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関東地方 群馬県

群馬県

画像提供元:ググっとぐんま写真館

豊かな自然と風土がつくり出す農畜産物の宝庫、群馬県の食文化

赤城山、榛名山、妙義山の上毛三山や、谷川岳に始まる標高2,000m級の雄大な山々。利根川など日本を代表する河川に、尾瀬の湿原、榛名湖や大沼などの美しい湖沼からなる豊かな水の恵み。 さらには全国トップクラスの日照時間。自然豊かな群馬では標高10mの平坦地から1,400mの高冷地にまで豊かな農耕地が広がり、年間を通して多彩な農畜産物が生産されている。 元気に育ったキャベツやきゅうり、乳用牛や豚、こんにゃく芋などは、全国トップクラスにランクイン(農林水産省「令和元年生産農業所得統計」)。 小麦や下仁田ねぎ、しいたけやニジマスなど特色ある農林水産物の生産も盛ん。

取材協力:共愛学園前橋国際大学短期大学部

こうした豊かな農作物を活かし、郷土料理もまたさまざまな顔ぶれが揃う。エリアごとに作られているものは異なるが、例えば県産の野菜や肉のみを厳選して作る「すき焼き」は、県民の多くに愛される郷土料理として定着しつつあるなど、県全体で慣れ親しまれている料理も多い。
すき焼き

画像提供元:ググっとぐんま写真館

さらに自然に恵まれた土地でありながら、東京から約100kmというアクセスの良い立地であることも、群馬の魅力の一つと言えるだろう。都心から観光にやって来る人も多いため、観光客が訪れるエリアでは、家庭で作られている郷土料理だけでなく、県外からの客に振る舞うためのもてなし料理も作られている。県内の飲食店では川で採れる新鮮な川魚や山で獲れる山菜、県内で多く生産されている豚肉などを使ったメニューが供されている。
榛名湖

画像提供元:ググっとぐんま写真館

粉食文化

群馬の冬は日照時間が長く、新潟県境や北部の山々から乾燥した冷風「からっ風」が強く吹く。乾燥した気候で水はけのよい土壌であることが小麦づくりに適しており、小麦の生産が盛ん。特に秋に収穫された米の後に小麦を栽培する二毛作が行われている。こうした背景から群馬県では、「おっきりこみ」や「すいとん」、「炭酸まんじゅう」など小麦粉を使った郷土料理が多く根付いており、長い時間をかけて粉食文化を発展、定着させてきた。
吉岡おっきりこみ街道

画像提供元:ググっとぐんま写真館

現在も群馬県内では多くの小麦が生産されており、近年では県独自で開発、育成された品種も生まれた。平成10年に県内で育成された「きぬの波」は、日本麺用の小麦粉。「水沢うどん」や「ひもかわ」、「館林のうどん」などの多様なうどんが作られている群馬ならではの品種となった。また、平成20年に育成された「さとのそら」は、日本麺はもちろん菓子にも使われる品種として知られている。こうして独自の開発を進め、今もなおさらなる粉食文化の発展が進んでいる。
水沢うどん

画像提供元:ググっとぐんま写真館

こんにゃく芋

こんにゃくの素となるこんにゃく芋は、室町時代に群馬に持ち込まれたとされている。もともとこんにゃく芋は栽培が難しく、収穫までに数年かかるほか、災害や病気などにも弱い。さらに水はけが良く穏やかな気候を好むため、栽培できるエリアも限られている。群馬は赤城山などの山脈に恵まれ、火山灰を含む土壌。ほどよく乾燥している自然豊かな気候であるためにこんにゃく芋の栽培に適しており、次第に多く生産されるようになったのだという。 現在は昭和村、渋川市、沼田市など中山間地域の特産物として知られ、収穫量は全国第1位、9割以上のシェア(農林水産省「こんにゃくをめぐる事情 令和2年6月」)を誇るほど。数ある群馬の農畜産物の中でも、特に馴染み深い食材となった。
こんにゃく畑

画像提供元:ググっとぐんま写真館

一般的なスーパーで販売されているこんにゃくは粉から作ったものが多いが、群馬県産のこんにゃくは産地だからこそ生のこんにゃく芋から作ることができ、独特のコシや、歯切れがよく味のしみ込みが良いのが特徴となっている。「こんにゃく味噌おでん」や「こんにゃくの白和え」など、こんにゃくをメインとした郷土料理も多く作られるほか、「おきりこみ」や「すいとん」などのほかの郷土料理の具材としても使用されている。

それでは、この大きな二つの食文化を中心に、群馬県を北毛(ほくもう)中毛(ちゅうもう)西毛(せいもう)東毛(とうもう)の4つの地域にわけ、それぞれの風土の違いと食文化をご紹介しよう。

<北毛>
花いんげんや小豆、地元で穫れた豊かな作物が織りなす地元料理

中之条町などを含む吾妻地域を中心とする北毛では、地元食材を活かした郷土料理が多く作られている。例えば、吾妻地域で栽培されている花いんげん(紅花いんげん)を使った「花いんげんの煮豆」。花いんげんとは標高900~1,300m、夏の冷涼な気候のみで育つ大きな実のいんげん豆で、吾妻地域で作られるものは特に「高原花豆」と名付けられ人気を博している。煮豆は家庭で作られるのはもちろんのこと、近年は缶詰にも加工されており、観光客への土産物としても親しまれている。

