地等に野生鳥獣を寄せ付けないための生息環境管理、侵入防止柵の整備等による侵入防止対策、被害を及ぼす鳥獣の捕獲の3つの対策を地域ぐるみで実施していくことが重要である。
このため、鳥獣被害防止特別措置法のほか、各関係法令及び各種マニュアル等に基づき、対策を推進する。
ア 野生鳥獣を寄せ付けない営農管理の徹底等による生息環境管理の推進
鳥獣被害対策においては、野生鳥獣を誘引している原因を除去することで、農地や集落に寄せ付けないことや人と鳥獣のすみ分けが重要であり、農作物残さ等の適切な管理・除去や、ひこばえ(収穫後の再生イネ)及び放任果樹等を放置しないなど、野生鳥獣を寄せ付けない営農管理を徹底するとともに、野生鳥獣が農地や集落に接近できる場所を減らすため、野生鳥獣の隠れ場所となりやすい耕作放棄地等の草刈りや藪の刈払い、侵入防止柵周辺に緩衝帯を設置するなど、環境整備等による「生息環境管理」の取組を推進する。
イ 計画的な侵入防止対策の推進
野生鳥獣を農地等へ侵入させないため、野生鳥獣の生態及び地形等に応じた侵入防止柵(金網柵、ワイヤーメッシュ柵及び電気柵等)の効果的な設置及び柵の効果を保つための適切な管理、被害を及ぼす個体・個体群の行動範囲・加害レベル、対象鳥獣の種類等に応じた効果的な追払い等による「侵入防止対策」の取組を推進する。
ウ 捕獲を含めた総合的な対策の推進
被害を及ぼす野生鳥獣を的確に捕獲するため、市町村職員、農業者等の地域住民、狩猟者、農林漁業団体の職員等による捕獲体制を構築する。また、効率的な捕獲や見回りの軽減などを目的とするセンサーカメラ、ドローン、GISなどのICT等の活用や、専門的な知見を有する人材の育成を行うなど、捕獲技術の高度化を図るものとする。また、都道府県では、被害防止を目的としたシカ・イノシシの個体数を減少させるため、複数の隣接市町村や都府県との広域捕獲等を実施し、市町村の対策をより効果的なものとする。これらの取組と上記ア、イに示した生息環境管理や侵入防止対策の取組を組み合わせ、計画的・総合的な被害防止対策を推進する。捕獲した鳥獣については地域資源として捉え、安全性を確保しつつ食肉として加工、販売する取組等を推進する。そのためには、捕獲者にも衛生管理を理解してもらう必要があるため「ジビエハンター育成研修制度」の推進等に取り組む。さらに、衛生管理の遵守等に取り組む食肉処理施設を認証する「国産ジビエ認証制度」の認知度向上、取得促進等に取り組むことで、より安全なジビエの提供と消費者のジビエに対する安心の確保に努める。
エ 農作業中のクマ類の出没に対する注意喚起
農業現場におけるクマ類の出没による人身被害、農作物被害等を防止するため、出没地域などでの農作業時には、ラジオなどで音を出して人の存在をアピールするなど安全管理に十分配慮するとともに、クマ類を誘引するおそれがある農作物の収穫残さ等の管理・除去等の対応が適切に実施されるよう、周知徹底する。
<関連情報>
農林水産省HP「鳥獣被害対策コーナー」
農林水産省HP「わかりやすい鳥獣被害対策の動画」
農林水産省HP「野生鳥獣による被害防止マニュアル等」
農林水産省HP「ICT機器活用情報(相談窓口を含む)」
農林水産省HP「農業用ドローンの普及に向けて(農業用ドローン普及計画)」(PDF:1,622KB)
農林水産省HP「ジビエ利用拡大コーナー」
農林水産省HP「国産ジビエ認証制度」
農林水産省HP「ジビエハンター研修」
農林水産省HP「【改訂版】野生鳥獣被害防止マニュアル(捕獲鳥獣の食肉等利活用(処理)の手法)令和4年8月版」(PDF : 2,500KB)
環境省HP「野生鳥獣の保護及び管理」[外部リンク]
環境省HP「CSF・ASF 対策としての野生イノシシの捕獲等に関する防疫措置の手引き」(PDF : 1,783KB)
厚生労働省HP「ジビエ(野生鳥獣の肉)の衛生管理」[外部リンク]
国立環境研究所HP「有害鳥獣の捕獲後の適正処理に関するガイドブック」[外部リンク]
農研機構HP「鳥獣害グループ」[外部リンク]
農林水産省HP「農業現場におけるクマ出没等に関する注意喚起リーフレット」(PDF:1,056KB)
「農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)」(令和6年6月5日農福連携等推進会議決定)に基づき、「地域で広げる」「未来に広げる」「絆を広げる」を新たなスローガンに、「農福連携等を通じた地域共生社会の実現」を目指して、法務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省が連携した施策を推進する。
<関連情報>
首相官邸HP「農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)」(PDF : 371KB)[外部リンク]
農林水産省HP「農福連携に関わる人材育成のための研修」
農林水産省HP「農福連携等応援コンソーシアム」
農林水産省HP「農福連携に関連するパンフレット・マニュアル」
農研機構HP「スマート農業実証プロジェクト「長崎せいひ農協長崎びわ部会」」[外部リンク]
お問合せ先
大臣官房政策課技術政策室
代表:03-3502-8111(内線3130)
ダイヤルイン:03-3502-3162