また、渋川市や川場村を中心に食べられている「あまねじ(あまだんご)」は、水で練った小麦粉をちぎり入れたぜんざいのようなおやつ。北毛地域で栽培された小豆を使った郷土料理で、農作業中の“小昼飯(こじゅはん)”として食べられることも多かったという。
吾妻渓谷

画像提供元:ググっとぐんま写真館

<中毛>
全国屈指の豚肉王国、ソースカツ丼はソウルフード

前橋市、伊勢崎市などを中心とする中毛は、赤城山のふもとに位置するエリア。農畜産物も多く生産されているが、中でも豚肉が盛んに出荷されている。群馬は県全体でも30種以上の銘柄豚が存在するほどの豚肉の名産地で、特産品の小麦をエサとして育てる「麦豚」など、飼育方法にこだわりを持ったブランドも多い。中でも前橋市は、全国屈指の豚肉産出額を誇り、豚肉料理がよく食べられている。

郷土料理としては特に「とんかつ」が馴染み深く、カツカレーやカツサンドに加え、群馬県のソウルフードとされている「ソースカツ丼」は県内外に多くファンを持つ。ソースカツ丼の発祥は東毛に位置する桐生市の飲食店と言われているが、その後前橋市や伊勢崎市などに広がっていったとされている。そのほか、小麦粉の生地を丸めて焼き上げる「やきもち」やけんちん汁によく似た「ざく煮」など各地域で独自の郷土料理が根づいている。
豚肉

画像提供元:ググっとぐんま写真館

<西毛>
世界文化遺産の富岡製糸場と下仁田ネギ、こんにゃく

群馬の中でも南西部を指す西毛は、富岡製糸場のある富岡市や下仁田ネギやこんにゃくで有名な甘楽郡の下仁田町があり、全国的にも有名なエリア。地域の風土はもちろん、製糸場があった歴史的背景が関係しながら、さまざまな郷土料理が作られてきた。富岡市はもともと養蚕の盛んな地域で、絹製品が多く生産されていた。しかし、時代が進むにつれて絹製品の消費が少なくなり、生産も少なくなっていく中で、代わりに穏やかな気候を活かした農業が増えていったと言われている。
富岡製糸場

画像提供元:ググっとぐんま写真館

その際に栽培されたこんにゃく芋、しいたけ、ねぎを使って作ったのが、それぞれの頭文字を取って名付けられた「こしね汁」である。また、養蚕業に欠かせないまゆを大切にする風習があることから、米粉やひえの粉、とうもろこしの粉などを丸めて作る「まゆ玉」が供えられる文化も根づく。
まゆだま

画像提供元:NPO法人群馬の食文化研究会

ほかにも、ゆでた豆腐を醤油や砂糖で味付けした「しめ豆腐」は、神流町などで食べられる手軽なおかず。食料不足で肉や魚などが不足していた時代に大豆が貴重なたんぱく源として重宝され、豆腐を使った料理が親しまれた。
下仁田ねぎ

画像提供元:ググっとぐんま写真館

<東毛>
伝統と歴史が息づくエリア、地産地消で観光客をもてなす

桐生市や太田市、館林市、みどり市を中心とする東毛。古くから織物の生産地として知られるほか、岩宿遺跡などの歴史的なスポットや、大光院などの寺院もあるなど、伝統と歴史の息づくエリア。現在も観光客が多く訪れるのはもちろん、大手企業の工場が付近にあり、企業城下町としても栄えている。観光客も多く訪れる場所であることから、家庭で作られる手軽な料理だけでなく、飲食店が発祥となって次第にソウルフードへと進化した料理も多く生まれている。
織物参考館紫
そんな東毛の馴染み深い郷土料理としては、「呉汁」や「すみつかれ」が挙げられる。呉汁は大泉町で主に作られている汁物で、すりつぶした大豆を加えた味噌汁のこと。大豆をすりつぶした汁を「呉」と呼ぶことからこの名がついている。一方すみつかれは、しもつかれ、すみつかり、しみつかれといった名前でも呼ばれ、正月に食べた鮭の頭や節分で余った大豆などのごちそうの残りを煮込む。群馬だけでなく栃木や茨城といった北関東で広く親しまれている行事食となっている。

飲食店で食べられるものとしては、桐生市が発祥といわれている「ソースカツ丼」や川魚料理が有名な板倉町で供されている「なまずの天ぷら」、また「ひもかわうどん」や「舘林うどん」など。県外からこれらを食べにやって来る人も多い。
岩宿遺跡入口

群馬県の主な郷土料理

  • おきりこみ/おっきりこみ

    おきりこみ/おっきりこみ

    群馬は小麦粉の名産地。水はけのよい田んぼや冬に吹く乾燥した冷風・からっ風の影響...

  • すいとん

    すいとん

    昔から米と麦の二毛作が行われてきた群馬では、特に小麦粉の生産が盛ん。それゆえに...

  • 炭酸まんじゅう

    炭酸まんじゅう

    群馬は「ぐんま百名山」として100山を選定するほど、豊かな山脈が広がるエリア。...

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